あらすじ
平安末期、武士の道を捨て家族を捨て、ただひたすらに和歌の道を究めるため出家の道を選んだ西行。その心の軌跡を、伝承歌も含めた和歌の数々から丁寧に読み解き、桜を愛し各地に足跡を残した大歌人の生涯に迫る。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
西行の60首の和歌から彼の人生や心を辿る本書。
当時は仏教に従って出家し世を捨てる事と和歌を読む事は相反する行為であったらしい。
仏教では和歌を狂言綺語(真理に背くつまらない言葉、人を惑わすほど飾り立てた言葉)とし、和歌を含む文学や芸能が不毛語戒(嘘をついてはいけない)の戒律に触れるされていた。
西行はそれでも大好きな和歌を詠み続け、和歌と仏教を結びつけようと生涯を賭けたパイオニアの1人であった。
仏教を追い求めながらも花好きの執着を見せたり、男友達との死別のテーマを和歌っぽくするためあえてBLっぽく表現したり、崇高ぶらない人間っぽい姿に好感が持てた。
また西行を探る著者の姿が、SNSから投稿者が何をして何を考えていたを突き止めるデジタルストーカーと重なり面白かった。