仁木英之のレビュー一覧
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僕僕先生シリーズの5作目ですが、今回はこれまでの様相と少し異なります。いつもは旅を続ける可憐な乙女姿の僕僕先生(実は仙人)と怠け者で意気地なしの王弁青年との辛辣かつほのぼのとした道中でのやりとりがミソのお話なのですが、今回の僕僕先生はこれまでとは人が(仙人が!?)違ったような言動の数々で、王弁青年は心中穏やかではありません。そのため、却って王弁青年の先生に頼れないという覚悟した行動が目覚ましいものになりました。
今回のお話の舞台理想の国家(ラクシア)は光のまぶゆい部分だけで成り立つ国でしたが、この国の王、ラクスのことばや人々の様子に胡散臭いものを感じた王弁です。ところが、あろうことか僕僕先生は -
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劉欣が、意外と人間臭くて好きだなぁ。両親のことになると、人になってしまうのがねぇ。そういうしがらみがあっちゃ暗殺者としては危険なんじゃ…と思ったらやっぱりでした。
本当はいつまでも、親って生きててくれるわけじゃないんだよね。分かってても、私も劉欣みたいにオロオロしちゃうし、すごい泣くと思うわ。
そしてね、隠してたって、親にはきっと分かっちゃうんだよね。それが愛ってもんですよ。今親御さんはどうしているのか、心配ですね。
劉欣は、何か人あらざる一族の生まれかもしれないですね。そんな感じのことを僕僕先生も漏らしてたような。彼の一族に会える日も来るのでしょうか。
少しずつ"心"を取 -
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人と呼ばれる存在は決して一つではないのだろう。感じ、思い、考えるものたちを「人」と呼ぶのであれば、きっと存在するもの全ては「人」となる。感じていること、思っていること、考えていることは自分にさえ定かでない。まして他人のそれは絶対にわからない。
だとすると繋がることはできないのか。そこにあるものが何を感じ生きてきたのか、何を思いそこにいるのか、「考える」ことはもしかして繋がることなのかもしれない。
内と外をつなげる。内力と外力をつなげる、つなげようとすること、そして他人のそれと繋げようと思える者こそ、きっとこの天地で生きていく資格がある者なのではないだろうか。
仁木さんの小説は難しいようで