仁木英之のレビュー一覧
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大化の改新前後の古代日本を舞台にしたファンタジー。
古き山の神や妖たち、役行者として広く知られている役小角と物部の遺児のヒロイン。
勢力を拡大しようとする中大兄の朝廷と山の民たちとの対立に鎌足の陰謀と、いやいや、これはもうなんとも魅力的な登場人物たちと舞台装置だ。
中でも幼いながらも勝ち気な大海人とさらに幼いのにとても賢い後の持統天皇ささらがとても可愛いかった。
役小角はファンタジー界では安倍晴明に並ぶスーパースターだと思うのだけど、これまであんまりメジャーな物語はなかった気がするので、ここで一つおもしろい物語が語られたのはいいなと思う。
一応ヒロイン広足が主人公というか語り部的役なのだけど、結構視点が変わっていくのとヒロインの活躍はあんまりないので少し惹き込まれにくかった。
ちなみにヒロインの作る料理が神々の力となる件はちょっと僕僕先生と繋がりがあるのかと思ってしまった。
それとこれは作者の作風かもしれないけど、いろいろな戦いの決着が割とあっさりしているのでもう一つ盛り上がらなかったのはちょっと残念。
なにはともあれ、この舞台装置で続編を書いて欲しい。 -
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若かりし頃の僕僕先生物語第二弾。
今回は、より大きく人のことが語られている。
若いころの僕僕先生がなんとも明るい前向きな性格でなんだかとても嬉しい。
このあとの神仙たちの争いの帰趨を知っている身としては、本編での僕僕先生がやっぱり影を背負っていることにちょっと悲しい気分になってしまうのだ。
でも、僕僕先生が次第に力を得て成長していく姿はとてもいい。
物語的には前半は話に繋がりが乏しくてちょっと戸惑ったけど、後半、王の厨房での料理対決へと向かう展開になってからは俄然面白くなった。
料理対決の盛り上がり、
さらに黒幕との神仙対決のスペクタル、
そして明るい終章。
ああ物語を読んだなあという気持ちにさせられて満足。
やっぱり終わり良ければ全て良しだよね!
このまましばらく「一」探しが続くのかな?
期待している。 -
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「惜しい哉後世、真田を云て、毛利を不云。」という『翁草』エピグラフから始まる、豊臣秀吉麾下の名将、毛利勝永の一代記。
この巻では僅か五歳にして勇猛果敢な森太郎兵衛が、豊前一万石の大名になって活躍する二十代最初の頃が描かれる。
大河ドラマで言うなら、上半期の、上り調子の勇ましいところ。
時期としても、本能寺の変から、秀吉の死後直後のあたりという、激動の時期。
仁木さんの本なので、ライトノベル的な文体で、キャラが立った造形になるのかと思った。
が、そんなことはなく、伝統的な歴史小説の、重厚な書きぶり。
それほどこの時期の歴史に詳しくない身には、たくさんの地方の武将が出てくるのについていくのに大変な思いをする。
数年前、真田幸村がそれこそ大河ドラマになった時、本書も装いを変えて再刊された模様。
本書での幸村、というより源次郎信繁は、風来坊的なキャラになっていた。
勝永は、聞かん気の幼児だったころから、秀吉の黄母衣衆だった父、吉成について戦場をかいくぐっていく中で、むしろ分別のある若武者になっていく。
誰が主人公になるかで、人物造形が変わるって歴史小説やドラマでよくあることだけど…。 -
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初出の記載なく、書き下ろしか
人気の古代中国ファンタジー「僕僕先生」シリーズ作者の初ミステリー。
最後まで読まないとプロローグの意味がわからない。
警察の副署長福沢登は休日に考古学講座に参加していたが、退職の日に将軍塚古墳発掘現場の棺の中から市の文化財保護課の女性職員の絞殺遺体が発見される。
福沢は「つちくれさん」と呼ばれる土を見て遺跡を発見する発掘の有名人瀬山と知り合って意気投合し、瀬山がその教え子で被害者の同僚で恋人でもあった田中の逮捕に疑問を持って調べることに付き合う。
最後までわからない真相は意外過ぎる気がする。
瀬山は2000年の旧石器遺跡捏造事件を思わせる遺跡捏造を行なった設定になっているが、土に過去を問おうとして謎解きする瀬山の哲人的姿にとても共感する。
『岩宿の発見』の相沢忠洋に憧れた高校の頃を思い出した。 -
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あー、「仙丹の契り」って、そう言う事だったんだあ。
王弁くんと僕僕先生に旅も8巻目。
とうとうチベットまでやって来た。
旅の仲間にも入れ替わりがあり、ちょっと寂しくもあり、また、いよいよ物語が違うステージに入っていくのかなと感じられる。
物語の縦糸はドルマを巡るチベット王の後継問題。
横糸はもちろん王弁と先生の関係だ。
序盤から、王弁と先生のやり取りがいつも通りで、とても楽しかったのだけど、ついに二人の交わりがという展開にドキッとさせられた。
でも、王弁くんじゃないけれど、情緒も減ったくれもなくて、ちょっと思ってたのとは違った(笑)
しかも、きわめて仙界的な表現になってて、で、結局どうなったのよと言いたい!(爆)
でも、王弁が僕僕先生に、「あなたを導きたいんです」といった場面は、なかなかよかった。
王弁くんもやるときゃやるようになったんだね。
うん、成長したなあ。
さて、二人の旅もついに長安に引き返すことになり、物語も終盤に向かうよう。
次巻を楽しみに待ちたい。 -
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海路でインドに渡った唐代の僧侶、義浄を主人公と知って、読んでみたいなあ、と思っていた。
きかん気の子ども、文明が、仏門に入り、一本気な性格ゆえに、苛烈なほど仏道を追い求める青年僧侶、義浄となっていく。
そして、格式を重んじて、玄奘の教えを秘密にし、貧しい人を救うこともない大慈恩寺に反発する。
法と論だけがもたらされ、戎と律がないと、天竺行きを発願する。
仲間の僧侶に裏切られたり、妨害されたり、すったもんだの末、波斯のアドラー号に乗り、出帆。
と思ったら、海賊船に追い回されたり、仏陀の生まれ変わりを自称する妖怪と対決したり。
海の声を聴くことのできる少女が出てきたりと、ファンタジーの要素もあり、血沸き肉躍る乱闘あり。
このあたりは、やはり仁木さん。
が!
なんと義浄はまだ天竺に至らないのに、物語は終わってしまう。
帰ってくるまでのことを描くのかと思っていたから、ちょっと肩透かしを食らった感がある。
続編はあるのかなあ?
まあ、楽しく読めたので良しとしようか。 -
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前巻の鋼の魂より、すごく良かったと思う。いつもの僕僕節が戻った感。
ドルマさんが、どんな人だったのかが明らかに。どれだけ遠かろうとも、友人を助けたいと思えば、駆けつける王弁の心意気は、いつ見ても清々しい気持ちになります。
何があっても、(まぁおバカさんなのですが)ほんとはこんなことがあっただけなんだー!と周りに訴える王弁。ある意味、正々堂々としてるけど、誰も聞いてくれてないわー!と、僕僕とともに苦笑いする私がいる。
でも、そんな正直者な王弁だから、いろんな人が惹かれるんだろうな。
私は、ドルマさんの気持ちよく分かります。基本的にアホだし、能力もあるわけでもないけど、真心で人も神も動かす、そんな王弁はほんとに素敵ですよ。
ここから、2人の旅も、ついにラストスパートに入るそうで、好きなシリーズがまた一つ終わっていくことに寂しく思います。
素晴らしいラストを楽しみに待とうと思います。 -
Posted by ブクログ
"僕僕先生"シリーズ・4作目。
今作では殺人組織が出て来る。別に中国に限った話ではないとは思うが、中国の過去を基本的な舞台としていることを思うと妙に怖い。
これまでどんな窮地でも追い込まれる事の無かった僕僕先生も危機に瀕する。
そんな場で、本作で登場する意外な人物と、これまでの設定の中の人物が力を発揮して窮地を脱する。
それにしても、初刊以外に共通していることだが、"1冊を読み終えそう"になっても物語が一段落しない...。
あれ?、続編は有るだろうけど、中途半端な所で一旦切れるのかな?...と思ったところで、一気に物語りが加速して終結する。
ジェットコースターのような展開に、毎回驚かされるし関心もしてしまう。
次作も読みます!