あらすじ
豊臣秀吉最古参の家臣を父に持つ毛利勝永は若くして、九州豊前一万石の大名となる。天下統一を成した秀吉は高邁な理想の下、朝鮮に出兵するが……。石田三成の薫陶を受け、豊臣政権の次代を担う器と目された勝永の眼前に、徳川家康が立ちはだかる。戦国の世、志を貫いた男を爽快に描く歴史小説。(『大坂将星伝』改題)
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Posted by ブクログ
黄母衣衆森吉成の嫡男で後に秀吉の名で毛利姓に変え、豊前毛利家の礎を築く毛利勝永の物語。上巻では幼少期から朝鮮の役後の豊臣恩顧の武将たちによる三成襲撃までが描かれている。大阪の役まであまり歴史上では出てこない毛利勝永の一代記。上巻は青年期の秀吉始め著名な武将とのやり取りが描かれていたが、下巻がより気になる。
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「惜しい哉後世、真田を云て、毛利を不云。」という『翁草』エピグラフから始まる、豊臣秀吉麾下の名将、毛利勝永の一代記。
この巻では僅か五歳にして勇猛果敢な森太郎兵衛が、豊前一万石の大名になって活躍する二十代最初の頃が描かれる。
大河ドラマで言うなら、上半期の、上り調子の勇ましいところ。
時期としても、本能寺の変から、秀吉の死後直後のあたりという、激動の時期。
仁木さんの本なので、ライトノベル的な文体で、キャラが立った造形になるのかと思った。
が、そんなことはなく、伝統的な歴史小説の、重厚な書きぶり。
それほどこの時期の歴史に詳しくない身には、たくさんの地方の武将が出てくるのについていくのに大変な思いをする。
数年前、真田幸村がそれこそ大河ドラマになった時、本書も装いを変えて再刊された模様。
本書での幸村、というより源次郎信繁は、風来坊的なキャラになっていた。
勝永は、聞かん気の幼児だったころから、秀吉の黄母衣衆だった父、吉成について戦場をかいくぐっていく中で、むしろ分別のある若武者になっていく。
誰が主人公になるかで、人物造形が変わるって歴史小説やドラマでよくあることだけど…。
Posted by ブクログ
仁木氏の作品は僕僕先生や千里伝といった中国が舞台のライトなものばかり読んでいたので、日本の戦国時代をこんなにしっかり描くとは良い意味で予想外でした。
出足は単なる1人の知らない子供が勝手な行動をしているだけであまり惹かれなかったのですが、途中からどんどん面白くてなってきました。黄母衣衆という存在も初めて知りました。
ただ、同じ武将の呼び方が名字だったり官位や幼名など、いろんなパターンを使い過ぎてややこしく、よく考えないと誰のことか分からなくなる。
実際はどうであれ、歴史にくわしくない読者には不親切だと思います。