沼田まほかるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どす黒く汚れた阿部サダヲとクズ男を引き寄せる雰囲気だだ漏れの蒼井優(褒めてます笑)
映画も観てないし当時の予告で知る程度の情報で読み始めました。
なんてピッタリなキャスティングでしょうか!
前半ひたすら陣治の醜さ、汚さ、十和子に対する異常なまでの執着、その気持ち悪さが何度も語られます。
その全てを口汚なく罵る十和子に驚くし呆れる。
そして十和子の言動や行動に壊れた女の薄気味悪さが付き纏い読んでいてゾワッとします。
クズ男に捨てられたから病んだのか…
もともと壊れた女なのか…
クズ男を引き寄せる女なのか…
そして新たなクズ男と出会った事で俄然話が面白くなって来ます〜わたし的にですけど笑
破滅に向かうしかない二人がどう結末を迎えるのか
歪な愛のラストは?
映画はどういう結末にした?
この小説は好きか嫌いか分かれる作品だろうなぁ…
わたしは嫌いじゃない♪
前半の陣治の異常な行動や、十和子の現実と虚構の間を行き来するような描写がちょっと長くてウンザリしたので☆ひとつ減らしました(๑•́ ₃ •̀๑)
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Posted by ブクログ
全体を通して、仄暗くて逃げ場のないような雰囲気が漂っていた。これは「どうしようもない女」を愛してしまった不器用な男の、歪で真っすぐな純愛の物語だったと思う。
15歳年上の冴えない男・陣治に支えられながら暮らす十和子。心の奥底では8年前に別れた恋人を引きずり続け、元恋人に似た既婚男性と出会ってしまったことで、どうしようもなく惹かれていく。情事に溺れる十和子と、彼女を手放すことなく愛し続ける陣治。どちらの関係にも歪さがあって、読みながらずっと不穏な気持ちがつきまとった。
ただ、その不快さに蓋をするのではなく、人が心の奥に隠している弱さや欲望が容赦なく描かれているからこそ、途中から強く引き込まれていった。憎みながらも離れられない気持ちや、別の人がいるのにどうしても惹かれてしまう心の動き。誰もが多かれ少なかれ持っているけれど、普段は口にしない部分を突きつけられるようだった。
1冊を通して「陣治」という人物への見方が大きく変わっていった。読み進めるうちに、気づけば彼に惹かれている自分がいた。救いのない物語なのに、その愛は究極の純愛として胸に響いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「女は、あるいは男も、ある年齢になると、醒めた目で相手の実像を見つめながら恋に溺れるということが可能になるらしい」
沼田まほかるさんの小説に出てくる女は、インモラルで変わり者ばっか。
と思ってるけど、実際は人間の汚い内心が包み隠さず書かれているせいで、すごく感傷的で意地汚い人間たちに見えるだけで、自分にも共通する部分があるから目を逸らしているだけなのか。
情景や感情描写が丁寧でリアルだからか、なぜかミステリー要素は薄いだろうと思いながら読んでいて、終わりにかけて1転2転する展開にびっくり!ミスリードも上手いし、伏線回収も確実でわかりやすく、総じてすごく読み応えがあった。
このあと文彦と亜沙実はどうなるんだろう…。なんとなくだけど、文彦は1人立ちするまで亜沙実に会いに行ったり連れ去ろうとしたりして、何度か今回みたいに失踪しそうな気がするなぁ。
その度に佐和子はまた亜沙実を恨むだろうけど、もう雄一郎への執着は無さそうだし、文彦が1人立ちしてしまったらようやく自分の人生を生きられるような気もする。
文彦が激しい暴力的なエロ本を持っていたのは、父と亜沙実の性行為の話を聞いて、自分にも父と同じように亜沙実を犯したいという感情が出てくるのを予想したからかな、、亜沙実にそういう感情を持つ描写はなかったけど。
「どんな性的欲求であろうと、あくまで他人に危害を与えず心に収めておく分には許されるはずだ」という越智の発言と、亜沙実が実際に受けた性暴力の描写の対比が、、、見る者の性的欲求をむしろ溢れさせてしまう亜沙実の肉体が、より得体の知れないもののように感じた。
文彦も結局亜沙実に絡め取られてしまったのかな…。文彦が純愛だと唄う二人の関係が、けして明るくはないことは確実だと思った。
本作では最後亜沙実が会話をする場面があったところがよかった。だいたいこういう女の人って''男を虜にしてしまう恐ろしい女''として終わることが多いから、文彦や佐和子と話す場面があることで亜沙実の人間らしさが感じられた。
亜沙実のような女ってどの小説でも語り手ではなく周りから見て語られることが多いから、こういう女目線の物語あったら読みたいなあ。
感想冒頭のセリフは、主人公佐和子がセフレ相手への恋心を客観視して出てきた言葉だけど、子供の「恋に恋する」感覚とはまた違う、それよりももっとやっかいな大人の恋愛を赤裸々に表しているなあと。
自分もそういう経験あるし、世の中の浮気や不倫に溺れている人たちは結局これなんじゃないかと思う。
兄の立場は辛いなあ…。自分の存在が妹にとって悪であると思いながら、でも妹の幸せな姿がみたい、妹を幸せにしなければならない(幸せ=兄の理想の形だけど)と思い続けて、、それは一種の贖罪なのかもしれないな、妹を救えなかったばかりか一緒に暴力を受けてしまった自分への。
個人的に印象に残ったのは、冬子が生きていた間は佐和子も見ないようにしていた彼女の持ち物を、亡くなったあとはとくに躊躇いもなく、雄一郎と文彦と見ていた場面。
現実でも相手が生きている間は見ないようにしている棚やカバンの中身も、亡くなった瞬間見てもいいもの(整理したり片付けたり)になるから、当たり前のことなんだけど改めて不思議だなあって。
最近生と死に関する本読んて意識しすぎなだけ説あるけど笑
あと細かいことすぎるけど、女子高生めっちゃ気軽にタクシー使うのね!?ほんで服部が生理のこと「毎月の病気」って言うの、そういう男が持ってそうな感覚すぎて逆に笑っちゃった。
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「そんな妄想を抱いてしまうほど、なぜ肉体のことにはいつも罪の意識が絡むのか」
「あの子たちは多面体」
「清純さこそが最も猥褻なのではないか」
「目を閉じたときの冬子が一番美しかった。だからこの子は自分の最も美しい顔を見ることができない」
「胸に充ちているのは、口では言えない何かだった。それでも必死で言葉を捜した。ひとかけらでも本当のことを言いたかった」
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Posted by ブクログ
ネタバレ私は何を読まされてるんだ…?て気持ちになる薄気味悪く官能的な短編集。結構好きだった!全部狂気を孕んでてじっとり怖い。作者は男性が嫌いなのかしら。キモい男がいっぱい出てくる。
↓特に好きな話、印象に残った話
「林檎曼荼羅」
呆けたおばあちゃんの懐かしくも心温まる思い出話なのかと思いきや衝撃的な過去…風呂場のシーン怖すぎるて!
「テンガロンハット」
イケメンでも得体の知れない人って怖い。
「普通じゃない」
苦手な人をふいに殺そうと思う主人公(えぇ…)。最後その場にいた人たちには超ホラーなのに読者はクスッと笑える展開に。
「エトワール」
前に一回別のアンソロジーに収録されてて読んでたはずなのに、詳細を忘れてて二度目の驚き、戦慄。恋敵はイマジナリー奥さん…こわっ気持ち悪〜 -
Posted by ブクログ
ネタバレ陣治がずっと優しくて、陣治に対して十和子がひどく罵る場面は胸が痛かった。
けど、十和子にとって陣治は大切な人であったのだと十和子の少しの行動からわかっていた。
最初謎がわかるまで十和子目線でしか描かれていないので、陣治が黒崎を殺しの犯人でないことをすごく祈った。でも、反面陣治が良い人であればあるほど辛いので陣治が犯人であることもバランスがとれていいかもしれないと思っていたが、結局陣治は十和子をとても愛していて、十和子のためにすべてを捧げていたんだとわかり、またとても悲しくなった。
陣治の人生や、陣治のことを考えるとやりきれない気持ちになった。 -
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取り返しがつかないほど恐ろしいことが、身の回りで起こってしまったら。
そしてそれが自分の過失によるものではなく、原因も分からないままにただ立ち尽くすことしかできないとしたら。
後悔する理由も見当たらず、眠れない夜に何度も寝返りを打ちながら思うかもしれない。あのときの報いを今、こういう形で受けているのではないだろうかと。
高校生の息子が突然姿を消してしまう。すぐ近くのゴミ捨て場に行った息子は、寒い夜に軽装で、サンダルで、財布も持たずにいなくなってしまった。
文彦の母である佐知子の胸にまず最初に訪れたのは、信じられないという気持ちだ。何がなんだかよく分からない。それから不安。追いかけるように焦りがやってきて、やがて諦めと絶望に飲み込まれてしまう。
文彦は自らの意思でいなくなったのだろうか。でもそれだったら、もっとちがうタイミングでもいいような気がする。誰かに拉致されたのか。誘拐なら犯人からなんらかの接触があるはずだ。怨恨によるものだったら、もしかしたらもう文彦は。。。
佐知子の気持ちが痛いほど伝わってくる。食事のシーンや雨のシーンなどに絡めた表現力が見事だと思った。近所に住んでいる服部という男の存在も、善い人なのかそうでないのか、どっちつかずで引っ張り続けるところも上手いなと思った。
ホラーだとは知らずに読み始め、読み終わった今でもこれはホラーなのだろうかと迷っている。できれば詳しいあらすじなどは読まずに、佐知子の身に起こることを驚きと共に読んだほうがいい。
佐知子の別れた夫の雄一郎、雄一郎が再婚した亜沙実、亜沙実の娘の冬子、それ以外にも様々な人間が徐々に姿を見せ始め、やがて思いもよらない真実に辿り着く。途中、不快になる描写もあったが、わたしはとてもこの本に満足している。
『九月が永遠に続けば』とは、なんて悲しい願いなんだろう。
自分の幸せを望めば、誰かが不幸になってしまう。
ずっとこのままでいたいと思えば、大切な人が壊れてしまう。
だけど救いのあるラスト(それは僅かなのだけど)だとわたしは理解し、それに少しほっとしたのだ。 -
Posted by ブクログ
猫が出てくるけど、猫好きじゃない人に 文章がじっとりと鋭く若干エグい描写がたまにあるものの、その対象、その時の感情を文字にするとそうなるのかも、とも思う。故に目を背けたくなる衝動も起きなくはないが、実際に起こっていないのにこう感じさせる言葉、とはいかにパワーがあるのかを知らされるし、だから読書は面白い。
ストーリーは一部辛辣に感じる箇所は人によりあるかもだが、決して全編暗いストーリーではなく、だいぶ落ち着いたトーンの中に暖かさも見え隠れするストーリー。可愛い一辺倒の猫の話しではなく、一匹の猫を軸にした人間ドラマ。一部の描写から、猫好きの人より、猫好きじゃない人の方が対象としてはいいかも。 -
Posted by ブクログ
ホラーサスペンスと言っても、純粋なホラーって感じやないな。
何か、じとっとした感じ…
それも、ずっと…
年末の最後にこれ読んで、良かったんか…っと少し後悔せんでもないけど^^;
初夢の中身がロクなもんしか思い浮かばない…
主人公のミハル、冷蔵庫の中で発見される。
一度、死の世界に行ったのか、特殊な力を備えてる。
あかんで!
一度、冥土にいったモノを呼び戻すなんて!
怖すぎる…
何か呼び戻すしても、もう普通の状態やない!
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、火神を生んだために病んで黄泉国に移った伊弉冉(いざなみ)尊を追っていく話を思い出す。
もう、黄泉の人の姿は!
ぎゃー!!
まぁ、この話自体は、お坊さんも出てくるし、阿弥陀さんやし、仏教なんやけど。
良いお年を!笑。 -
Posted by ブクログ
詩的で、かつ描写は鋭く、
嫌悪感から始まり、どんどんと引き込まれて行って、
最終的にたくさんの優しさを感じた。
歪んだ感情、重苦しい描写の闇や影、、、生と死の隔たりの少なさを感じる。
さすが沼田まほかるさんの傑作と呼ばれるだけあるなぁとおもいました。
描き方が強烈で、グサグサと心に突き刺さる、
きれいなものだけじゃない、残酷で汚らわしく汚い面もちゃんと描かれてる。
人間とはこういうものだなと叩きつけられる小説。
読み終わると何故か爽やかな気持ちになる不思議な小説。
小説でこんなに泣いたの初めてくらいめちゃめちゃ泣きました笑
泣きたい人、猫好きな人はぜひ