あらすじ
高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか――。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。
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Posted by ブクログ
この方、これがデビュー作なんでしょうか。
なんというか…ものすごいパワーをかんじます。
登場人物、それぞれの考え方、かなり難ありに思えますが、なにかとんでもない世界に踏み込んでしまったような気がします。
みんな勝手…、メインキャラ?と思ってた人たちも、次々に死んでしまうし。
なにかに取り憑かれたようなストーリー展開。
ある意味、凄まじいです。
新潮文庫、495ページ。
Posted by ブクログ
続きがめちゃくちゃ気になった
なんで?誰が?なぜ?が全部最後にわかるから自分的にはスッキリした
けど幸せな気持ちにはならなかったな。なんとも言えない
Posted by ブクログ
著者の沼田まほかるさんの作品を読むのは2作品目。前回読んだユリゴコロも素晴らしいと思ったが、こちらは自分の感覚的にはもっと深いというか、怖い、気味が悪いなどの感覚を超越していて、読んでいる間終始緊張感で身体が強張る感じがあった。
本書のストーリーや結末は読み手によって様々な捉え方があると思うが、それは置いておいてまずもって著者の文章力に圧倒され続けた。日本語ってこんな繊細な表現方法があるんだと思わず感嘆してしまう言葉回し、才能の塊すぎる…!
著者のWikipediaを見ると、僧侶の経歴があるとのことでなんだか納得。著者の人生観、思考が表れているからこその表現力なのかなと。
“泡沫”“刹那的”“儚さ”というような言葉をふわふわ連想させるような、達観的な感覚を終始味わった。なんとも不思議。
うまく言えないけど、自分の中で強く印象に残る大切な作品となった。
Posted by ブクログ
沼田さん作品は『ユリゴコロ』でハマり、『アミダサマ』、『彼女がその名を知らない鳥たち』に続き、4作目。
相変わらず、じっとり、ねっとり、だが不思議とクセになる描写。ここは好き嫌い分かれると思うが、今のところ副作用なし。
ただ、普通のなんてことないシーンですらそう感じてしまうから、中毒にはなってる模様。
今まで読んだ沼田さん作品を思い返しても、愛情や繋がりがテーマになってるのが多く、そろそろ沼田さんわかってきた感が出てきた。
このワールド、共感者少ないんじゃね?
さて、「相変わらず…」というフレーズで始めたものの、これがデビュー作らしいのです。衝撃だわ。
デビューからすでに出来上がっていたんかね。
こういう描写や内容って、根っこからそういう感性を持ってないと書けないと思うのよ。
まともに受け止めたら病む気がするし、達観してるというか、地に足がついてるというか…。
本なんて書いたことないから知らんけど。
沼田さんでググってみたら、僧侶になったこともあるらしい。
そして56歳で作家デビュー。
そんな経験があってこその作品と考えると、逆に納得した。
本作を表現すると『渇望』って感じかな。希望ではなく渇望の方がしっくりくる。
『彼女がその名を〜〜』の感じも良かったが、本作も違った感じの読後感の悪さがとても良かった。
精神的に余裕がある人はぜひ読んでみてください。
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
イヤミスというと湊かなえさんが定番になってきてるけど、俺の中では桐野夏生さんと沼田まほかるさんの方が嫌悪感強いと思う。
多分、強すぎて一般層をターゲットにマーケティングできないのかも…
Posted by ブクログ
亜沙美の美しさと気持ち悪さに惹かれてしまう。
正しさとは違う次元にある生々しさと矛盾に満ちた人間の欲。
ありのままの弱さを見せつけられた時、人は自分が必要とされているという快感に溺れてしまうのか。
Posted by ブクログ
始まりは何の変哲もない年下男を巡る愛憎劇かと思いきや、息子失踪から始まる、ドミノ倒しを見ているような、とんでもないすごい話だ。
散りばめられた伏線から次々に登場人物怪しく思えるけど、精神疾患扱う話はどうにもこう、後味悪く…。
でも、不思議と悲観的にならないのはひとえに服部のおかげかと。キモウザオヤジと見せかけて、だんだんチャーミングなキモカワオヤジに見えてくる不思議。
最後、もう一堕ちするかとヒヤヒヤしたけど、悲劇的結末に終わらず、少し光が見えてよかった。
Posted by ブクログ
生まれ持った人を狂わせる美貌…故に自らも不幸な人生を辿り、関わる人間を狂わせていく。彼女の不幸には目を背けたくなりますが、それでも人を惹きつける魅力に神秘的な何かを感じ…事件よりそっちの方が印象的でした。辛く切なくでも好きです。
Posted by ブクログ
「女は、あるいは男も、ある年齢になると、醒めた目で相手の実像を見つめながら恋に溺れるということが可能になるらしい」
沼田まほかるさんの小説に出てくる女は、インモラルで変わり者ばっか。
と思ってるけど、実際は人間の汚い内心が包み隠さず書かれているせいで、すごく感傷的で意地汚い人間たちに見えるだけで、自分にも共通する部分があるから目を逸らしているだけなのか。
情景や感情描写が丁寧でリアルだからか、なぜかミステリー要素は薄いだろうと思いながら読んでいて、終わりにかけて1転2転する展開にびっくり!ミスリードも上手いし、伏線回収も確実でわかりやすく、総じてすごく読み応えがあった。
このあと文彦と亜沙実はどうなるんだろう…。なんとなくだけど、文彦は1人立ちするまで亜沙実に会いに行ったり連れ去ろうとしたりして、何度か今回みたいに失踪しそうな気がするなぁ。
その度に佐和子はまた亜沙実を恨むだろうけど、もう雄一郎への執着は無さそうだし、文彦が1人立ちしてしまったらようやく自分の人生を生きられるような気もする。
文彦が激しい暴力的なエロ本を持っていたのは、父と亜沙実の性行為の話を聞いて、自分にも父と同じように亜沙実を犯したいという感情が出てくるのを予想したからかな、、亜沙実にそういう感情を持つ描写はなかったけど。
「どんな性的欲求であろうと、あくまで他人に危害を与えず心に収めておく分には許されるはずだ」という越智の発言と、亜沙実が実際に受けた性暴力の描写の対比が、、、見る者の性的欲求をむしろ溢れさせてしまう亜沙実の肉体が、より得体の知れないもののように感じた。
文彦も結局亜沙実に絡め取られてしまったのかな…。文彦が純愛だと唄う二人の関係が、けして明るくはないことは確実だと思った。
本作では最後亜沙実が会話をする場面があったところがよかった。だいたいこういう女の人って''男を虜にしてしまう恐ろしい女''として終わることが多いから、文彦や佐和子と話す場面があることで亜沙実の人間らしさが感じられた。
亜沙実のような女ってどの小説でも語り手ではなく周りから見て語られることが多いから、こういう女目線の物語あったら読みたいなあ。
感想冒頭のセリフは、主人公佐和子がセフレ相手への恋心を客観視して出てきた言葉だけど、子供の「恋に恋する」感覚とはまた違う、それよりももっとやっかいな大人の恋愛を赤裸々に表しているなあと。
自分もそういう経験あるし、世の中の浮気や不倫に溺れている人たちは結局これなんじゃないかと思う。
兄の立場は辛いなあ…。自分の存在が妹にとって悪であると思いながら、でも妹の幸せな姿がみたい、妹を幸せにしなければならない(幸せ=兄の理想の形だけど)と思い続けて、、それは一種の贖罪なのかもしれないな、妹を救えなかったばかりか一緒に暴力を受けてしまった自分への。
個人的に印象に残ったのは、冬子が生きていた間は佐和子も見ないようにしていた彼女の持ち物を、亡くなったあとはとくに躊躇いもなく、雄一郎と文彦と見ていた場面。
現実でも相手が生きている間は見ないようにしている棚やカバンの中身も、亡くなった瞬間見てもいいもの(整理したり片付けたり)になるから、当たり前のことなんだけど改めて不思議だなあって。
最近生と死に関する本読んて意識しすぎなだけ説あるけど笑
あと細かいことすぎるけど、女子高生めっちゃ気軽にタクシー使うのね!?ほんで服部が生理のこと「毎月の病気」って言うの、そういう男が持ってそうな感覚すぎて逆に笑っちゃった。
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「そんな妄想を抱いてしまうほど、なぜ肉体のことにはいつも罪の意識が絡むのか」
「あの子たちは多面体」
「清純さこそが最も猥褻なのではないか」
「目を閉じたときの冬子が一番美しかった。だからこの子は自分の最も美しい顔を見ることができない」
「胸に充ちているのは、口では言えない何かだった。それでも必死で言葉を捜した。ひとかけらでも本当のことを言いたかった」
Posted by ブクログ
濃密で、何か混沌とした暗さを持った小説ですね。
それでも、先を読まずには居られませんでした。
最後の、服部さんに対して見せた佐知子の仕草は何だったのかな?
Posted by ブクログ
取り返しがつかないほど恐ろしいことが、身の回りで起こってしまったら。
そしてそれが自分の過失によるものではなく、原因も分からないままにただ立ち尽くすことしかできないとしたら。
後悔する理由も見当たらず、眠れない夜に何度も寝返りを打ちながら思うかもしれない。あのときの報いを今、こういう形で受けているのではないだろうかと。
高校生の息子が突然姿を消してしまう。すぐ近くのゴミ捨て場に行った息子は、寒い夜に軽装で、サンダルで、財布も持たずにいなくなってしまった。
文彦の母である佐知子の胸にまず最初に訪れたのは、信じられないという気持ちだ。何がなんだかよく分からない。それから不安。追いかけるように焦りがやってきて、やがて諦めと絶望に飲み込まれてしまう。
文彦は自らの意思でいなくなったのだろうか。でもそれだったら、もっとちがうタイミングでもいいような気がする。誰かに拉致されたのか。誘拐なら犯人からなんらかの接触があるはずだ。怨恨によるものだったら、もしかしたらもう文彦は。。。
佐知子の気持ちが痛いほど伝わってくる。食事のシーンや雨のシーンなどに絡めた表現力が見事だと思った。近所に住んでいる服部という男の存在も、善い人なのかそうでないのか、どっちつかずで引っ張り続けるところも上手いなと思った。
ホラーだとは知らずに読み始め、読み終わった今でもこれはホラーなのだろうかと迷っている。できれば詳しいあらすじなどは読まずに、佐知子の身に起こることを驚きと共に読んだほうがいい。
佐知子の別れた夫の雄一郎、雄一郎が再婚した亜沙実、亜沙実の娘の冬子、それ以外にも様々な人間が徐々に姿を見せ始め、やがて思いもよらない真実に辿り着く。途中、不快になる描写もあったが、わたしはとてもこの本に満足している。
『九月が永遠に続けば』とは、なんて悲しい願いなんだろう。
自分の幸せを望めば、誰かが不幸になってしまう。
ずっとこのままでいたいと思えば、大切な人が壊れてしまう。
だけど救いのあるラスト(それは僅かなのだけど)だとわたしは理解し、それに少しほっとしたのだ。
Posted by ブクログ
デビュー作と知って驚いた。
生々しくてグロテスク、心情表現が細かくて秀逸で、読者の周りにドロドロした感情と情景が絡みつく感じ。
ドグラ・マグラのような息苦しさと中毒性。
Posted by ブクログ
息子の失踪から始まり…とあるが、まぁ、これだけでは警察は動いてくれんか…
しかし、徐々に色々分かってくる。
息子と父親、更にその娘、更に娘の男友達などなど…更に更に、色々絡み合って複雑怪奇〜
まぁ、要はドロドロって感じやな。
そんな、身内ばっかりで、色んな関係あると、もう麻痺してしまいそう…
死に関しては、またまた、どんでん返し的な…
タイトル通り、時が止まって欲しそうな気になる。
もう起こった事は、仕方ないから、前向いて行こう!レベルではないし…
この人ら、これから普通の生活はムリ!
謎は解かれても、しんど〜っ感じ。
先が気になって、一気読んだから、面白いんやろうけど、あと味は…
しかし、こんな中にあって、関西弁のおっちゃんは異色!でも、関西人は何も考えんと軽るっ!と思わせるのは、ちと失礼では?と憤慨しながら、作者の出身地見ると大阪府…この話の中の唯一の清涼飲料水的な役割なの?
確かに、最後、救われてそうな感じやけど、でも、何か、ちょっと、作者の親近感かもしれんけど、何か嫌や。
Posted by ブクログ
ホラー映画を見ているみたいな雰囲気でどんどん話が進んでいく。
服部さんが、この小説で一番人間味があるように感じた。
鬱陶しくもありがたい存在。
Posted by ブクログ
様々な事情が絡まり合って展開される物語が面白かった。
★印象的なフレーズ
「君は顔やスタイルにばかり過敏で、自分のほんとうの醜さにはまったく気付いていないらしいな。ガリガリで、みっともなくて、惨めったらしいのは、君の精神だ。その精神のせいで、君の目はいつも不安そうにおどおどしているんだし、君の頬っぺたはそんなにカサカサして若々しい艶がないんだ。」
Posted by ブクログ
多感な年頃の息子に年下の恋人との逢瀬を目撃されて、息子が突発的に失踪する
そして手を尽くして探す、というお話かと思いきや。
別れた元夫の新しい妻、その連れ子、担任、
謎めいた登場人物。
そしてお節介が過ぎる同級生の父親。
どうなってどうなるの?と読み進める。
結果、これからどうするの?と言う終わり方。
なかなか現実的には起こらないだろうシュチュエーション。
登場人物の全てが何かしらの思いを残しながら
昨日とは違う今日になるなかで、
いちばんピュアだっただろうナズナが
二度と「少女である楽園」に戻れない
という一節が印象に残る
Posted by ブクログ
二度は読まないが、作者の他の作品はきっとこれから読んでしまう。
直接的な表現や性の残虐性というものが苦手なので気が狂うかと思ったが、先を読みたくなったのはストーリーや文章力の勝ち。
えげつない描写は本当にきついが、なぜか下品さは感じられなかった。
初めは異常で鬱陶しかった服部が、作中で1番まともであたたかい存在に思えるとは…
亜沙美を「魔性の女」と表現するのはしっくりこない。彼女は意識的に主導権を握りながら誘惑したりはしないだろう。
彼女はただ美しく妖艶だったのではなく、人の加虐性を煽るような何かを持ってしまっていた。そしてトラウマを乗り越えるための反動か、加虐を受け入れてしまう心と身体を持っている。
彼女に魅了されたといえば聞こえはいいが、私には本能的な性欲と支配欲による彼女への侮辱に思えた。侮辱の主は、加害者であり雄一郎であり佐和子であり、亜沙美自身だろう。
文彦は狂わされ始めてはいるものの、成熟手前であることや知っていることの少なさから、まだ清く汚れを知らない印象を受けた。
そして歪んだ汚さを持たない、本当は亜沙美がそうあれたはずの姿が冬子といったところか。
冬子が処女である、亜沙美から亜沙美を取り出したような、といった表現からそう感じた。本来の清純な亜沙美は冬子であり、その冬子がいなくなれば亜沙美もいなくなる。それが分かるラストだった。
また、カンザキミチコは人の欲求を掻き立てる容姿を"もたない"者として、亜沙美や冬子とは対照的に描かれているように感じた。惹かれていない者の狂気に対して、人はあんなにも冷酷になれる。
にしても、ユリゴコロの時にも思ったが、精神に異常をきたしている人間の描写が生々しすぎて作者の思考や精神が気になってしまう。
Posted by ブクログ
沼田まほかる作品は「アミダサマ」「ユリゴコロ」「猫鳴り」に続いて4作目。
本作はホラー的要素は薄いものの、ファンタジー感というかフィクション感が低く、人間的ドロドロがリアルで、身の回りにいくらでも転がってそうな、そういう意味での怖さがあった。
驚くべきは、この作品が沼田先生56歳のデビュー作だということだ。
恋心が自らを蝕んでいく(恋に恋しているようなバカではなく、自制的にも見える文彦でさえ!)思春期の苦しみや、愛と救いと赦しと肉欲と支配欲の渾然一体となった理性と本能のせめぎ合いや、そんなテーマを50代で描く、そのこと自体が良い意味で普通じゃない。
登場する大人たちは、全員が全員、真っ白ではない。グレーというか、黒い部分を持っている。
その中で白さの際立つ冬子が死ぬ。
人は黒さを抱えることができなければ、生きていけないのか。
それにしても、若さって。
青春って、こんなに危うかったっけ。
こんな崖っぷちを、僕らはみんな渡ってきたんだっけ。
Posted by ブクログ
亜沙実と雄一郎を中心とした複雑怪奇な物語だった。亜沙実に起こったことは胸糞悪く、心が強く痛む。文彦の失踪は、読み終わってみれば必然だったのかな、と。父親が必要な時期に、その父親は母親ではない人と一緒になり、、、と。佐知子も文彦も、相手のその先に父親を見ていたかったのかな、と思いました。
Posted by ブクログ
沼田まほかる氏の作品というと、ねっとりとして、人間のいやーな部分をじっくり描くという印象があります。そういう意味ではイヤミスですかね。というかミステリーなのかな?
でも、本作は高校生の息子の失踪とその原因というものがミステリー要素だったのでイヤミスかも。
ちなみに沼田氏は本作がデビュー作(2004)で、第五回ホラー・サスペンス大賞受賞。当時56歳というから、すごいですね。
・・・
で本作。
感想を述べるのはなかなか難しい。
ただ、これだけ複雑に絡み合う登場人物とその背景を少しずつ明らかにするにあたって、そこに混乱が全くなく、自然に内容が頭に入ってくるところは凄いと思います。
主人公佐知子の情事で始まる本作ですが、その相手の犀田、そして佐知子の息子の文彦。佐知子の別れた夫の雄一郎、その現妻の亜沙美、その子どもの冬子。さらに文彦の友人のナズナやカンザキミチコ、ナズナの父の服部、文彦の担任の越智。加えて雄一郎の病院の事務長の大迫や亜沙美の兄の弓男。
登場人物はこれだけに留まりませんが、こうした人物たちを中心に、彼らの過去が少しずつ明らかになり、彼らの隠された関係がはっきりしてきて、物語は進展してゆきます。
・・・
もう一つ感じたのは、表現や文章の滑らかさ。
これまた感覚なのですが、どの作者も良く言えば「くせ」や「特徴」、なんというか一種の「ささくれ」みたいなものがあり、一読者として読んでいて「?」となる文章や表現が一冊に数か所あると感じます。
ところが沼田氏の本作は、そういった引っかかりがなく、なんというか「ツルツル」と読めてしまった感じがします。
際どい性的な描写が大いにも関わらず、大袈裟でもなく、劇的でもなく、しっとりとツルンと読めてしまった感じです。
・・・
ということで久しぶりの沼田作品を鑑賞しました。
表現力が無くて、はからずもネタバレなしの感想になりました。
しかしまあ、なんというか、性・業の深さを見事に描きますね。かつてはやや露悪的なところが鼻をつく印象でしたが、今は結構好きかも、です。
ドロドロな感じが平気な方にはおすすめ出来ますね。
Posted by ブクログ
ミステリーかと思ったらグチャグチャな愛?の物語って感じだった。
文彦がいなくなって佐知子が絶望したり希望を抱いたりして探す姿は状況は違うけど、今の自分と重なる部分があって読んでて辛かったー
服部のおじさんがいい人過ぎてこの人と結婚すればいいのにと思った。
Posted by ブクログ
なんとなく冒頭から暗さがあり、そこから息子が行方不明…など、読んでいて消耗する感じがして辛かったですが、謎は興味深くてミステリーとしてはしっかり作り込まれていて良かったです。服部さんのキャラは面白かったです。
Posted by ブクログ
お下がり本
性的な描写が前半多くて苦手かも、、と思った
子供がいなくなる恐怖は計り知れない
うちの子供も小学一年生の時に帰ってこなくて、学校に電話して、「もう帰りましたよ」と言われた時の絶望感を思い出しました
もちろん無事に帰ってきましたが、私は号泣
どこに行ったの、、、と不安でいっぱいの時間は永遠に続くのかと思うくらい長く感じた
もう二度とあんな思いはごめんです
なので、ゴミ出しを日に行って、ずっと帰ってこない子供を待つ親の気持ちが読んでいて辛かった
人物描写が細かくてイメージは湧きやすかったです
Posted by ブクログ
サスペンスホラーと言うことで、怖いのが苦手な私はちょっと構えて読んでたんですが、幽霊系ではなくてほっとしました(笑)面白かったです。まぁ、ちょっと異常な登場人物が多いだけに読んでて気持ちのいい内容ではなかったし、もう1度読もうって気にはならないけど。ページを捲る手が止まらなかったのは久しぶり。息子の失踪に愛人の死…。緊張感漂う世界の中で、時々出てくる服部のおじさんが私の中で唯一の救いでした。なので終わり方がすごく好きです。
Posted by ブクログ
まさかこの本、不倫のお話?と思いきや、息子が行方不明になるわ元夫の奥さんの過去の話しとその娘の現状、その彼氏といろいろなことが次から次へと気になることばかりが出てきて一気に読めた作品でした。
途中嫌な描写もあったので気持ち悪いのと怖いのもありました。
最後が少し分からない感じで終わったので私的にうぅ〜んって感じでした(^_^;)
Posted by ブクログ
ドロドロした内容で
描写がリアルでグロくて読むのに時間がかかった
事件の真相、ことの成り行きを知ってしまった登場人物全員に
昔のような日常は戻らない
これからそれぞれはどうやって生きていくんやろう
イヤミスやった
Posted by ブクログ
沼田まほかるさんのデビュー作!?
いやー、まほかるってますねー笑
鬱々とした内容なので、読むのに時間がかかったよ。
主人公の佐知子は、高校生の息子(文彦)がいる。
その息子が夜のごみ捨てに出掛けてから、
そのままいなくなってしまう。
サンダルで、財布も携帯もないのにいなくなる。
それと同時に、自動車教習で出会った犀田(さいだ)。
この犀田と佐知子は恋人?関係だったけど、
その犀田が電車にひかれて、死んでしまう。
事故なのか、自殺なのか、殺人なのか…。
息子が犀田の事件に関わっているのではないか?
と疑いつつ、息子の無事を祈りながら、
息子をを探すためにいろいろな人に声をかけていく。
離婚した元旦那で精神科医の雄一郎。
雄一郎の後妻である、病んでる亜沙実。
亜沙実の娘である高校生の冬子。
犀田とルームシェアしてた音山。
いろいろな人が出てきて、それぞれに話を聞く。
高校生とはいえ、五日もいなくなったら、
母ちゃんは心配しちゃうよねー。
なんか、早く文彦くん見つかってー!!と思いながら
鬱々とした話を読んだよー。
まぁー、スッキリする話ではないねー笑
Posted by ブクログ
高校生の一人息子文彦が、ゴミ捨て場にゴミを捨てに行ってそのまま失踪した。
特に変わったところはなかったのになぜ?
それから佐知子の周りに次々不幸が起こる。
恋人の犀田の事故死、別れた夫雄一郎の娘、冬子の自殺…
文彦の失踪にそれらも関係していた
その背後には、雄一郎の再婚相手、亜沙実の過去が…
…とにかく暗いし、複雑。
こんな文章を書く人の正体は?
こんなストーリーを文章にする人物は、どんな人間かなと・・・興味を持ちました。
結論的に、沼田まほかるさんの煩悩が、「九月が永遠に続けば」のストーリーでの、【カンザキ ナオミ】自身と理解するば・・・
すべてが認識出来ました。
Posted by ブクログ
面白くどんどん読み進められるんだけど、何しろ人間関係が入り組んでいて、レイプの後遺症が激しすぎて、読み終わった後、何も残ってない、という感じだった。