【感想・ネタバレ】九月が永遠に続けばのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年01月27日

始まりは何の変哲もない年下男を巡る愛憎劇かと思いきや、息子失踪から始まる、ドミノ倒しを見ているような、とんでもないすごい話だ。
散りばめられた伏線から次々に登場人物怪しく思えるけど、精神疾患扱う話はどうにもこう、後味悪く…。
でも、不思議と悲観的にならないのはひとえに服部のおかげかと。キモウザオヤジ...続きを読むと見せかけて、だんだんチャーミングなキモカワオヤジに見えてくる不思議。
最後、もう一堕ちするかとヒヤヒヤしたけど、悲劇的結末に終わらず、少し光が見えてよかった。

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Posted by ブクログ 2022年12月04日

多感な年頃の息子に年下の恋人との逢瀬を目撃されて、息子が突発的に失踪する
そして手を尽くして探す、というお話かと思いきや。
別れた元夫の新しい妻、その連れ子、担任、
謎めいた登場人物。
そしてお節介が過ぎる同級生の父親。
どうなってどうなるの?と読み進める。
結果、これからどうするの?と言う終わり方...続きを読む
なかなか現実的には起こらないだろうシュチュエーション。
登場人物の全てが何かしらの思いを残しながら
昨日とは違う今日になるなかで、
いちばんピュアだっただろうナズナが
二度と「少女である楽園」に戻れない
という一節が印象に残る

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Posted by ブクログ 2021年10月06日

読んでいて自然と鳥肌が立つ、どこか不気味で背筋がゾワゾワする作品でした。

本作のざっとしたあらすじは、主人公(佐和子)の息子(文彦)が突然いなくなってしまい、息子を探すために奮闘するというものです。

息子を探すために色々な人達と話し、様々な事実や出来事を知っていくのですが、知れば知るほど物語のグ...続きを読むロテスクさや生々しさがハッキリしてきて、「これ以上読みたいくない」という気持ちと「読んで物語の真実を知りたい」という少し矛盾した2つの気持ちが大きくなります。そしてそう思ったときには物語の罠にハマっていて、読む手が止められなくなっています。
「なんとなくジグソーパズルを作っていたら想像以上に気持ち悪い絵で途中でやめたくなるけど、結局完成するまでやめられない」といった感じです。

また、本作は登場人物全員がものすごく濃厚に繊細に生々しく描かれています。
物語を読み進めていく上で、登場人物の最初の印象と読後の印象が全く違うものになっており、自然と起こるその変化も楽しむことが出来ました。

あまりに完成度が高い作品だったので、本作が沼田まほかるさんのデビュー作と聞いて、とても驚きました。

イヤミスが好きな方や、どこか暗い話が読みたい方に是非ともおすすめしたい作品です。

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Posted by ブクログ 2020年10月18日

人が人を狂わせる。
「狂う」って単純な言葉じゃない。
まるで目の前に見えてた道からは想像できない方向へ蹴飛ばされるように人生が転がっていってしまう。
二度ものレイプで精神が崩壊しきった亜沙実、
主治医としても夫としても支えようとした雄一郎、
亜沙実の魅力に抗えなかった文彦、
父母に裏切られ、兄に恋を...続きを読むしてしまった冬子、
その誰もが共感を求めず激しく振れた状態だけど、それを想像しえたのが凄い。

以前は渦の中にいたはずなのに亜沙実の出現で蚊帳の外に置かれた佐知子。唯一の均衡を保ってくれていた文彦をも奪われたとなると、母としてだけではなく人間としても足場がぐらつくよ。そりゃ。

平穏な日常は取り繕わなければ成り立たないのかもしれない。
闇は抱えるのではなく、気づいたらその中にいる。
建前、衝動、境遇。
運命には抗えようもないことは分かっているけど。
苦しさも切なさも抗えないのだと。

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Posted by ブクログ 2021年11月07日

なんだろ、、期待値が大きすぎたか、、、
描写がうますぎてどんどん引き込まれていった。読んだ時から時間が経ったからちょっと忘れちゃった。

あ、思い出した。息子が妹の母親(ややこしいけど見れば意味がわかる)が好きとかなんか気持ち悪いなと思って最後はドン引きしながら読んでた。なんか冬子可哀想。精神病院で...続きを読むの狂気の描写が凄すぎてこれを読めただけでも読んだ甲斐はあった気がする。

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Posted by ブクログ 2020年05月01日

沼田まほかるさんの圧倒的な筆致で表現される精神崩壊した痛々しさ。ここまで生理的に拒絶させるまで想像喚起するこの表現力は、本当に敬服いたしまする。不快感には違いないんだけど。

ここで終わることなく、日常と非日常の目を逸らしていた境界線があるきっかけで崩壊していく。この物語の最後には、冒頭と同じような...続きを読む生活が戻ってきているけどもう心ではその平穏を表面的に享受できないほど、脆くボロボロになっている。そこまで大きな事件は起こらないにもかかわらず、ハラハラが止まらない物語性を持続されてる、読みに飽きがこないのは素晴らしい。

ちょっと気になったこと。越智先生の暗い過去を匂わす話があるところで、これは文彦となんらかの関係があるなと予想したんだけど、結局いい人のまんまで終わっちゃった。これってなんかすっきりしない読後感。後は個人的な印象だけど、服部のあけすけな態度はどこかで豹変して悪に変貌して欲しいなとちょっと期待していたけど、最終的に単純に善良な人で書き切られているのでちょっと物足りない。どこか救いが残されるのが、沼田作品の魅力の一つなのだろう。ふふ。

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