島田裕巳のレビュー一覧
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ネタバレ天理教と大本教が気になり読んだ。コンパクトに分かりやすくまとめられている。
大本教に関しては、王仁三郎の孫出口和明の手になる小説『大地の母』(全12巻)を読んだあと「大本のことだけは研究すまい」「大本にかんしての研究は不可能だ」と思ったって書いている。
『大地の母』は、ざっくり言えば事実に基づく「神話的なドラマであり、初代教祖である出口なおと王仁三郎の神憑りであり、二人に降った神同士の対立と抗争の話である」らしい(事実に基づく…?)。めちゃくちゃ気になるが、全12巻にわたる実録神々のケンカ話かぁ…。いや、でも『霊界物語』全81巻に比べたらまだ可愛いもんか。 -
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島田裕巳氏は、1953年東京都生まれの宗教学者・作家。東大文学部宗教学宗教史学専修課程卒、同大学院人文科学研究科修士課程修了、同博士課程満期退学。柳川啓一氏に師事し、通過儀礼の視点から宗教現象を研究。ヤマギシ会への参加経験を通じて宗教の実践と理想を体験的に探究した。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東大先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。ベストセラーとなった『葬式は、要らない』ほか、宗教史から現代宗教、死生観まで多岐にわたる一般向け著書多数。
本書は、世界の歴史の中で、帝国と宗教がお互いに利用し、利用されてきたさまを考察したもので、2023年に出版された。
概要及び(私にとっての)気付きを挙げると以下である。
◆帝国とは、複数の国家を同時に支配する状態の国を指し、通常、その中には多様な民族と宗教が混じり合っている。よって、一般的には、帝国はその領土拡大と経済発展のために宗教を利用し、また宗教は新たな信者を獲得するために帝国を利用した。
◆ローマ帝国では、帝政以前に共和制が存在したことから、皇帝の位が世襲で受け継がれることがなく、故に、何らかの方法で自らの正統性を示す必要があった。ユダヤ教から生まれたキリスト教は、割礼に代わって洗礼を取り入れるなど、「法の宗教」から離脱を進め、多くの信者を生み出すようになった。そうした中、人間界を超越し、世界を創造した存在とされるキリスト教の神を信仰することが、帝国の安定的な支配につながると考えられた。
◆中国固有の国家観は「中華思想・華夷思想」にあり、「夷」を文明化することが自らの責務と考える。儒教は、宗教というよりも政治思想であり、為政者の交代を「易姓革命」で説明した。また、儒者はあくまでも学者であり、キリスト教の教会のような教団は組織しなかった。紀元1世紀頃に伝わった仏教は、大乗仏教に変貌しており、儒教よりも道教と対立したが、以後、儒教が為政者の政治道徳を示し、仏教が国家の鎮護を担う体制ができた。浄土信仰に基づく白蓮教による乱が元の滅亡に繋がり、キリスト教を基盤とした太平天国の乱が清の打倒に繋がったことは、現在の中国の宗教統制の背景にあるとも考えられる。
◆東洋と西洋の間にできた巨大な帝国として、イスラム帝国とモンゴル帝国があるが、前者がイスラム教と一体だったのに対し、後者は固有の宗教が存在しなかった。7世紀に登場したイスラム教は、聖職者が存在せず、また、イスラム法の定めは宗教から世俗にまで及ぶことから、聖・俗の分離が起こり得ない点で特殊。イスラム法を社会全体に適用させるためには、多神教徒は一掃するか改宗させるしかないと考える一方、帝国の支配において、自分たちの信仰を強制はしなかった。モンゴル帝国は、チンギス・ハーンが神の託宣を受けたという点で、はじまりは宗教的なものだったが、文字を持たず、(遊牧民であるため)礼拝施設も作らず、宗教が確立される基盤自体がなかった。
◆ローマ帝国の東西分裂後は、キリスト教会も西のカトリック教会と東の正教会に分裂した。西のローマ教皇は、カトリック教会の頂点として絶対的な宗教的権威を確立する一方、西ローマ帝国滅亡後、世俗の権力者との争いが絶えなかった。1000年続いた東ローマ帝国(ビザンツ帝国)では、正教会の総主教座は多数あり、皇帝が教会を政治目的で利用したのに対して、教会の側も譲歩する姿勢をとった。
◆現在のトルコを中心としたオスマン帝国、イランを中心としたティムール帝国、インドを中心としたムガル帝国は、いずれもスンニ派イスラム帝国だったが、ティムール帝国はすぐに衰退し、シーア派の十二イマーム派を国教とするサファヴィー朝ができた。結果、スンニ派帝国の間にシーア派王朝が存在する形となり、以後抗争を繰り返していくことになった。ムガル帝国では、イスラム教がヒンドゥー教に代わって支配的な宗教になることはなく、第二次大戦後のインド、パキスタン、バングラデシュの分離独立に繋がった。
◆大航海時代以降のヨーロッパの海の帝国は、初期のスペインとポルトガルが中南米にカトリック信仰を広め、後期のオランダや英国が北米にプロテスタント信仰を広めた。
現代の世界を動かしている力のひとつは、間違いなく宗教であるが、それを背景とした問題を解決することは容易ではないし、ほとんど不可能にすら見える。なぜなら、宗教とは、ほぼ理屈ではないからだ。しかし、一方で、この世界に複数の宗教が存在する以上、その宗教(信者)の間で少しでも歩み寄れなければ、今後も悲劇が繰り返されるだけなのだ。
私は、国際情勢には関心が高く、ゆえにこれまでも宗教に関する本を読んできたが、本書の、宗教と世俗の権力との歴史的な結び付きという視点は、面白く、頭の整理にもなった。特に、後段に出てくる、現在のシーア派のイランとスンニ派の国々の対立や、インドとパキスタンの対立にそのまま繋がる内容は、目から鱗で興味深かった。
宗教、国際情勢、いずれに関心がある向きにとっても、一読していい一冊と思う。
(2025年11月了) -
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こういう言い方はなんだが、思ったより面白かった。
神社は神所なので神職であったとしても人が住む場所ではない、という一方で寺はもともと中心としたのは仏舎利+それを納める仏塔でそこで修行する僧が集まるから居住空間というのはわかりやすい。
そもそも神社というか神道の社殿は存在せず、鳥居だけがあった、それ以前は鳥居すらなく自然環境のみや茅の輪を作る程度で重要なのは儀式というのは納得感がある。
あと新興宗教は現世利益がメインで、故人を弔うことは重視していないというのは言われてみればそうなのだろう。
日本人男性は50代から急に宗教を意識し始めるという話はちょっと面白かった。まぁ平均取っただけの単純なグラフなので実際統計的にどうなのかという疑問はあるが、まぁ実際そうかもなという納得力がある。
この本だけでは完結していない部分があり、詳細は別の書籍へと導入促すのが微妙に読みづらい。実際そうだとしてもそこはうまく書いてほしい。 -
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☆☆☆ 2025年4月 ☆☆☆
『資本主義の終焉と歴史の危機』などで知られる水野和夫氏と宗教学者である島田裕巳氏の対談。ゼロ金利というのは、これ以上の成長は見込めない成熟状態に入っていることの現れであり、辺境から富を収奪することで繫栄する資本主義は終焉の時を迎えつつある・・・これが水野氏の意見であるというのが僕の中での予備知識。
この本『世界経済史講義』では、資本主義の歴史が対談と言う形でわかりやすく読者に提示される。理解が難しいところは何となくで飛ばしながら読んでも良いと思う。以下に、僕が興味深いと感じた点をまとめる。
<以下、興味深い点(引用ではなく、僕の言葉でまとめたもの>
・人々は、来世の幸福を保証する神=宗教を追放し、貨幣教≒資本教に入信した。利子とは、今日より明日、明日より明後日が進歩し、良くなるということの現れであり、人々は来世の幸せよりも、現世での幸せを求めてこの宗教を信仰するようになった。
・資本主義とは、常に中心と周辺(辺境)があり、辺境から中心へ富を蒐集する仕組みである。かつては、ローマ帝国の辺境地であり、近代国家における植民地であり、南北問題に代表されるような途上国であった。現在、日本などの先進国では自国の労働者が周辺(辺境)であり、収奪の対象となっている。
・キリスト教にとって最大の敵はルターではなく、コペルニクスであった。ルターはあくまでキリスト教内部での意見の相違だが、コペルニクスの宇宙論はキリスト教世界を根底から覆すものであった。それは地球と言いう星を、土星や冥王星と同じ惑星の一つと位置付け、神が創造したはずの世界を相対化し、破壊する思想であったからだ。
・資本主義が成立するためには、まずは資本の蓄積が必要であるが、最初の資本はどうやって蓄積されたのか?その答えは強奪=暴力によって蓄積された。イギリスにおける海賊ドレークの例がわかりやすい。資本主義は暴力によって始まった、ということだ。 -
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最近読んだイスラム教関係の本の中では、一番分かりやすく「イスラム教とは何か」を説明している本だった。
イスラム共同体の思想の中には「良いな」と思える点はいくつもあるけれど、実際にイスラム教徒(がつくったイスラム共同体)とそれ以外が共存するとなったとき、果たして社会はうまく回るのかというのは私にはまだ分からない。
ただ、宗教が違えどお互いに信じたいものを信じて、お互いのことをリスペクトし合う社会が実現されればそれはとても素敵だと思う。
トルコ人の知り合いがインフレの影響もあってトルコでは金預金かドル預金をする人が多いと言っていたけれど、イスラム教において金貨・銀貨が正貨とされるのと関係しているのかもしれない。 -
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タイトルから世界史を新たな視点から総復習できる感じかな?と思って読んでみました。十字軍のことなど、そういう面もありましたが、全体的には肩透かしを食らったような気がします。
繰り返し出てくるキリスト教=伝道・所属、イスラム教=伝道なし・個人という対比が私としては新鮮な視点でした。
イスラムの原理主義組織・テロ組織とされるものの実態(ゆるやかなネットワークに近い)というお話は、これまで考えたことがなかったのでなるほどな〜と思いました。
ネットワークに触れてテロを起こしたり武装蜂起したりする若者の特徴は、以前であれば新興宗教や過激な社会活動をする日本の若者と重なったのでしょうが、今だと闇バイトをやってしまったり、海外を拠点にした詐欺グループを運営したりしている層とも重なる気がしました。 -
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(新潮)新書なのでボリュームや深度には限りはあるものの、その中で礼賛にも罵倒にも偏る事なく、牧口・戸田・池田の三代を中心に学会を分析した好書だと思う。
ただ、読む順番は最初から読むのではなく、冒頭の補章は最後に読んだ方がいい。でないとまるで今の学会が飛ぶ鳥を落とす勢いの様に錯覚してしまうかも知れない。
今回の総選挙において公明党は予測以上の苦戦を強いられた。学会員の高齢化が大きな要因だと思うが、他にも当の自民党すら非公認とした候補を応援した事や、以前は右翼化する自民党に対する政権のバランサーとしての存在感が、自民の(気持ち)中道化によって存在感が薄れた事も考えられるのではないだろうか。
前回の総選挙では政策で最も親和性を感じた党だったので、独自の政策をもっと前面に出し脱宗教政党を目指して欲しい。
江崎書店袋井店にて購入。 -
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『日本の10大新宗教』の続編とも言うべき書籍。
前著に引き続き、いろいろな宗教教団についてざっくりと知識が得られます。
宗教=カルトではないし、カルト=反社会的活動をしているというわけでもないとのこと。
キリスト教を始めとしたどんな宗教もはじめはカルト的な性格を持っていますし、宗教とは関係ない集団でもカルト的な性格を持つことがあります(ブラック企業とか部活とかね)。
線引きが難しい世の中を生きていくうえで、カルトについて考えることは避けて通れない問題なのかもしれません。
旧統一教会、オウム真理教、エホバの証人、顕正会、浄土真宗親鸞会、幸福の科学、サイエントロジー、ライフスペース、パナウェーブ研究所、法の華三法行が取り上げられています。
後半は正直全然知らない教団も多く、それらよりは前著で触れた教団の最近の様子や、前著で語りきれなかった教団についてもう少し深く触れてほしかったなと思います。 -
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いわゆる「カルト」とは考えられていない(と著者が考えている)10の新宗教について取り上げて、その成立を簡単に解説しています。
このような新宗教に関わっている人と知り合い、それについてちゃんと知りたいと思って手に取りました。ネットには悪い噂しか書かれず、アレルギー的に「宗教はすべてダメ」という話ばかり目に入ってきて不安が募るばかりでしたが、こちらの書籍は比較的中立的に事実を述べていて、冷静に考えることができるようになったと思います。
新宗教に何らかの興味(ネガティブであろうと好奇心であろうと)を持っている人がある程度ざっくりと知識を得るうえでは役に立つ本だと思います。
以下に取り上げられている新宗教と自分なりの分類・キーワードをまとめておきます。
【神道系(神仏習合)】
・天理教:中山みき、お産の神様、吉田神道の影響、奈良県、おぢばかえり、精神病的、教えに矛盾する死に対する宗教的解釈、貧に落ちきれ
・大本:出口なお・出口王仁三郎、金光教から独立、『邪宗門』『大地の母』、終末論的予言、海外展開、警察の取締
・生長の家:谷口雅春、大本から独立、海外展開、雑誌メイン
・天照皇大神宮教(と璽宇):北村サヨ、数寄屋橋公園で踊る宗教、社会批判、天皇人間宣言と現人神の補填、岸信介
・世界救世教:岡田茂吉、大本から独立、手かざし浄霊、地上天国、自然農法、お光さま
※神慈秀明会:小山美秀子、世界救世教から分離した1つ、カルトだったが1997年に体制変更
【仏教系】
・立正佼成会:庭野日敬・長沼妙佼、霊友会(西田無学)から派生、日蓮系・法華系、法座、寛容
・創価学会:牧口常三郎、日蓮正宗、折伏、公明党、国立戒壇の建立
・PL教団:御木徳一、徳光教の影響、観音信仰・法華信仰の流れ、人生は芸術である(高校野球・花火大会)
・真如苑:伊藤真乗(元エンジニア)、真言密教系、護摩を焚く、信者同士のカウンセリング的な接心修行、
・GLA:高橋信次、家族が創価学会系の経営者、ファンが多い教祖、霊的現象に関心
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