北森鴻のレビュー一覧
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京都を舞台にしたミステリの短編集。その中でも、渡月橋、大悲閣・千光寺を中心にして話は進む。主人公は、過去に数々の犯罪(主に窃盗)に関わってきたアルマジロこと有馬次郎と、新聞記者の折原けい。有馬次郎は裏世界の住人だったが、ひょんなことから大悲閣の住職に拾われて、寺男として表の世界に返り咲いた。記者である折原けいが持ち込んだネタから事件が発展するという典型的なパターンで、短編集という事もあってミステリとしての密度はそれほど高くない。が。2人が密談(?)する居酒屋・十兵衛で出される数々の料理が異常に美味そうなのだ。この辺、北森鴻だなぁって思う。
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中州の屋台でバーを営むテッキと結婚相談所の調査員キュータの幼馴染が博多を舞台に大暴れするという連作短編で、全体としてもそれなりの完結編になってましたね。
著者の作品を読むのは、本書が初めてになります。章立てが変わるごとにテッキとキュータの語り手が交互に漫才コンビのように入れ替わるという展開は、初めての読み手には少々ついていけないところがありました。
そもそも、どうして本書を購入することになったのか、ほとんど記憶にないという。。。実は、読んでいるときは、てっきり大沢在昌さんの作品だと思って読んでました。大沢さんの作品にしては、ボケが多すぎるなぁ。。。なんて。
2007/1/8
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作家・阿坂龍一郎の元に謎の手紙が届けられた。『前略 はじめて手紙を書くよ、今はもうどこにもいないキミに。』そう書かれた手紙を見て、阿坂は背筋が凍る。なぜこんな手紙が今頃くるのか、一体誰が送っているのか。そんな阿坂をあざ笑うかのように、謎の手紙は次々と送られてくるのだった。
主人公自体に秘密が隠されているパターンで、読者は阿坂が過去に一体何をしでかしたのか、どういう理由で今になって告発されそうになっているのかを追うカタチでストーリーは進んで行く。ま、それは普通バレるやろ!と、都合が良すぎる部分もあったけど、今回もまんまと騙されて。後で、「あ、そういえばそう書いてた」と気づくんだよねぇ。全て -
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元はアメリカのヒッピーたちの間で爆発的に流行ったという占い書「フォーチュンブック」。しかしながらこの本は明るい未来というものが全く存在せず、代わりにこの世に起こりえるであろう全ての不幸と災いを予言するという。その占いの結果に悩み自殺する者が相次いだため、販売自粛の動きが広がり、今やほぼ全ての書店から姿を消した。しかしながらとある書店にはまだ平積みにされており、それらは男女7人にそれぞれ買われていった。
全7話の短編集になっている。本を買ったそれぞれの人達の物語で、最初は1人1人全く別の話に思えるのだが、最後は全ての人間がフォーチュンブックの縁で繋がれていく・・・それぞれ犯罪をおかして。が -
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夭折した童謡詩人・樹来たか子の作品を偶然手にした桂城真夜子は卒論のテーマにたか子を選ぶ。資料収集の途中で殿村三味に出会った真夜子は殿村とたか子について語り会っていた。その最中、二人の前に現れた弓沢征吾もまた、たか子に引き寄せられた一人だった。
“秋ノ聲”の中に出てくる「しゃぼろん しゃぼろん」というフレーズの正体を求める為、余命いくばくも無い弓沢は山口へ赴く。そこで彼はたか子の伯父と会い、たか子に関する資料を手にする。その資料を真夜子に手渡したその日の夜、彼は殺害された。
「しゃぼろん しゃぼろん」というフレーズを見た瞬間、コレ以外にありえないッ!と思っていたワリには事件の確信までたどり着