北森鴻のレビュー一覧
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ネタバレ≪内容覚書≫
贋札事件の容疑で逮捕された藤田傳三郎。
身に覚えのない傳三郎だったが、
贋札に「蜻蛉」が印刷されていると聞き、黙秘を貫く。
果たして、「蜻蛉」に、どんな物語が、秘められているのか。
≪感想≫
読み応えのある歴史小説だった。
藤田傳三郎や贋札事件については一切知らなかったが、
十分に楽しめた。
最初は、傳三郎にも宇三郎にも好感が持てず、
読み終えられるか心配もしたが、
途中から、ぐいぐい引き込まれていった。
蜻蛉を見捨てきれない傳三郎。
一心に傳三郎を思う宇三郎。
光と影の宿命を持った二人の男の対決、と、
紹介されているが、それほど対決した感じはしなかった。
なぜか、恋愛 -
Posted by ブクログ
ネタバレ骨董品を扱う旗師が事件を解決していくのですが、今まで触れたことのない分野だったのでワクワクしながら読みました。魑魅魍魎が跋扈する骨董品の世界が多少とも覗けた気がします。
三編が収録されていますが、自分は「陶鬼」が気に入りました。なんというか切迫感があるミステリーじゃないんですが、静かに迫りくる妙な感じが好きですね。たぶん古美術ならではの雰囲気が漂ってます。市に行ってみたい…。
あと、陶子さんが出来る人で素敵です。
実は硝子の方が気に入ってたりしますが…。
読む本それぞれにお気に入りの人物がいる方が楽しいので、つい好みの人物を探してしまうのです。
しかし、これには続編があるのでしょうか?陶子さん -
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3
読み終えてから表紙を見てなるほどと思った。良い表紙である。ただ、背表紙にあるような「戦慄の」や「驚愕の」などといった枕詞が似つかわしい作品ではない。謎を引っ張りすぎて読み手に想像の余地・時間を多分に与えすぎ、その結果、どのような結末であれ「思った通り」と思われては驚きようもないだろう。そんな浅はかな予想予測を裏切るような結末が来るのだろうと期待してもいたのだが。妙な煽りがなければ不要な期待感を持つこともなく、結末にも、なるほどそう来たかとすんなり受け入れられたような気もするが、責任の擦り付けだろうか。
民族学的蘊蓄は相変わらず面白い。 -
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押しかけアルバイトの女子高生・安積のキャラクターが不愉快以外のなにものでもなかった(もちろん、個人的な感想です)。
職業うんちくと密接に結びついたコージーミステリで、プロ意識のない人物が出てくるとものすごくイライラするんだけど、とくにこの安積というキャラは「押しかけバイト」であっても最悪。
商品を万引きしようとする、店の高額商品を勝手に三千円で友人に売ろうとする、働かないくせに偉そう、客からの預かり物をぶっ壊しておいてヘラヘラしているところなんか、いくらフィクションであっても、こういうのを憎めないとか面白いとか思える感性はまったくわからない。
主人公の店主との掛け合いも軽妙っていうより、し -
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北森さん好きの人から評価が高い作品、というイメージがあったので購入してみた。だってわたしも北森ファンだもん。でも北森さんの個人認定割こう傑作はやっぱり「孔雀狂想曲」か「狐闇」だなあ。
たしかに屋上に置かれた物たちが語り手となったり、さくら婆ァの過去や興行師杜田、やんちゃな高校生タクなどの人間味あふれるユーモラスな描写や、容赦がない言葉達、もの悲しい過去などは北森鴻らしい。それをうまくまとめるのなんて、まさに北森鴻なのだ。
でも、なんか物足りない。もっともっと踏み込んで欲しかった。それはきっと物を語り手にしてしまったせいなのかもしれないが、もっと…!と求めるそれ以上の物をいくつも書いている作家 -
Posted by ブクログ
「小学三年生」に連載されていたジュブナイルミステリー。
北森鴻が夭逝しなければ、文庫化されることもなくて、読むこともなかったんだろうなと思うと、切ない。
小学校に可愛い女の子が転校してくる。彼女の家には、スーパーコンピューターがあって彼女は電脳の世界の中で凄腕の探偵になる。
ものすごく王道のジュブナイルです。
ライバルキャラとか、お祭り野郎とか、うん、昔懐かしい感じ。
内容はどうであれ、なんか北森鴻が、にこにこしながら書いてる感じが透けて見える感じがいい。
実際にはそうじゃなかったかもしれないけど、なんか人生って、小説って楽しいなって、感じさせる雰囲気になっているのが本当に