石原千秋のレビュー一覧

  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

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    すべてを理解できたとは言えないが、ふだん何気なく読んでいる小説について、単に話の筋を追うだけではたどり着けない部分について教えてもらった。
    引用されている小説の言葉の意味を探り細かく分解して、登場人物と語り手と読者の立場を明らかにして読むことで、小説の文章がすっきりとした印象になった。新たな視点について気付かされることもあり、とても有意義だった。
    歴史の流れ、時代の変化、学問の進み、人々の興味関心などさまざまなものが響き合って現在につながっているのだと思えた。平易な言葉や説明で本書が書かれていることに感謝したい。ワクワクする読書体験だった。今後読者として小説に接する際に、読み方の広がりを感じら

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    2025年03月05日
  • ケータイ小説は文学か

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    ケータイ小説についての考えがあって、とても深かった。1度ケータイ小説を読んだ事があるので興味深く読んだ。

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    2024年02月16日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

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    「第九章 主人公の誕生」、”主人公”なんて自明のものだと思ってたし、小説自体その存在が自明なものと思っていたが、成立にいろんな条件があり、読書体験自体がそれこそ江戸時代の人とはおそらくまったく異なるわけだ。意識していなかったが男性の見方女性の見方も隠れている。いろいろなるほど。
    小説を読む、ということについて、文学批評のとてもよくまとまった歴史から入ってくれるので、総花的にいろんな理論に分けて書いてあるものよりこちらの方が理解しやすい人もいるのではないかと思った。

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    2022年01月14日
  • 漱石と日本の近代(下)(新潮選書)

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    漱石が生きた時代の精神を踏まえたこのような深みのあるテキスト論に出逢えたことで、漱石の作品に一層魅力が増して、何度も作品を読み返したくなりました。物語的主人公と漱石的主人公がいるという指摘に興味が魅かれました。

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    2017年07月29日
  • 漱石と日本の近代(上)(新潮選書)

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    漱石の作品は時代を超えた普遍性を有していると感じていたのですが、「漱石文学は早く生まれすぎた「現代人」を書いたのかもしれない。」と述べられています。そうではあるのですが、一面では明治民法という時代の精神にある程度縛られてもいたようです。それは致し方のないことだと思います。いや、ひょっとすると当時の読者に分かりやすいように作品を創作したのであって、漱石の思想はもっと時代の先を走っていたのかも知れない。

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    2017年07月15日
  • 大学生の論文執筆法

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    レポート書けん!と大学三年目にしてわめきだした私に父から差し入れ。実際、形式に関してのヘルプページは少ないので「引用?」状態の人にとっては肩透かし、かも。形式くらい知ってるわと自負する私にとっては、新たな考え方に接することメインなのがうれしかった。筆者はたびたび自虐的な態度を見せたり、遊んでばっかの大学生は大学辞めてしまえなど歯に布着せぬ発言をかましたりと、とにかく面白かった。知的好奇心は満たされた!しかし進まぬレポーヨ…。

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    2017年05月05日
  • 漱石と三人の読者

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    自分自身の文学知識の無知に嘆き
    漱石の小説家としての試みに賞賛を送り
    それをみごとに読みといた石原千秋先生への
    敬意を表した一本でした。


    これは漱石一通りよんでから、また読みたくなる本です。

    また、漱石が生きた時代背景に関してもしっかり述べられているので、明治の文学史を漱石を基準に知りたい人にもお薦め。

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    2013年04月01日
  • 大学生の論文執筆法

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    大学生向けということで、ほかの石原千秋の
    本よりくだけた文調で読みやすい。
    でも内容は濃い。よく文章構成について考えさせられた。

    あいかわらず辛口。

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    2012年11月27日
  • 大学生の論文執筆法

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    論文執筆法を理解することで、論文を書くことに自信を与えてくれる一冊。注釈の書き方や引用の仕方を具体的に教えてくれるので、とても参考になる。

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    2012年11月18日
  • 国語教科書の思想

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    近年はPISAの「読解力」に踊らされたり、最近の作家の作品を入れた結果、方向性を見失っているなんていう話であった。
    教室における国語教科書というのは完全無欠で純粋な日本語・日本思想のバイブルである…ような気がしていた。『理想の国語教科書』という齋藤孝が編集した書籍があったが、結局は時代に迎合することなく古典の名作中の名作を掲載していればよいのだと思う。言いすぎかな。

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    2012年09月22日
  • 国語教科書の思想

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    日本語の国語は、言語教育というよりは、道徳教育に傾いているということが筆者の主張であり、主張を裏付けるいろいろな分析(言説分析・構造分析)がなされている。

    国語の文学とは1つの読み方があるわけではなく、いろいろな読み方があるというのが前提だとは思うが、本音と建前の関係のように、日本の国語教育は建前の部分で展開されることが多い。これを明らかにした点はよいと思う。そのうえで、PISA型の読解力は日本で言われている読解力とは異なるものであるので、この能力をどのように伸ばすべきかを検討していくべきだと思った。

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    2014年04月22日
  • 国語教科書の思想

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    正しいことばかりをかいてる「モノ」
    正しいことばかり言いつのる「輩」
    には
    「鵜呑みにするな」
    という
    最大限の知性を
    常に
    自分の中に
    温存しておきたい

    自己啓発の本が
    大量に出回る「現在」だからこそ
    しっかり
    自分の中に
    生きていく処方箋として
    持っておきたい

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    2011年12月31日
  • 大学生の論文執筆法

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    大学一年生の頃に読んでおきたかった!

    論文・レポートの書き方だけでなく、「大学生論」のようなものも書いている。

    石原千秋の攻撃的なスタイルが好き。

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    2011年10月23日
  • 国語教科書の思想

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    国語の解法は「道徳」であるという指摘はみんなが何とは無しに感じ続けていたが言葉に出来なかったことなんじゃなかろうか。
    内容もさることながら、文章に適度に毒が利いていて読みやすい。

    国語が分かる人=「道徳的視点・枠組みから文章が読める人」という視点は、国語力と読書力・読解力を安易に結び付けようとする最近の流れに対して、良い牽制球だと思われる。

    突っ込み所があるとしたら、「根拠」の部分かなぁ。言っている事は正しい「気がする」が、それを裏付けるような確固たる証拠や用心深さが見られない。徹底的にやる気なら、もっとやれるはずである。

    とは言え、攻撃的な姿勢に全体的に好感が持てる本です。

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    2011年07月27日
  • 国語教科書の中の「日本」

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    国語教育の持つ道徳教育の側面について論じた本。切れ味がするどく考えさせられる内容が多くあった。思考停止していた分野(人はパラダイムの中で判断している。そしてそのパラダイムを宗教のように信じていること)に関して再考するいい機会になった。

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    2011年04月17日
  • 国語教科書の思想

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    本来の意味でのシュールさと鋭さ。
    まさに今おかれている状態をわかりやすく、明解に説明された
    人におすすめしたい一冊。

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    2010年04月26日
  • 国語教科書の思想

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    とりあえずレポート用に。
    国語教科書の問題点を、具体的にその教材の内容に言及して、述べているところ、道徳教育化している国語教育の問題点やら、いろいろと。とりあえず、5時間も普通の読書でいってしまったわけなのですが、内容も頭に入ってなかったり、色々と終わっています。うーん困った。とりあえず、批判的にレポートを書かねば…。

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    2009年10月07日
  • 国語教科書の思想

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    小・中の教科書の作品・構成の検討を通して
    国語教科書に秘められた「思想」を解き明かす書。

    この書で述べられていることは、
    ・現在の国語教育で道徳教育が行われている。
    ということ。
    本文を読んでいくと、
    作品がある特定の道徳観で選ばれていることがよく分かる。


    レビュアー個人としては
    国語の大半が文学作品の解説で占めているところに
    危機意識を感じていたのだが、
    この本の著者の主張は概ね合致するものであった。


    もっともこの本は教科書分析から
    論を展開しているので
    本当にこの国語教科書の思想を
    児童生徒が植え付けられているのか疑問の余地がある。
    けれども、教科書の採択状況の偏りについても述べ

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    2009年10月04日
  • ケータイ小説は文学か

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    いろんなケータイ小説本が出ましたが、やっと大人が読んで納得できる本が現れました。
    テクストとして、つまり文学作品として、ケータイ小説を読むと、こうなる、ということです。
    今後、ケータイ小説について語る際には、この本を読んでいることが大前提となります。
    もう、不毛な議論は、今後はないでしょう

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    2009年10月07日
  • ケータイ小説は文学か

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    「誤配」「ホモソーシャル」「二項対立」などなど。石原先生お馴染みの用語で、ケータイ小説を構造分析していく。
    ケータイ小説を「ポストモダン小説」と位置づける理由は、「性的な言説が真実の言説である」近代社会の前提を、「性的な言説」を過剰にもちいることで乗り越えようとしている(かに見える)点にある。

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    2009年10月04日