石原千秋のレビュー一覧

  • 生き延びるための作文教室

    Posted by ブクログ

    「生き延びるための」という前置きを深く意識せず、作文の本として何となく読み始めた。しかし予想に反して、皮肉の効いた作文指導書であり、作文技術として学びがあるだけでなく、作文を通した学校批判エッセイとしても非常に面白かった。

    0
    2025年12月16日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すべてを理解できたとは言えないが、ふだん何気なく読んでいる小説について、単に話の筋を追うだけではたどり着けない部分について教えてもらった。
    引用されている小説の言葉の意味を探り細かく分解して、登場人物と語り手と読者の立場を明らかにして読むことで、小説の文章がすっきりとした印象になった。新たな視点について気付かされることもあり、とても有意義だった。
    歴史の流れ、時代の変化、学問の進み、人々の興味関心などさまざまなものが響き合って現在につながっているのだと思えた。平易な言葉や説明で本書が書かれていることに感謝したい。ワクワクする読書体験だった。今後読者として小説に接する際に、読み方の広がりを感じら

    0
    2025年03月05日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    「第九章 主人公の誕生」、”主人公”なんて自明のものだと思ってたし、小説自体その存在が自明なものと思っていたが、成立にいろんな条件があり、読書体験自体がそれこそ江戸時代の人とはおそらくまったく異なるわけだ。意識していなかったが男性の見方女性の見方も隠れている。いろいろなるほど。
    小説を読む、ということについて、文学批評のとてもよくまとまった歴史から入ってくれるので、総花的にいろんな理論に分けて書いてあるものよりこちらの方が理解しやすい人もいるのではないかと思った。

    0
    2022年01月14日
  • 漱石と日本の近代(下)(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    漱石が生きた時代の精神を踏まえたこのような深みのあるテキスト論に出逢えたことで、漱石の作品に一層魅力が増して、何度も作品を読み返したくなりました。物語的主人公と漱石的主人公がいるという指摘に興味が魅かれました。

    0
    2017年07月29日
  • 漱石と日本の近代(上)(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    漱石の作品は時代を超えた普遍性を有していると感じていたのですが、「漱石文学は早く生まれすぎた「現代人」を書いたのかもしれない。」と述べられています。そうではあるのですが、一面では明治民法という時代の精神にある程度縛られてもいたようです。それは致し方のないことだと思います。いや、ひょっとすると当時の読者に分かりやすいように作品を創作したのであって、漱石の思想はもっと時代の先を走っていたのかも知れない。

    0
    2017年07月15日
  • 謎とき 村上春樹

    Posted by ブクログ

    批評とは敬意を伴った行為、と小林秀雄が言っていたような気がする。

    村上春樹の作品の中から、あら探しをすることも意味のない行為ではないが、なぜ自分がこうも惹かれるのか、ということに、一つの枠組みを与えてくれたことは大きかった。

    村上春樹は分からない、という。私も言語化しにくい。そこが物語であり、文学の醍醐味でもあると思う。何かのメッセージととらえた瞬間に、何かがこぼれていくからだ。

    しかし、ホモソーシャルな価値観ですくいとれる部分が多い村上春樹の作品の中で、直子が自分の責任として自殺する、という解釈に生きることの本源を感じたのは私だけではないだろう。哀しみの中に、死の中に、生がある。

    0
    2015年08月08日
  • 漱石と三人の読者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分自身の文学知識の無知に嘆き
    漱石の小説家としての試みに賞賛を送り
    それをみごとに読みといた石原千秋先生への
    敬意を表した一本でした。


    これは漱石一通りよんでから、また読みたくなる本です。

    また、漱石が生きた時代背景に関してもしっかり述べられているので、明治の文学史を漱石を基準に知りたい人にもお薦め。

    0
    2013年04月01日
  • 名作の書き出し~漱石から春樹まで~

    Posted by ブクログ

    目から鱗が落ちる、とはこのことか。今までの自分の「読み方」は、いったいなんだったのだろう⁇ 15冊の冒頭部分から、語り口や構造まで読み解く。言われてみれば、国民的作家・川端康成の「雪国」なんて、まさにポルノ小説。小学生の娘には読ませられないな。もっとも、子供が読んでもわからない(ように書いてある)か…

    0
    2012年04月19日
  • 謎とき 村上春樹

    Posted by ブクログ

    テクスト論者による、村上春樹解読。実際の講義を早稲田大学でうけていたときは、毎時間鳥肌が立っていた。その知的興奮は、いまだに忘れられない。

    0
    2009年10月04日
  • 謎とき 村上春樹

    Posted by ブクログ

    村上春樹も石原千秋も好きではなかったが、この2つが合わさると天才が生まれることがわかった。
    “作者は一番書きたいことを隠して作品にする”。謎が多い春樹の作品を見事にテクスト論を用いて解いている。
    春樹の作品を読んだ後にこの本を読めば、“目から鱗”になること間違いないっ!!

    0
    2009年10月04日
  • 謎とき 村上春樹

    Posted by ブクログ

    村上春樹の解釈本。村上春樹という作家はあとがきや解説を全く書かない人なので解釈の仕方は個々に任されている感が強い。解釈の一部としてとてもおもしろい。長編小説ほとんど読んでいる人でないと楽しめない本。

    0
    2009年10月04日
  • 謎とき 村上春樹

    Posted by ブクログ

    面白かった。さすが、石原千秋。自分がいかに小説読めてなかったかに気付かされた…。そして、彼の漱石論が読みたくなった。

    0
    2009年10月04日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    本著の「はじめに」で述べている「内面の共同体」がどういったものなのか、よくわからなかった。しかし、この本を読んで、断片的に得られたものは多かったように思う。

    本文引用
    p33「テクスト論は作者にだけは分析のベクトルを閉じておくが、それ以外のいかなる要因にも開かれている。つまり、テクスト論は立場であって、固有の方法は持たないのである。テクスト論の立場に立つ研究者はたとえてみればテストパイロットのようなもので、たとえばそのテクストについては一般の読者が採用しないような枠組から読んで、テクストの可能性を限界まで引き出すのが仕事なのだ。」

    p40「ワインのボトルにワインが半分入っている状態があると

    0
    2023年08月26日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    本だけあっても、読む人がいないと読書は成り立たない。そこまでは当然のことだと思うが、本を読むことにおいて、読者がどのような機能を果たしているかまで考えることなく読んでいた。一章が単体の書籍でもおかしくないような情報量が、一冊にぎゅっと凝縮されていて、私には一読で咀嚼するのが難しい。各章の内容はそれぞれ興味深いので、ほかの本の参考書として、必要に応じて読み直したい。

    0
    2022年07月02日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    文章が読まれてるとき、そこでは何が起こっているのか。作者、主人公、語り手、読者、それぞれが独立していて、でもつながっている。読んでるときは自分じゃなくなってて、1人で読んでるようで1人じゃない。読み方を考えるって初めてで奥深い。

    0
    2021年12月29日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    小説の主人公、語り手、読者、そして自分の関係を考察する。
    そうなんだ、物語を読んでいる時の読者と自分は違う存在なんだ。内面の共同体を構築することで読者になるし、だからこそ同じ作品を読むことで共感が分かち合えるわけだ。さすが石原先生だ。

    0
    2021年12月07日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    『蒲団』や、芥川や漱石といった、有名どころを例にしているのでわかりやすい。裏返せば、そういった作品が未読な人にはイメージがしづらいかも。
    「確かにこういうことあるな」と、読み進めながらところどころ膝を打つ。
    決して「読書の仕方」ではない、あくまで「読者」、「読者はどこにいるのか」について書かれている。

    0
    2021年09月26日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    「読書論」ではなく「読者論」である。小説の読み方は読者の自由であるが、全くの自由ではなくある決まった型があってはじめて成り立つと説く。そして、そのような抽象化された読者が成立したのは高々100〜200年前のことだそうである。漱石が多く取り上げられているのも、私にとっては面白かった。

    0
    2021年09月25日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

    少しずつ読んでいたせいか、各章各節の構成による繋がりが弱くて本の全体像がはっきりせず、何となく散漫に感じました。
    それでも繋がりがあるところを挙げると、4章で取り上げた物語の4類型、7章で定義した主人公(=4類型に対応して内と外の二項対立的な世界を移動する人物)、そうした物語的主人公と対になる小説的主人公の提示(9章)は良かったです。この2人の主人公という考え方はとても面白いし、いわば物語のもつ相補性のうねりの源泉みたいなものだから、様々な物語を読むときに使えます。そういう断片を拾っていくにはいい本だと思います。

    0
    2021年09月09日
  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

    Posted by ブクログ

     いわゆる現代文学を読まなくなって久しいが、文芸批評のこともニューアカで止まっているので、文学研究の〈現在〉を知りたくて、本書を読むことにした。
     
     初めに、近代文学研究の流れを大掴みに教えてくれる。作家論→作品論(1970年代)→テクスト論(1980年代)。そしてこうした展開の背景に、大学文学部やその学生に期待される役割などの変化があったという。
     テクスト論という言葉自体は聞いたことがあったが、その内容は良く知らなかった。それは「方法」ではなく、作者に言及することだけはしないという「立場」だという。では何を分析すれば良いのか。言葉である。ここに構造主義が用いる中心/周縁、文化/自然、等の

    0
    2021年07月11日