石原千秋のレビュー一覧
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「三人にだけ伝わればいい」――。新聞小説家・夏目漱石が、小説を核に際して意識した読者像に焦点を当てながら、初期三部作・後期三部作、未完の『明暗』までを辿る。巻末に全小説のあらすじを掲載。
第一章・二章では漱石の読まれ方及び当時の「小説」の扱われ方を概観、漱石が常に「書くこと」に対して意識的だたことを見。三章以降は、漱石の作品を通じて誰が「読者」として想定されていたのかを作品別に読み明かしていく。
『虞美人草』で想定していた反応と実際の読者の反応にずれがあったことを踏まえ、以降の小説に「死角」を入れるようになったという点が印象。また、後期三部作は新聞連載→単行本という発表方法をとっていたが、連載 -
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おもしろかったですね。
いろんな話が いろんなカタチで入り組んでいる
ことが よくわかって
見事な 分析力と 平易な表現力に満ち溢れている。
言語論的転回 時間 空間 そして 言葉
に関して 実にたくみに 説明してある。
この ムラカミハルキの 臨床解剖 は
成功しているような気がする。
ムラカミハルキの
テキストは 嘘をつきながら その嘘が暴かれることで
その暗闇が 明るみ になっていく。
ムラカミハルキ 自身が 謎をかけ
謎ときしている状態なので
こんがらがっている糸が ほどけてきているような感じがした。
内田樹センセイとは 違った味があった。
羊をめぐる冒険は・・・
星の紋 -
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ネタバレ[ 内容 ]
「代表作」ばかりが名作ではない。
作家たちが残した数々の小説のなかには、あまり知られていないけれども極めておもしろい作品が存在する。
そこには、作家の意外な一面や素顔がちらりと顔をのぞかせることも。
裏まで奥まで、丹念に読めば読むほど深まる、小説の愉悦がここにある。
夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介、太宰治といった文豪はもちろん、萩原朔太郎、宮沢賢治、近年再評価の進む尾崎翠や、現在活躍する多和田葉子など、彩り豊かな作家十二人が勢ぞろい。
あなたにとっての名作が、きっと見つかる。
[ 目次 ]
進化論を超えて―夏目漱石『趣味の遺伝』
輸入品としての「気分」―谷崎潤一郎『人魚の嘆き -
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序文より
『小説を読むとき、僕は基本的に「作者」を無視する。これは「テクスト論」という立場である。「テクスト論」は、小説を読むときにどんな方法でも用いるし、歴史的なデータも用いるが、「作者」だけには言及しないのである。』
『小説の書き出しを読むとき、僕たち読者はその小説に対する態度を決めるために、さまざまなことを読みとろうとする。そして、まさにそのときに僕たちが身につけている言葉の意味と小説の言葉の意味との差異にとまどいながらも、書き出しを読んでいるわずかの間に自分をその小説の理想的な読者として「調律」しているのである。もちろん「調律」できないときもある。そのときには、僕たち読者はその小説を -
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「はじめに」の部分の「いまなぜ漱石について語ろうとするのか、その理由を書いておきたい。」のくだりで軽いめまいを感じてしまいました。/漱石を読み解くことに理由の説明が必要になってしまったのか……。
/まあそれはともかく、ぜんたいに親切設計なつくりで良書だと思います。。/難を云えばアカデミズムでの「文学研究」の場での漱石論を基準にしすぎるあまり、いわゆる「批評」の世界での扱いがほとんどと云って良いほど黙殺されていること。たとえば冒頭に触れた「はじめに」のなかに「実は、十年ほど前までなら、漱石という名はたぶん無条件で通用しただろう。なぜ漱石について語るのかという理由など説明する必要もなかったというこ