石原千秋のレビュー一覧

  • 読者はどこにいるのか 読者論入門

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     いわゆる現代文学を読まなくなって久しいが、文芸批評のこともニューアカで止まっているので、文学研究の〈現在〉を知りたくて、本書を読むことにした。
     
     初めに、近代文学研究の流れを大掴みに教えてくれる。作家論→作品論(1970年代)→テクスト論(1980年代)。そしてこうした展開の背景に、大学文学部やその学生に期待される役割などの変化があったという。
     テクスト論という言葉自体は聞いたことがあったが、その内容は良く知らなかった。それは「方法」ではなく、作者に言及することだけはしないという「立場」だという。では何を分析すれば良いのか。言葉である。ここに構造主義が用いる中心/周縁、文化/自然、等の

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    2021年07月11日
  • 謎とき 村上春樹

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    ネタバレ

    芯をえぐる論点は主にふたつ。
    1、物語の神話化……一番書きたいことを隠して書く……信頼できない語り手……かつての自分の作品を作品内に埋め込む自己神話化を創作のエンジンにしている。神話の誕生、神話殺し、神話の再生という3部作。
    2、ホモソーシャル社会……女をハンティングしたり遣り取りしたりして男同士の絆を確かめ合う。鼠殺し。
    テクストからしか根拠を拾わないが、作品を縦断することで、作者の私的経験がほの見える。

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    2019年06月05日
  • 国語教科書の思想

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    ちょうど塾で中学国語を教えていて、「反論する方法」みたいな単元で、文章に潜んでいる前提を書け、みたいなのをやった。石原が本書でやっていることと全く同じで、あれは教科書準拠の教材だったが、カリキュラムも変わっているのかな。しかし、石原の提案にしても塾での授業にしても、今の子どもは高度な勉強してるな、と思った。

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    2018年10月08日
  • 大学生の論文執筆法

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    前置きが終わると急にはっちゃけた文章になります。そして、書きなぐっただけのような雑談が第一部は延々続きます。第二部からは、論述をどうやって展開していくのかという手段として、二項対立の技法を解説しています。例文がいくつか引用され、その文章で使われている技法を読み解いていきます。

    私は、大学の文科系科目の課題で設問の意図もレポートの書き方もよくわからなかったし、そのテキストや論述がどういう理屈で論じているのかさっぱり理解できず論点もわからなかったので、もっと手前のこういった入門書を読めば何かわかるかなと思って読んでみた次第です。(私自身は芸術系で理系思考です)
    論文という物には二種類ある。一つは

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    2017年09月21日
  • 生れて来た以上は、生きねばならぬ―漱石珠玉の言葉―(新潮文庫)

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    単なる抜粋集なわけだが、成功していると思う。石原先生によれば、「漱石は「女の謎」を書き続けた作家である」。ていうか、石原先生流の『恋愛のディスクール』なのね。「ここのところ、読めますか?」みたいな。トイレとかに置いとくのがよい。

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    2020年06月15日
  • 大学生の論文執筆法

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    文系大学生向けに論文執筆法を説いた本だが、通常の論文執筆法の教本とはかなり異なっている。普通に論文を書くための作法・技術等だけ知りたい読者には不向きだと思われる。しかし、文系大学生なら一読の価値がある。
    第一部は、「秘伝 人生論的論文執筆法」と題されており、まさに著者の私見満載の「人生論的」な内容で、論文執筆についてだけでなく、文系大学生のあり方について語られている。多少、説教臭いことは否定できないが、著者独特の軽快な文体で、読んで損はない内容だと思う。
    第二部は、「線を引くこと―たった一つの方法」ということで、一流の論文がどういう方法によって書かれたのかを具体例に即して解説している。その中で

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    2016年11月12日
  • 漱石入門

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    あれー?
    石原千秋は何冊も読んでいるはずなのに……何故か登録されていないことに今気付く。

    そんなわけで、私にとっては現代文読解系で一時期触れた方なのだけど、漱石研究については読んでこなかった。すいません。

    『漱石入門』というタイトルと河出文庫の組み合わせに反して、気軽に手に取るにはややハード。
    けれど、その時代の「家族」観であったり、そこから派生した女性の立場や恋愛の在り方など、知らなくては「読め」ない知識というものがまとめられていて、とても便利。

    こういうことを知ろうと思うと、それだけで何冊もの専門書を読み解かなくてはならないのだから、やっぱりすいませんの思いである。

    個人的に面白か

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    2016年09月19日
  • 生き延びるための作文教室

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    なんか、めっちゃいいこと言ってるような気がしてんけど、ちょっとつかみきれへんかった。むずかしかった。でも、少なくとも私はこれまでちょっと聞いてこなかったような新鮮な話が多かったので、この著者さんの本はまた読みたいと思う。

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    2015年10月24日
  • 近代という教養 ――文学が背負った課題

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    p.48「グローバリゼーションとは、進化論的パラダイムが世界を駆けめぐり、世界を覆いつくすことだ」
    p.54「因果関係とはそもそも恣意的なものでしかない。・・・すなわち『「原因」として何を挙げるかは、客観的に決まっている訳ではない、という事を物語っている。「原因」として何を挙げるかは、基本的には、それに関わる人間の問題意識に依存するのである』(『ウィトゲンシュタインから道元へ』哲学書房、二〇〇三・三)。
    p.62「進化論的歴史観は『歴史を、一元的なもの、つまり、一律な構成原理や変容原理の反映」(ギデンス)と認識していたわけだ。
     しかし、『野生の思考』は「野生の思考」は遅れているのではなく、欧

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    2015年01月16日
  • 国語教科書の思想

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     現代日本の国語教育の危うさ、アンバランスがよくわかった。小学校、中学校の教科書の内容が懐かしく感じた。

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    2014年12月18日
  • 大学生の論文執筆法

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    タイトルからテクニック本かと思って読んでみたが、ちょっと違った。
    でも、辛口で読み物として非常に面白い。

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    2014年09月22日
  • 国語教科書の中の「日本」

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    国語の受験の本を数多く書き、国語は道徳教育であると主張している石原氏が2009年に発刊した本。同じちくま新書の前著に当たり2005年に発刊した「国語教科書の思想」の続編的な位置づけなので、セットで読んだ方が良い。

    前著では光村出版の教材を主に分析したが、2章では小学校3社、3章では中学校4社を分析している。これに先立ち、1章では国語教科書の思想の振り返りと国語のもっている特殊性などを論じ、最終章の4章では前著の「国語教科書のその後」という題で内容を深めている。

    国語教育とは表面的な面もあるが、少し突っ込んで考えると教材のもつ共通性、思想性などがどうしても出てくる。そのあたりを意識することが

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    2014年04月21日
  • 国語教科書の思想

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     国語教科書には隠された意図があるというのが筆者の考えである。それは道徳的な色合いが濃く、しかもその道徳とは政府の意図する回顧的保守的性格が強いというのだ。
     全面的に認めることはできない。そもそも文章の多くは保守的な内容を持つものであり、子供向けのものとなれば自然体制の維持を前提としたものになるのは当たり前だからだ。
     ただ、筆者の言う国語の目的を道徳ではなく、リテラシーに置くべきだという意見には大いに賛成したい。中途半端な意見の押し付けより、自身の読みを形成し、それを他と比較して時に批評する力はいまの子どもたちにもっとも伝えるべきスキルである。
     そうすると、国語が目指すものに対する見直し

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    2013年04月14日
  • 謎とき 村上春樹

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    文学理論を駆使して、村上春樹を分析する手法がたいへん参考になった。また、石原氏の村上春樹に対する愛着ぶりが感じられた。

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    2012年11月23日
  • 読者はどこにいるのか 書物の中の私たち

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    石原千秋流「読書論」。著者の視点には、なるほどこんな読み方があるものか、といつも感心させられる。有名な作品の引用が多く、とっつきやすいと思う。が、ほとんどのストーリーを忘れてしまっているので、改めて小説を読み直してみたくなった。とくに東野圭吾を取り上げた最終章は、笑えた。

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    2011年12月27日
  • 国語教科書の思想

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    国語の教科書が自覚的・または無自覚に読者の内面化させていく価値観をさまざま収録教材を例に読み解いていく本。

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    2011年08月08日
  • 国語教科書の思想

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    教科書の論理は実は突拍子もない。
    平和で万人に平等だと思いきや「思想的」なんだと思う。
    ちょっと作者の論法も攻撃的な気が。

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    2011年08月29日
  • 大学生の論文執筆法

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    石原千晶ならではの鋭い文章で面白い。大学生の文章がいかに駄目なものかを語りながら、バサバサと痛快に斬っていく。

    しかし、論文執筆法と題名に入っているのに、この"方法"は載ってないと言っていいほど少ししか取り扱われていない。

    具体的な書き方よりも他人の文章を読んで二項対立の考え方を身につけろ。論文を書くのはそれからだと言われているように感じる。

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    2011年07月09日
  • ケータイ小説は文学か

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    ケータイ小説についての評論を読んでみたその2。

    こちらは、恋愛構造というか、社会の構造からケータイ小説を読み解いている。

    ホモソーシャルな考え方というのが、おそらく「大きな物語」なんだろう。
    それを打破しないと、「新しい物語」にはなり得ないんじゃないかと思う。

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    2011年06月29日
  • 謎とき 村上春樹

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    テンポ良く感じるのは講義を文章に起こしたものがもとになっているかららしい。
    男性間で女性をやり取りする「ホモソーシャル」、ノルウェイのワタナベは大人になりきれていなくて直子はワタナベと寝たときに大人になったのだ、というところがおもしろかった。
    他にも興味深い話がいろいろあったし無駄な引用も少なかったのでなかなか中身の詰まった本だと思う。

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    2010年12月28日