石原千秋のレビュー一覧
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本著の「はじめに」で述べている「内面の共同体」がどういったものなのか、よくわからなかった。しかし、この本を読んで、断片的に得られたものは多かったように思う。
本文引用
p33「テクスト論は作者にだけは分析のベクトルを閉じておくが、それ以外のいかなる要因にも開かれている。つまり、テクスト論は立場であって、固有の方法は持たないのである。テクスト論の立場に立つ研究者はたとえてみればテストパイロットのようなもので、たとえばそのテクストについては一般の読者が採用しないような枠組から読んで、テクストの可能性を限界まで引き出すのが仕事なのだ。」
p40「ワインのボトルにワインが半分入っている状態があると -
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Posted by ブクログ
いわゆる現代文学を読まなくなって久しいが、文芸批評のこともニューアカで止まっているので、文学研究の〈現在〉を知りたくて、本書を読むことにした。
初めに、近代文学研究の流れを大掴みに教えてくれる。作家論→作品論(1970年代)→テクスト論(1980年代)。そしてこうした展開の背景に、大学文学部やその学生に期待される役割などの変化があったという。
テクスト論という言葉自体は聞いたことがあったが、その内容は良く知らなかった。それは「方法」ではなく、作者に言及することだけはしないという「立場」だという。では何を分析すれば良いのか。言葉である。ここに構造主義が用いる中心/周縁、文化/自然、等の -
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前置きが終わると急にはっちゃけた文章になります。そして、書きなぐっただけのような雑談が第一部は延々続きます。第二部からは、論述をどうやって展開していくのかという手段として、二項対立の技法を解説しています。例文がいくつか引用され、その文章で使われている技法を読み解いていきます。
私は、大学の文科系科目の課題で設問の意図もレポートの書き方もよくわからなかったし、そのテキストや論述がどういう理屈で論じているのかさっぱり理解できず論点もわからなかったので、もっと手前のこういった入門書を読めば何かわかるかなと思って読んでみた次第です。(私自身は芸術系で理系思考です)
論文という物には二種類ある。一つは -
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文系大学生向けに論文執筆法を説いた本だが、通常の論文執筆法の教本とはかなり異なっている。普通に論文を書くための作法・技術等だけ知りたい読者には不向きだと思われる。しかし、文系大学生なら一読の価値がある。
第一部は、「秘伝 人生論的論文執筆法」と題されており、まさに著者の私見満載の「人生論的」な内容で、論文執筆についてだけでなく、文系大学生のあり方について語られている。多少、説教臭いことは否定できないが、著者独特の軽快な文体で、読んで損はない内容だと思う。
第二部は、「線を引くこと―たった一つの方法」ということで、一流の論文がどういう方法によって書かれたのかを具体例に即して解説している。その中で -
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p.48「グローバリゼーションとは、進化論的パラダイムが世界を駆けめぐり、世界を覆いつくすことだ」
p.54「因果関係とはそもそも恣意的なものでしかない。・・・すなわち『「原因」として何を挙げるかは、客観的に決まっている訳ではない、という事を物語っている。「原因」として何を挙げるかは、基本的には、それに関わる人間の問題意識に依存するのである』(『ウィトゲンシュタインから道元へ』哲学書房、二〇〇三・三)。
p.62「進化論的歴史観は『歴史を、一元的なもの、つまり、一律な構成原理や変容原理の反映」(ギデンス)と認識していたわけだ。
しかし、『野生の思考』は「野生の思考」は遅れているのではなく、欧 -
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国語の受験の本を数多く書き、国語は道徳教育であると主張している石原氏が2009年に発刊した本。同じちくま新書の前著に当たり2005年に発刊した「国語教科書の思想」の続編的な位置づけなので、セットで読んだ方が良い。
前著では光村出版の教材を主に分析したが、2章では小学校3社、3章では中学校4社を分析している。これに先立ち、1章では国語教科書の思想の振り返りと国語のもっている特殊性などを論じ、最終章の4章では前著の「国語教科書のその後」という題で内容を深めている。
国語教育とは表面的な面もあるが、少し突っ込んで考えると教材のもつ共通性、思想性などがどうしても出てくる。そのあたりを意識することが