石原千秋のレビュー一覧

  • 漱石と三人の読者

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    「三人にだけ伝わればいい」――。新聞小説家・夏目漱石が、小説を核に際して意識した読者像に焦点を当てながら、初期三部作・後期三部作、未完の『明暗』までを辿る。巻末に全小説のあらすじを掲載。
    第一章・二章では漱石の読まれ方及び当時の「小説」の扱われ方を概観、漱石が常に「書くこと」に対して意識的だたことを見。三章以降は、漱石の作品を通じて誰が「読者」として想定されていたのかを作品別に読み明かしていく。
    『虞美人草』で想定していた反応と実際の読者の反応にずれがあったことを踏まえ、以降の小説に「死角」を入れるようになったという点が印象。また、後期三部作は新聞連載→単行本という発表方法をとっていたが、連載

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    2013年08月25日
  • 近代という教養 ――文学が背負った課題

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     大学時代に著者の授業を受けていたが「講義中はわからないように寝ろ」と怒られた思い出しかない。そんな石原先生の著書は、「文学が背負った課題」と過大に思える副題が付く。なぜ「近代」の課題を文学が背負うのか。ちなみに今、私たちが生きている「現代」は近代の途上。その途上でなぜ近代を今、語るのか。これは具体的には言及されていないところから、この本のわかりにくさは始まる。
     近代論というより、小説論として読んだ方が、まだわかる気がする。言文一致の小説が誕生して発展した明治期の近代文学の構造や着目点の例示のされ方はわかりよい。「主人公」の誕生や、1人称や3人称の視点の模索、写実主義の誕生などなど。
     

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    2013年03月18日
  • 大学生の論文執筆法

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    第一部だけで良かった。論文執筆法というのは文系の方々のためのもので、少なくとも私には2部は必要なくて、読んだ時間が無駄だったかな。

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    2013年02月24日
  • 漱石と三人の読者

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    漱石がだれを意識して作品を書いたのか。その対象が新聞読者、単行本読者ではねらいが違うということを明らかにしようとする。漱石の専門家が分かりやすく解説する。石原千秋は現在早稲田大学の教授であるが、精力的に執筆活動をしている。他に『「こころ」大人になれなかった先生』(みすず書房2005新書じゃありません)、『百年前の私たち―雑書から見る男と女』(講談社現代新書2007)、『未来形の読書術』(ちくまプリマー新書2007)

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    2014年12月18日
  • 国語教科書の思想

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    かつて学生だった頃を思い出すと、確かに国語は道徳教育だったと感じる。
    高校時代の夏休みの課題作文で教師から、私が書いた作文は表現などは良いが内容が道徳的でないとの事で、惜しいけど作文展への出品は別の生徒の作文を、と言われた事をふと思い出した。

    個人的にかもしれないが、社会に出てから必要な国語能力は正確な読み書き能力であると感じる。書店ではビジネス文書の書き方についてのコーナーもあり、社会人には文書の書き方で不足を感じている人も多いのではないだろうか。
    塾講師をした経験からすれば、現在の中高生はカリキュラム上、特に「書く」事が不十分だと感じる。小論文に苦手意識を持つ生徒も多い様に思われる

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    2012年09月21日
  • ケータイ小説は文学か

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    テクスト論の大御所、漱石研究なんかで有名な石原千秋の新書。日文の基礎演習で読む『大学生の論文執筆法』(ちくま新書)の著者と紹介した方が分かりやすいという人もいるかもしれん。

    さてさて、非常に刺激的なタイトル。もはや完全に一時期の勢いはなくしたものの、なんだかんだで息の続いているケータイ小説。プロの手によるラノベですら文学の範疇に入るのかと議論されている昨今、素人の手によって支えられてきたケータイ小説が、文学研究者の中でどのように評価されているのか。

    面白かった。
    まずタイトルを見て思ったのは、「おいおい、そんなこと言っちゃったら文学の定義から入らなきゃなんないよ? そんなの、こんな薄い新書

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    2012年06月04日
  • 大学生の論文執筆法

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    大学生が大学生なりの文章を書くということには社会性や人間性の成長が欠かせない。
    1章は論文を書く上での基本的なアドバイスが著者なりの書き味で述べられている。
    2章は「線を引く」というたったひとつのことが述べられている。二項対立の考え方を身につけるには線を引いて、違いを明らかにしなければならない。

    文科系の大学生は読むべきだと思うが、私は理系なので1章にそれなりに触発されて新書を買いに走るくらいだった。石原千秋さんおもしろい。

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    2012年02月21日
  • 大学生の論文執筆法

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    題名のごとく大学生としての論文・レポートの書き方が書かれている。この本を今読んでおいて良かった。しかし、もし大学生になる前に読んでいれば…と何度も悔やみながら読んだのも事実。今まで提出したレポートを早急に書き直して再提出したくなった。特に1つのテーマで論じきることが今の自分にはできていないと感じた。構成メモを活用したいと思う。また、線引きは一見簡単なようで実は、引く位置で論点や立場が変わってしまうほど難しいものだと分かった。第二部は少し難しく感じた。

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    2011年09月02日
  • 国語教科書の中の「日本」

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    国語教科書の背景にある思想性について、テクストを丁寧に読み込むことを通じて、
    抉り出していくのがこの本の見どころか。
    著者の言葉を借りるなら、国語教育は実は「道徳教育」なのだ。

    子どもたちあるいは我々は国語教育・教科書という装置を通じて、「自然」、「家族的親和性」といった道徳的イシューを内面化していく。確かに言われてみると/思い返してみると、「良い解釈」とでも言うべきものは多分に制限されていて、それらは実は暗黙のうちに価値的なものを植えつけるために機能しているようだ。著者の危惧は、単に道徳教育そのものにあるのではなくて(道徳教育そのものの存在は否定しない)、何のための道徳か?という問い

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    2011年07月27日
  • 国語教科書の思想

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    ネタバレ

    国語の教科書の意味合いについての本。今まで小学校で習ってきた国語の教科書のタイトル、取り扱っている内容にはさまざまな方面で吟味をされており、その中から選りすぐりのものを選定していることがしっかり書いてある。
    そこには、ひとつひとつ製作者の思いというものもつまっており、今までなんとなく受けてきた自分を省みるよい機会となった。
    国語の先生になりたい人にはおすすめの一冊。

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    2011年07月08日
  • 大学生の論文執筆法

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    「レポートは左止めのほうがよい」と筆者は述べているが、これは講師によって異なるので各人指示を仰ぐほうが良い。

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    2011年05月22日
  • 大学生の論文執筆法

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    第一部は他の本で十分代用可能な内容。
    第二部の二項対立の作り方についてはなかなかためになったと思う。
    執筆法というより発想法と言うべきか。

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    2011年05月01日
  • あの作家の隠れた名作

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「代表作」ばかりが名作ではない。
    作家たちが残した数々の小説のなかには、あまり知られていないけれども極めておもしろい作品が存在する。
    そこには、作家の意外な一面や素顔がちらりと顔をのぞかせることも。
    裏まで奥まで、丹念に読めば読むほど深まる、小説の愉悦がここにある。
    夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介、太宰治といった文豪はもちろん、萩原朔太郎、宮沢賢治、近年再評価の進む尾崎翠や、現在活躍する多和田葉子など、彩り豊かな作家十二人が勢ぞろい。
    あなたにとっての名作が、きっと見つかる。

    [ 目次 ]
    進化論を超えて―夏目漱石『趣味の遺伝』
    輸入品としての「気分」―谷崎潤一郎『人魚の嘆き

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    2011年04月24日
  • ケータイ小説は文学か

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    [ 内容 ]
    ケータイ小説を大胆にも文学として認め、その構造を徹底分析。
    小説の「読み」「書き」に起こる異変を解きあかしポスト=ポスト・モダンという新しい境地を見出す刺激的アプローチ。

    [ 目次 ]
    1 ケータイ小説と文学
    2 ケータイ小説とリアリティー
    3 「新しい国語教科書」のモラル?
    4 何が少女をそうさせたのか
    5 男たちの中の少女
    6 ポスト=ポスト・モダンとしてのケータイ小説

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な

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    2010年07月03日
  • ケータイ小説は文学か

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    「ケータイ小説は文学か」

    いまや大人気のケータイ小説。私は慣れましたが、まわりでは横書きはちょっと・・・内容がちょっと・・・という意見炸裂。
    なので、ちょっと他の人はどう考えているのかな?と手に取りました。

    私自身は、ケータイ小説は「新しい小説の一つの形」だと思います♪

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    2010年03月10日
  • ケータイ小説は文学か

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    携帯で読む新しいタイプの小説として生まれた、ケータイ小説。ケータイ小説について、様々な分析がなされた本。『Deep Love』Yoshiや、『恋空』美嘉、『天使がくれたもの』Chaco、『赤い糸』メイなど、ブームを作った小説の内容の要約や解説がされているので、ケータイ小説がヒットするまでの流れが分かる本とも言えそうです。(2009.5.31)

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    2009年10月04日
  • 漱石と三人の読者

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    小説というジャンルは現代社会では受け入れられている。小説家になりたいと言っても、成功しないから辞めなさいといわれても、みっともないから辞めなさい、とは言われない。
    漱石の時代の小説家とは違うのだ。文学なんてやって飯を食っていけるのか。これは永遠の課題だ。
    こころは、教養主義の小説のようなものだったのか?私たちの高校二年生のときの課題図書で二学期はこころばかりやっていた。
    ちなみに、私は文学部卒業です。誰も知らないでしょうが、世捨て人の文学部。

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    2010年02月20日
  • ケータイ小説は文学か

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    課題やる時に読んだ本。
    ホモソーシャル性に言及してるところはおぉーって思った。
    ケータイ小説論はなんかこれでまとまった感じがする。

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    2009年10月04日
  • ケータイ小説は文学か

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    リアリティーのないリアルで埋め尽くされた、ケータイ小説の世界。
    真実の記号化という表現にポスト=ポストモダン的現象を読み解く著者。
    テキスト論者ならではの分析だが、詭弁のきらいもある。

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    2009年10月04日
  • 大学生の論文執筆法

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    高3の頃、同じくちくま新書から出てる「教養のための大学受験国語」を読んだのが著者を知るきっかけ。

    この本でも「二項対立」、「二元論」が述べられてて「あ〜そんなことも書いてあったな〜」って思い出した。

    論文を書くためのスキルを身につけるというよりは、どうやって大学で勉強するかということが書いてあるので、「俺、大学でなにやってんだろ?」ってちょっとでも思ってしまった時期に読むのがおススメなのかと思います。

    本読まなきゃね。

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    2009年10月04日