【感想・ネタバレ】なぜ漱石は終わらないのかのレビュー

あらすじ

漱石研究をリードしてきた名コンビが、難解とされる『文学論』を解きほぐすことから始め、『吾輩は猫である』から『明暗』まで14作品を取り上げて、漱石文学の豊潤な可能性を阿吽の呼吸で語りつくす。

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Posted by ブクログ

漱石の主要な作品を取り上げて、二人が「読み」を深めていくのだけど、めちゃくちゃ面白い。

テキストの時代背景を知ることと知らないことでは、こんなに深め方に差が出るのか、と自分の浅さに恥ずかしくもなった。
漱石が、世の中に起きていることを、ほぼリアルタイムに虚構化し、またそこに予見を加えていく。
それを新聞小説として、読者が時事と絡めながら読み解いていくという構造に凄みを感じた。

家同士の繋がりを保つ「好きではない」相手との結婚に、自由恋愛が入り込んでいく過程。
女性が、男性の心を上手くコントロールするという、対等にわたる一つの武器を手に入れたこと。
そして、女性が男性を「読んで」きたことと同様に、今度は男性が女性を「読む」必要が生まれてきたということ。

読める者は主導権を握り、読めない者同士は同じ生活にあって、互いに苦しんでいく。

「分からない」「なれない」主人公を通して世間を見通しながら、一方で「満たされない」「答えを出せない」自分自身を穿っていくような。
安易に言えば、個人にとってのユートピアって何なんだろう、と最後に考えさせられた。
それは〝誰とも関わらない〟方向に進んでいく現代にとっても、考えられるテーマでもあるのかもしれない。

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2022年05月15日

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