茂木誠のレビュー一覧
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歴史好き必読の書
誰だが歴史の授業で習う 645年 大化の改新:豪族:蘇我氏の滅亡
蘇我氏って 妙な豪族名だなぁっと思ってましたが、改めて字を確認すると
本書で触れられている通り、『蘇』る 『我』 キリスト教の系統?ということで、
本書でそれを教わった時、思わず背筋がゾクッとしたものです。
このように、古代史から現代までの流れでの新説は、これまでの歴史の授業では語ってこられなかった
事実とその背景を推定した一説から成り立っており、新しい世界に出会いたければ、
この書を読むこと以上に重要なことはありませんと断言できます。
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ネタバレ
人の心は繰り返す
・あまりに災厄が酷くなると、人は神聖や清浄さ、更には葬儀などの宗教的な感情を顧みなくなる。
神々なんかいないじゃないか、と人々は自暴自棄に陥り、信仰は廃れていく。
・集団免疫:多くの人が罹患した結果、殆どの人が免疫を持つこと。
・内省的な思考(仏教など)は、人々が豊かになり、社会がどんどん発展している時には、なかなかメジャー化しない。
逆に全てが崩壊して行く時には、「自分たちが求めたものに意味があるのだろうか。
もっと大事なものがあるのではないのか」と、人々がその教えに耳を傾ける傾向がある。
・感染症の爆発は、細菌やウイルスが伝染することに加え、免疫機能の低下によって起こる。
慢性的な飢えで栄養不良となって、体温が下がり免疫力が落ちれば、病原体の増殖に勝てず一気にやられてしまう。
彗星や噴火の影響で地球規模で寒冷化が起これば、感染症が爆発的に拡大するエピデミックが起こる恐れがある。
・明治のころの日本は、内務省に一元化した衛生行政、下水を石炭酸消毒、
患者が出た家に対しては往来を最小限に留め、患者が回復あるいは死亡した後に消毒し、
その後10日を過ぎるまで登校や出勤を禁止させた。
また大規模な検疫所に船舶を沖止めし、所持品の蒸気消毒ないし焼却(この場合は弁償した)、
患者の隔離、死者はその場で火葬、患者が一人でもいれば同乗者は5日間隔離させ、
患者が完全にいなくなって初めて上陸させ、入浴させ、経過観察としたのだ。
防疫は国家の安全保障にかかわる問題である。防疫は国防の一部なのだ。
従って警察業務と厚生省業務がセットになって、ある程度の強制権を持たないと防疫はできない。
日本が(中国武漢省発の)コロナ禍において、後手後手に回ったのは、
GHQによる内務省の解体(ひとまとめだった建設省、運輸省、厚生省、警察庁、入国管理庁がバラバラにされた)と
省庁の縦割りによる日本弱体化政策の後遺症である。
・人類はいかにして細菌やウイルスと戦い、また共存していったか。
その歴史を振り返り、心に刻んでおくことは、次なるウイルスの脅威が世界を襲った時、必ず指針となるだろう。
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お金
・お金自体に価値は無い。価値があるのはそれによって交換できる物資やサービスなのだ。
お金とは、何とでも交換できる万能の有価証券に過ぎない。
お金とは、その国に流通する物資の供給力を映す鏡である。
・中央銀行の役割は、お金の乱高下が起きないように調節しながら、通貨を発行することで、
「安定した経済を保つこと」である。その為にいくらのお金を刷るのかは、「インフレターゲット」によって決める。
中央銀行が発行しているお金は、経理上『政府の負債(借金)』として計上される。
そのお金が国内を巡り、日々の経済活動に使われる。
・『国の借金(政府の負債)』が無い状態というのは、貨幣経済が破綻した(あるいは物々交換)社会のことである。
(自国通貨建ての)政府の負債は、国民の資産なのである。
・準備預金制度=銀行が、預金の一部を中央銀行に預けることを義務付けるきまり。
銀行は、残りの預金を次々にまた貸し(信用創造)することで、元の預金よりも大規模に貸付できる。
・マネタリーベース=中央銀行が発行した額
マネーサプライ=信用創造で増えて、実際に流通している額
・富裕層が本当に欲しているのは、お金ではない。
『ゴールドやプラチナ等の換金性の高い金銀財宝』『労働力を支配する企業の株式』
『土地や建物を含む不動産』『エネルギー政策上絶対に必要な、原油などの利権』を欲しているのだ。
その為に、彼らは、幻のお金が膨らみきった所で、そういう現物を買う。
現物を買い占めたしわ寄せは、全て貧困層に押し付けるのだ。
・悪意のある富裕層・金融資本の常套手段=信用創造→債権証券化→バブル崩壊→デフレ -
Posted by ブクログ
ギリシアって、哲学者の名前とかを覚えさせられるけど、なぜギリシア世界が衰退していったのかについてはあまり印象に残っていない。
本書はギリシア世界が衰退していく原因となったペロポネソス戦争中の演説を、トゥキディデスの「戦史」から集めて、まとめた本である。
「序章」ではペロポネソス戦争の史実について簡単にまとめてくれている。
ペロポネソス戦争は、ギリシアがペルシアを撃退した後の、アテネとスパルタの覇権争いで、ギリシア世界がアテネ派(デロス同盟)とスパルタ派(ペロポネソス同盟)に分かれた血みどろの内戦だ。
民主主義国のアテネと軍国主義的なスパルタの争いであったため、「戦史」の演説は今でもアメリカなどの民主主義国の演説でも引用されるとのことだ。
しかし、忘れてはいけないのは、民主主義国アテネは敗れたのだ。
「トゥキディデスはスパルタの節度あるふるまい、伝統を固守する姿勢、静かなる平和に満足する姿を強調することで、革新的だが請求で落ち着きのないアテネの姿を浮き彫りにしている」(p43)。
そもそもの開戦において、アテネには大義がなかったことを忘れてはいけない。
武力がなければ正義は守れないが、正義がなければ勝利を得ることができない肝に銘じなければならない。
当然、戦争継続中にも敗戦の原因はあった。
「トゥキディデスはまた、ペロポネソス戦争の敗因は、ペリクレスの後継者たちの失策にあり、彼らが公共の利益のためではなく、票集めに奔走したのが原因だったとしている。」(p40)
民主主義のもっとも愚かな側面である。
群衆とは概して賢明ではないのだ。
第1章、第2章ではペリクレスの演説が掲載されている。
戦争に向おうとする指導者は、群衆の正義感や故郷愛など心の敏感な部分をくすぐる術を熟知している。
しかし、大日本帝国のように負けると分かっている戦争を始めてはならないのだ。
戦争を起こすからには必ず勝たねばならない。戦争に負ければ国民は全てを失うのである。
戦争に勝つためには冷徹な判断力が必要である。
開戦すべきか否か、開戦して勝てるのか否か。
どのように心揺さぶられようとも、冷静な判断力を失ってはいけない。
第5章では大国アテネと小国メロス島の交渉の様子が描かれている。
アテネの大使は言う「正義という概念が物事を決定する要因となり得るのは、お互いが対等な条件にある場合に限られる。」(p166)
こうして、アテネが傍若無人に一片の正義もなくメロス島に降伏か滅亡の二者択一を迫る。
「大国は都合の良いときだけ国際法を守る。」(p229)
ドイツの鉄血宰相、ビスマルクの言葉である。
この言葉は今も昔も真実である。
我々はメロス島になってはならない。メロス島のような状況にならないよう、日々外交に励み、軍事力を強化する必要がある。
大国は自身に都合の良いときしか国際法を守らないのだ。小国を正義という抽象的な概念のために助けてくれるお人よしなど国際社会にはいないのだ(結局スパルタもメロス島を助けてはくれなかった。)
人間の愚かさは今も昔も変わらない。
せめて「戦史」を他山の石として、我々日本人がメロス島やアテネのように滅亡しないよう、知恵を磨くことが急がれる。 -
ネタバレ
・国や民族が、地球の表面の陸地に暮らしている以上、その位置関係は、おのずと、独自の意味をもってしまう。
・ハートランド:背後から攻められない場所。ユーラシア大陸中心部。
大陸では、四方八方から攻められる可能性がある。
もし、背後から攻められないと「確定」しているような場所があり、
そこに凶悪な輩が陣取ったりすると、
その「城」を拠点に次々と周りを落としていくことが可能になってしまう。
ハートランドの後ろは北極海のため、無人である。
背後を突かれる可能性がない。(海軍の侵入は不可能)
長期戦では、冬将軍の厳しい寒さの前に、異国の軍隊が攻め入ったとしても、
いずれ敗北を余儀なくされる。(陸軍の侵攻は困難である)
戦略的縦深(国境から首都までの距離)が長い。(ロシアの首都はモスクワ)
この理想的な防御陣地を押さえているのが、ロシアである。
・世界島:ユーラシア大陸全域およびアフリカ大陸。いわゆる「旧世界」。
・東欧を支配するものは、「ハートランド」を制し、
ハートランドを支配するものは、「世界島」を制し、
「世界島」を支配するものは、世界を制す。
・「もし、中国と朝鮮(韓国・北朝鮮)、そしてロシアが三位一体となり、そうやってできた大きな勢力が、日本を隷属させた時、世界中にとてつもない災厄が降りかかることとなろう。
なぜなら、そのとき彼らは、ユーラシア大陸中心部という戦略的絶対優位を確保し、大陸の資源を持つのみならず、海へのアクセスをも手にする事ができるからだ。」
・「もし、各国が中国と個別同盟を結んだ場合、最後は必ず裏切られ亡国へと至るだろう。かつて、秦(古代中国)が東南アジアの国々にしたように。したがって、中国を共通の大敵とみなし、東南アジア各国が結束して対抗しなければ、生存は覚束ない。」
・「ロシアは「世界島」の中心部(ハートランド)を押さえている。ここを発する大河は全て北極海か、内陸湖のカスピ海へ注ぐ。
海軍はハートランドへは侵入できない。
鉄道の普及がユーラシア大陸内陸部の移動を容易にしたため、ロシアの膨張は加速する。
ロシアの東欧支配を阻止し、地中海方面へのアクセスを妨害しない限り、生存は不可能だ。」