茂木誠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私のように地政学の地の字も知らない人間にはとてもわかりやすい入門書。これ一冊で、現在世界で起きている紛争や各国の思惑等の世界情勢への理解度がかなり深まった。アラブ人は国の概念が希薄で宗派と部族への帰属意識が強いことや、外交とは昨日の味方は今日の敵、永遠の友も、永遠の敵もない、あるのは永遠の利益のみというイギリスの格言。外交に無知すぎる自分が恥ずかしくなった。外交とはあくまで国対国で、決して個人対個人ではない。そこを見誤ると政治に翻弄されて本質を見誤ってしまう、とも感じた。
今までニュースの薄っぺらな情報に翻弄されていた自分が恥ずかしい。改めてワイドショーの害悪性、日本メディアの衰退にも危機感を持った。 -
ネタバレ 購入済み
左翼思想と近代文明の病
一部ご紹介します。
・ジャン・ジャック・ルソーの主張=①奴隷制に立脚した古代ギリシャの直接民主政を賛美。
②「個人の自由や財産」は全て国家管理とする。
③「公共の福祉」を志向する「一般意志」に、個人の意志である「特殊意志」が服従するべき。
以上の主張から導き出されたフランス革命が、粛清、財産没収、徴兵実施といった全体主義へ行き着いたのは当然の帰結であった。
ロシア革命はフランス革命の再現であった。
・戦争に正義はない。戦争を抑止するのは軍事力のバランスだけだ。
・ブッダの言葉「永遠の魂が、滅びゆく肉体に宿っているから、生きることは苦しみである」
「苦しみには原因がある。幻のごとき現世に執着すること(煩悩)が原因である」
「原因を断てば、苦しみは消える。この世への執着を断てば、苦しみは消える」
「原因を断つには八正道(正しい修行)がある」
「全ては移ろいゆく。怠ることなく修行に励め」
・唯物論者(共産主義者など)は、自然界を単なる「モノ」と看做し、
人間の利益のために徹底的に利用しようとする。
彼らが価値を見出すのは、経済的な豊かさ、物質的な利便さである。
確かにお金があれば、美味しいものをたくさん食べることができる。
夏は涼しく、冬は暖かく過ごすこともできるだろう。
しかし、栄養過多で生活習慣病が多発し、
僅かな寒暖の差にも耐えられない虚弱な人間を量産している。
そして根本的な問題は、どうあがいても人は最後には老いて死ぬ。
老と死は、肉体そのものの衰えと消滅だ。
肉体を安楽に保つことに慣れてしまった人が、老と死に立ち向かうのは容易なことではない。
・「合理的に生きる」ことと「良く生きる」ことは別の次元。
この部分を疎かにしてきたことが、近代文明の病。環境破壊然り、核兵器然り。
・プラトン「哲学をするとは、平然と死ぬことを練習することに他ならない。」
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Posted by ブクログ
地政学という観点から、2025年に韓国はなくなっているという近未来を予想するだけでなく、韓国・北朝鮮、アメリカ、中国、台湾、ロシアそして日本の歴史を振り返り、各々の立場からとるべき国策、なるであろう体制等をも網羅しており、非常に興味深く、是非ともこういった戦略的な視点を、日本の政治家達にも学んで欲しいと思える一冊である。
自分が普段から思っていることだが、そもそも日本人というのは何事も「綺麗好き」でありすぎ、それは単に環境的要因の影響に形成された国民的性格というだけでなく、どうしても現実的なリアリズムよりも、本書でいうアイデアイズムに偏りがちであろう。
例えば中国の抑えのため、北方四島のことを考えすぎてロシアと近づくというのは歴史的に、気質的に反発が必至であろうため難しのであろうが、多種なことで決断すべき時機を逸しがちで、現実的な手を施すことが出来なくなる忘却的な現代日本人の悪しき国民性を怖れるのみである。
本書を読んでいるうちに安倍首相が総理を辞することになったことから、次の方には現実的で、かつ長期的視野に立ち、各国と対峙していける人にリーダーとなってほしいと少なからず思った。 -
Posted by ブクログ
いや、びっくりするくらい面白い。
前半は東アジア、なかんずく朝鮮半島を中心とした歴史を「地政学」の考え方を絡めて駆け足で語っているので私にとっては、「そうそう、この著者、博識。かつ分かっていらっしゃる(事実の捉え方が)」と思いながら読んでいたのですが、白眉は後半。その歴史を踏まえて、「今後の見通し」を「日本が取るべき方向」まで含めてここまで…失礼ながら予備校の先生が…踏み込んで書いて(語って)らっしゃるとは正直思いませんでした。
「地政学」というしっかりとした「軸」を持って今後を予測されているので滅法面白い。見方も冷徹。シビアだが扇情的ではない。
著者の書かれた本、もっと読みたくなりました。 -
Posted by ブクログ
比較的理解しやすいアジアの地政学から入り、徐々に全世界に展開していく構成で読みやすい。
地政学と世界史、繋がりが非常に理解しやすかった。
以下学び
・地政学上では、国家は英米、日本などのシーパワーとソ連、中国などのランドパワーに大別される。この観点で冷戦や代理戦争などを見ると理解が容易。
・境遇が似ている国もある。朝鮮、ギリシアなどの半島国家は付け根の強国に命運を左右されがち。日本、トルコは急激な西洋化に苦しんだがその後は成功。
・拉致問題、領土問題はそれ単体では決して解決しない。二国間の関係性ではなく、他国の情勢が変化した際に初めて機が生まれる。 -
Posted by ブクログ
地政学という言葉を最近耳にするようになったが、私が学生だった30年ほど前には聞いたことがなかった。
それもそのはず、太平洋戦争の元となったスローガン?「大東亜共栄圏」構想は、この地政学に基づいたモノだったらしく、敗戦と同時に地政学は日陰へと追いやられてしまったようだ。
それが近年また注目されるようになったのは、同盟国アメリカの弱体化と自国最優先主義、膨張する中国の脅威といった日本を取り巻く不安定要素から、地政学の必要性が再認識されたからだろう。
地理と近・現代史が合わさった内容。
シーパワーとランドパワーなる言葉は、恥ずかしながら初めて知った。
島国日本人にはピンと来ない、それぞれのパワーの特徴や、半島国家の苦悩、民族・宗教と国境問題など、様々な国、地域の視点から検証している。
導入はマンガだが、分析などは図表や文章が多く使われている資料的な本である。
中国大陸を下に日本列島を上にして見た地図は、中国が海洋進出を試みる際に、日本がフタとなっていることがよく分かり、ほーっ!と唸った。
日本のこれからは、
①これからもアメリカの従属国
②ロシアや中国などの従属国
③独立国として自主防衛しながら世界各国との関係構築
の三択だろうと書かれており、「独自外交」と「集団的自衛権」を掲げる現首相の安倍氏は③路線だろうが、それは容易なことではなく、ともすると孤立を招くとも書かれていた。
世界を読み解くのに、この一冊はとてもよい足掛かりになると思う。学校でもこういったことを教えてほしいなぁ。2020.1.25 -
Posted by ブクログ
「地政学」をとおして歴史を眺めると、脈々流れる史実には、「なるべきしてそうなった」因果が常に糸を引いているように感じられる。
だから、この本の二十一世紀の第一四半期の予想シナリオは、現状からは見えてこないストーリーが描かれているが、読んでいると(各国の地政を俯瞰すると)、十分ありうると思えてくるから不思議だ。
「大陸史観」(ランドパワー)、「島国史観」(シーパワー)、「半島史観」という地政上の特性をDNAとして受け止めたうえで、それぞれがその地域、時代、リーダーによって志向する方向が変化していくのを観ていると、まるで生き物のように、それぞれの生存権を拡大したり、死守したり元の鞘に戻ったりしているのが判る。
考えてみれば、植物や動物にはその地の自然環境によって適応してきた種が生存している。人類は“種”という括りではひとつだが、その地の環境によって育んできたものがDNAに刻まれていてもおかしくはない。そう考えると「地政学」の重みもずっと増してくる。
そんなことを考える一方で、この本の描いた近未来(2025年)の先には、情報手段も、人の移動も、そして地球外世界との関係も影響を与えてくる未来がある。
そんな未来予想はこの「地政学」の領域を超えてくるのかもしれないとも考えたりした。 -
Posted by ブクログ
世界史をこれまでまともに勉強してこなかった身としては、根強く残る世界中の諸課題の背景について、少し理解できたような気がした。また、著者は世界情勢に対して強い問題意識・危機感(特に日本に対してかな?)を持っており、本書では著者の考えや解釈が強く主張されているように感じた。「◯◯は△△という国のやり方だ」といった表現など引っかかる箇所はあったが、そのような主張をされる根拠も説明されていたので、確かにそう言えなくもないかもなとは思った。「無責任な平和主義が国際紛争を抑止するどころか増長させることも、国際社会の現実なのです。」(p.193)という一文は一番印象的であった。歴史認識は人によっても異なってくると思うので、他の著者の文献とも読み比べたいと思う。
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Posted by ブクログ
日本国内のニュースは政治だろうが経済だろうが、登場する人物や場所になじみがあり、理解も容易だ。が、国際ニュースとなるとそうはいかない。過去をよく知らないトランプ大統領や習近平、金正恩やヨーロッパの移民問題や極右政党などがいきなり登場し、世界をにぎわせる。これらのニュースの表面だけをなぞってわかった気になるより、さらにそのネタを掘り下げれば、そのニュースの価値に気づく。その掘り下げとして世界史から学ぶことが必要だと、著者は説く。
トランプ大統領の行動を理解するためには、アメリカの2大政党や移民問題の歴史を知るべき。イギリスのEU離脱を理解するためには、イギリス連合やEUの歴史を知るべき。北朝鮮を理解するためには、北朝鮮建国や対中国との歴史を知るべき。
なんとなく理解していた気になっていた様々な国際ニュースが、その歴史的背景を知ることでより身近に感じられる。そして、最後に世界史専門家の著者による北方領土返還の予想分析。過去を学ぶことで、将来の予想もできるのだ。 -
Posted by ブクログ
ロシアは常に海への道を求めて南下を試み
中国は専ら北方民族の侵略と戦い続ける
陸地で隣り合う国同士は常に争い、お互いの脅威に晒され続け
海で囲まれたイギリスや日本は天然の障壁により戦略上の優位を持つ
朝鮮半島は常に中国からの侵略を受け、中国での政権交代と共に同様に勢力が交代する
朝鮮を侵略した豊臣秀吉を滅ぼした江戸幕府とは良好な関係を保ったが
江戸幕府を倒した明治政府とは必然的に敵対関係となった
日本が満州国を樹立したのと全く同じような方法で
フランスとイギリスがオスマン帝国(トルコ)にシリアとイラクを樹立した(サイクス・ピコ協定)
そのことが現在にまで続く中東各国の情勢不安の現況となっている
地政学という概念をわかりやすく伝えてくれ、近代史が単なる事実の積み重ねではなく
当事者の必然的な構造として説明される
各国の事情や行動が論理的に説明されとても面白かった。また必要に応じて読み返したい。