茂木誠のレビュー一覧
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私のように地政学の地の字も知らない人間にはとてもわかりやすい入門書。これ一冊で、現在世界で起きている紛争や各国の思惑等の世界情勢への理解度がかなり深まった。アラブ人は国の概念が希薄で宗派と部族への帰属意識が強いことや、外交とは昨日の味方は今日の敵、永遠の友も、永遠の敵もない、あるのは永遠の利益のみというイギリスの格言。外交に無知すぎる自分が恥ずかしくなった。外交とはあくまで国対国で、決して個人対個人ではない。そこを見誤ると政治に翻弄されて本質を見誤ってしまう、とも感じた。
今までニュースの薄っぺらな情報に翻弄されていた自分が恥ずかしい。改めてワイドショーの害悪性、日本メディアの衰退にも危機感を -
ネタバレ 購入済み
左翼思想と近代文明の病
一部ご紹介します。
・ジャン・ジャック・ルソーの主張=①奴隷制に立脚した古代ギリシャの直接民主政を賛美。
②「個人の自由や財産」は全て国家管理とする。
③「公共の福祉」を志向する「一般意志」に、個人の意志である「特殊意志」が服従するべき。
以上の主張から導き出されたフランス革命が、粛清、財産没収、徴兵実施といった全体主義へ行き着いたのは当然の帰結であった。
ロシア革命はフランス革命の再現であった。
・戦争に正義はない。戦争を抑止するのは軍事力のバランスだけだ。
・ブッダの言葉「永遠の魂が、滅びゆく肉体に宿っているから、生きることは苦しみである」
「苦しみには原因がある。幻のごと -
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地政学という観点から、2025年に韓国はなくなっているという近未来を予想するだけでなく、韓国・北朝鮮、アメリカ、中国、台湾、ロシアそして日本の歴史を振り返り、各々の立場からとるべき国策、なるであろう体制等をも網羅しており、非常に興味深く、是非ともこういった戦略的な視点を、日本の政治家達にも学んで欲しいと思える一冊である。
自分が普段から思っていることだが、そもそも日本人というのは何事も「綺麗好き」でありすぎ、それは単に環境的要因の影響に形成された国民的性格というだけでなく、どうしても現実的なリアリズムよりも、本書でいうアイデアイズムに偏りがちであろう。
例えば中国の抑えのため、北方四島の -
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いや、びっくりするくらい面白い。
前半は東アジア、なかんずく朝鮮半島を中心とした歴史を「地政学」の考え方を絡めて駆け足で語っているので私にとっては、「そうそう、この著者、博識。かつ分かっていらっしゃる(事実の捉え方が)」と思いながら読んでいたのですが、白眉は後半。その歴史を踏まえて、「今後の見通し」を「日本が取るべき方向」まで含めてここまで…失礼ながら予備校の先生が…踏み込んで書いて(語って)らっしゃるとは正直思いませんでした。
「地政学」というしっかりとした「軸」を持って今後を予測されているので滅法面白い。見方も冷徹。シビアだが扇情的ではない。
著者の書かれた本、もっと読みたくなりました。 -
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比較的理解しやすいアジアの地政学から入り、徐々に全世界に展開していく構成で読みやすい。
地政学と世界史、繋がりが非常に理解しやすかった。
以下学び
・地政学上では、国家は英米、日本などのシーパワーとソ連、中国などのランドパワーに大別される。この観点で冷戦や代理戦争などを見ると理解が容易。
・境遇が似ている国もある。朝鮮、ギリシアなどの半島国家は付け根の強国に命運を左右されがち。日本、トルコは急激な西洋化に苦しんだがその後は成功。
・拉致問題、領土問題はそれ単体では決して解決しない。二国間の関係性ではなく、他国の情勢が変化した際に初めて機が生まれる。 -
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地政学という言葉を最近耳にするようになったが、私が学生だった30年ほど前には聞いたことがなかった。
それもそのはず、太平洋戦争の元となったスローガン?「大東亜共栄圏」構想は、この地政学に基づいたモノだったらしく、敗戦と同時に地政学は日陰へと追いやられてしまったようだ。
それが近年また注目されるようになったのは、同盟国アメリカの弱体化と自国最優先主義、膨張する中国の脅威といった日本を取り巻く不安定要素から、地政学の必要性が再認識されたからだろう。
地理と近・現代史が合わさった内容。
シーパワーとランドパワーなる言葉は、恥ずかしながら初めて知った。
島国日本人にはピンと来ない、それぞれのパワーの -
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「地政学」をとおして歴史を眺めると、脈々流れる史実には、「なるべきしてそうなった」因果が常に糸を引いているように感じられる。
だから、この本の二十一世紀の第一四半期の予想シナリオは、現状からは見えてこないストーリーが描かれているが、読んでいると(各国の地政を俯瞰すると)、十分ありうると思えてくるから不思議だ。
「大陸史観」(ランドパワー)、「島国史観」(シーパワー)、「半島史観」という地政上の特性をDNAとして受け止めたうえで、それぞれがその地域、時代、リーダーによって志向する方向が変化していくのを観ていると、まるで生き物のように、それぞれの生存権を拡大したり、死守したり元の鞘に戻ったりし -
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世界史をこれまでまともに勉強してこなかった身としては、根強く残る世界中の諸課題の背景について、少し理解できたような気がした。また、著者は世界情勢に対して強い問題意識・危機感(特に日本に対してかな?)を持っており、本書では著者の考えや解釈が強く主張されているように感じた。「◯◯は△△という国のやり方だ」といった表現など引っかかる箇所はあったが、そのような主張をされる根拠も説明されていたので、確かにそう言えなくもないかもなとは思った。「無責任な平和主義が国際紛争を抑止するどころか増長させることも、国際社会の現実なのです。」(p.193)という一文は一番印象的であった。歴史認識は人によっても異なって
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日本国内のニュースは政治だろうが経済だろうが、登場する人物や場所になじみがあり、理解も容易だ。が、国際ニュースとなるとそうはいかない。過去をよく知らないトランプ大統領や習近平、金正恩やヨーロッパの移民問題や極右政党などがいきなり登場し、世界をにぎわせる。これらのニュースの表面だけをなぞってわかった気になるより、さらにそのネタを掘り下げれば、そのニュースの価値に気づく。その掘り下げとして世界史から学ぶことが必要だと、著者は説く。
トランプ大統領の行動を理解するためには、アメリカの2大政党や移民問題の歴史を知るべき。イギリスのEU離脱を理解するためには、イギリス連合やEUの歴史を知るべき。北朝鮮