為末大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分で考え、自分の考えを信じ、繰り返し実践する。
これを尋常でない錬度で、深く強く行っている。
見習いたい。
以下抜粋。(簡略抜粋もあり)
「欧米、アフリカ人はおおむね骨盤が正面向き。日本人の骨盤はやや上向き。そのため日本人が欧米人と同じ方法で走ると、前へ進む力が斜め上へ逃げてしまいがち。」(P.26)
→そこで「イメージとしては、滑りやすい学校の廊下を滑らないように走る、あの感じ。ある意味は、能の舞で見られる、あの摺り足のイメージです。」(P.27)
『何万回、何十万回と着地する中で、地面に着いた足の上に骨盤が乗り込み、股関節のあたりに地面を踏んだ感触が直接に伝わってきて、体がスムーズに前へ進んでいく感覚をつかんだのです。
今までとはまったく違った感覚でした。今までなら、着地したときに地面から跳ね返ってくる圧力は膝にきていたのです。それが、膝を通り越して、股関節に来ました。』(P.29)
「世界一を現実のものとするためには、ハードルを越える技術でのさらなる上積みを望むよりも、フラットレースでのスピード強化したほうが効率が良い、と判断して、ハードル練習を封印したのです。」(P.32)
「スポーツでも大事なのは、クリエイティブな力です。問題点を自分を分析し、どう対処すべきかを試行錯誤していく、柔軟な発想とたくましい行動力です。」(P.69)
『誰もがやっていて、だれもがそれなりに効果が得られると思われるトレーニングと、他の人はやってないけど、自分には大きな効果があると期待できるトレーニング、大きく分ければこの二つがあるのです。』(P.81)
『行けるときには、後先考えないで行けるところまで突き抜ける。風が吹いてきたら、その風に乗っかって、自分でも考えていなかったところまでも運ばれていく。ちっぽけな人間の力では推し量れない何かに身を任せてみる、ある種の潔さを持っていると、勝負の世界というダイナミズムの中で、日本人はもっと活躍できるのではないでしょうか。』(P.85)
『2003年秋には、入社して1年半しか経っていない大阪ガスを辞めました。サラリーマンという安定した環境にいたのでは、世界のトップクラスに太刀打ちできない、と感じたためです。自分を追い込んで彼らと同じ土俵に上がらなくては、まずメンタルで迫力負けしてしまう。それを恐れたのです。』(P.88)
『食事に行く時間も惜しくて、グラウンドに座り込んでササミを食べていると、ああ自分は生きている、頑張っている、という確かな実感に包まれたものです。』(P.90-91)
『私たちアスリートは、失敗したときのことをあらかじめ計算する暇があったら、どうすれば自分の潜在能力を最大限に爆発させられるか最優先して考えるべきです。』
(P.91)
「100mでそれなりの記録を残した選手が、200m、400mを走るようになり、さらに400mハードルを本業にするといったケースは異例なのです。
それが心の支えになりました。常識を打ち破るチャンスを得たのだ、と私は自分に幾度となく言い聞かせました。」(P.106)
「遠回りすることだってありますが、どんな失敗をしても、必ず自分のレベルにまで原因を落とし込む作業を繰り返していくと、同じ過ちを犯さなくなるのです。原因と結果が自分の中で結びついて、改善策がクリアに見えてきます。
人間が一番痛いと思うのが自己嫌悪です。そして、その他の何よりもその痛みが、同じ間違いを繰り返しさせません。それこそがトレーニングを洗練させるのにもっとも重要なことで、自分がそれを選択したという過去が必要なのです。
自分には何が足りないのか。それを解決するためには、何をすればいいのか。
それを自分の脳で突き止めた上で行うトレーニングは、上から降りてきたメニューをこなしている場合とは、効力が雲泥の差になるのです。」(P.108-109)
「私は、自分で考えるという最高に面白い作業を、もったいなくて人には渡したくないのです。」(P.108-109)
「ファッションモデルの歩き方を取り入れたモデルウォーク走法。両足を一直線上に進める、あの独特な歩き方をするとスライドを広げられることに気がついたのです。実際にこれを試してみると、一歩につき1cmの距離を稼ぐことができました。たった1cmと思われるかもしれません。けれども、400mハードルのレースを走ると私の場合163歩かかるのですから、スピードがそのままなら163cm分早くなるのです。」(P.113-114)
「私はどんなに意識が朦朧としていても、9台目、10台目への15歩は体が自然に正しい反応をしてくれるようになっています。」(P.132)
『満潮の後には潮が引き始め、干潮の後には潮が満ち始めます。そういうバイオリズムが自分という小世界の中にもあるのではないかと感が手います。』(P.155) -
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Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」
著:柳川 範之 ・ 為末 大
アンラーンは、学びの否定ではなく、これまでに学んだ知識や身につけた技術を振り返り、さらなる学びや成長につながる形に整理し直すプロセスである。学びによる知識や経験をよりよく活かし、長いスパンで活躍し続けるための、とても重要なステップである。
言い換えるとすれば「これまでに身につけた思考のクセを取り除く」と言える。
まだ何も学んでおらず成功体験もない人間にはアンラーンのインパクトは大きくない。アンラーンがほんとうに必要なのは、何かの学びを得ていて、それなりに成功体験を持っている人である。
本書の構成は以下の4章から成る。
①学びの本質を高める方法 アンラーンとは何か
②実践アンラーン 自分を新しく学べる状態に整える方法
③アンラーンを阻む 7つの壁と、乗り越え方
④アンラーンを人生とキャリアの武器にする方法
アンラーンはやらされるものではなく、自分で気づいてやるという自発的なものでないと失敗する。アンラーンの必要性を理解し、変わる必要性と人の意見を聞く耳を持ち、違った世界を受け入れる感性があって初めて土台に立つことが出来る。
表面的な変化では効果も持続性も低いかもしれないが、変わるのは日頃のちょっとした行動であり、スモールステップでこんな方法もあるかも、と何でも少しだけ先を見据えて変化を受け入れるだけでも人はその行動と少しの成長の積み重ねで大きく変わる機会を得る。
アンラーンで余白と選択肢を広げ、チャンスに備える。今の改善ではなく、未来につながる改善を感じ取ることができた時に習慣となり、人生は好転することになる。
著者の一人である為末大氏はアスリートである。説明によく出てくるスポーツを介した比喩はシンプルではあるものの本質をついた表現であり、他書物と同様本書においても比喩での説明は納得性の高いものであった。
アンラーンを体現し、さらに成功をつかみとっている著者二人の言葉は重みが違う。 -
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2026年
作品 No.13
数年前の自分だったら嫌悪感を抱いた本だろう。
努力しても無意味なことがあり、人間は何にでもなれるわけではなく、生まれながらに決まっていることがあるという事実を嘘偽りなく書いている。
かつて努力教信者(努力は素晴らしく、成果よりも努力を重んじる人の例え)だった私は、努力している自分に陶酔していた。そして、結果が出ない現実から目を背けてきた。
しかし、為末大さんは、その現実と向き合い、さらにそれを社会に広めようとしている。
少しは経験を積んだから分かる。
だからこそ、自分が勝てるフィールドを選択していくこと、そして、自分にとっての勝ち(“価値”)は何かを常に問い続けていく必要がある。 -
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ネタバレ「学習においてなぜ身体性がなぜ大切なのか」という問いのヒントになるかと思い本書を手に取った。読み終えて振り返ると、答えは大きく2つに整理できると思われる。
ひとつは記号接地。抽象的な概念を生活や経験と結びつけ、実感を伴って理解することで、初めてその概念を自由に操作できるようになるという視点である。
もうひとつは熟達のあり方。熟達とは多様な状況にほぼ無意識に対応できる力であり、熟達するためには、言語的な学びだけでなく、身体化していく必要があるからだろう。
どちらも結局は「身体で学ぶこと」が、学びを柔軟に応用できる土台になる、という話なのかもしれない。
今井むつみさんの著作はこれまでも読んできたが、改めてその考え方の重要性を実感した。授業をつくる上でとても大事になる。 -
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「できるようになる」ということについて言葉・言語の専門家である今井むつみさんと、アスリートという身体の学びの専門家である為末さんの対談書。身体の学びには言葉が、言葉をはじめ学問的な学びには身体がそれぞれどのように関わっているのか、お互いの専門領域や経験を踏まえた解説、比喩、そして問いかけが絶妙なバランスで知的刺激が大変心地良い対談でした。為末さんの『熟達論』も続けて読むつもりですが、私が考えたいのは「コンサルティングなどの組織支援、組織開発等を適切にできるようになる・育成する」であり(アスリート的な文脈とは異なる仕方だが)身体もことばも両方使う職種なので、本書の横断的な視点が重要なのかなと思う。『熟達論』が終わったらもう一度戻ってこよう。
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タイトルにひかれて。対話形式で読みやすかった。
自身がずっとプレーヤーだったけどこんな色々考えてなかったしどちらかというと思考停止で嫌々プレーしてたことのほうが多かったなあと色々思い出した。
ありきたりな感想っぽいけど幼い頃から客観視、俯瞰できるスポーツ選手が活躍できるし伸びるんだな
高校生という大人と子どもの狭間の監督をする大変さもよくわかった。
どんなスポーツでも、軍隊のように統一されてるチームが勝てるかというと必ずしもそうでもないし、その枠から放り出された元隊員は生きづらさを感じるんだろうなあとよく思うことがあったけど、この本にはよくそういうことが書かれてた。主体性や考える力とことばにすれば簡単だけど、そういう力は時代が変わっても生き残れる力だと思った。
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為末さんの実践経験に基づく疑問を、今井さんが学問的に表現していく。対談形式は読みやすくわかりやすい。
人的資本と言われ、人財に注目が集まる昨今。わかる、熟練するということはどういうことで、そこを目指すためには何をどうすればよいのか、考えている組織が多いと思います。この本、とても示唆的です。
リスキリングとして、野放図に雑多な動画コンテンツを揃える。これはだめだと確信しました。役割期待と目指すべき到達点を明示し、必要となるスキルを可視化し一覧性を高める。一方で、情報が多くなりすぎないようスキルは絞る。実践を前提として。実践は、復習要素も入れて段階的に高度化していき、目指すべき水準まで様々に経験させる。この一連のプログラムまで揃えて、リスキリングですね。
実践を科学する時代で、ビジネスもスポーツも根っこは同じなんですね。