大西康之のレビュー一覧
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ちょうど仕事で流山おおたかの森に行く機会があって、ちょっと街に興味を持っていた。流山市は、ほかにも本が出ているくらい、街づくりの成功事例として注目されている。
この本を読んで感じたのは、大きな転換点である「つくばエクスプレス」開通はもちろん重要だったと思うが、それだけでここまで注目される街づくりに発展したわけではないこと。行政に民間の思想を取り入れたアプローチや、地域を盛り上げていこうとする個人・企業の存在があって、そこに感化された人々が次の変化を起こしていくという循環ができたのは理想的だなと思った。
あとがきで筆者も書いているが、何か特別な施策を行ったとか、すごい景勝地があったとかそういうものではなく、市民を巻き込んでやるべきことをやって変化を起こした、ということに尽きるんだけど、それが簡単ではない。
画一的な大手チェーンに頼らない、可能性を引き出す街づくりは今後も重要になると思う。 -
Posted by ブクログ
流山市民です。自分の住む流山市に関する本が売れているということで興味を持ち、本書を購入しました。
良かった点としては、普段から利用している流山市の施設や鉄道が、過去どのような歴史や人々の努力で作られたかが分かることです。つくばエクスプレスの駅の誘致から、ショッピンングモール、物流センターなど身近なものがどのようにして作られたかを知ると、少しこの街への愛が増しました。つくばエクスプレスの開通は確かに幸運でしたが、その幸運を逃さずに多くの人々がそれぞれの場所で努力した結果、今の人口増加に繋がっていることがよく分かりました。
ただし、流山市にお住まいでなく、市政や都市開発に興味がない方にとっては、そこまで楽しく読めるかは分かりません。また、自分は子どもが居ないので分かりませんが、子育て支援に関する施策に事実と異なる点があるという他の方のコメントが少し気になりました。
総評としては、情報が新しく流山市に住む人にとってはとても身近で、楽しめる本になっていると思います!そうでない方も、市政や都市開発に興味のある方は楽しめると思います!
一市民として、これからの流山の発展を願っています。 -
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バブル期以降の街づくりは、可処分所得の多いDINKS(共働き子なし)がターゲットだった。
それだと住民の高齢化に伴い街も衰退する。
そもそもDINKSは街に思い入れがないため、廃れた街は見捨てて出て行ってしまう。
(いまの日本の多くの街でこの現象が起きているように感じる)
そこで、流山市ではDEWKS(共働き子持ち)をターゲットに据えた。
こどもがいると余程のことがない限り出て行かないし、次世代にもつながるのだろう。
この本を読むと、(実際はそんなことないが)流山がとてもすごい街に思えてくる。
「6年連続人口増加率全国トップ」は事実かもしれない。
しかし自分の実感としては、かなり誇張しているように感じる。
負の側面も書かないとフェアでない。 -
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ネタバレシャープ技術担当専務→副社長の佐々木力さんについての本。
カシオとの電卓戦争でシャープの陣頭指揮を執り、のちに電子工学の父とも呼ばれた人物。
戦時中の殺人電波の研究、電卓戦争の話、アポロ計画に携わりロケットササキと呼ばれるまでになった話、孫正義やジョブズとのエピソード、内容が濃くて面白かった。
以下は備忘録がてらメモ。
アスキー創業者でパソコンの天才と呼ばれた、西和彦さんから、
カリフォルニア大学バークレー校に面白い日本人がいると聞き、のちのソフトバンク孫正義に会いに来た。
その際、スティーブ・ジョブズにも出会った。
早川電機(現シャープ)に移籍して2年した際、電卓「CS-31A」を35万円で製造出来るようになったが、
まだ乗用車一台分の値段で、これよりいかに安くしたら良いか模索していた。
その時、新工場が出来、独身寮は既にあったが、それでも人が足りずに、家族持ちも採用出来るよう家族寮を建てるための図面を総務が持って来た、
それを見て、IC回路と似通っていることに着想を得て、MOSという新しいタイプの半導体を使えば出来ることに気がついた。
ただ、それは開発されたアメリカでも使い物にならず埃をかぶっていたもので、扱いにくく量産は無理と言われていた。
そこで逓信省の人を熱心に説得し、メーカーが生産できるなら良いと承諾を得た。
そしてメーカー側は日立、三菱電機、日本電気、東芝などなど、どこもどうなるか分からない技術に設備投資出来ないと断られた。
だが、継続してアプローチを続けた結果、三菱電機の担当役員を口説き落とした。
ただ、半導体の第一人者である教授の入れ知恵で、社長ストップがかかってしまい、早川電機は予算を取っているのに日本の半導体メーカーを口説き落とせなかった。
そのため佐々木さんはアメリカのメーカーをなんとかして見つけようとした。 -
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関西からは、流山はひどく遠いところにある。どういう土地なのか、イメージが湧きづらいのだが、この本が描くイメージはビビッドだ。
街クリエーターやイベンターの手柄話ではないのが良い。ジャーナリズムの専門家であり、住民・当事者でもある筆者の自分事としての熱量が伝わってくる。
生き生きとした街を維持するのは、行政と住民のコンビネーション、ビジョンがうまく繋がって回ることが必要だということがわかる。
ただ、流山も、今は良いかもしれないが、全ての世代、全ての生業にとって、幸せな街なのか、今後もそうあり続けるのかどうか。今のインフラ・アセット、住民はやがて変性していく。CITYは時間的に連続した実体だ。そのとき、街はどうなるのか、を考えておくほうがいいだろう。 -
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<目次>
第1章 保育の楽園を生んだ奇跡
第2章 ヒューストンからやってきた市長~井崎美治物語
第3章 市議になるなら流山~近藤みほ
第4章 「母になるなら、流山市。」~流山改造計画
第5章 「千葉のニコタマ」はこうして出来上がった
第6章 起業するなら流山~和菓子店の女主人は31歳
第7章 流山は1日にしてならず~角栄を口説いた男・秋元大吉郎
第8章 野菜買うなら流山~有機農法の鉄人・小野内裕治
第9章 天才サッカー少年が球団社長になるまで~流山FC・安芸銀治
第10章 東京ドーム30個分の「EC神殿」が1万人を雇用する
<内容>
近年すこぶる評判の高い流山市。千葉県以外からは今ひとつの知名度だと思うが、つくばエクスプレスがすべてを変え、今は住みやすい街のひとつである。市長の話から、地域で活動する人々を実名で紹介するルポ。もちろん、ひいき目に書かれている(なんで著者も流山市民)ので、なんぼか引いて考えないといけない。それでも、斬新な発想がいくつも隠れていると思う。いわゆる「既得権」や「先入観」を如何に追い払かが大切なのだ。 -
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ネタバレ官僚的で腐敗した巨大組織を根本から立て直すために必要な思想と行動が凝縮されている。
・まずはリーダーのマインドから。1日3時間の研修を月に17回開催(全て内製)。稲盛はそこで「利他の心を大切に」「嘘をつくな」「人をだますな」といった精神論を話し続けた。少しずつ、言い訳ばかり上手かった幹部に、責任感が芽生え始める。最終的にはJALの3万2000人を変えた。
・従業員の幸福追求を目指すため、組合とも本気でぶつかる。
・利益と安全。両方を追求する。シーソーの支点を持ち上げる。
・アメーバとフィロソフィは車の両輪。アメーバは仕組み、フィロソフィは考え方。 -
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会社更生法を適用されたJALの再生に、「晩節を汚すからやめておけ」と周囲に言われながらも奮闘した稲盛和夫の経営者人生最後の闘いを描いたドキュメント。大西康之氏は企業もののドキュメンタリーの名手として私が愛好する作家さんであり、最近は『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』がベストセラーになっています。稲盛和夫の考え方や行動指針がJAL再生という壮大なテーマの中で具体的に描かれており、特に大企業においてこれからリーダーを目指す人にとっては非常に参考になる内容と思いました。
稲盛和夫を言い表しているのは、エピローグにある以下の部分だと思います。
”20代から80代まで「静」と「動」が同居し続けた稀有の人物。それが稲盛和夫である。「静かな思想家」だと稲盛を思ってみればいささか生臭いし、エネルギーにあふれた「動の経営者」だと思って接していると、「リタの心」を説かれて驚かされる。(中略) 稲盛が持つ「静」の部分は社員への愛情、「動」の部分は事業への闘志と言い換えることができる。”
私自身も稲盛和夫を尊敬していますが、どうも「利他の心だ」「利害に流されるな」といった言葉ばかりが先行し、精神論が好きな人たちばかりが信奉している印象があり気に入らない点もありました。そんな中、利他の心を持つのはビジネス上の大義を考える時であって、やると決めたら数字は納得いくまで細かく見るし、間違った考え方は嫌われてでも正すなど心を鬼にしてやり切る、という本書の整理は非常に腹に落ちるものでした。
逆に、どんなに心を鬼にして事業を前に進めることに徹したとしても、現場の声に耳を傾けることに時間を惜しまないこと、会社や社会に貢献するために自分の利害を捨てること、各社員の成果や行動を深く知りフィードバックをすること、会社で起きていることを数字で可視化して細かく理解してPDCAを回すこと、などの利他の心は大前提として持っておけるよう意識を深めたいと思いました。利他の心を知るためには、以下の部分が参考になります。
”皆さんの中には、楽をして儲けたい、有名になりたい、と言った利己心や邪な心があるでしょう。それが人間として普通の状態です”
”しかし、皆さんの中にはもう1つの心があります、不平不満を言わず、人様によくしてあげようという美しい心。良心です。利他の心とも言います”
”それは、努力をして呼び覚まさないと出てこない。心を整理して、浄化して、良心を目覚めさせなければなりません。大義のために苦労をしましょう。そうすればきっとすばらしい人生が開けてきます”
また、彼がJAL再建を引き受けた動機も非常に印象的で、3つの大義を挙げています。
①2万人近くの人員削減を実施した後に残った32,000人の雇用を守ること
②日本の航空業界を健全な競争がない独占状態に陥ることを防ぐこと
③JALの再生失敗が与える日本経済への悪影響を食い止めること
どれも自分の名声や成長などのためではなく、会社の、そして社会のためにモチベーションを高めていたことがよくわかります。
また、アメーバ経営についても触れておきます。稲盛さんの実践するアメーバ経営は、組織を情報と目的を共有できる10人程度の小集団に分け、この単位で具体的な経営指標を設定してPDCAを繰り返していくというもの。徹底的に透明性を重視するOKRの精神と一つ一つの行動を数字で評価し改善する管理会計の手法をMixしたようなイメージです。また、見える化した数字を見て行動にまで落とし込む、経営者の精神を一人ひとりに求めていたのも特徴です。
”なぜ収入が減ったのか。なぜ費用が増えたのか。数字にはすべて理由があるはずだ。それが分かれば、次の手が打てる。だが天気や景気のせいにした説明では、対策の立てようがない。
(中略)
「・・・という理由から、今月は収入が減っております」
「で」と稲盛。
「減ったのは分かった。だからどうするんや」
「それは、その・・・」
「おまえは評論家か!」
先月と今月の数字の変化を把握し、その原因を突き止め、対策を練り、翌月の見直しを立てる。そこまでやらなければ、稲盛は納得しない。”
これを見て、自分が2〜3年目でやっていた「収保速報」という売上高の速報値をまとめて上に報告する業務で当時の鬼上司から「大口増減を知るためにやっとるんちゃうぞ」と言われたことを思い出しました。自分は「とにかく正確な数字とその原因を示さなきゃ」という思いでやっていたわけですが、それは「あとは経営にお任せします」と言わんばかりのフォロワー気質だったなという反省が募ります。あの時の自分が「数字上こういう傾向があるので、さらに現場に聞いて深掘りしたところ、こう考える顧客が増えているようです。したがってこうして行きたいのですがどうでしょうか?」と言えていたら、もっと重要なPJTを任せてもらえたのかもしれません。
最後に、印象的な抜粋をもう一つ。
”利益がなければ安全のための投資も、路線の維持もできない。利益のために安全を犠牲にしろというのではない。安全のために利益が必要なのです。”
これは本当にそのとおりで、「自分たちがやりたいこと」のためには絶対に利益が必要なんですよね。でも大企業にいると「与えられた予算だし」とか「ここはお金使っていいや」とかともすれば「なんで予算を減らすんだろう、ケチな会社だ」とすら思ったりします。しかしそれは完全に経営者視点から逸脱している。常に会社がやりたいこととそのために必要な行動に目を向け、徹底的にやる。その先で、「やりたいこと」を見つけて投資していく。ただ文句を言うのではなく「何が課題でそのためにこれをやっているんだ」「だったらこう言うやり方の方がいいんじゃないか」などPDCAにつながる言動を意識して行きたいと感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ経営破綻に陥ったJALの再建に挑んだ、経営者稲盛和夫の「最後の闘い」に関する取り組みから稲盛自身の考え、そしてなぜあの短期間でJALが黒字企業になることができたのか、稲盛が築き上げてきた集大成の一部始終が紹介されている本である。
JAL再建においては特に稲盛の「アメーバ経営」と「フィロソフィ」、そして企業再生支援機構による適切な融資、そしてアメーバ経営、フィロソフィによって動いたJAL関係者の3つすべてが機能したことによる見事な再建劇であったことがわかる。
特に「アメーバ経営」と「フィロソフィ」は、まさに稲盛の「動」と「静」を具現化したものである。
「アメーバ経営」によってJALの収支は見える化し、競争意識や当事者意識が生まれ、それを支える意識や考えの部分を「フィロソフィ」が補う。
まさにこの2つは両輪であり、揃って初めて稲盛の経営が動き始める。
経営に対して疎い私としては、敏腕を持つ素晴らしい経営者稲盛和夫の姿以上に、
彼が作り上げた稲盛哲学を説く思想家としての稲盛和夫の姿が印象に残った。
彼は会長となってはじめに役員に対して彼自身の考えを説き、役員の考えを改めさせた。説明に明確でない点があれば、徹底的に追及をした。
一方で、社員に対しては「経営の目標は、社員の物心両面の降伏を追求することです。」と語り、所々に社員への感謝と配慮が伺える。これこそが社員を家族、実の子供であるとする稲盛の考え方である。
だからこそ、役員に対してはより厳しく指導し、家族を守るというその責任を自覚させる。
京セラ、KDDIと2つの大企業を作り上げた経営者であるにもかかわらず、決しておごることなく、当事者の目線に立つことができる、そしてその哲学を持つ稲盛の哲学はいかなる立場の人であっても、生かすことのできる考えである。
一方で、連合艦隊司令長官である山本五十六の言葉、「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」。これを20代から実践していたとされている稲盛であるが、Twitterでは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、やっぱダメだわ 俺が動くわ」というツイートに3.2万ものいいねがついていることを考えれば、これをすることがどれほど困難な道であるのかがわかる。
読んで素晴らしいと感じることは誰でもできる。多くの人は既にそれを実践している、しかし挫折している。綺麗ごとではなく、言葉の裏に隠れた我慢、忍耐こそが稲盛の本当のすごみであると私は感じた。
「動」(独占を嫌いKDDIを作り上げ、再建の手本とするためのJAL再建)と
「静」(独自に作り上げられた自身の哲学)は、ほとんどの場合両立することは難しく、「動」があれば「静」は失われ、「静」があれば「動」は失われるとされている。
私は大きな人生の目標として「動」と「静」の両立を掲げたいと思う。