大西康之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
稲盛和夫によるJAL再建はあれよあれよという間にV字回復を遂げて完了してしまったという印象だったが、大変な苦労、葛藤が当然にあったわけでその内幕を詳細に教えてくれる本書は迫真のドキュメンタリーであり、極上のリーダー論である。腐りきった巨大官僚組織の再建はとてつもない難事業で、カリスマ性と哲学、信念のある稲盛氏でなければ到底無理だっただろう。
稲盛氏の自著はたくさん読んできたが、他者による評伝は氏のパーソナリティ、生き様を客観的に鮮やかに伝えてくれる。若くして創業し従業員たちの人生を背負い始めた時から心と信念を磨き続けてきた80歳稲盛氏のJAL再建は、稀代の名経営者の最後の大仕事であり、日本社会 -
Posted by ブクログ
著者は日経新聞から独立した方。東芝3分割というニュースを聞いて読んだが、電機業界の構造や動向が詳しく解説されている。
日本の通信市場は、1985年の通信自由化まで日本電信電話公社の独占で、国民から集められた電話料金は設備投資の形で、電電ファミリー(NEC、富士通、日立、東芝、沖電気)に流れた。
NTTドコモは、第3世代携帯電話(3G)の国際的な通信規格が出来上がる前にFOMAのサービスを国内で始めたが、欧州、アジアでは2Gと兼用のデュアルタイプを選んだため、日本のメーカーは海外から撤退することになった。2007年にiPhoneが登場した後も、ドコモはiモードを存続させる姿勢を続けたが、20 -
Posted by ブクログ
ネタバレ平成の30年間は日本経済衰退の時代である。「喪われた30年」
マクロ経済の分析は多いが、ミクロからアプローチしたのが本書
当然リアリティはより高い。
思うに主要産業について「平成の産業史」を総括するべきと思う。
マクローミクロを一体で理解して初めて実相が判る。
結局日本経済は、①官の統制と保護②大企業のフルセット③ガラパゴスなどにより主要企業が保護されて維持されてきた。
グローバル化の中で事業基盤が崩れてきていても、直視せず、従来路線の堅持、既得権の保護にあぐらを掻いてきた。むしろ困難な状況になるほど国頼みで自ら弱体化の道を選んだ。
家電業界、個々の個性はあるものの、根本は
①電力ファミリー -
Posted by ブクログ
今すぐ多くの人が読むべき本
個人的には一年ぶりくらいに最高の本に出会った
リクルートという会社の成り立ち、江副という創業者の凄まじさ、日本の国際的なプレゼンスの低下など、様々な要素が詰まっている本で、今すぐにでも多くの人に読んで欲しい本。
改めて、人を大切にしなければいけないのだと感じさせられた
ーーーーーーーーーーーーーーー
〈日本は、建前は資本主義だが、実質はマルクスが理想とした、人々の均質な生活を良しとする統制経済の国となった。いまも日本は、建前は社会主義、実態は市場経済という中国やロシアとは、逆のパターンになっている〉(『かもめ』)
→日本をこのように捉えているのは、個人的には非常に -
Posted by ブクログ
稲盛さんの迫力に奮い立たされるところがある。JALの大企業官僚体質からの問題点は、じぶんの勤める大企業の問題ともオーバーラップする。マネジメントではなく、リーダーシップを経営陣がどうもつか、そして、現場社員ひとりひとりが経営の視点をどうもつか、ここが仕組み化されるところまでいって、利益体質の企業がうまれるのだと感じた。稲盛さんの人間性の魅力は、徹底した数字へのこだわり、利益への追求が、最終的に社員の幸せにベクトルが向いてるところ。株主還元にいきがちなところを、社員幸福に向けての徹底した利益追求になってるのが特徴的。
また、社員の現場力を最大限活かすべく、経営陣のリーダーシップにもフォーカスされ -
Posted by ブクログ
ネタバレ私が原子力事業部で働いていたのが、2005年から2018年。まさに東芝の西田社長、佐々木社長の時代であり、東芝の盛衰のドラマの真っただ中である。
実務で原子力事業に関わっていたものとして、本当に耳が痛い内容も含まれているが、改めて原子力ムラの特異性を感じる。
内容に関しても、精緻な取材をされており、長いこと原子力に携わっていた私でも知りえない内部情報が多く、感心させられた。
MBAのケースでも学んだことであるが、企業は何故悪に(粉飾決算に)手を染めてしまうのかを考えさせられる。
エピローグに掲載されている、富山さんの「会社はフィクション」という言葉が全てを表しているように感じられた。存在す