2010年1月のJAL会社更生法申請とそれに先立つ142日間を描いたノンフィクション。
主役はこれまで「倒産弁護士」としてマイカルなどを手掛け、企業再生支援機構で企業再生支援委員会委員長となり、JALの管財人統括を務めた瀬戸英雄氏。
国策会社として政治に翻弄され、内部では権力闘争や労使紛争に明け暮れ経営危機に陥っていたJALの再建までの道筋を描いたもの。
瀬戸氏をリーダーとして、企業再生支援機構、日本政策投資銀行、東京地裁、JALの社員、役員など多くの人たちが登場し、時間が限られる中で、利害関係者が多い会社を、「法的整理」という手法で再建への道筋をつけるまでをていねいに描いている。
紆余曲折、迫るタイムリミットとドラマのような展開で、迫力があった。
時代はちょうど民主党への政権交代が起こった時期。前原誠司国交大臣、菅直人副総理、辻本清美国交副大臣の活躍も面白い。悪夢と言われた民主党政権だが、おそらく自民党では利権に縛られてJALの復活はできなかったと思う。
【目次】
プロローグ 債権者集会
修羅場の王
もぬけの殻
パンドラ文書
失敗のリセット
主な登場人物
Chapter −1 倒産弁護士の誕生
会社再建の神様
倒産ムラ
「法的整理の鬼」と「私的整理の伝道師」
〝職業革命家〟を目指した男
産業再生機構と高木の慧眼
日本経済の時限爆弾
リーマン・ショックと民主党政権
Chapter0 倒産前夜
「蚊帳の外」の人
『沈まぬ太陽』のような
「最後は政府がなんとかしてくれる」
Chapter1 私的整理か法的整理か
嵐の海へ
「その他の事業者」
打診
路地裏の企業家魂
民主党のプリンスと財務省のエース
タスクフォース
「何でこの会社がこんなことになったのか、わかっているのか!」
私的整理の限界
アルプスの少女ハイジのような出で立ちで
極秘チーム
「空飛ぶ銀行」の破綻
京セラ・稲盛和夫の別の顔
10月19日午前8時
Chapter2 つなぎ融資と債権放棄
〝学級崩壊〟
「JALは自民党の負の遺産」
前原の変心
コードネームIVY
始まる前に終わってしまう
小田原評定
イラ菅 vs 財務省
頭取がポケットから取り出したもの
劇薬
倒産弁護士の「奥の手」
激高
Chapter3 経営の神様
JALを蘇らせることができるのは
退路は断たれた
稲盛は何を待っていたのか
Chapter4 東京地裁民事第8部
相手の懐に飛び込む
〝図上演習〟
錆びついた伝家の宝刀
三ないの町
針の穴
Chapter5 年金と憲法
未認識債務
同期入社
退職者たちの反乱
9700人、9700通りの思い
違憲か合憲か、それとも
Chapter6 悪役レスラー
昼行燈
日本でいちばんベンツが似合う弁護士
サンドバッグ
生還率7%
Chapter7 史上最大の作戦
永遠の飛行機野郎
緊急支店長会議
「窓口札束積み上げ大作戦」
嘔吐
「朝日」が書いた社長の失言
イラ菅の爆発
完勝
3分の2
吉報
稲盛の条件
対面
アラン・オガワのプライド
Chapter8 2010年1月19日
世にも不思議な機内アナウンス
JAL倒産
前原の会見
倒産弁護士の大演説
溺れた犬を叩く
登壇者たち
泣いて謝れ
稲盛が会見の席にいなかった理由
格闘のゴング
無念のバトン
Chapter9 執刀開始
取締役会から管財人会へ
JANA構想
聖人、君子、小人、愚人
誤送信
整理解雇
「覚えとけよ。永遠に闘ってやるからな」
パイロットになる夢
稲盛の身の上話
JALという名の地獄
内なる変化
大声をあげて笑い、悔し涙を流す組織
Chapter 10 祝福されなかった勝利
奉加帳
「リクルート事件そのものじゃないか」
エピローグ JAL倒産の教訓
敗れざる者たち
「お化け」はやはり潜んでいた
経営の神様のお墨付き
あとがき
用語解説
倒産カウントダウン年表
主要参考文献