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身も心も会社にささげる「サラリーマン全体主義」が企業を滅ぼす。
「東芝原子力事業の暴走と、それを糊塗するためにほぼ全事業部で行われた粉飾には、何千人もの東芝社員が関わった。(中略)まさに「滅私奉公」「全社一丸」だ。
そのやり方では、もはやグローバル競争に勝てないことを、我々は知っている」(エピローグより)
社内で経営陣が交わした粉飾メールをはじめ、数々の内部資料をもとに東芝を追及してきたジャーナリストによる決定版。
●目次●
第1章 原子力ルネサンス
「テレビやスマホの代わりに原発を輸出すればいい」という経産省の思惑。それに乗った東芝・西田厚聰社長には経団連会長への野心があった。
第2章 東日本大震災
次々と水素爆発を起こす福島第一原発。メーカーとして最大の危機を迎えてなお「原発輸出」にまい進する佐々木則夫社長を支えた一人の男。
第3章 粉飾決算(2013年~2014年)
買収した米原発機器大手・ウエスチングハウスの減損を隠すため、巨額の粉飾に走る幹部。社内を飛び交うメールからは粉飾指南役の陰も。
第4章 破滅への道程(2015年~2017年)
第二の減損発覚で追い詰められた東芝。優良事業の売却を繰り返し、残るのは原発事業のみ。倒産の危機に。
第5章 原発ビジネスの終焉(1956年~2017年)
「国策」への協力を決断したかつての東芝社長、土光敏夫と現経営陣の違いは何か。
第6章 東芝が消える日(2017年~)
原子力業界には東電を頂点とするヒエラルキーがあり、東電は「東電の正妻」と言われていた。東芝の命運を握る東京電力で、いま何が起こっているのか。
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Posted by ブクログ
東芝の原子力事業の失敗と、粉飾決算に至るまでの社内模様を描いたドキュメンタリー。本の存在は知らず、会社の上司から勧められて読んだが、事実は小説より奇なりという言葉がピッタリな非常に迫力ある展開の本だった。
登場人物のキャラクターがとにかく強烈で、人間の「欲」「保身癖」「失敗やミスを隠したくなる感情」「サンクコストを受け入れられない習性」などが経営に与える悪影響を身につまされた。
特に、各社員が粉飾を疑いなく「仕事」として認識し大真面目に取り組んだことや、その原因がトップの指示が絶対視される雰囲気だったことには驚きで、「サラリーマン全体主義」の恐ろしさを感じるとともに、自分のような担当者も経営の担い手であるという意識を持たなければならないと再認識した。
Posted by ブクログ
巨額の粉飾決算が発覚し、「解体」された東芝のレポ。
切れ者高級官僚の原発推進政策を信じ、盲従したあげく見捨てられた、原子力部門の「黒幕」。
原子力事業の巨額損失を穴埋めするために、自分が立ち上げ優良事業に育て上げた半導体部門を売却させられた社長。
「チャレンジ」と言われ不正会計に手を染める社員。
最後は、早期退職という名の首切りか。
あわれだ。
が、自分がその立場にあったら、と考えさせられる。
「サラリーマン全体主義」世界で生きなければならないサラリーマン、「正規」社員も幸せとは限らない。
WH買収したときは、スゲー、と思ったんだけど・・・
Posted by ブクログ
★決めつけが物語としての迫力に★おそらく一度も会っていない電力システム社の田窪首席主監を冒頭のエピソードにもってきて、戦犯の一人として糾弾する。一度会いにいって会えなかっただけで接触をやめてしまう誠実さの欠如の裏側で、度胸というか割り切りというかストーリーテリングとしては見事。
経産省の国策に乗っかって、東芝のトップが思考停止して原発パッケージ輸出に邁進したことが問題だと指摘する。東日本大震災の前から、GEやシーメンスは原発は安全コストがかさみすぎプルトニウムの軍事利用も見込めないとして撤退。その時点から国と東芝は原子力オンチであり、震災が原因ではないという。いつも不思議なのだが、国の産業政策が成功した試しは高度成長期以降はないのに、官僚はなぜ自分たちが企業トップより優秀だと信じているのだろう。
6600億円を投じたウエスチングハウスの買収が会社を傾かせたのには違いないが、不正会計は西田時代のパソコンが発端だった。会社の腐敗はそこからなのでは。内部情報をこれだけ集めたのは驚き。日経BPに寄せられた内容なのか。
Posted by ブクログ
原子力発電を日本に導入したのは正力松太郎と中曽根康弘であり、"発電だけが目的で成立し得ない原発のコストだが、英政府は「軍需との両目的なら採算がとれる」と考えた。日本政府も同じだっただろう。"とあるが、
GEとウエスティング・ハウジング(WH)が原子力潜水艦の原子炉の開発競争をして WHが勝ちGEが負けたので開発費を回収するため、日本やスウェーデンなどの同盟国に売りつけたのだと別の人が書いていた。その意味で原発は「軍事だけで採算が取れないプルトニウム生産・原子炉ビジネスのコストを発電との両目的なら採算がとれる」という表現が正しいだろう。
東芝社内のサラリーマン全体主義は日本の会社であれば、どこでも起こりうることなので、日本人の心性・行動様式が変化しない限り起こりうることだと思った。
Posted by ブクログ
90年代後半から現在に至る東芝の内部崩壊を描いたノンフィクション。そこに至るには様々な経緯や偶然の重なりがあるわけだが、シャープの内幕を描いた本などと通底するのは社長を頂点とする大組織内出世と実績作りの虚構さの凄まじさである。よく言われる大企業の"内向き姿勢"がこれほどまでに強烈に作用している事例はないように思うが、シャープもほぼほぼ同じ展開なので、どの大組織にも通じることなのかもしれない。
またもう一つの観点は、外国企業のM&Aの難しさである。この本では東芝によるウエスチングハウスのM&Aの内幕が生々しく描かれているが、これもまた大企業あるあるである。基本的には内部的な出世や社長の実績作りの為にこれらの無謀な賭けに、しかも集団的に出てしまうようであるが、株主も短期的利益を追求した結果としての事態であれば、株式会社という構造自体の問題にもあるような気もしないでもない。
ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。
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