大西康之のレビュー一覧
-
購入済み
商才と時代、倫理観
今なお快進撃を続けるリクルートの基礎を作り上げた江副さんの軌跡を描いた本。当時の時代背景を考えると先見性に優れた経営者だった事がわかる。江副さん本人の凄さは勿論だが、作り上げられた組織風土が今でも残り、売り上げを上げ続けていることがすごい。
-
Posted by ブクログ
東芝の原子力事業の失敗と、粉飾決算に至るまでの社内模様を描いたドキュメンタリー。本の存在は知らず、会社の上司から勧められて読んだが、事実は小説より奇なりという言葉がピッタリな非常に迫力ある展開の本だった。
登場人物のキャラクターがとにかく強烈で、人間の「欲」「保身癖」「失敗やミスを隠したくなる感情」「サンクコストを受け入れられない習性」などが経営に与える悪影響を身につまされた。
特に、各社員が粉飾を疑いなく「仕事」として認識し大真面目に取り組んだことや、その原因がトップの指示が絶対視される雰囲気だったことには驚きで、「サラリーマン全体主義」の恐ろしさを感じるとともに、自分のような担当者も経営の担い手であるという意識を持たなければならないと再認識した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分が目的としていた本ではなかった。
池井戸潤の「銀翼のイカロス」を読み、JAL再建の歴史的背景、時系列に沿って展開されていく本にて勉強していたいと思っていたが、残念ながらその目的にぴったりと合う本ではなかった。
しかし、思わぬ収穫があった。
それは「稲盛和夫の哲学」に出会えたことである。
フィロソフィ、アメーバ経営等、名前は知っていたが、その内容は全くと言っていいほど知らなかった。
稲盛和夫がどのような経緯でその手法を編み出していったか、そしてJALの再建に関し、今までの稲盛氏の経験則をどのように活かしていったか、紆余曲折があったかが描かれている。
稲盛氏は拍子抜けするほど当たり前のことしか言っていない。
例えば、「嘘をつくな」「動機善なりや、私心なかりしか。私は毎日、自分に問いかけています」等。
稲盛氏のこれまでの功績を考えて、JALの従業員はもっとすごい、琴線に触れるような言葉を期待していたはず。
しかし、特別なことなど必要なく、この当たり前だと思えるようなことを実践するのは経営の中では一番大切だと説く。
自分の日々の生活でもこの言葉を落とし込んで考えてみる。たしかに、先週決意したことができていない、仕事でも言い訳する‥誰にでも経験はあるはず。確かに難しい。
この「当たり前」のことを当たり前にできる人とできない人との間に差は必ず生まれ、将来的に複利的に差異が出てくるのだと思う。
特別なことなどいらない、自分の心に、道徳心に尋ね、常に自分の行いが正しいか問いていきたい。
稲盛和夫の名著である「生き方」「実学」を読んでみたいと思えたことも、この本を読んだ収穫であった。
気に入った言葉を最後に。
「人間が生きていくのに一番大切なのは、頭の良し悪しではなく、心の良し悪しだ。」
「独占は悪。」
「社員全員、経営者感覚を持つ。」
特に最後の言葉だが、当事者意識を持って物事に取り組むべきだ!と昨今声高に言われているが、ではその当事者意識を持つためには?そもそも当事者意識って?
ということの、稲盛氏なりの解が書かれている。
ぜひ読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
孫正義氏が「大恩人」と言い、スティーブ・ジョブズ氏が「師」と仰ぎ、松下幸之助氏が「教えてもらえ」と部下に指示し、ロバート・ノイス(インテル創業者)の創業間もない頃に手を差し伸べた、凄まじい技術者が日本にいました。シャープを一流企業にのしあげた佐々木正氏です。
真空管が技術の主流の時にトランジスターの有効性に着目し、トランジスターの次の技術として当時の大手電機メーカーが全て尻込みしたMOS(金属酸化膜半導体)の量産技術を確立させ、1970年代の電卓戦争の中で液晶ディスプレー、太陽電池といったその後の日本の半導体産業を牽引する技術を世に送り出すという業績は圧倒的です。
本書冒頭の1977年のシーンでは、創業間もないスティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏との出会い、それに絡んだ西和彦氏(アスキー創業者)との関わりなど、登場するのが1990年代にパソコンが普及する時代に一世を風靡するビッグネームばかりで、いかに佐々木氏の人脈や先見性が抜きでいたかが分かります。
佐々木氏は半導体開発で行き詰まり助けを請うたサムスン電子のイゴンヒ(現会長)に製造技術を供与しました。後に日本の半導体メーカーは大打撃を受け、技術供与した佐々木氏を「国賊」と呼ぶ人も出てきましたが、佐々木氏いわく「半導体や、液晶テレビなど日本の電機業界の衰退は技術を囲い込み、全てを自前でやろうとし、成果を総取りしようとたことであり、イノベーションとは他の会社と手を携えて新しい価値を生み出すことだ」と諭しています。
松下幸之助氏が「教えてもらえ」と言った時、シャープの役員会では「敵に塩を送るなどとんでもない」という議論が大部分を占めました。ところが創業者の早川徳次氏が「少しばかり教えたくらいで負けるなら、シャープなどその程度の会社だということです。そんなことで負けるシャープじゃない。構いません。行って存分に教えてきなさい」と言って役員連中を一喝したシーンが登場するのですが、このエピソードからは早川氏の器の大きさが伝わって来ます。こういった経営者の薫陶を受けて佐々木氏の考え方も定まって行ったような気がします。
これほどの業績の人を扱ったノンフィクションなのに、1点残念なのは文庫本で300ページ足らずというボリューム。一気に読めてしまうのですが、どうせならもう少しそれぞれのエピソードを深堀して、もっとボリュームのある著作であればよかったのに、と思います。
ただ、読んで損はしないと思いました。 -
Posted by ブクログ
巨額の粉飾決算が発覚し、「解体」された東芝のレポ。
切れ者高級官僚の原発推進政策を信じ、盲従したあげく見捨てられた、原子力部門の「黒幕」。
原子力事業の巨額損失を穴埋めするために、自分が立ち上げ優良事業に育て上げた半導体部門を売却させられた社長。
「チャレンジ」と言われ不正会計に手を染める社員。
最後は、早期退職という名の首切りか。
あわれだ。
が、自分がその立場にあったら、と考えさせられる。
「サラリーマン全体主義」世界で生きなければならないサラリーマン、「正規」社員も幸せとは限らない。
WH買収したときは、スゲー、と思ったんだけど・・・ -
Posted by ブクログ
【感想】
日本の総合電機業界の成り立ちから近年の没落までがまとめられている。電力ファミリー、電電ファミリーとして甘やかされてきたが故に、時代の流れや海外企業の動きに対して適切な経営判断をしてこなかったのが敗因。
新規分野においては技術力もビジネスも後塵を拝している状況は厳しい。三菱電機が電機メーカーから機械メーカーへ変化しているのはせめてもの救いか。
消費者としては国内ブランドの家電がなくなっていくのは寂しい。
【目次】
序.日本の電気が負け続ける「本当の理由」
1.東芝 「電力ファミリーの正妻」は解体へ
2.NEC 「電電ファミリーの長兄」も墜落寸前
3.シャープ 台湾・ホンハイ傘下で再浮上
4.ソニー 平井改革の正念場
5.パナソニック 立ちすくむ巨人
6.日立製作所 エリート野武士集団の死角
7.三菱電機 実は構造改革の優等生?
8.富士通 コンピューターの雄も今は昔 -
Posted by ブクログ
★決めつけが物語としての迫力に★おそらく一度も会っていない電力システム社の田窪首席主監を冒頭のエピソードにもってきて、戦犯の一人として糾弾する。一度会いにいって会えなかっただけで接触をやめてしまう誠実さの欠如の裏側で、度胸というか割り切りというかストーリーテリングとしては見事。
経産省の国策に乗っかって、東芝のトップが思考停止して原発パッケージ輸出に邁進したことが問題だと指摘する。東日本大震災の前から、GEやシーメンスは原発は安全コストがかさみすぎプルトニウムの軍事利用も見込めないとして撤退。その時点から国と東芝は原子力オンチであり、震災が原因ではないという。いつも不思議なのだが、国の産業政策が成功した試しは高度成長期以降はないのに、官僚はなぜ自分たちが企業トップより優秀だと信じているのだろう。
6600億円を投じたウエスチングハウスの買収が会社を傾かせたのには違いないが、不正会計は西田時代のパソコンが発端だった。会社の腐敗はそこからなのでは。内部情報をこれだけ集めたのは驚き。日経BPに寄せられた内容なのか。 -
Posted by ブクログ
電気産業の中の軽電、電子部品からITへ、古き良き 時代のモノ造り大国ニッポンから現在につながるお話し。
素人には専門的過ぎて解らない部分が、若い技術者のタマゴにはホコリを被った技術で判らないかもしれませんが。
革新的な技術によって成功を得る悦びと、その悦びも束の間、更なる技術革新によって追撃される厳しい産業構造。どんな仕事も人の繋がり無しには成し得ないし、人の為に動いてるようで実は回り回って自分に帰ってくるのという真理。(情けは人の為ならず)
古い話にも不変の理りがあるのかな?
そんな事が技術系の仕事に就いた息子に伝わることを願って、嫁がせせっと送る食品の梱包に突っ込みます。 -
Posted by ブクログ
シャープの電卓をナンバーワンの地位に引き上げ、その後も半導体、液晶などの最先端の技術に挑戦し、会社の成長に大きく貢献した佐々木正氏の評伝である。日本のみならず海外を含むその人脈は瞠目に値する。その代表がスティーブ・ジョブズ氏であり、孫正義氏である。その人脈はひとりシャープのみならず他者、特に若い人達の育成のために活用された。佐々木がシャープ経営の第一線を退いてからはシャープの迷走が始まり、現在はご承知の通りの有り様である。この本から得られる教訓のひとつは、会社経営にあっては好調時の品目のみに捉われることなく、常に次世代の品目開発に注力すべきことである。また、特に印象深かったことは、超一流経営者の度量の広さである。個に捉われない無私の精神である。
-
Posted by ブクログ
原子力発電を日本に導入したのは正力松太郎と中曽根康弘であり、"発電だけが目的で成立し得ない原発のコストだが、英政府は「軍需との両目的なら採算がとれる」と考えた。日本政府も同じだっただろう。"とあるが、
GEとウエスティング・ハウジング(WH)が原子力潜水艦の原子炉の開発競争をして WHが勝ちGEが負けたので開発費を回収するため、日本やスウェーデンなどの同盟国に売りつけたのだと別の人が書いていた。その意味で原発は「軍事だけで採算が取れないプルトニウム生産・原子炉ビジネスのコストを発電との両目的なら採算がとれる」という表現が正しいだろう。
東芝社内のサラリーマン全体主義は日本の会社であれば、どこでも起こりうることなので、日本人の心性・行動様式が変化しない限り起こりうることだと思った。