鍛原多惠子のレビュー一覧

  • 「組織と人数」の絶対法則―人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力

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    私はビジネス書を読む時に、おっ!と思う箇所にマーカー入れるが、久しぶりに沢山の箇所に入れた。ただ、中盤からはタイトルとからは離れて行ったリーダー論になってしまった感はある。

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    2024年12月30日
  • 「組織と人数」の絶対法則―人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力

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    『宗教の起源』の方が面白かったかな。ビジネスとなると、動物としてのヒトと資本主義信仰者としての人間が混ざるがゆえに、なんとも歯切れの悪い部分があることは否めないのではないか。ただ、組織を構成する人数単位について、慎重である企業はそうありふれていないので、人数単位によるなんらかの組織設計方針があってもいいかもしれない。

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    2024年12月22日
  • 子どもの人生は「腸」で決まる―3歳までにやっておきたい最強の免疫力の育て方

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    子供の人生は腸で決まる

    ◯マイクロバイオーム(真正細菌、古細菌、真菌、原生生物、ウイルスが形成)は変えることぎできる。
    ・3歳までは極めて流動的
    ・経膣分娩では、新生児な母親の細菌を受け継ぐことができ、長期に渡り健康に良い影響を与える。
    ・膣播種: ガーゼかタンポンを膣に挿入し、1時間ほどそのままにする。出産後に赤ちゃんの健康状態を確認し、赤ちゃんの口、鼻、耳、皮膚、会陰部を拭う。出産前の妊婦の病原体検査で問題なければリスクは極めて低い。

    ・遺伝子組み換え作物に特にそうでない作物との安全上での差はみられていない

    ◯母乳の特別さ
    ・多様なオリゴ糖がたっぷり含まれ、これが腸内のBインファンティスという細菌を養い、赤ちゃんの栄養である短鎖脂肪酸を作り、免疫系の発達も促す。また上記細菌は母乳に含まれる。

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    2024年08月31日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    一般的な「風邪(Common Cold)」に関する知見を軽妙な文章で網羅的に扱った一冊。
    この本の面白いのは、コロナ禍前の発行(2011年刊行)であるという点。今時分に風邪について本を出すと「新型コロナウイルス感染症」について多かれ少なかれ紙面を費やすことになるし、一般的な風邪についての認識もコロナ禍の影響を受けることになる。今本を出しても、比較的軽症な「風邪」についてこんなにも紙面をさけないのではないか。また、軽妙洒脱に語ろうにも、コロナ禍の社会的影響の大きさを思うと文章が重くなるのではないか。コロナ禍前にわたしたちがどのようにありふれた風邪を認識していて、どのような研究が進んでいたか。思いを馳せる事ができる楽しい一冊だ。なお本書に記載されている研究内容は2011年時点での最先端なので、今見ると古いものもいくつかあるだろう。そこは注意が必要た。

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    2024年02月23日
  • 「未来」とは何か:1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン

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    特に理由もなく書店で目についたので購入しましたが予想以上に面白かったです。本書の著者は歴史学の先生とのことですが、生物学、物理学の領域にもかなり踏み込みつつ、私が感じた書籍全体の印象は、人類がこれまで「未来」をどのように考えてきたか、言い換えると「未来感の歴史(未来感史)」を扱った本、というものでした。

    まずパート1で「未来について考える」ということで、A系列時間:川の時間、B系列時間:地図の時間、という未来に関する2つの概念について解説していますが、この2つが本書を通じて何度も登場する大事な概念です。さらにアインシュタインの相対性理論と光円錐を用いて過去と現在、未来のイメージも紹介してくれています。

    パート2は「未来を操る」ということで、生物学の領域に踏み込み、細胞、植物、動物は未来をどう操っているかについて説明しますが、さすがにこのパートのボリュームは流石に少ないです。

    パート3は「未来に備える」ということで、こちらは文化人類学および歴史学ということで、人類の歴史を振り返っています。ここでは古代ギリシャの予言(アムトラムサイコスの予言)などの紹介もあり、なかなか興味深かったです。このあたりから未来を決定論的ではなく確率論的に見る見方が出始めた、ということになります。個人的にはこのパートが一番面白かった。やはり著者の専門性に一番近いからかもしれません。

    最後にパート4「未来を想像する」ということで近未来(今後100年)、中程度の未来(1000年先)、そして遠い未来(宇宙の終わりまで)について書かれていますが、あまり印象には残りませんでした。おそらくこの手の話はSFのようにストーリー性がないと頭に残らないからでしょうか。

    扱っている領域の広さに驚いたのと、本書のタイトルからは予想もしていなかったコンテンツも多数含まれていて(例えば古代ギリシャ時代の占い)、知的好奇心を十分満たしてくれる本でした。

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    2023年05月08日
  • 文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源

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    確かに文明がある種の不幸を人類にもたらした事は間違いないのだろう。
    人は、他人との比較において幸不幸を感る事が多い。他人の情報を湯水のように受け取るからこそ、これでいいのか悩み、傷つく。
    しかし、知りたいと言う欲求こそが人類であるとするならば、知らない事を是とすることも難しい。足るを知る、これが出来ればいいのだが。

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    2023年02月21日
  • 子どもの人生は「腸」で決まる―3歳までにやっておきたい最強の免疫力の育て方

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    科学者らしく、断言できることとできないことを明確にしながら、ユーモアも交えていて読みやすく面白い本だった。
    まだまだ研究が進んでいるところでわからないことも多いけれども、現段階でこういうことまでわかってきたよ、というタメになる面白話をお喋りされているような感じ。
    歯の治療をすべきかという問いに対する最後のひと文は「すばらしい笑顔も手に入る」、うんちに触っても平気かという問いに「極端な話、私たちは「なかつて恐竜の排泄物だった分子でできているのだ」などと、面白い言い回しがたくさんで飽きなかった。

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    2023年02月14日
  • 「未来」とは何か:1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン

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    宇宙誕生以降の全歴史を学際的な視点から掘り下げることによって理解を深める研究・教育手法である「ビッグヒストリー」の提唱者が、過去から未来に目を転じて、人類を含めたすべての生物にとっての未来思考の意味を探求するとともに、現時点で予測可能な未来像を描き出した一冊。

    著者は、人類を含めたすべての生物が意識的か無意識的かに関わらず、自らの「目的」を達成するために、発生することが確実な領域と予測不可能な領域の間にある「重大なことが起こるかもしれない不安領域」即ち「レッドゾーン」について、相関やサンプリング、因果の分析等を駆使して未来を予測し行動していることを、微生物や動植物の例を挙げて解説する。

    さらに人類は、脳の巨大化と言語の発明によって他の生物とは一線を画し、旧石器時代から農耕時代を経て「人新世」に至る中で、知識の保有範囲が個人から社会集団へ広がるとともに、時間に対する認知も過去・未来の両面へと拡大したことに伴い、未来思考も占いや宗教的なものからより科学的・機械論的なものへと高度化してきたが、それでも政治経済的な動向を予測することは困難なままであるという。

    そのような認識の上で著者は、今後百年の近未来、数千年〜数百万年の中程度の未来について、「崩壊」「成長縮小」「持続可能性」「成長」という4つのシナリオによる予測を立てるとともに、宇宙の終焉まで見通した遠い未来にも思いを馳せる。考古学や哲学から進化論や量子物理学まで様々な学術的視点を網羅しており、多くの学びが得られる「未来論」となっている。

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    2023年01月19日
  • 「未来」とは何か:1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン

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    ネタバレ

    ◾︎生命は意志を持って「未来を操作する」という視点が目からウロコ
    138億年のビッグヒストリーをベースに未来予想をする本。宇宙や太陽・地球の創成は無機的で意志などない。
    だが生命は明らかに生存や繁栄の意図を持って未来を作って行こうとしている。それゆえ複雑で不確定要素が多いが、意志を持って未来を操作できる。この視点はすごい。
    一方遠未来では、地球や太陽、宇宙が終わることは不確定要素なく分かっている。

    このスケールだからこそ見えることで、非常に面白かった。それだけに、いまの我々の意志と行動で、近未来・中未来が決まるということは改めて考えさせられる。人生についても同じだなと思った。

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    2022年12月31日
  • 菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力

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    キノコは身近でありながら、わからないことがたくさんある。地球上の生き物の役割としては分解者であると習ったが、それ以上に様々な能力を持っているということが、著者である生物学者によって整理されている。世界を救う存在として、今まで知られていなかっただけ?なのかもしれない。南方熊楠のようなグローカルで一つの領域に止まらない研究者が、今後も登場することを願ってやまない。菌類についてもっと知りたくなる一冊だが、入門書としてはちょっとばかり難しいかも。

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    2022年09月30日
  • 菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力

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    あらゆる生き物は菌類によって生かされている。知らないうちに操られてさえいる。菌類は環境汚染を解決し、深刻な病を治療する可能性を秘めている。超過酷な環境にも耐える。時には私たちの胃に美味しく収まる。漫画でもありえないレベルの大活躍。すごいぞ菌類!そんな驚きに満ちた本。

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    2022年01月23日
  • 6度目の大絶滅

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    最初の数章が冗長に感じました。これは原著が描かれた当時に人新世、アントロポセンという概念がまだまだ一般に普及していなかったので世界中で現在かつ過去も含めて人間によって引き起こされた生物の絶滅を物語風に追い、本題(第5章以降)への誘いという体を取ったのではないかと思います。

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    2021年08月20日
  • 6度目の大絶滅

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    大絶滅にかかわる学説史的なものを背景に、著者が世界各地を訪ねて取材した学者たちの活動をアンサンブル的に(もとは雑誌連載)散りばめてある。カエルのツボカビ、化石発掘、恐竜絶滅、海洋酸性化、熱帯多雨林、サンゴ礁、人新世、ネアンデルタール人などなど盛りだくさん。ヒトの手により現在進行中のまさにグローバルな事態を、地質学的な時間軸の中にすっきり位置づけてくれた。

    個々のエピソードは何かしら聞いたことのある話がほとんどだだったが、個人的には以下の点などが新鮮であった:

    ・イースター島の環境破壊の原因は、直接的にはヒトよりもむしろネズミであった可能性が指摘されている(そのネズミはヒトが連れてきたにせよ)

    ・生物種の多様性は極から赤道に向かって増えていくが、それがなぜかについては通説がまだない(仮説はたくさんあるが)

    ・旧人類もネアンデルタール人も他の哺乳類と拡散パターンは同じで、海を越えてマダガスカルやオーストラリアには行かなかった。それをしたのは現生人類だけ

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    2021年08月15日
  • 6度目の大絶滅

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    NYTの敏腕記者による生物の大量絶滅に関するレポート。
    これまでの隕石や噴火、氷河期の到来で5度の大量絶滅があった。
    そしていま「サンゴ類の1/3、淡水産貝類の1/3、サメやエイの1/3、哺乳類の1/4、爬虫類の1/5、鳥類の1/6、植物の1/2がこの世から姿を消そうとしている。恐竜時代には1000年に1種だった絶滅が、いま、毎年推定4万種のペースで人知れず進行しているのだ」。

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    2021年01月05日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    風邪。
    それは単一のウイルスによる病気ではなく、
    いわゆる風邪ウイルスは200種類以上ある。
    そして少なくとも5つの属があって、
    ピコルナウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、
    パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがそれらです。

    本書ではそれらのなかでも、
    ピコルナウイルスに属するライノウイルスによる風邪症状に焦点をあてて、
    風邪全般を考察する内容となっています。
    なぜライノウイルスかといえば、
    風邪の40%がこのウイルスによるものだからだそうです
    (日本では違うかもしれないので、「アメリカではそうなのだ」
    という注釈が必要かもしれません)。

    まず、感染経路ですが、
    くしゃみや咳などで飛び散った粒子に含まれるウイルスから感染する「飛沫感染」と、
    誰かが、鼻水やよだれなどウイルスを含む体液の付いた手で触った箇所を
    知らず触ってしまい、その手で顔をいじったりなどして感染する「接触感染」があります。
    また、鼻をほじる癖があると感染しやすいことが述べられている。
    つまり、鼻腔は感染箇所として重要な箇所で、ここに辿りつくとウイルスが増殖し始めるようです。
    ほか、気道のあたりなども感染箇所としてポピュラーだそう。

    「飛沫感染」するか「接触感染」するか、
    そのどちらが多いのかについては、その触れたウイルスによるそうですが、
    モノ媒介で広がっていくイメージの「接触感染」は想像を超えていてなかなか驚きます。
    たとえば僕なりのイメージに変換すると、
    電車の手すりにだけついていたのに、1時間後にはあたりに飛び散っていて、
    なおかつたくさんの人にくっついていくイメージ。
    また湿気を帯びた紙幣の上でインフルエンザウイルスが二週間生き延びるだとか、
    カラカラ状態でも3日間生きるとか、
    現金のようなものもウイルス拡大の肩を持つのがわかります。

    そして、感染してでる症状の軽重ですが、
    それはその人の年齢や感受性だけに限らず、
    鼻腔に感染したか気道に感染したかなどの感染部位の違いで出るようです。
    流行の新型コロナが軽く済むような感染部位ってありそうかな? なんて考えていたところに、
    「新型コロナは全身の血管に感染する」なんていう
    ショッキングなニュースがツイッターで飛び込んできて、
    それはほんとうに確実なニュースなのかどうか、
    あとで覆されるようなニュースなのかわからないのですが、
    ウイルスにもいろいろなバリエーションがあるものだわ、と思いました。

    風邪の症状、ときに「悪い風邪をひいてしまった」と言われるようなヒドイ症状は、
    どのようにして生じているかについても、解説があります。
    鼻水、咳、などなど、人の免疫反応だそうです。
    免疫反応が強く出た時、自分自身を攻撃しているようになって、
    それが辛い症状という形になる、という構造のようです。
    専門的に書くと、体細胞がサイトカインと呼ばれる化学物質を放出し、
    免疫反応を媒介・調節するのですが、
    それらには、直接ウイルスを攻撃するサイトカインもあれば、
    炎症を誘発するサイトカインもあるそうで、
    これらのバランスがどうでるかが、
    そのウイルスと感染した人との相性みたいなところがあるようです。
    サイトカイン自体は、最後には抗体を作る流れに辿り着かせる物質、
    ということなのでした。

    それで、どう治療したらいいのか。
    これについても、紙幅を割いて解説していますが、
    結局、風邪に効くものは無いと考えた方がいいようです。
    研究中の成分はありますが、
    薬に関しても、たかだかちょっと症状が抑えられたところで
    風邪のウイルスに効くわけではないし、
    逆に症状には意味があるとも考えられもします。
    そして、薬効より副作用のほうが問題がある、という結論を出しています。
    1970年にノーベル賞受賞者が提唱した「ビタミンCが効く!」という言説も
    その後の研究でまったくビタミンCには意味がないことが分かったとか。
    また、海外ではチキンスープが効くという民間伝承があるようなんですが、
    それも、水分と栄養補給にはいいのだろう、という結論。
    他、さまざまな風邪対策について考察していますが、
    風邪にかかってしまえばそれは、
    「もう嵐が過ぎるのを大人しく待つのと同様の対処をするほかない」のが正解みたいですね。

    あとですね、脱線しますけども、
    「1980年代の初期、
    都市部の慢性的な雑音が子どもたちの読む能力に悪影響を与えるという説を検証した学者により、
    執拗な雑音によって子どもたちは言語音の習得が妨げられるだけでなく、
    血圧が上がることをも見出された」
    という箇所があるんです。
    ストレスが風邪のひきやすさに関係があるか解説した部分です
    (ストレスは風邪をひきやすくします)。
    で、話は風邪からそれますが、
    このカギカッコの文章は、
    「同じ文章を10回も読んでる」だとか、
    「文字を目で追えているけど中身が入ってこない」だとかそういう類でしょうか。
    かいつまんでいえば、「煩くて読書に集中できない」ということ。

    こういうことですら科学的に解明しないと
    「周囲がちょっとうるさいくらいで本が読めないなんて、君の心がけがなってないからだ!」
    なんて声高な精神論に力ずくに責められないとも限らない。
    まあそりゃ、感受性の鋭いひとも鈍い人もそれぞれいるわけで、程度はいろいろでしょう。
    自分の論理をどこまで相手にも適用しようとするか。
    「いちおう、科学的裏付けはこうなんだよね」的な言葉をやんわり発して、
    それは攻撃の剣ではなく防御の盾だとすると余計な波風はあまり立たないのかな…。

    ……それはそれとして。

    風邪はウイルスであって細菌ではないので抗生物質は効きません。
    僕はつい最近まで、つまり新型コロナが流行る前くらいまで、
    抗生物質は効くのだと思っていた。
    だって、風邪で抗生物質をもらって飲んだことがありますから。
    アメリカでも抗生物質が効くと思っている人は多いみたいです。

    効くのはアルコールだよ! なんて声もありますが、
    本書によると、たしかに作用はあるけれど、滅菌するまではいかないようです。
    ただ、アルコール消毒液で手を拭ったおかげで、
    そのあとにウイルスがつきにくくなる作用は望めると。

    手洗いでは、石けんでよく洗い、20秒以上流水でながすとウイルスは流れていきます。
    ハンドソープの詰め替えが僕の町でも欠品していますけれども、
    石けんでじゅうぶん、それも薬用石けんなんかでなくていいみたいです。
    薬用石けんは菌に効くわけで、ウイルスには効かない。
    さっきの抗生物質の話といっしょです。
    だから、界面活性でウイルスをひきはがし、
    泡でくるんで水で流すふつうの石けんでよいのです。

    というわけでしたが、今回、積読にこの本があったので、
    新型コロナ禍関連だなあ、と勉強するつもりで読んでみました。

    本書は力作の部類に入るでしょう。
    アメリカのテレビ局製作のドキュメンタリーを見ているかのように、
    それらに特徴的な構成ですが、
    いろいろな専門家の言葉をキーポイントにして、
    話が切り換って進んでいきます。

    ちょっとこってりしているところもありましたが、
    絶妙な比喩でもって楽しませてくれる文章もちらほらあります。
    また、巻末には、風邪療法のあれこれについて、
    トピック別に短評をつけてまとめてくれていますし、
    チキンスープやブイヨンなどのありがたいレシピまでついています。

    これだけ真摯にリサーチして、エンタメの精神までこもっている本でした。
    アメリカのライターの力量の、その厚みを感じます。
    海外のものでこうやって日本にまで紹介されるものは、
    ほぼ面白いですもんね。
    おすすめです。

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    2020年04月26日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    普通の所謂コモンコールドの話。書店で高速背表紙チェックしながらアイル通過中に、足を止められた。普段気にしないタイプのタイトルだが、やっぱり目にはいってしまうということはかなり精神的にキてるんだろう。今流行のC19は確かにコモンな風邪とは違うものですが、ゆうても”バイキン”ですから、予防や防衛になんかのヒントがありそうというか、セーフ生活の突破口となりそう。
    で、読み始めて、これがもうめちゃめちゃおもろい。イグノーベル賞を受賞した研究などが紹介されているが、そのメソッドが大爆笑。ほかにもグランマのチキンスープ(あはは、風邪を引いたら卵酒的なね)のレシピも載ってるし、色々とまあ、アメリカンな部分をさっぴいて考えんとあきませんが、
    個人ができる/行うべき対策は全て似たようなものなので学ぶものは多いと思う。
    2010年の本なので情報は古い、ところどころ要注意。
    とりあえず適切に手を洗おう

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    2020年03月21日
  • 猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

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    ネタバレ

    ホンジュラスの辺境、モスキティア地方に眠る古代遺跡をめぐる冒険。1994年より前は、75年間にわたり何度か数名の冒険野郎が探しにでかけたものの見つけることができなかった幻の白い都市。この詐欺まがいの冒険レポートが案外笑えたのだけど。
    本編はその後。テレビプロデューサーが白い都市を探すプロジェクトをはじめるところから。その後科学技術が劇的に進歩し、ライダーを駆使した3Dマッピング技術が猿神のロストシティの手がかりを見つける(その技術を考古学者が否定するところもおかしかった)
    まさに人もいない未開の地での冒険、考古学者やクリエイターの挑戦はなかなかドラマチック。しかし、帰国後、スタッフの半数に発症したリーシュマニア症の話から、エンディングはパンデミックの考察にいたる。いろんな視点、話題がてんこもりの興味深いノンフィクション。

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    2019年08月21日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    なぜこうも人間は、知らないことを理解した気になれるのか。
    どんなウイルスがどういう目的でどのように感染した結果の症状なのかも知らず、
    人は風邪を引くたびに『腹を出して寝てたから』『温度変化が激しいから』『寒いところで過ごしたから』などと納得し、
    『りんごが効く』『暖かくして寝る』『病院に行って風邪薬をもらう』と独自の療法によって解決しようとする。
    それがまったく意味がないことだとしても問題ない。
    それが流行性感冒であれば、何をしてもすぐに治るし、またどうせしばらくすれば感染するのだから。

    エンテロウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、シンチウムウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス。
    主な原因と言われるライノウイルスさえ全体の半分であり、少なくとも100種の遺伝的に異なるウイルス株を含む。
    そのあまりの種類ゆえ、理由も、対策も、原因も、明らかに語ることは難しい。

    空気によって媒介されるときもあればそうでないときもあるし、
    机や椅子などの物体によって媒介されるときもあればそうでないときもある。
    同一家庭で感染率が高まることは間違いないし、病院、学校、会社など人が多いところもリスクが高まることは確からしい。
    寒いからといって風邪を引くわけではないが、乾燥とウイルスの生存には関連性があるようだ。
    だが、加湿しようが鼻うがいしようが水分を多く摂取しようが、治癒には貢献しない。
    そのうえ感染しても人によってはまったく症状が出ないことさえある。

    なぜウイルスはこのように進化したのか。そしてこれからどう進化していくのか。
    科学的、生物的に興味のつきない分野だが、残念ながら本書はそれを探求するものではなく、
    これまでに風邪の何がわかっていて、何がわかっていないのかを明らかにする。
    つまりは、あやしい治療法や迷信、代替医療にだまされる前に読むべき一冊だろう。

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    2018年10月20日
  • 猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

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    遺跡や文明そのものはまだまだ謎に包まれているようで、解明されたとは言い難い。しかし、発掘に至るまでの準備や様々な障害に始まり、ジャングルでのリアルな体験、最後は、感染症から思い巡らす人類史の大きな流れ、と読み応え満点。
    銃・病原菌・鉄を読みたくなる。

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    2018年01月20日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    風邪ほど身近で、それでいてよくわからないものほない。
    医療従事者である私の周囲でさえ間違った認識が蔓延している。
    先ずは風邪について何がわかっていて、何がわからないかを知ること。
    そして、風邪をひいてしまった時に暖かい言葉をかけてくれる人を見つけることが大事だと教えてくれる一冊。

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    2018年01月06日