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〔もっとも身近な病の生態〕人は一生涯に平均二〇〇回も風邪をひく。しかしいまだにワクチンも特効薬もないのはなぜ? 本当に効く予防法とは、対処策とは? 自ら罹患実験に挑んだサイエンスライターが、最新の知見を用いて風邪の正体に迫り、民間療法や市販薬の効果のほどを明らかに。風邪の常識を覆す一冊。
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Posted by ブクログ
日本人の「風邪」観がなんともいい加減で、その対処法がいかに科学的でなかったかを痛感させられる。オススメ!
風邪に関するエビデンスをしっかりと明示した一般書は少ない。この本は出典を明示し、風邪についてわかっていること、わかっていないことを説明している。
一般的な「風邪(Common Cold)」に関する知見を軽妙な文章で網羅的に扱った一冊。 この本の面白いのは、コロナ禍前の発行(2011年刊行)であるという点。今時分に風邪について本を出すと「新型コロナウイルス感染症」について多かれ少なかれ紙面を費やすことになるし、一般的な風邪についての認識もコロナ...続きを読む禍の影響を受けることになる。今本を出しても、比較的軽症な「風邪」についてこんなにも紙面をさけないのではないか。また、軽妙洒脱に語ろうにも、コロナ禍の社会的影響の大きさを思うと文章が重くなるのではないか。コロナ禍前にわたしたちがどのようにありふれた風邪を認識していて、どのような研究が進んでいたか。思いを馳せる事ができる楽しい一冊だ。なお本書に記載されている研究内容は2011年時点での最先端なので、今見ると古いものもいくつかあるだろう。そこは注意が必要た。
風邪。それは単一のウイルスによる病気ではなく、いわゆる風邪ウイルスは200種類以上ある。そして少なくとも5つの属があって、ピコルナウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがそれらです。本書ではそれらのなかでも、ピコルナウイルスに属するライノウイルス...続きを読むによる風邪症状に焦点をあてて、風邪全般を考察する内容となっています。なぜライノウイルスかといえば、風邪の40%がこのウイルスによるものだからだそうです(日本では違うかもしれないので、「アメリカではそうなのだ」という注釈が必要かもしれません)。本書は力作の部類に入るでしょう。アメリカのテレビ局製作のドキュメンタリーを見ているかのように、それらに特徴的な構成ですが、いろいろな専門家の言葉をキーポイントにして、話が切り換って進んでいきます。ちょっとこってりしているところもありましたが、絶妙な比喩でもって楽しませてくれる文章もちらほらあります。また、巻末には、風邪療法のあれこれについて、トピック別に短評をつけてまとめてくれていますし、チキンスープやブイヨンなどのありがたいレシピまでついています。これだけ真摯にリサーチして、エンタメの精神までこもっている本でした。アメリカのライターの力量の、その厚みを感じます。
普通の所謂コモンコールドの話。書店で高速背表紙チェックしながらアイル通過中に、足を止められた。普段気にしないタイプのタイトルだが、やっぱり目にはいってしまうということはかなり精神的にキてるんだろう。今流行のC19は確かにコモンな風邪とは違うものですが、ゆうても”バイキン”ですから、予防や防衛になんか...続きを読むのヒントがありそうというか、セーフ生活の突破口となりそう。 で、読み始めて、これがもうめちゃめちゃおもろい。イグノーベル賞を受賞した研究などが紹介されているが、そのメソッドが大爆笑。ほかにもグランマのチキンスープ(あはは、風邪を引いたら卵酒的なね)のレシピも載ってるし、色々とまあ、アメリカンな部分をさっぴいて考えんとあきませんが、 個人ができる/行うべき対策は全て似たようなものなので学ぶものは多いと思う。 2010年の本なので情報は古い、ところどころ要注意。 とりあえず適切に手を洗おう
なぜこうも人間は、知らないことを理解した気になれるのか。 どんなウイルスがどういう目的でどのように感染した結果の症状なのかも知らず、 人は風邪を引くたびに『腹を出して寝てたから』『温度変化が激しいから』『寒いところで過ごしたから』などと納得し、 『りんごが効く』『暖かくして寝る』『病院に行って風邪薬...続きを読むをもらう』と独自の療法によって解決しようとする。 それがまったく意味がないことだとしても問題ない。 それが流行性感冒であれば、何をしてもすぐに治るし、またどうせしばらくすれば感染するのだから。 エンテロウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、シンチウムウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス。 主な原因と言われるライノウイルスさえ全体の半分であり、少なくとも100種の遺伝的に異なるウイルス株を含む。 そのあまりの種類ゆえ、理由も、対策も、原因も、明らかに語ることは難しい。 空気によって媒介されるときもあればそうでないときもあるし、 机や椅子などの物体によって媒介されるときもあればそうでないときもある。 同一家庭で感染率が高まることは間違いないし、病院、学校、会社など人が多いところもリスクが高まることは確からしい。 寒いからといって風邪を引くわけではないが、乾燥とウイルスの生存には関連性があるようだ。 だが、加湿しようが鼻うがいしようが水分を多く摂取しようが、治癒には貢献しない。 そのうえ感染しても人によってはまったく症状が出ないことさえある。 なぜウイルスはこのように進化したのか。そしてこれからどう進化していくのか。 科学的、生物的に興味のつきない分野だが、残念ながら本書はそれを探求するものではなく、 これまでに風邪の何がわかっていて、何がわかっていないのかを明らかにする。 つまりは、あやしい治療法や迷信、代替医療にだまされる前に読むべき一冊だろう。
風邪ほど身近で、それでいてよくわからないものほない。 医療従事者である私の周囲でさえ間違った認識が蔓延している。 先ずは風邪について何がわかっていて、何がわからないかを知ること。 そして、風邪をひいてしまった時に暖かい言葉をかけてくれる人を見つけることが大事だと教えてくれる一冊。
「かぜ読本」という売り文句だけれどもまさしく読本。研究者が書いた小難しい専門書ではなく、さまざまな研究者に取材してその知見や研究結果を紹介するコラムという感じ。統計は米国のものなので若干日本とは事情が異なるところもある。ウィットというかユーモアというか、えせ科学に翻弄されがちな自分たちの姿を笑いとば...続きを読むしている。普通感冒については結局いまだよくわかっていないことが多く、市販の風邪薬の効果は疑わしいけれども有効成分よりプラシーボ効果のほうが大きい、ということだけはとりあえずわかった。ついでにいうと後半は「かぜを絶滅させても社会はたぶんよくならないし、いっそかぜをひいたら布団に籠もって読書でも楽しもうぜ!」みたいなノリだった(嫌いじゃない)。
著者はサイエンスライター。 風邪の原因となるウイルスは200種以上ある。ライノウイルスが原因の40%を占めるほか、アデノウィルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがある。 9月にライノウイルス感染が始まり、10,11月にパラインフルエンザウイルス、冬季に呼吸器系...続きを読むシンチウムウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスが流行し、3,4月にライノウイルスが戻ってくる。夏季はエンテロウイルスが独占する。 ライノウイルスは鼻咽腔、パラインフルエンザウイルスは声帯と気管、インフルエンザウイルスは肺に感染する。 ウイルスの感染経路は確実には解明されていないらしい。インフルエンザウイルスは飛沫感染が多く、ライノウイルスは多くの場合は直接感染らしい。 公共の場でウイルスに最も汚染されているのは、児童公園の遊具、バスの手すりやひじ掛け、ショッピングカートのハンドル、椅子のひじ掛け、自動販売機のボタン、エスカレーターの手すり。
今読めて良かった。風邪に特効薬は無い、とよく言われていて、そんなわけないだろと思っていた。しかし、風邪と一口に言ってもウイルスの種類は多く、特性も違うらしい。特効薬も感染方法も分からないことが多いが、やはり手指の消毒は効果が高いみたい。こうやってみると、新型コロナウイルスも何ら新しいことは無く、この...続きを読む本に書かれているような特徴を持つし、既にわかっていることで対処できる様に素人目には見えるんだけどどうなんだろ。新型に限らず(この本で扱っているのはライノウイルスだが)、そんなに感染て広がるものなんだなー、なんで今まで広がらずにいたんだ?って印象。自分はあまり風邪を引いたことがないので衝撃だった。あと口から感染することは少なくて、基本は鼻っていうのも意外だった。 ウイルスは、感染力を強くするか、毒性を強くするかのスキルポイントを割り振るようなイメージで、どちらかにしかなれないらしい。致死率が高いウイルスは感染力が低く、感染力が強いウイルスは毒性が弱くなる。そんなスキル誰が決めてんだよw そして、ウイルスの目的はあくまで増殖であり、宿主に悪影響を与えてしまうようなウイルスは、増殖ができない馬鹿なウイルスとのこと。新型コロナウイルスはなかなか優秀なウイルスなのだろうか。
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