デイビッド・クリスチャンの作品一覧
「デイビッド・クリスチャン」の「「未来」とは何か:1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「デイビッド・クリスチャン」の「「未来」とは何か:1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
本屋の棚の目に付く位置に本書の表紙が目に飛び込んできて、以前から時間論にも関心があったことから購入。
著者は歴史学者であり、宇宙誕生から現在までを一望する新しい学問である「ビッグヒストリー」を提唱し、ビル・ゲイツとともにプロジェクトを立ち上げたということにも興味を抱いた。
本書は4のパートで構成されている。
パート1では、著者の考える未来思考について、哲学・物理学・生物学などの観点から多面的に述べられている。
特に「時間」に関しては2つの系列があり、ひとつは一般的に理解されている"川"としての時間、いまひとつはあまり馴染みのない"地図"としての時間と述べられており、これまで様々な時間論の本を読んできたが、このような時間の系列について論じられたものはなかったので斬新であった。
パート2では、これまでと毛色が変わり、細菌・植物・動物がどのように未来に向かって対応しているかが述べられる。
人間のような思考をしない生物であっても、生存戦略の一環で様々なメカニズムによる予測機構を働かせているということを具体例を交えながら解説されており、専門家でなくても理解しやすい。
パート3では、本書の核となるべき内容で、人類における未来思考について、古代・農耕時代・近代の3つの時代区分における人類の未来との関わりや向き合い方について述べられている。
特に人間による時間の経験は、「自然時間」「心理的時間」「社会時間」の3種類の異なるリズムの混ぜ合わせであるとの論考は斬新かつ腹落ちするものであった。
また、近現代においては、自然科学における機械論的・因果論的アプローチで説明できない"人間社会における未来思考"に関しては確率論的にならざるを得ないという考えも、昨今のAI/ビッグデータ解析のトレンドをみると合点がいく。
パート4では、これからの100年・1000年・更にその先を見据えたシナリオについて、学際的観点から述べられている。
このパートは、今後の未来を「崩壊」「成長縮小」「持続可能性」「成長」の4つの仮説シナリオを基を展開しているが、AI・テラフォーミング・トランスヒューマニズム・ナノマシン・新エネルギー開発・宇宙移民など、いささかテクノロジーの進化が前提の仮説に偏っていると感じた。
本書の特徴は、80年代にブームとなった未来学的なアプローチではなく、多くの学問領域や文献からの引用で論考が展開されている点であろう。巻末の参考文献のリストを見てもその幅広さに驚く。
本書は、著者の長年のビッグヒストリー研究に基づいた、いわば"ビッグフューチャー"への取り組みということができ、あえて未来という答えのない分野に挑んだ著者は称賛に値する。
しかしながら、論考が学際的であるがゆえに、一般の読者や学生などの若い世代には敷居が高いかもしれない。
昨今の中東情勢から、いよいよ化石燃料ばかりに頼ってはいられないという機運が高まりつつあるが、これを単なる地政学的リスクとして扱うだけではこれまでと何も変わらないであろう。
特に次代への変革を担う若い世代に、人類社会や地球環境を持続可能にするためには何をすべきかということを巨視的・俯瞰的な視点で考えてもらうために、著者にはビッグヒストリー研究を継続・発信して欲しいと願うばかりである。
Posted by ブクログ
特に理由もなく書店で目についたので購入しましたが予想以上に面白かったです。本書の著者は歴史学の先生とのことですが、生物学、物理学の領域にもかなり踏み込みつつ、私が感じた書籍全体の印象は、人類がこれまで「未来」をどのように考えてきたか、言い換えると「未来感の歴史(未来感史)」を扱った本、というものでした。
まずパート1で「未来について考える」ということで、A系列時間:川の時間、B系列時間:地図の時間、という未来に関する2つの概念について解説していますが、この2つが本書を通じて何度も登場する大事な概念です。さらにアインシュタインの相対性理論と光円錐を用いて過去と現在、未来のイメージも紹介してくれています。
パート2は「未来を操る」ということで、生物学の領域に踏み込み、細胞、植物、動物は未来をどう操っているかについて説明しますが、さすがにこのパートのボリュームは流石に少ないです。
パート3は「未来に備える」ということで、こちらは文化人類学および歴史学ということで、人類の歴史を振り返っています。ここでは古代ギリシャの予言(アムトラムサイコスの予言)などの紹介もあり、なかなか興味深かったです。このあたりから未来を決定論的ではなく確率論的に見る見方が出始めた、ということになります。個人的にはこのパートが一番面白かった。やはり著者の専門性に一番近いからかもしれません。
最後にパート4「未来を想像する」ということで近未来(今後100年)、中程度の未来(1000年先)、そして遠い未来(宇宙の終わりまで)について書かれていますが、あまり印象には残りませんでした。おそらくこの手の話はSFのようにストーリー性がないと頭に残らないからでしょうか。
扱っている領域の広さに驚いたのと、本書のタイトルからは予想もしていなかったコンテンツも多数含まれていて(例えば古代ギリシャ時代の占い)、知的好奇心を十分満たしてくれる本でした。
Posted by ブクログ
宇宙誕生以降の全歴史を学際的な視点から掘り下げることによって理解を深める研究・教育手法である「ビッグヒストリー」の提唱者が、過去から未来に目を転じて、人類を含めたすべての生物にとっての未来思考の意味を探求するとともに、現時点で予測可能な未来像を描き出した一冊。
著者は、人類を含めたすべての生物が意識的か無意識的かに関わらず、自らの「目的」を達成するために、発生することが確実な領域と予測不可能な領域の間にある「重大なことが起こるかもしれない不安領域」即ち「レッドゾーン」について、相関やサンプリング、因果の分析等を駆使して未来を予測し行動していることを、微生物や動植物の例を挙げて解説する。
さらに人類は、脳の巨大化と言語の発明によって他の生物とは一線を画し、旧石器時代から農耕時代を経て「人新世」に至る中で、知識の保有範囲が個人から社会集団へ広がるとともに、時間に対する認知も過去・未来の両面へと拡大したことに伴い、未来思考も占いや宗教的なものからより科学的・機械論的なものへと高度化してきたが、それでも政治経済的な動向を予測することは困難なままであるという。
そのような認識の上で著者は、今後百年の近未来、数千年〜数百万年の中程度の未来について、「崩壊」「成長縮小」「持続可能性」「成長」という4つのシナリオによる予測を立てるとともに、宇宙の終焉まで見通した遠い未来にも思いを馳せる。考古学や哲学から進化論や量子物理学まで様々な学術的視点を網羅しており、多くの学びが得られる「未来論」となっている。
Posted by ブクログ
◾︎生命は意志を持って「未来を操作する」という視点が目からウロコ
138億年のビッグヒストリーをベースに未来予想をする本。宇宙や太陽・地球の創成は無機的で意志などない。
だが生命は明らかに生存や繁栄の意図を持って未来を作って行こうとしている。それゆえ複雑で不確定要素が多いが、意志を持って未来を操作できる。この視点はすごい。
一方遠未来では、地球や太陽、宇宙が終わることは不確定要素なく分かっている。
このスケールだからこそ見えることで、非常に面白かった。それだけに、いまの我々の意志と行動で、近未来・中未来が決まるということは改めて考えさせられる。人生についても同じだなと思った。