あらすじ
私たちは、いま、
“6度目の大絶滅”の只中にいる!
地球ではこれまで5度の大量絶滅が起きている。
隕石衝突、火山活動、氷河期到来など、いずれも突然の大規模な自然災害で多くの種が消滅した。
そして現在、サンゴ類の1/3、淡水産貝類の1/3、サメやエイの1/3、哺乳類の1/4、爬虫類の1/5、鳥類の1/6、植物の1/2がこの世から姿を消そうとしている。恐竜時代には1000年に1種だった絶滅が、いま、毎年推定4万種のペースで人知れず進行しているのだ。このままでは、2050年には種の半分が消えてしまうかもしれない。世界各地でいったい何が起きているのか? そして原因は何なのか?
絶滅の最前線で、歯止めをかけようとする研究者たちの時間との闘いが熱く繰り広げられている。
『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』2014年ベストブック10冊に選ばれた話題作。福岡伸一氏推薦。
[内容]
第1章 パナマの黄金のカエル
第2章 マストドンの臼歯
第3章 最初にペンギンと呼ばれた鳥
第4章 古代海洋の覇者
第5章 人新世へようこそ
第6章 われらをめぐる海
第7章 海洋の酸性化
第8章 アンデス山脈の樹林帯
第9章 乾燥地の島
第10章 新パンゲア大陸
第11章 サイの超音波診断
第12章 狂気の遺伝子
第13章 羽をもつもの
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
絶滅という概念ができるまでや、現在絶滅に瀕している種のストーリーを眺めながら、人の手によって現在起きれいる変化を実感することができた。
人の移動によって引き起こされる変化を止める事ができるのか?保護した生態系は果たして自然と言うことができるのか、とても考えさせられる内容だった
Posted by ブクログ
地球上に「生命」が現れてから約40億年もの間に、さまざまな種が生まれては絶滅していった。
現代の私たちは地層や化石などの研究によって過去に5回の大規模な絶滅(ビッグファイブ)があったことを知っている。
(ウィキペディアの地質時代、大量絶滅を参照)
過去の大絶滅では当時に存在した種のうち70〜90%が失われたといわれている。私たちにいちばん馴染みがあるのが白亜紀末の大絶滅で、当時地上で大繁栄していた恐竜類が隕石の落下による影響で一斉に絶滅したことは有名だ。
そして、今現在、6度目の大量絶滅が進行中で、その主な原因が私たち「ヒト」である、という事がこの本のテーマである。
私たちヒト(現生人類)が約15万年前から存在しはじめ、アフリカをはじめとしてヨーロッパやアジアの各地へ拡散していったときから、当時各地に存在していた動物たち、マストドン、マンモス、スミロドン、オオナマケモノなどの巨大獣が次々と絶滅していった。ヒトが原因となる絶滅の有史後の例としてとりあげられているのが1800年に絶滅したとされるオオウミガラスだ。
さらにこの本では今まさに絶滅しようとしているたくさんの種について、調査や保護の様子が記述されている。
グローバル化の影響と思われるツボカビ病によって個体数を激減させている南米の両生類。
二酸化炭素の増加による海水の酸性化によって2000年代末には絶滅する可能性があるとされるサンゴ類。そのサンゴ礁が作りだす生態環境に依存しているといわれる数千〜数百万種の海洋生物たち。
アメリカのコウモリが大量死しているのはヨーロッパのコウモリとは共生しているカビによる「白鼻症」のせいで、これもまたヒトのグローバル化が原因であること。等々。
この本の読者が読後になにか不満を感じたとしたら、それは章構成の乱雑さに混乱したせいかもしれない。
私が思うには、「人類が絶滅という概念を獲得する話(おもにフランスの博物学者キュビエを中心とする)」と「過去の大絶滅(ビッグファイブ)に関連する話(地質学者と物理学者のアルヴァレズ親子が隕石衝突説で古生物学会に殴りこみをかける等)」と「6度目の大絶滅で(たぶんヒトと関わったせいで)滅んだ動物たちの話」と「現在進行中の絶滅危惧種の話」の章が入りまじって構成されているので、読んでいてすこし混乱するのだ。
構成にすこし難があるとはいえこの本のテーマは刺激的で、重要な問題提起をしていると思う。
ヒトが化石燃料を使用して大気中の二酸化炭素濃度が高まり地球温暖化をひきおこしたり、急激な環境改変が生態系の破壊などにつながっていることは一般的に認知されている問題だが、この本ではそういった周知の問題だけではなくて、もっと踏みこんで「ヒト」が世界に及ぼす影響について示唆している。
その点で圧巻なのは最終章の手前、ネアンデルタール人のDNA採取を試み現生人類との関係を研究している遺伝学者ペーボの話だろう。ペーボが探すのはネアンデルタール人にはなくて現生人類にあったもの、彼が「狂気のようなもの」と呼ぶ何か、おそらくは6度目の大絶滅を起こさせる原因でもあり、ヒトのヒトらしさの本質でもあるものだ。それは文中で示唆されているように「飽くなき好奇心を抱く」内容である。
上にあげたウィキペディアの大量絶滅の記事中にもあるが、現代が6度目の大絶滅の最中であるというのは大多数の生物学者の一致した見解だそうだ。
そしてこの本が示唆するように大量絶滅の原因がヒトにあるのかどうかは確定してはいないが、ヒトは温暖化や環境破壊をする一方で絶滅危惧種の保護活動をしたり保護区を作ったりもしているわけで、とても不思議な生物であることは確かだと私は思う。
Posted by ブクログ
ある人類学者は「ヒトは六度目の大絶滅の原因であるのみならず、その犠牲者にもなるかもしれない」と警告する。遠い将来、ヒトではない或る地球上の生き物が、このような人類という生き物がいたと振り返るときが訪れるのであろうか。生命の絶滅も地球の消滅も、気の遠くなるような未来には必ずやってくるのは間違いのないことなのであります。
Posted by ブクログ
最初の数章が冗長に感じました。これは原著が描かれた当時に人新世、アントロポセンという概念がまだまだ一般に普及していなかったので世界中で現在かつ過去も含めて人間によって引き起こされた生物の絶滅を物語風に追い、本題(第5章以降)への誘いという体を取ったのではないかと思います。
Posted by ブクログ
大絶滅にかかわる学説史的なものを背景に、著者が世界各地を訪ねて取材した学者たちの活動をアンサンブル的に(もとは雑誌連載)散りばめてある。カエルのツボカビ、化石発掘、恐竜絶滅、海洋酸性化、熱帯多雨林、サンゴ礁、人新世、ネアンデルタール人などなど盛りだくさん。ヒトの手により現在進行中のまさにグローバルな事態を、地質学的な時間軸の中にすっきり位置づけてくれた。
個々のエピソードは何かしら聞いたことのある話がほとんどだだったが、個人的には以下の点などが新鮮であった:
・イースター島の環境破壊の原因は、直接的にはヒトよりもむしろネズミであった可能性が指摘されている(そのネズミはヒトが連れてきたにせよ)
・生物種の多様性は極から赤道に向かって増えていくが、それがなぜかについては通説がまだない(仮説はたくさんあるが)
・旧人類もネアンデルタール人も他の哺乳類と拡散パターンは同じで、海を越えてマダガスカルやオーストラリアには行かなかった。それをしたのは現生人類だけ
Posted by ブクログ
NYTの敏腕記者による生物の大量絶滅に関するレポート。
これまでの隕石や噴火、氷河期の到来で5度の大量絶滅があった。
そしていま「サンゴ類の1/3、淡水産貝類の1/3、サメやエイの1/3、哺乳類の1/4、爬虫類の1/5、鳥類の1/6、植物の1/2がこの世から姿を消そうとしている。恐竜時代には1000年に1種だった絶滅が、いま、毎年推定4万種のペースで人知れず進行しているのだ」。
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大げさかもしれないが、21世紀の「沈黙の春」とでも言うべきインパクト。地球史上5度あった大絶滅はいずれも自然が原因だったが、現在、6度目の大絶滅が人類によって引き起こされている。
センセーショナルが故、感情的な環境保護主義者の言にも見えるが、この説は、著者のフィールドワークからも、提示される数字からも非常に説得力が高い。
350Pに渡る本書は、人類が今回の絶滅の加害者であり被害者にもなるだろうという諦観的な締め括りで終わる。
Posted by ブクログ
人間が現在、地球に引き起こしている6度目の大絶滅。目につきやすい動物だけではなく、珊瑚礁や森、コウモリなど、網羅的と言うより具体的な説明なのが説得力を増している。さかしらな「対策」が示されるわけではないのも、正しい姿勢だと思う。その前の隕石衝突や火山活動、氷河期などによる大絶滅の説明も興味深かった。
Posted by ブクログ
ペルム紀末の大絶滅が古生代を終わらせ,白堊紀末の大絶滅が中生代を終わらせたように,現在進行中の種の激減は「人新世末の大絶滅」となって新生代を終わらせてしまうのだろうか?
先史時代から大型哺乳類を狩って絶滅させてきた人類は,近代化以降,化石燃料の使用による地球温暖化・海洋の酸性化,輸送による外来種の拡散,開発による棲息地の分断によって動植物の絶滅をさらに加速させてきてしまった。その速度は前例を見ないもので,この事態はやがては人類自身の絶滅にまでつながるのかも知れない。豊富な具体例とともに警鐘を鳴らす一冊。
初めて聞いたときは「人新世」なんて大袈裟な,なんて思っていたりもしたけれど,認識が甘かったかなぁ。長い間地殻に閉じ込められていた炭素は人間の活動で大気中へと大量に解放され,遠い将来からでも検出可能な地質学的痕跡を地球に刻みつつある。張本人でありながら,これを何とかしなければと考え,努力するのも人間だというのは不思議な感覚だ。どうにかなるものか,ならないものか,これは全く分からないとしか言いようがないけれど,現代人としては,ともかく人類がこれまでに獲得した知識,これから獲得していく智慧は失われずに後世に伝わっていってほしいな。後継者は別にホモサピじゃなくてもいいや。
Posted by ブクログ
これまで5度の大量絶滅、隕石、火山、氷河期など。
現在6度目の大量絶滅期にある。
オルドミス期末、デボン紀後期、ベルム期末、三畳紀後期、白亜紀末、ビッグファイブ。人新世が6度目。
キュヴィエの天変地異説(カタストロフィズム)と、ライエルの斉一説の対立。
Posted by ブクログ
絶滅の概念は、18世紀初頭、キュビエにより、アメリカマストドンをめぐってもたらされた。
クルッツェンは、人新世の語を用いた、これまでの変化として、以下を指摘している。
・人間は地表の3分の1から半分に手を加えた。
・世界中の主要な河川の大半はダムが建設されたり、切り回されたりした。
・肥料工場が、すべての陸上生態系によって自然に固定される量を上回る量の窒素を生産している。
・海洋の沿岸水域における一次生産の3分の1以上が漁業によって消費される。
・人間が世界中の容易に入手可能な淡水の半分以上を使う。
人間の運搬による種の均一化がもたらす効果は、大陸がひとつに結合された場合を想定した思考実験によって、陸生哺乳動物は66%、陸生鳥類は50%減少すると推定される。