鍛原多惠子のレビュー一覧

  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    まず読み切った自分褒めたい 笑

    人類は交換と専門化によって発見や発明を繰り返して進化してきた。今、世界的な社会問題としてある貧困や人口爆発、地球温暖化だって、乗り越えられるはず。
    このことを大量のデータや過去の前例を踏まえて理論的に説明した「合理的楽観主義」の本。

    読み終わって思ったのは、社会全体が変わっていくことを恐れてはいけないということ。状況は変わっていくのに自分たちが変わらなければ当然自分たちが苦しくなっていく。その変化に対応する、むしろ、その変化を自分で引き起こすくらいの気持ちと力が求められてる気がした。

    少なくとも、今の自分の周りの人たちは安定を求める人が多い。きっとその価値観から1歩も出れない人は繁栄していく社会の変化に追いつけないのだろうし、自分自身、貪欲に進化しなければならないと感じた。
    人類の繁栄は個人の安定を保証はしないのだから。


    きっと医療の世界も繁栄のために変わっていく。その中で個人として生き抜くためにはただ漫然と仕事をしていくのではダメなのだろう。
    具体的な話をすれば、AIと比較した自分の利点となる技術を身につけるとかね

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    2017年12月03日
  • かぜの科学 もっとも身近な病の生態

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    「かぜ読本」という売り文句だけれどもまさしく読本。研究者が書いた小難しい専門書ではなく、さまざまな研究者に取材してその知見や研究結果を紹介するコラムという感じ。統計は米国のものなので若干日本とは事情が異なるところもある。ウィットというかユーモアというか、えせ科学に翻弄されがちな自分たちの姿を笑いとばしている。普通感冒については結局いまだよくわかっていないことが多く、市販の風邪薬の効果は疑わしいけれども有効成分よりプラシーボ効果のほうが大きい、ということだけはとりあえずわかった。ついでにいうと後半は「かぜを絶滅させても社会はたぶんよくならないし、いっそかぜをひいたら布団に籠もって読書でも楽しもうぜ!」みたいなノリだった(嫌いじゃない)。

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    2017年06月28日
  • 猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

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    ホンジュラスの森林僻地も好きティアにある古代遺跡を過去の伝説をもとに最新技術ライダーを使って発掘を開始する夢とロマンの話。だが、そこから、コカイン主要流通元である新興国である事、不安定な政府とのやりとり、新世界と旧世界の病原菌の話(銃・鉄・病原菌からの引用多い)に発展していく。

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    2017年05月27日
  • 腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方

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    ヒトの体内あるいは体表面にともに棲む微生物(=マイクロバイオーム)についての本を何冊か読んできている。
    本書は微生物学者夫妻によるもので、最新の研究結果も織り込みつつ、専門用語を交えすぎないわかりやすい仕上がりになっているところが長所だろう。巻末のかっちりした参考文献と腸内細菌を育てるレシピが同時に1冊の本にあるところもなかなかおもしろい。

    マイクロバイオームの話は難しい。関わる因子(細菌の種類、ヒトの食生活、生活環境、年齢)が多すぎて、マイクロバイオームがヒトの健康状態に関与していることはわかってきても、ピンポイントで、「どの」細菌が「どのように」関わっているかを詰めていくのが容易でないのだ。それは往々にして「どの」1つの細菌という話ではなく、複数の細菌のバランスの問題であったりする。ヒトの側の要因も数多い。どれか1つの「善玉細菌」さえいれば万人によい結果が生じるというような単純な話ではないわけだ。
    但し、どういった病状のときには、どういった種類の細菌が多い傾向があるといった形で徐々にデータは蓄積されていて、「いずれ」は、微生物を駆使した(おそらくは個別化もされた)医療への道も拓けていくのだろう。だが、それには相当の時間が掛かる。
    そういった複雑さも本書を読み進めていくと段々呑み込めてくる。

    人体と微生物の関わりを考える上で、抗生物質の登場は外せない。確かに感染症と闘う上で非常に重要なツールではあったものの、抗生物質はいささか強力過ぎた。悪さをしている細菌だけでなく、根こそぎ焼き尽くしてしまうのだ。
    加えて、我々にとって細菌は「敵」だというイメージを植え付ける上でも大きい存在であったように思う。とりあえず「ばい菌を殺してしまえ」という姿勢が出来てしまったのだ。
    その結果、現在、抗生物質の処方は必要以上に多すぎ、そのことはもしかしたらアレルギーや肥満の形成に役割を果たしている可能性もある(理由はともかく、動物への抗生物質投与で成長の度合いが高まることが実際に知られている)。特に小さいうちから抗生物質に晒されることで、子供のマイクロバイオームが正常に発達しない可能性がある。そのことが「現代病」に寄与している可能性は排除できない。それがどれほどなのかは今後の研究に委ねられるとしても。

    ただ、マイクロバイオームの話でもう1つ難しいのは、ピンポイントで指し示せない現状では、「偽科学」の入り込む余地がかなり大きい、ということかもしれない。人は得てしてわかりやすい話に飛びつく。「○○菌」とついた眉唾話は巷にあふれかえる。
    いずれ、エビデンスを伴うものが出てくるとしても、それまでは、ナントカ菌に騙されるよりも、より健康的なマイクロバイオーム育成に役立つと思われる食事(繊維が多く脂肪やカロリー過多でない)を採るよう努めることが現実的かもしれない。
    そういう意味では巻末のレシピは(そのままは使えなくても)参考になりそうだ。

    「生まれ」か「育ち」か、という議論がある。
    ヒトは自分の持つ遺伝子は変えられない。けれども体内・体表面に棲む微生物をある程度変化させることは出来る。それが実は健康には相当役立つ可能性はある。
    本書の一番の美点は、複雑なマイクロバイオームを、敵としてだけでなく、「同士」として捉える視点を提供してくれていることかもしれない。
    レシピを取り入れたからといって、即、超絶健康体になることはなくても、少なくともお通じはよくなっていきそうである。それだけでも試してみる価値はあるかも。

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    2017年05月03日
  • 腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方

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    腸って凄い。いや凄いのは細菌だけど…と思わせてくれる1冊。最初は「カイチュウ先生」のアメリカ版かなぁ、と読み始めたのですが、最新の研究結果(マウスによるものも多いですが)も多く、かなり説得力のあるものでした。
    とりあえず第6章だけを読んでみれば、マジかよ!となるのではと。腸内の微生物相ことマイクロバイオータさんについて、脅威のエピソードが連ねられています。健康とかそういうレベルは何となくわかるのですが、記憶力やら性格にまで影響してきますかね!

    人間がハードウェア、OSのレベルだとすれば、マイクロバイオータがミドルウェア的に色々な機能を追加しているということでしょうか。そして、マイクロバイオータは食事である程度コントロールできる、と。何だか面白いけど、凄い話。
    あまり囚われすぎても良くないのでしょうが、やって損にもならなそうだし適度な範囲で暮らしに取り入れていきたいと思わせてくれる本でした。

    なお、巻末に「メニューとレシピ」がついていますが、これらは日本で実践するにはひじょーにコスパが低そう。アーティチョークなんかは日本で調達するのは骨が折れそう。一部に和食のテイストが取り入れられていますが、蕎麦のピーナツ味噌ソースはあんまり食べたくないなぁ。。
    まぁ、和食自体が腸内細菌にとっても悪くない食事のようで、今の食事をベースに意識して食物繊維を増やしていけば良いのかな、と思いました。

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    2017年03月29日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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     技術革新は終わらず、すすめば進むほど世の中は良くなる、との主張。過去よりもすべて良くなっているという。大気、温暖化等の環境問題も、技術開発効果により、発覚時のころからは大幅な改善がみられる(悪化の状況が緩和されているので良い)。楽観的に考えてよい。
     確かに一理ある。すぐあおり文句に影響されてしまうが・・・

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    2016年09月19日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    分業は、交換という性向のおかげで達成された。
    交換→分業→専門化→革新→時間の節約→生活の多様化→豊かになる。

    資産市場は、投機、群集心理、不合理な楽観主義、独占や超過利潤、などで相場が上下する。

    合理的な楽観主義。危機を脱却できる。

    国内で格差が拡大しても、世界で見れば格差は縮小している。統計のパラドックス。
    健康面、教育面では確実である。

    ソローの自給自足は、現代では成り立たない。
    労働の分割ではなく労働の掛け合わせ

    物々交換の開始
    交換は発明された=犬は交換しない。
    男女による分業。

    捕食者が獲物を獲り尽す前に、捕食者が激減する。
    人類は、他の代替のお捕食物を開拓することで、人口を増やした。
    ネアンデルタール人は交換しない=イノベーションがない。
    リカードの比較優位の原則。
    人口増加が収穫逓減の原因にはならない。イノベーションの原因になって生産性が増大する。

    政治的決定は多数決による押し付け。商業は少数派のニーズを満たす。

    大企業は報道、政府、顧客に戦々恐々としている。

    生産性を向上させたのはコンピュータではなく、物流の進歩による。

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    2016年05月27日
  • 6度目の大絶滅

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    大げさかもしれないが、21世紀の「沈黙の春」とでも言うべきインパクト。地球史上5度あった大絶滅はいずれも自然が原因だったが、現在、6度目の大絶滅が人類によって引き起こされている。
    センセーショナルが故、感情的な環境保護主義者の言にも見えるが、この説は、著者のフィールドワークからも、提示される数字からも非常に説得力が高い。
    350Pに渡る本書は、人類が今回の絶滅の加害者であり被害者にもなるだろうという諦観的な締め括りで終わる。

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    2015年09月26日
  • 6度目の大絶滅

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    人間が現在、地球に引き起こしている6度目の大絶滅。目につきやすい動物だけではなく、珊瑚礁や森、コウモリなど、網羅的と言うより具体的な説明なのが説得力を増している。さかしらな「対策」が示されるわけではないのも、正しい姿勢だと思う。その前の隕石衝突や火山活動、氷河期などによる大絶滅の説明も興味深かった。

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    2015年06月21日
  • 6度目の大絶滅

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    ペルム紀末の大絶滅が古生代を終わらせ,白堊紀末の大絶滅が中生代を終わらせたように,現在進行中の種の激減は「人新世末の大絶滅」となって新生代を終わらせてしまうのだろうか?
    先史時代から大型哺乳類を狩って絶滅させてきた人類は,近代化以降,化石燃料の使用による地球温暖化・海洋の酸性化,輸送による外来種の拡散,開発による棲息地の分断によって動植物の絶滅をさらに加速させてきてしまった。その速度は前例を見ないもので,この事態はやがては人類自身の絶滅にまでつながるのかも知れない。豊富な具体例とともに警鐘を鳴らす一冊。
    初めて聞いたときは「人新世」なんて大袈裟な,なんて思っていたりもしたけれど,認識が甘かったかなぁ。長い間地殻に閉じ込められていた炭素は人間の活動で大気中へと大量に解放され,遠い将来からでも検出可能な地質学的痕跡を地球に刻みつつある。張本人でありながら,これを何とかしなければと考え,努力するのも人間だというのは不思議な感覚だ。どうにかなるものか,ならないものか,これは全く分からないとしか言いようがないけれど,現代人としては,ともかく人類がこれまでに獲得した知識,これから獲得していく智慧は失われずに後世に伝わっていってほしいな。後継者は別にホモサピじゃなくてもいいや。

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    2015年05月29日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    脳の一部摘出手術を受け記憶する能力を失ったH・Mことヘンリー・モリソンについて50年近く研究を通して歩んできた学者がその間得られた脳の機能について、およびH・Mの人生について記述する。
    H・Mは転換の重い発作のため1900年代半ばに海馬周辺の摘出手術を受ける。その時はわからなかったが、両方の海馬の機能を失うことで30秒程度以上の記憶を保持することがほとんど出来なくなってしまった。一方手術以前の記憶は残っていたり、体を動かすような記憶や意味記憶(エピソード記憶でない)はわずかではあるが出来ていたりする。これは記憶が単に脳のある箇所だけで行われるのではなく、様々な部位で行われることを示した。また意識なるものはもっと複雑な作用で成り立つことが徐々にわかってきている。

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    2015年03月11日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    ネタバレ

    望みをかけて臨んだてんかんの治療のための手術で
    脳の一部を切除し、術後からの記憶をとどめることが
    出来なくなったヘンリーの記録。

    現在に閉じ込められた…と聞いても
    中々どんな状況なのかなんて想像もつきません。

    会う人々がみんな知らない人。
    今いる場所もわからない。なぜそこにいるかも。
    お腹がすいているかもや喉の渇きもわからない。
    時間がたつとどこがどういう風に痛いのかも説明できない。
    家族が亡くなったのも覚えていられない。

    こんな状況で、いつも笑みをたやさず
    自分からすすんで脳科学の研究に協力するヘンリー。

    自分らしさを形作るものは、膨大な過去が
    積みあげてきたものによると思っていた私。

    毎日が新しいことの連続なのに、
    会う人には冗談を交えた会話をし、
    家電機器の変化も、引っ越した家も
    医療機器の変化やコンピューターにも
    鏡の中の老けた顔の自分までも丸ごと受け入れるヘンリー。

    読んでいるだけで頭が痛くなりそうな記憶検査。
    質問にはきちんと答え、たまには期待に応えようと
    作り話っぽいことまでしてくれることも。

    不安やふがいないことも沢山あったはずなのに
    誰も恨まず何がヘンリーをそこまで協力的にするのか。

    それは「誰かの役にたつこと」が支えていたんだと思います。
    この検査が、この質問が、自分が発するものが
    みんなの役に立っている。
    そこに自分を誇るものがあったのだと私は思います。

    この著者は長年研究者という立場でヘンリーの傍にいましたが、
    決して研究者だけの関係ではありませんでした。
    温かく家族亡き後のヘンリーを支えてくれています。

    論文などで有名になったヘンリーを
    マスコミなどからも守ってくれました。

    研究対象者としてだけではなく1人の大切な人として
    長年接していたコーキン博士。
    手術後に出会った人が覚えられないはずのヘンリーが…。
    大切なことには奇跡がつきものなのかもしれません。

    とにかく難しい本で、ほとんどわかりませんでした…。
    記憶といってもなんと種類の多いこと!
    そして私たちの脳のなんと複雑怪奇なこと!!

    ちょっと医学的な部分を端折って、
    ヘンリー・モレゾンの記録中心に読みましたが
    それだけでも感動です。

    神経回路とは、まさに神の路。
    分断されたとしても、大切な路は
    紡がれていくものなのです。

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    2015年02月20日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    うまく考えがまとまらない。
    技術の進歩、研究者のたゆまぬ努力、ヘンリーの存在、様々な偶然が重なって多くの発見に結びついた。
    研究対象としての人生って、どうなんだろう?
    本人だったら?身内だったら??

    それにしてもこれほどまでに実験には根気がいるものなのか。

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    2015年01月23日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    てんかんの手術により両側の海馬、海馬傍回、扁桃体を切除された患者H.Mの生涯を描き、またそれと並行して脳科学の進歩が描かれている。てんかんの治療を目的としたとはいえ、結果的に近時記憶障害を来すこととなり、そのことから、記憶に関する知見が大きく進歩したことは皮肉ではあるが、科学の現実かもしれない。健忘患者の人生を具体的に描けるという点でも勉強になるし、また記憶に関する総説としても、よくまとまっていると思う。少しこの分野に知識がないと少し読むのに苦労するか。

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    2015年01月14日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    ネタバレ

    てんかんの外科的治療のため両側の海馬+海馬傍回を切除したHMは新しい物事を覚えようとしても15秒以下しか記憶がもたないという重度の健忘症に苦しめられるようになった ー 非常によく調べられ、有名な患者であるHMについて、主研究者であったスザンヌ・コーキンが記した本。内容的にはセンチメンタルな部分は少なく、神経心理学的な話が中心。多少なりとも神経科学の知識がないと難しいかもしれない。

    これまであまりよく知らなかったが、HMは手術を受けたあともてんかん発作には悩まされていたという。また、抗てんかん薬の副作用らしき小脳萎縮も顕著で、運動を指標とする検査結果の解釈は若干慎重に行うべきらしい。

    HMは両側海馬の前方3分の2、海馬傍回が切除されていた。現代の神経科学の知識によると、この手術によって短期記憶は損なわれなかったが、短期記憶を長期記憶に変換する過程が障害されていたということになる。

    日常生活では陽気で人懐こかったという。日常生活上の不安や苦しみの多くは長期記憶や未来の心配から生じることを考えると、ヘンリーが人生の大半をストレスに煩わされずに生きてきた理由も見えてくる、と著者は言うが、扁桃体が切除されていたせいもあるのかもしれない。また、未来の出来事を想像する時は過去の体験を組み合わせるため、脳回路も過去を思い出す時と同様、内側側頭葉、前頭前野、後頭頂皮質などに依存する。ヘンリーには未来を想像して不安や恐れを抱くということがなかったらしい。

    ・陳述記憶はほぼ全て失われていた
    陳述記憶はエピソード記憶と意味記憶に分けられる
    意識してものを記憶するためには海馬とそれに隣接する海馬傍回が必要である。
    海馬傍回はさまざまな知覚や文脈を海馬に伝え、海馬はこれらの情報を結びつける
    見たもの、聞いたこと、匂いなど、その時の複数の情報、出来事の順序、他の体験との関連

    ・非陳述記憶は保持されていた
    手続き記憶
    運動の学習は初期には運動野と前頭前野、頭頂葉、小脳などが活性化する。習熟してより自動的になってくると線条体や小脳もこれに加わってくる。海馬や海馬傍回はこれに関わってないため、ヘンリーも記憶することができた。
    プライミング
    プライミング効果も認められた。このことから、プライミングの神経回路は高次連合皮質内の記憶回路に局在すること示唆されている

    ・逆行性の健忘もあり、自伝的な記憶は障害されていたが、意味記憶はよく記憶していた。
    すなわち、自伝的な記憶の固定には海馬が必要だが、事実や一般的な情報などの記憶固定は海馬系に依存しない。

    ・短期記憶は特定の回路同士が閉ループ内で連絡しあうことで可能になるが、長期記憶はニューロンの可塑性による。

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    2014年12月12日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    「昔は良かった」という人達がいるが、現在の世界は50年前に比べて格段に良くなっている。便利なものはより便利に、より安く入手・使用することができるようになった。平均寿命も延び、乳児死亡率も低下している。

    著者は自分が「合理的な楽観主義」だという。資源の枯渇や環境汚染が騒がれているが、新たな資源の可能性はいくらでもある。また環境汚染でも、排気ガスが発する有害物質は減っている。この先の世界もそう悲観するものではない。
    ということが具体的なデータを並べて示されている。


    著者は原子力発電が主力になっていくとしているが、これは東日本大震災による福島の事故から修正されるべきだろう。著者の今の考えはどうなっているのだろうか。

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    2014年11月22日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    人類の10万年史を振り返ると、近現代の生活水準の向上は驚くべきものである。現代社会の抱える恐るべき貧困でさえ、個別的な事例の悲惨さはさておき全体的な視点から見れば、過去の歴史における破局的な貧困よりはマシであるのは間違いない。ことによると我々人類がマルサスの罠に捉えられていたころの平均的な生活水準でさえ、現代人の感覚からすれば貧困状態と言っても間違いかもしれない。我々は、ともすれば、この科学技術社会を語る際に、産業革命以前の社会のノスタルジックな側面と対比しがちであるが、ノスタルジックな幻想を抱くことも多いが、「世界は常に良くなってきた」ことを、もっとキチンと認識すべきである。

    というのが、本書の主題。そこまでは文句なしに☆5の内容。そこから派生的に、「世界はこれからも良くなるだろう」という主張が繰り広げられるが、その部分は☆3かな。

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    2014年08月02日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    分業、専門化、交易が知識と情報の発展を促した。
    この本に通底する楽観論に同感。
    具体的な例を多く盛り込んでいるが、もう少し簡略化したほうが読みやすいのでは。

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    2014年03月22日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    マット先生の主張をまとめると「悲観主義にとらわれて萎縮するな、世界を良くするために、ただ進め!(確かに社会問題は数え切れないほどあって、悲観したくなる気持ちもわかる。だからこそ私のような人間が率先して、楽観主義者であろうと思う)」てなところ。その主張を確かなものにするために、膨大なデータと分析事例が詰め込まれており、噛みごたえはじゅうぶん。

    生まれでた限りは、どんなに些細なことでも社会を前に進める義務があると思う。勇気が出る一冊。

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    2013年10月18日
  • 6度目の大絶滅

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    ネタバレ

    これまで5度の大量絶滅、隕石、火山、氷河期など。
    現在6度目の大量絶滅期にある。
    オルドミス期末、デボン紀後期、ベルム期末、三畳紀後期、白亜紀末、ビッグファイブ。人新世が6度目。
    キュヴィエの天変地異説(カタストロフィズム)と、ライエルの斉一説の対立。

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    2025年08月02日