鍛原多惠子のレビュー一覧

  • 猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

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    失われた都市ウバール
    モルモン教はマヤ人が失われたイスラエルの民であると主張した。1830年刊のモルモン書にレーマン人として登場する。レーマン人は紀元前600年ごろにイスラエルを出て、アメリカへ海路渡ったとされた。20世紀になるとモルモン教会は多額の資金を投入して大勢の考古学者をメキシコと中南米に送り込み、遺跡発掘によって真偽を確かめようとした。この試みは貴重な発見につながったものの、モルモン史観とは矛盾。
    リモートセンシングに使うライダーはアメリカの軍事技術を利用しているため、なかなか使えない。
    メキシコのアンガムコの遺跡には、上空から見ると鍵穴のように見えるピラミッドもあった。

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    2017年06月22日
  • 猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

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    ネタバレ

    まるで自分も秘境の古代遺跡発掘に参加しているような、そんなリアルなドキドキ感を味わえる一冊だった。簡単には人が立ち入ることのできない、蛇やジャガーがうろつくジャングルに、命をかけて乗り込んで行く。現代の最新機器を持ち込んで、昔よりは的確に目的地へたどり着けるようだけれど、それでも大きな危険が伴う事に変わりはない。古代遺跡を見つけた!すごかった!だけの話では無く、その場所がなぜこんなにも時を超えて忘れ去られた場所になっていたのか。その謎を探ると、昔ヨーロッパ人が植民地化のためにやってきてから、先住民たちの数が激減していった歴史なども知ることになる。現代にも受け継がれている恐ろしい感染症の話など、

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    2017年06月15日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    巷には誤った認識が多数あることが分かった。
    グリーンピースといった環境テロリスト達がいかにいい加減でデタラメな人々・組織なのかがよく分かる。
    将来・未来に悲観することはない,楽観して大丈夫,だと思わせる内容である。

    「進化は万能である」と違って訳文も普通だし,書いてあることも至極まっとうである。リドレー氏は変な人ではなかった。訳者が悪いのかもしれない。先に「進化は万能である」を読んでしまったのが失敗かもしれない。

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    2017年01月18日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    てんかん治療として海馬を手術によって除去され、記憶障害となった有名な患者H.M.。著者は、彼を長年研究した医師である。本書で彼はH.M.=ヘンリー・グスラフ・モレゾンとして再度名前を与えられ、単なる特殊な症状を有する研究対象ではなく、ひとりの人間としての彼の人生に光を当てられる。多くの脳神経科学を紹介する本でも紹介されたH.M.が、つい最近の2008年まで存命だったというのは驚きだ。今後脳の海馬切除手術は行われることもなく、H.M.のような患者は二度と現れないことを鑑みると、PETやfMRIなど脳内の活動を計測する装置が進化した近年まで存命であり、それらによる検査を受けることができたのは科学に

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    2016年03月21日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    まさに啓蒙書。蒙を啓くというか目からうろこがボロボロ落ちるというか。あまりの楽観論なので都合の良いところばかり鵜呑みにする危険性はあるが、悲観論に首元までどっぷり浸かった現代日本人にはこれくらいの本が適していると言えるだろう。文明バンザイ、成長バンザイ、都市・交易・イノベーションによる繁栄。現在が最も恵まれた時代であるという主旨は、後発書の「暴力の人類史」にトーンが近いが、「暴力」は膨大な数値データ・グラフで説得力を持たせるが、本書は語り口と参考文献で首肯。

    いかにして現生人類は今ここにあるか。
    年号はほとんど無いが、ある意味、これが「世界史」と言えると思う。

    繁栄に群がる寄生者・略奪者で

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    2016年03月20日
  • 6度目の大絶滅

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    ネタバレ

    ある人類学者は「ヒトは六度目の大絶滅の原因であるのみならず、その犠牲者にもなるかもしれない」と警告する。遠い将来、ヒトではない或る地球上の生き物が、このような人類という生き物がいたと振り返るときが訪れるのであろうか。生命の絶滅も地球の消滅も、気の遠くなるような未来には必ずやってくるのは間違いのないことなのであります。

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    2015年07月04日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    ものすごい本だった。これは文庫化くらいをタイミングにか、少々ヒットするように思う。
    約50年ほど前にてんかんの治療手術のために、脳の一部を摘出した結果、手術前と20秒以内の記憶しかなくなってしまった患者の生涯と、彼の貢献などにより発達した記憶に関する研究の本。
    扱ってるテーマからして重厚な上に、専門知識がないとしんどい部分も多々あるけど、人間性を構築する要素とは、とか、人生とは、記憶力とはなど、多様な問いが立てられるし、一学術分野の進歩や記憶について知識を得ることもできる、かなり読み応えのある一冊。

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    2015年01月13日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    本書によると、人類とその他の生物の違いは分業化からくるイノベーションにあり、そのおかげで例をみない繁栄ができたとある
    本書の細部がどこまで正確かは議論があるとは思うが、
    全体像としては極めて正しいと思う
    未来に対して楽観主義過ぎる様にも見えるが、
    イノベーションに制限を加えない前提においては、
    正しいのだと思う
    ところで、本書の視点で日本を見ると怖くなる
    世の中的に先端の研究開発していると見られている
    企業ですら分業が下手で突出した個性を活用できない
    (問題意識はあるのでまだましだが・・)
    教育、特に初等教育は更に悲惨で問題意識すらなく
    分業のアーキテクチャーを構想できる人材や
    分業化において

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    2015年01月04日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    合理的楽観主義。交換と専門化により集団的進化してきた人類は、今後も外的変化に適応して発展し続けるだろう。悲観的予測より楽観的予測がこれまでもこれからも正しいのは、知識の専門化とアイデアの交換で、発見や発明が枯渇することなく生み出され、益々、加速して行くから。

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    2013年12月29日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    未来はよくなる、絶対に。
    恥ずかしげもなく抜かしてしまったが、そう言いたくなるくらい、清々しい読後感だ。

    人類は「分業」と「交換」によって進歩し続けてきた。今後もそれは続くだろう。それどころか、ますますそのスピードは上がり、かつてない繁栄(!)がもたらされるだろう。

    著者の主張は、このことに一貫している。ドキドキするくらい楽観的だ。

    極端な悲観論者を、パオロ・マッツァリーノ氏が「スーペーさん」と呼んで茶化している。悲観論は後ろ向きになるだけで、いいところがないのだ。悲観論を打ち破り、楽観的になれ。実はそれこそが何よりも難しいことかもしれない。

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    2013年11月05日
  • 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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    人類はなぜ他の動物に見られない繁栄を可能にしたか?”交換と専門化”というシンプルな仮説とともに、アダムスミス、ダーウィンの思想をベースに人類10万年の歴史を紐解く一大ドキュメンタリー作品。 生殖による生物学的進化と、交換による文化的進化の累積が繁栄を解く鍵となる。その発想はネアンデルタール人の絶滅にも言及する。現在は通信速度の発展に伴い、”交換”の加速がイノベーションの進化を促す。膨大な過去データの解析に裏打ちされた強固な信念を持つ筆者の未来予想図は合理的な楽観主義だと。なるほど~。

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    2013年09月21日
  • 人類進化 私たちはいかにしてヒトになったか

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    人間と他の動物、もっと言うと、クロマニヨン人とネアンデルタール人の違いは集団とコミュニケーションにある。
    他者が言う150のダンバー数が本当だとしたら、条件によっては昆虫の社会が当てはまるのではとも思ったりする。
    そんなわけないか

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    2025年10月15日
  • 「組織と人数」の絶対法則―人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力

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    生物学的な考え方から組織のあり方、リーダーシップのあり方を説いた一冊。
    ダンバー数が150人ということは何となく聞いたことがありましたが、それがどういう意味で現代社会にどう影響をしているかということを改めて知ることができました。
    冒頭で、著者はこの本の目的について、このように述べています。
    ○私たちの心理と行動が適応しているのは非常に小さな世界であって、現代人が暮らす大都市や仕事をするメガ組織ではないのだ。現代社会においてあらゆる人間の組織が直面するジレンマとストレスは、私たちの本来の姿と現在暮らしている環境間の緊張状態によって生み出されるのだ。これが本書の要諦である。
    動物の脳の大きさなどに

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    2025年05月17日
  • 菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力

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    菌類が生物界に与える影響とその驚くべき能力について説明した本。

    生物界の複雑性と奥深さを思い知らされる内容だった。本書によると、推定で世界には220-380万種の菌類がいる(植物の推定種数の6-10倍)が、まだ菌類全体の6%程度しか発見されていないとのこと。その僅かな発見済の菌類の能力をあげても、パンや酒を発酵させるのは勿論のこと、汚染物質を分解し、ペニシリンを生成し、宇宙空間でも生存でき、時速100kmで胞子を放出し、個体間で後天的に遺伝子を伝播させ、菌根ネットワークを構築して植物間の炭素、リン、水分、そして(仮説段階であるものの)電気信号のやり取りを可能にしている。

    本書を読んで、菌類

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    2025年05月08日
  • 菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力

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    マザーツリーという本を読んで以来、のめり込んでいる菌根の世界。違う人の視点もみたいと思って。菌根に関わるところだけ抜き出し読みした。

    共生菌根ネットワークのはたらきについて、シマードの本では樹木を主体に解説されていた。その一方で、菌類側から同じ現象を解釈することも必要だよ、という意見があるのはこの本と、「もっと菌根の世界」でも触れられていたが、今回は菌類サイドに立って自分なりの仮説をたてることができたのが大きな収穫。

    「枯れかけた樹木から周りの木々(とくに自分と血縁関係のある樹木)に、残された養分が分配されている」という現象を、シマード本で読んだ時は母の愛やお涙頂戴的に解釈した。それを菌類

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    2025年04月14日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    何年も前から読もうと思っていた本書をやっと読めた。
    重度のてんかん治療のため、脳の外科手術をおこなった結果、記憶する能力を失った男性の50年にわたる臨床と研究の記録だ。
    脳の外科手術というと、映画にもなったロボトミー手術を思い浮かべるが、こちらはもう実行されることはなくなっている。本書で取り上げられている手術も当時としてもかなり実験的だったようで、手術がもたらした結果を受けて、執刀医は「同様の手術はやってはいけない」と結論づけているとある。ただ、服薬ではなかなか改善が難しい病態のてんかんも実際にはあって、事実私も、以前の職場で、脳の一部切除を受けた人を二人ほど支援していたことがある。生活に支障

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    2025年02月16日
  • 「組織と人数」の絶対法則―人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力

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    私はビジネス書を読む時に、おっ!と思う箇所にマーカー入れるが、久しぶりに沢山の箇所に入れた。ただ、中盤からはタイトルとからは離れて行ったリーダー論になってしまった感はある。

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    2024年12月30日
  • 「組織と人数」の絶対法則―人間関係を支配する「ダンバー数」のすごい力

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    『宗教の起源』の方が面白かったかな。ビジネスとなると、動物としてのヒトと資本主義信仰者としての人間が混ざるがゆえに、なんとも歯切れの悪い部分があることは否めないのではないか。ただ、組織を構成する人数単位について、慎重である企業はそうありふれていないので、人数単位によるなんらかの組織設計方針があってもいいかもしれない。

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    2024年12月22日
  • 子どもの人生は「腸」で決まる―3歳までにやっておきたい最強の免疫力の育て方

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    ネタバレ

    子供の人生は腸で決まる

    ◯マイクロバイオーム(真正細菌、古細菌、真菌、原生生物、ウイルスが形成)は変えることぎできる。
    ・3歳までは極めて流動的
    ・経膣分娩では、新生児な母親の細菌を受け継ぐことができ、長期に渡り健康に良い影響を与える。
    ・膣播種: ガーゼかタンポンを膣に挿入し、1時間ほどそのままにする。出産後に赤ちゃんの健康状態を確認し、赤ちゃんの口、鼻、耳、皮膚、会陰部を拭う。出産前の妊婦の病原体検査で問題なければリスクは極めて低い。

    ・遺伝子組み換え作物に特にそうでない作物との安全上での差はみられていない

    ◯母乳の特別さ
    ・多様なオリゴ糖がたっぷり含まれ、これが腸内のBインファンテ

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    2024年08月31日
  • 文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源

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    そもそもこの本の主張となる懐古主義的「原始生活が幸せ」論には、感覚的に賛同できない。確かに、ハーバードMBAとメキシコ人漁師の話のように、本当の幸せは、欲張らずにのんびり暮らす事だという感覚は大賛成だ。しかし、餓死や疫病、暴力から、文明は少しずつ良くなっていると信じたいし、というか、文明化しなければ支配されるという構造的な必要性から、そもそも選択肢がなかったような気もする。

    しかし、そうした競争がないなら、本質的にこの本の主張は正しい(気がする)。特に以下の話は気になる部分。コロンブスの話は、まさに、文明の先行者が支配するという凄惨な具体例だ。その後の資源についてもそう。脱文明化は、支配され

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    2024年08月25日