石原慎太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルからして老害たちのノスタルジアである。石原慎太郎の自伝系の本を数冊読んでいれば、ほとんど既出の話でもある。というか、この一冊のなかですら重複している部分が多々。話の流れもなく、高齢者がその時時に思いついた話をランダムに口にしているようなもの。いったい編集者はなにをしているのかと思うが、それでも昔の文士交遊録ははちゃめちゃで華やかで面白い。
・小林秀雄は、泥酔すると目が光ってくる。フランスで会った日本の女性歌手と関係を持った。佐藤栄作とも親交があった。田中角栄に序文を頼まれ一喝した。
・当時の横須賀線は、文士交流の場だった。
・川端は三島を嫌っていた。
・慎太郎はとにかく肉体弱者の三島を -
Posted by ブクログ
「太陽の季節」
軽薄な若者たち。
未熟で、刹那的で、責任ということを学ばずに体だけ大きくなった子供。
そんな登場人物たちに見えた。
親に金はあっても、育ちが悪かったんだな、と思ってしまった。
竜哉たちの暴力性は、アウトローに対し今よりゆるかったであろう当時の社会を感じさせる。
日本も、だいぶ変わった。
竜哉の英子に対する征服欲・ゆがんだ甘えは、精神的暴力でしかない。
DVをする男の心情は、こんな感じなのだろうな、と思いながら読んだ。
面白い手触りの作品だと思った。
愚かさと純粋さが絶妙に入り混じっていたように感じた。
「処刑の部屋」
怖くて痛くて、読んでいられない。
椅子に縛られてリンチを受 -
Posted by ブクログ
いろいろな宗教がそれぞれの天才によって誕生したが、それはその天才たちの個性や人となりにも依ると同時に、彼らが生きた時代とその国その社会の特性に依るところも多い。マホメットにはアラブ人たちの統一という民族の悲願があり、キリストにはローマ人による迫害からのユダヤ人の救済という眠目があった。しかし釈迦の場合はそれらと違って、政治性をはるかに超えた人間全体に普遍的な思い込みがあったような気がする。「十如是」というものごとの仕組みが納得。体得されればその先に解脱があり、安心もあり得る。そうなれば事に際してしっていったいどうしてこんなことになったのかとか、いったいこの先どうなるのだろうという悩みが攫いでい
-
Posted by ブクログ
人生のアルバム
福田和也がほめたのを筆頭に、豊﨑由美や栗原裕一郎、小谷野敦もほめたので読む。
まあ、文体が石原特有のもので、「○○なんだそうな」と詠嘆で終ったりするのが特殊。大衆小説に近いかんじがする。
書かれた経験が、どれも常人には体験しがたい稀有な事ばかり。登山にヨット、潜水など、交友関係の網がひろいスポーツマン石原にしか体験しえない数々のエピソードが唯一無二である。雷雲が近づいて、《前を登って行く仲間のナーゲルのかかとが土を踏むたび、靴の底に打たれた金属の鋲がかすかにスパークして青い小さな火花を発しているのだ。》これは体験した石原にしか書けない。
大江健三郎が小説の成立要因 -
Posted by ブクログ
都知事の印象が強すぎる石原氏の遺作。
角栄の自伝かと思いきや、作者の創作。もちろん、歴史的な事実は踏襲してるのでしょう。
ただ、ロッキードの件はどうなんでしょう?同書では、嵌められた、やってないと一貫して主張してますが、司法としては有罪判決がでています。
これは筆者である石原氏の想いを、代弁さしたのでしょうかね?共に、鬼籍ですので真相は彼方に行った時にでも、答え合わせしたいと思います。
戦後から、昭和の高度成長期、自民によるじゃぶじゃぶのインフラ投資に、裏金、二号さん、3号と、今の世では文春砲と、ワイドショーの格好のネタでしょうね。ただ、色んな意味でやることをやる。そんな逞しさとバイタリティ -
Posted by ブクログ
角栄の手記のような文体だが、あくまで石原慎太郎が書き下ろした題材ベースの小説だそうな。自分が子供の頃、角栄の名はとにかくロッキード事件にからめて頻繁にニュースに登場していた。政治のことなどもちろん皆目わからなかったが、鋭い眼光が放つオーラに並々ならぬ大物感を子供心に感じたものだ。
オーラのみでなく実際に大物であったことは小説の中身からもよく伝わってきた。男ならこういう仕事をしろと檄を飛ばされているようだった。ロッキード事件については未だになんとなくしか知らないが、有罪判決至らしめたのは本当に米国の陰謀なのだろうかと思わされた。あと、どうせ小説なのだから(という言い方はよくないが)、愛人について