石原慎太郎のレビュー一覧
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【読もうと思った理由】
田中角栄のことを知りたくて手に取りました
【感想】
自分が求めていたものは違い、そういった意味で星3をつけました。ただ、政治家になるまでの生まれてからの田中角栄の半生を描いた部分は、めちゃくちゃ面白かったし、田中角栄本人が語っているような文体も、とても引き込まれました。政治家になってからの話は、当時に事件や政策などに関する話が事細かに語られているんだけど、当時を知らない自分としては、正直チンプンカンプンで、全く楽しめず、ほぼ読み飛ばしてしまいました。田中角栄の思想や話したことに興味を持ってこの本を取って自分としては、この本を選んだこと自体が間違いでした。
いや、でも序盤は本当に面白かった。 -
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生還
p59「自分の死が一体何なのかが所詮わからないならば、ぼろぼろになるまで意志だけは持ち通してそれが何かを見つめ見とどけて死んでやろうと思いました。そしてそれは即ち一分一秒でも長い生への執着だったに違いありません。」
→ここまで客観視して向き合えるのは強さではあると思う。
p61「自分を完全に預けてしまえる何か、神でも仏でもが、自分にとって確かな形であればどんなに楽だろうか、とは思いました。しかしそんなものを確かに持っている人間なぞ果たしているのでしょうか。ありはしまい、いや絶対にありはしないという逆の確信のようなものばかりがつのっていきました。」
→生と死だけではなく、現在の生活でもすがりつく対象を見つけられずにいるのではないかと考えさせられた。
余命宣告を受けた癌患者の闘病日記として読めなくもないですが、ただ、純粋に生と死に向かい合った結果、どうすることもできない現実、そしてそれを受け入れる悟のようなものとして物語は終結します。
あくまでフィクションですが、それでも真摯さ、何かにすがりつく生への執着を日記風の文体だからこそ刺さる部分も少なくなかったです。
院内
議事堂での夢現な物語を文体で何とか物語として構築したような話。
正直、私には難しくて文章を読んでも情景が浮かぶ部分とそうではない部分が多かったですが、自然と一気読みさせられたのはそれだけ作家の力量があることの証明なのか何なのかよくわかりませんでした。
孤島
ある島にロケのため船を停泊した先での諍いから、物語は始まり、最後は殺人まで犯すわけですが、終盤の海亀が登場したあたりからの躍動感、臨場感、人間の狂気を身体的に描くのは上手いと思いました。人間の死体と海亀の死体を海に投げ捨てる場面はゾッとするような、身体感を刺激するような描写力で良かった。
この小説の中では私は表題作の生還と孤島が良かったです。 -
Posted by ブクログ
タイトルからして老害たちのノスタルジアである。石原慎太郎の自伝系の本を数冊読んでいれば、ほとんど既出の話でもある。というか、この一冊のなかですら重複している部分が多々。話の流れもなく、高齢者がその時時に思いついた話をランダムに口にしているようなもの。いったい編集者はなにをしているのかと思うが、それでも昔の文士交遊録ははちゃめちゃで華やかで面白い。
・小林秀雄は、泥酔すると目が光ってくる。フランスで会った日本の女性歌手と関係を持った。佐藤栄作とも親交があった。田中角栄に序文を頼まれ一喝した。
・当時の横須賀線は、文士交流の場だった。
・川端は三島を嫌っていた。
・慎太郎はとにかく肉体弱者の三島を見下している。江藤淳も。
・知的交流のハブとなるかつての「文壇」なるものはなくなった(が、それは今別の形に代替されているのであろう)
・スピリチュアルな話を好む
・戦争を経験した世代は面白い
・新銀行東京の失敗はトヨタの奥田のせい -
Posted by ブクログ
「太陽の季節」
軽薄な若者たち。
未熟で、刹那的で、責任ということを学ばずに体だけ大きくなった子供。
そんな登場人物たちに見えた。
親に金はあっても、育ちが悪かったんだな、と思ってしまった。
竜哉たちの暴力性は、アウトローに対し今よりゆるかったであろう当時の社会を感じさせる。
日本も、だいぶ変わった。
竜哉の英子に対する征服欲・ゆがんだ甘えは、精神的暴力でしかない。
DVをする男の心情は、こんな感じなのだろうな、と思いながら読んだ。
面白い手触りの作品だと思った。
愚かさと純粋さが絶妙に入り混じっていたように感じた。
「処刑の部屋」
怖くて痛くて、読んでいられない。
椅子に縛られてリンチを受けているところで、断念。
「完全な遊戯」
ただただ、ひどい。
残酷で身勝手な話でしかない。
これも一つの人間の形なのだろう。
教育やモラル、情緒を欠いた人間とは、実に恐ろしい。
「ファンキー・ジャンプ」
曲にのせるイメージで、奏者の心を描いていく。
曲のタイトルと、巡っていく思考の間から、時々音楽が聞こえてくるかようにイメージできる瞬間もあった。
しかし、随分荒々しい、曲調の変化に富んだ音楽であったろうと思える。
芸術と狂気は、背中合わせなのだろうか?
「乾いた花」
冴子の美しさ・妖しさが瞼の裏に浮かぶような思いがする。
若い冴子に魅かれる男の気持ちも、よく伝わってくる。
冴子がいうように、この男がなんだかまともなように見える。
より狂ったもの・冷たいもの・危ないものに引き寄せられていく冴子の姿に、悲壮感は一切ない。
彼女の結末も自然に受け入れられ、逆に死ねてよかったかのように思えてしまう読後感が、不思議だ。 -
Posted by ブクログ
いろいろな宗教がそれぞれの天才によって誕生したが、それはその天才たちの個性や人となりにも依ると同時に、彼らが生きた時代とその国その社会の特性に依るところも多い。マホメットにはアラブ人たちの統一という民族の悲願があり、キリストにはローマ人による迫害からのユダヤ人の救済という眠目があった。しかし釈迦の場合はそれらと違って、政治性をはるかに超えた人間全体に普遍的な思い込みがあったような気がする。「十如是」というものごとの仕組みが納得。体得されればその先に解脱があり、安心もあり得る。そうなれば事に際してしっていったいどうしてこんなことになったのかとか、いったいこの先どうなるのだろうという悩みが攫いでいきます。「空」とか「無常」への理解をきっかけに自我を捨てるということは誰のためでもなく、たった一人、自分のためでしかない。
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人生のアルバム
福田和也がほめたのを筆頭に、豊﨑由美や栗原裕一郎、小谷野敦もほめたので読む。
まあ、文体が石原特有のもので、「○○なんだそうな」と詠嘆で終ったりするのが特殊。大衆小説に近いかんじがする。
書かれた経験が、どれも常人には体験しがたい稀有な事ばかり。登山にヨット、潜水など、交友関係の網がひろいスポーツマン石原にしか体験しえない数々のエピソードが唯一無二である。雷雲が近づいて、《前を登って行く仲間のナーゲルのかかとが土を踏むたび、靴の底に打たれた金属の鋲がかすかにスパークして青い小さな火花を発しているのだ。》これは体験した石原にしか書けない。
大江健三郎が小説の成立要因のひとつなのも興味深い事実だった。 -
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都知事の印象が強すぎる石原氏の遺作。
角栄の自伝かと思いきや、作者の創作。もちろん、歴史的な事実は踏襲してるのでしょう。
ただ、ロッキードの件はどうなんでしょう?同書では、嵌められた、やってないと一貫して主張してますが、司法としては有罪判決がでています。
これは筆者である石原氏の想いを、代弁さしたのでしょうかね?共に、鬼籍ですので真相は彼方に行った時にでも、答え合わせしたいと思います。
戦後から、昭和の高度成長期、自民によるじゃぶじゃぶのインフラ投資に、裏金、二号さん、3号と、今の世では文春砲と、ワイドショーの格好のネタでしょうね。ただ、色んな意味でやることをやる。そんな逞しさとバイタリティに満ち溢れてた時代を、引っ張り続けた角栄の裏話を知れる意味では、一読の価値はあるかと思います。ただ、冒頭書いた通り作者の創作の部分もあるので、鵜呑みにはしない方向で