石原慎太郎のレビュー一覧
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ネタバレやっぱり面白い。
「典型的な青春」がストレートに、嫌味なく、描かれている。
ストーリーとしても、結末まで目を離せない展開が好き。
他に収録されている「処刑の部屋」や「乾いた花」などなど、
どれも古さは感じるにも関わらず、実に刺激的である。
ちなみに、「青春」という概念そのものが古いのだから、
「青春」しか描いていない作品が古く感じるのは当たり前のことで、
まったくマイナス要素にはならない。
着物を見て「ダサい」と言ったらおかしいのと同じだ。
また暴力にも、何かしらふさわしい意味がついているところが、いい。
肉体がどう壊れようと、確固たる意志がある勇姿には、かなりの説得力がある。
青春をまるごと小説につめこみ、男と女の関係も面白く動く。
そんな魅力がいっぱいの作品で、しかも読みやすい点もうれしかった。 -
Posted by ブクログ
私自身も昭和七年生まれのまさに後期高齢者の一人ですが、戦争の敗戦の記憶は未だにまざまざと体の内に収われています。警戒警報が鳴って下校の途中早くも到来した艦載機の機銃掃射に遭い、折から収穫期に近く背丈の伸びた麦畑の畝に飛び込んで逃れ、逃げまどう私たちがまだ背丈も伸びぬ子供と知りながら手軽な狩りのつもりで掃射してきた敵のパイロットは、怖々仰ぎ眺めればこれまた成年にも満たぬ若者でした。そして私の学友の一人は足に被弾し一生の不具ともなりました。
さらにその先、近くの森までたどりつこうと走る最中、また新しい爆音が迫り今度は芋畑の中で、身を隠すにも畝の浅い畑では覚悟して身を伏せながら機銃掃射を待ったが不思議に弾が来ない。恐る恐る顔を挙げて確かめれば頭上を褐色の胴体に白い縁取りの日の丸を描いた友軍機でした。
敵機を追う日本機を確かめた時の、ふるいつきたいような感動が忘れられない。あれは身にしみて感じ取った国家というものの実感でした。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
「『歴史』の原理を踏まえ、それぞれの感性に応じて眺めれば、過去の歴史を形作ってきた先人たちの中に数多くの自分自身の分身を見つけることが出来る」(「人生の原典」より)。
混迷の時代を生き抜く知恵は、わが民族の歴史や日本人らしさを再認識することにこそ隠されている。
初めて明かされるエピソード、心沸き立つストーリー展開、独創的な歴史解釈を駆使して自身が影響を受けた人物を大胆に説き明かす全十章。
画期的人物論。
[ 目次 ]
日本武尊-自己犠牲に徹した建国の英雄
織田信長-歴史を変えた本能的合理主義者大久保利通-新生日本を創り上げた理の人
広瀬武夫-軍神
岡本太郎-自由と奔放の魅力
賀屋興宣-巨きなリアリスト
横山隆一-小さな巨人
五島昇-本物のダンディ
小林秀雄-無類な自由人間
奥野肇-感性における真の師
人生の原典
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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うう。重い。ガッツリ。装丁もマッチして。あの石のブロック。手をのばしても届かなそう。”法華経を生きる”とは何ぞや。そう何回か脳みそでなぞってからゆっくり開いて読み始めた。ボクは熱心な信仰家でもなければ新興宗教の使者でもなんでもないが。石原慎太郎さんもその中でそんな風に言っていた箇所があってつい吹き出してしまったのだが。簡単にいってしまえば考えあぐね悩みぬいた末あの辛い思いはいったいナンだったのだろうと思ってこれを開いたのだ。楽しいことも苦しいこともいろいろ経験していくうちにそもそもこういうことってナンなんだっていうことをここらでハッキリ聞かせていただきたい。そしてまた明日を生きよう!という追い風に乗りたいときって人にはあるんじゃないか。って。迷いのある人は読まれないほうが。。風を感じた人はさあ。飛び乗って。
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Posted by ブクログ
ずっと読んでみたかった一冊。
結果的に読んだのが今のタイミングで良かった。YouTubeで田中角栄の語りを時折聞いていたが、そのままの口調で文章が起き上がってくる。セルフ Audibleのような現象が起こった。また、昭和史を読んだ後だったので時代背景が少し立体的に掴めた気がする。
受験科目としての日本史では「クリーン三木」という言葉の語感によって、ロッキード事件で逮捕された田中が「悪」、三木が「善」みたいなイメージを持たされていた。しかし、そもそも政治にはおろか世の中には善も悪もない。ここで書かれていることで全てを判断するつもりはないが、" The nail that sticks out gets hammered down "どこかの顔色を過度に意識しながら政治をしなければならないのは、今に始まったことではないらしい。
それにしても先見の明、一級品。繰り返し本文に出てくるように、先の先を見通せなければ政治が出来ないのであれば、田中角栄という人物以上の人はおるまいと思わされてしまう。まるで現代のことを語っているかのようだ。この人は現代に現れても、事態に対して別に驚きもしないし、「ほらな、オレが言った通りだろ?」って言いつつ方策を打ち出しそうだ。 -
Posted by ブクログ
日本文学の歴史をたどっていると無視できない一冊として手に取った。
石原慎太郎を、なぜこれほどまでに影響力などを持つのかよくわからないおじいさん、として認識していた自分としては、この作品を通じてその理由がわかったのか、よくわからないでいる。なぜ、「太陽族」と呼ばれるような人々を生み出すほど当時の若者を熱狂させたのか、文学がそれほどまでに社会や個人のライフスタイルに大きく影響を与え得たのか。
竜哉という人物を通じて、人間の不健全さや穢れ、非道徳を描いた若き物書きが、後年なぜロクでもない政治家になったのか。作品そのものを離れても多くのことを考えさせられる。