石原慎太郎のレビュー一覧

  • 太陽の季節(新潮文庫)

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    出版当時は相当に話題となり、太陽族なる人々が現れるほどだったようだが、もしここ数年でこれが出版されていたらと考えると、おそらく相当な批判に晒されることだろうと思う。

     本書後半部の主人公の行動、言動は特に気持ち悪く感じ、到底受け入れられるものではなかった。
    だがその一方で肉体的、精神的に抑圧されいつか奔放さの極地を試してみたいと密かに思う人々にとって、本書は美しい小説となり得るようにも思った。

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    2023年09月05日
  • 太陽の季節

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    ネタバレ

    第1回文學界新人賞受賞作にして、第34回芥川賞受賞作。

    表題作の「太陽の季節」を含め、「処刑の部屋」、「完全な遊戯」、「乾いた花」とどれも退廃的な若者の姿が描かれている(「ファンキー・ジャンプ」は、内容がよく分からず途中で読み止めてしまったため不明)。

    表題作「太陽の季節」は津川竜哉と英子のboy meets girlだが、英子を玩具同然に扱うその関係は所謂純愛では当然ない。
    だが最後、竜哉の「スポーツマンとしての彼の妙な気取り」で死んでしまった英子に対して、「竜哉の一番好きだった、いくら叩いても壊れない玩具を永久に奪った」と感じる竜哉の心境には、英子への愛着が感じられる。もちろんそこには

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    2022年07月03日
  • ある漢の生涯 安藤昇伝

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    漢の駆け抜けた軌跡。
    知っていれば選択肢の一つになるだろうし駆け抜けるとはどういうことか知ることかわかるんじゃないかな。

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    2022年04月29日
  • ある漢の生涯 安藤昇伝

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    石原慎太郎『ある漢の生涯 安藤昇伝』幻冬舎文庫。

    先日、著者が亡くなったばかりなので古い著作が文庫化されたのかと思ったら、昨年刊行された単行本の文庫化だった。

    何故か一人称で語られる安藤昇の自伝風ノンフィクション。これでもかと言うデカイ活字で頁数の割りにはボリュームは無い。晩節を迎えた著者がかつて出会った安藤昇や花形敬に思いを馳せる不思議な作品。

    安藤昇のことは、昔読んだ本田靖春の『疵 ―花形敬とその時代』で知っていたが、著者がこういうジャンルの作品を手掛けていたことに驚いた。

    幼い時分から素行不良で、少年院から特攻隊員を志願し、大学に通いながら愚連隊を組織し、後に安藤組の組長、さらに

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    2022年04月22日
  • 老いてこそ生き甲斐

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    石原慎太郎らしい主張の老いについてのエッセイ。親しい友人の死は悲しいけれど「俺はまだ生きている」という思いも抱くというのは若造にはわからない心境ですね。

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    2022年04月03日
  • 太陽の季節(新潮文庫)

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    今月の文藝春秋に載っていた名作。評者も未完成ながら形破りの大作と評しており、社会への衝撃が実感できる。ボクサーの龍哉が湘南で英子を弄ぶ非倫理的な構成だが、愛をどう扱っていいかわからない初々しさ故の粗暴さや、非日常の開放感に溢れた舞台としての新鮮さは悲劇的かつ後味の悪い結末をも引っくり返す青年期特有の眩しさを感じさせるには十分である。特に、現代でも行き過ぎとも言える主人公らの道徳心は当時の保守的な社会からすれば衝撃的なものであっただろう。
    賛否両論巻き起こったことは承知しているが、読んだ感想としては正直これくらいの表現は許容範囲ではないかと思った。石原の出世作であると共に太陽族として社会現象にな

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    2022年03月23日
  • 天才

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    2月1日、芥川賞作家で東京都知事等を務めた石原慎太郎氏が逝去された。享年91歳。

    その波乱万丈の人生を報じるニュースを見ながら、一度はその著書を読んでみようかと思い手に取った。

    「天才」--田中角栄元総理大臣について、かつてはその金権体質を追及もした著者が、田中氏になり切ってその生涯を語る形をとった。

    1969年生まれの私にとって、物心ついた時の田中氏の印象は、「何か悪いことをして捕まった元総理大臣」。

    ニュース番組では盛んに批判されるのに、バラエティー番組では氏のものまねをして笑いを取る人が後を絶たない。

    ともかく影響力が大きい人であったのだろう。

    高等小学校卒。

    生涯に30以

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    2022年03月08日
  • エゴの力

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    ネタバレ

    人間の価値と言うのは、それぞれの人間が誰とも違うと言うことです
    己の表示であるエゴを躊躇せずに率直に示すことでこそ、それぞれの人生を拓けてくる
    松下幸之助:経営成功するための原則は経営の哲学、経営理念や志だ
    山縣有朋と西郷隆盛の相違は、欧米の視察で培った見識の相違
    死は人間にとって最後の未来である
    色即是空の色とは物事と言う意味で、色即是空の空とは変化と言うことです。存在と言うものは時間の経過によってかなり変わっていく

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    2022年03月01日
  • 太陽の季節

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    著者が死去され、氏の枕言葉となる代表作の太陽の季節を読んでみたいと思い読んでみた。
    放埒な若者の生き様を辛辣、反抗的に描かれ60数年経っても輝きを失ってない様に感じた。
    文藝春秋今年1月号に氏の手記が掲載されていた。一橋大学の同級生西村という人に薦められ書いた原稿用紙100枚程の小説が受賞し、その同級生にいたく感謝を述べていた。その賞金で洗濯機を母に買い、母を洗濯の重労働から解放し母から心底感謝され親思いの一面が記されていた。
    ご冥福をお祈りいたします。

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    2022年02月15日
  • 天才

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    石原慎太郎が田中角栄の一人称で書く「小説」

    不勉強で歴史の流れはピンとこないことが多く、調べながら読んだのだけど、終盤の脳梗塞後は、小説家石原慎太郎の力量だなぁと思いながら読みました。
    これは小説。

    だけど石原慎太郎と田中角栄は根本が少し似てるのではと感じます。
    だからきっと違和感なく田中角栄の想いを小説という形で代弁できたのでは。

    田中角栄という人は、俺が俺がな人物。
    周りに掌返しをされ、味方がいなくなってもなお、自分を信じることができる強さ。

    この強さがなければ大業はなし得ないと改めて思います。

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    2022年02月05日
  • 天才

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    石原慎太郎が描く田中角栄。当時の金権政治がリアルに角栄一人称で描かれる。先見性、剛腕ぶりが興味深い中で人間味溢れるところがあるが、これを見るとロッキード事件はアメリカの虚構ということになるが、真実はわからない。

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    2021年12月31日
  • 天才

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     議員立法を30以上成立させ、54歳で総理総裁。日中国交正常化や日本列島改造、アメリカに依存しない石油外交などを成し遂げた政治家としての功績は言うまでもない。しかし、それよりも後世に語られたのは田中角栄という懐の深い人物像だ。本書では角栄の人物に纏わる逸話が多く引用されている。そうした意味でも田中角栄という1人の人間を描いた作品として読み応えがある。石原慎太郎が田中角栄の視点から「日本の自立問題」を提起したという角度からも考えるべき作品。

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    2021年12月23日
  • 天才

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    読んだ時期が時期だったので、もし今、田中角栄が健在だったら、このコロナ禍にどのように対応するのか想像が膨らんだ。金権政治の是非は兎も角、これほどの政治的センスと懐の大きさを併せ持った政治家は今後現れないのではなかろうか。

    金や賄賂への考え方、用意周到な根回し、10年後20年後を見据える大局観など、後の政治家・田中角栄を形作る要素を、幼少期〜青年期の実体験に求めている点が説得力がある。

    本人の著作を含め、角栄に関する膨大な文献を基に、まるで自伝のようなリアルな一人称小説を書き上げた石原慎太郎氏にも脱帽。

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    2022年02月03日
  • 老いてこそ人生

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    見城徹が書かせたという三部作、弟と政治、そして老いについてが本作。太陽の季節で荒々しく、若さを表現した石原慎太郎が老いを語る。老いとは、肉体の衰えであり、自然と肉体や病気の話が増える。それが鬱陶しいではなく、素直に自分自身が迎えることになる高齢の姿を想像し得る助言として読むことができる。言葉に嘘、混じり気のない人であるから、言葉の重力に分散なく、一言ひとことに重みがあるのだろう。

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    2021年08月03日
  • 新解釈 現代語訳 法華経

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    読みやすかった。
    唱えているお経の意味がわかりやすく示されている。後書きにも記載されていたが、通して読むということはちょっと考えにくく、良い教材にもなっていると思う。
    何とか暗記できた陀羅尼は尊い呪文という意味で、それぞれの段落ごとに、示されていることも理解。
    想いをどのように伝えていくか、を考えたい。

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    2021年03月12日
  • 私の好きな日本人

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    石原慎太郎のような、無意識過剰な人間に自分を語らせると、自己顕示欲が全面に出てしまいエグみが強い。
    だが、ひとたび愛を通せば、それはとても強度の高い語りになる。
    その意味で、この企画は慎太郎作の中でも、かなり不愉快さがなく読める(もちろん、そこかしこに無理やりこじつけたように自分の話が出てくるのだが、ご愛嬌レベル。むしろかわいい)。
    もともと、自分は慎太郎のまっすぐな肉体性は嫌いではないからなおさらかもしれないが、人々との思い出を通して沸き立つ香り、のようなものがとても美しい。

    自己顕示欲が強い人間は、他人への愛を語らせろ。

    この本からの一番の学び。

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    2021年02月22日
  • 男の粋な生き方

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    人の勧めもあり、印象に残った部分をノートに書き取りながら読み進めました。
    こころに残る詩、過去の小説の中の言葉、著者の言葉や、著者が過去に聞いた言葉か散りばめられており、今まで知らなかった名著や、考え方に出会えます。

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    2020年11月06日
  • 天才

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    天才、故の悲劇

    YouTube大学で紹介されていたので、読んでみました。
    一人称の視点で描かれた「俺」は、田中角栄自身であり、その生い立ちから最期までが小説として描かれています。

    小説の題名通り「天才」ぶりが発揮され、パワフルに突き進む姿はブルドーザー!
    事業家としても、議員としても、大臣としても、総理大臣としても、才覚が凄いです。

    こんな政治家はもう出てこないだろうな。それが寂しいです。

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    2020年08月09日
  • 昔は面白かったな―回想の文壇交友録―(新潮新書)

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    面白くてあっという間に読んでしまった。
    真剣に話をする。そのようなことができる人間関係を多く持つ。ということが大事なのではないかと思った。
    そして小説を読もう。と思った。

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    2020年07月15日
  • 昔は面白かったな―回想の文壇交友録―(新潮新書)

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    80歳を大きく超えた石原慎太郎と「新潮」の元編集者による対談。昔の文壇の思い出を語る。

    文士、文壇。既に死語であり復活することもないだろう。昭和30年代頃を中心に文壇での交友を振り返る。小林秀雄、川端康成、大江健三郎、三島由紀夫などのビッグネームが普通に出てくるところがすごい。当然多くの人物は鬼籍に。

    文壇を通じた交友。かなりの異端児だったであろう石原慎太郎だが朋友もあるし、意見の相違こそあれ決定的な仲違いはしない。

    特に三島由紀夫に関しては辛辣な意見。石原慎太郎亡き後は三島に関するこのような評価は絶滅してしまうのだろう。

    米軍機に銃撃された経験、相模湾に連合軍が上陸する場面、安保闘争

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    2020年05月31日