石原慎太郎のレビュー一覧
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天才政治家「田中角栄」の生涯を一人称の自述形式でまとめた作品。
本人も政治家であった筆者は角栄の金権政治を批判しつつも、その大きな業績と人物を認めているが、本作中では是も比もなく冷静に客観的に淡々と筆を進めている。
人間的魅力に富んで「人たらし」と言われた角栄だが、国を導く政治家に最も必要な愛国心と先見性を備えていたことを再認識した。
ただ、その故に、歴史的な実績を上げる一方で、米国の逆鱗に触れて失脚させられたことは何とも残念である。
大国、官僚、マスコミに迎合せずに”上手く”付き合って、国造りの信念を全うする姿勢は、現役政治家も一般国民も範とすべきところである。
なお、外交時のエピソー -
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ネタバレ本書には5つの短篇が掲載され、うち3つで主人公がクズ男。
なぜだか、富野由悠季、栗本薫、たがみよしひさが思い出される。前二者はおそらく文体で。
クズ男が主人公といえば、たがみよしひさ。
『GREY』で知ってから過去の作品を遡り、一通り読んで、なんで主人公の男をこうもクズにするんだろうと思ったものだった。
『太陽の季節』を読んで、その答えが出たような気がする。物語というものは予定調和にもできる。例外はあるにせよ、多くの場合、主人公は死にはしないというお約束がある。なぜなら、感情移入した対象がひどい目にあったり死んでしまったりするのはつまらないからだ。クズならば、むしろひどい目にあえ、死ねばいい -
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ネタバレこの頃、女性による、男性の男性性を否定するような本ばかり読んでいたので、もうちょっと偏りなく幅広いジャンルの本を読まなければと思っていたところ、この本が目に留まりました。まずタイトルを見て、おぉ!私だって死ぬ前に「私という女の生涯」っていう本を出して死にたいわ、と思いました(誰も読まないだろうけど笑)。
さっそく読み始めたら早々に、一度別れた女が「もう一度抱いて」とやってきたから仕方なく抱いてやったけど、相手の体がすっかり薹(とう)が立ち、味気ないものでしかなかった…っていうエピソードが出てきて、さすがに幻滅してそれから読み進められなくなってしまった。
で、他の本を何冊か読んだ後、気を取り直し -
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喰はず嫌ひだった石原慎太郎
いままで読みもしない癖に、豊﨑由美と同じやうに傍若無人の逸話だけで、あるいはイデオロギー的に反対の立場だったので石原を喰はず嫌ひしてゐたのだが、これを読んでそんな自分を反省した。
ベストセラーは大概くだらないのだが、これは裕次郎を知らない私でもおもしろい。すごい逸話が出てくる出てくる。津川雅彦を発掘したのが石原慎太郎だったとは知らなかったし、黒部の太陽のハッタリは真に迫るものがある。
そして最後の章はこちらに迫る感動があった。胸が熱くなるやうだった。
石原にはちゃんと小説の知識があるし、だから芥川賞選評も辛辣に見えて実は芯を喰ってゐるのだと思った。あらためて -
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ネタバレ先般亡くなった石原慎太郎氏のショートエッセイ集。
さまざまなストーリーが語られるが背景がスキューバだったりスポーツカーの運転だったりするところでかなり浮世離れしていて石原慎太郎ならでは、と感じる。
全編通してあふれるのは氏の感性とそれを着実に写し取る表現力だ。
最後の一編、「虹」は実弟の石原裕次郎氏が亡くなる瞬間に立ち会ったことを描いている。
数千トンの重さの杭打機の衝撃を受け止めたしゃれこうべの話、幽霊屋敷の暗いクロゼットに浮かぶ目の話、などこんな経験が…というものばかり。
1989年刊で今は文庫版しか出ていないようだが何故か単行本が手元に残っていたのですこしずつゆっくり再読した -
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元東京都知事・石原慎太郎氏の、作家時代の代表的短編が収録されています。
石原慎太郎氏は、昭和生まれとして初めての芥川賞受賞作家です。
この頃、文筆に載せるべき共通した思想が無いが、相次いで現れた作家陣を『第三の新人』と呼称していました。
石原慎太郎氏は世代としては『第三の新人』と被るのですが、そのメンバーとして数えられることはないです。
石原慎太郎氏の作品はおよそ文学と呼ぶには俗っぽ過ぎており、文学史としてポジションは示しますが、個人的には文学ではないと思います。
戦後世代の若者の風俗、行動、倫理が赤裸々に語れれていて、それまでの文学小説の有様に全く準じない内容となっています。
各作品の感 -
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2022年2月1日石原慎太郎の逝去の報を聞き、同書を手に取る。裕次郎と慎太郎氏の父の思い出から幼少時代に始まり、裕次郎氏の臨終までの同書の章「血族」に最も記されている濃密な兄弟の交わりに心が震えました。恩寵によりその時代の先駆けを勤めた二人。俳優、歌手としての裕次郎氏、作家.政治家としての慎太郎氏。いずれの二人も父親の追慕の念を持ち続け、マッチョと呼ぶにふさわしい兄弟。二人の華々しい成功や濃密な青春に我が身を比べ、憧れや後悔を覚えるも、お互いを無二の存在として感じ合う男の姿に同書の重みを感じました。とても友達には成れない二人の灰汁の強さですが、魅力的な男達と思わせる色々な強さを持った男達。同書
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2001年(平成13年)6月8日に起きた附属池田小学校事件の話です。
被告人である宅間守の凶悪さを描いているため、内容はかなりエグイです。
間にその凶悪な人間をフォローする側である臨床心理士と弁護士のインタビューの内容が書かれています。
個人的にはこの臨床心理士と弁護士の話が重要だと思います。
凶悪犯罪を犯した凶悪な人間を弁護するという事はどういう事なのか?臨床心理士は何をしているのか?
そこから何故このような事件が起きてしまったのか注目すべきと思います。
本書は公判時や供述、インタビューの会話をそのまま記述しているので2,3時間で読める内容です。
ただ、宅間被告人の凶悪さがエグイので、見