あらすじ
弟・裕次郎や家族への愛と感謝。文学、政治への情熱と悔恨。通り過ぎていった女たちへの未練と死への畏れ――。ここまで書くことへの是非を読者の審判にすべて委ねて著者は旅立った。奔放で美しいシルエットを戦後の日本に焼きつけた男が迫りくる死を凝視して、どうしても残したかった「我が人生の真実」。発売直後から大反響を呼んだ衝撃の自伝。
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Posted by ブクログ
久しぶりに読んで面白いと心底思いました。
マスコミに露出している有名人でも、本人が
作家で、飾らずに自分の人生を語っているのを読むと、別の側面がみえるものだと、しみじみ。
Posted by ブクログ
偉人が死を前に何を考えていたか。死を前にしているからこそ取り繕っていない表現であるように感じた。他者の考えが垣間見える興味深い作品だと思う。「死はつまらない」という言葉が印象的。これまでの人生で数多くの心身が震える刺激的な日々だったであろうことが伺える。自分は死を前にして何を思うだろうか。数年前にこの世を去った父は何を思っていただろうか。思いを馳せた。自伝そのものに興味を持つきっかけになった。
Posted by ブクログ
この頃、女性による、男性の男性性を否定するような本ばかり読んでいたので、もうちょっと偏りなく幅広いジャンルの本を読まなければと思っていたところ、この本が目に留まりました。まずタイトルを見て、おぉ!私だって死ぬ前に「私という女の生涯」っていう本を出して死にたいわ、と思いました(誰も読まないだろうけど笑)。
さっそく読み始めたら早々に、一度別れた女が「もう一度抱いて」とやってきたから仕方なく抱いてやったけど、相手の体がすっかり薹(とう)が立ち、味気ないものでしかなかった…っていうエピソードが出てきて、さすがに幻滅してそれから読み進められなくなってしまった。
で、他の本を何冊か読んだ後、気を取り直して再チャレンジ。
妻以外に愛した何人もの女が私の人生を彩ってくれた…っていうエピソードはまぁ、老人のたわごととして受け流すとして、その他もろもろ、非常に興味深かったです。
大きく分けて、女性遍歴のこと、海との関わり、政治(国会議員と都知事としての仕事)のことが主に書かれており、文学に関することは少し。どんないきさつで「弟(石原裕次郎)」とか「天才(田中角栄)」を書くことになったかなど。
本人が書くところによれば、国会議員として四半世紀も勤め表彰もされたが、そこで出会った人に大した人物はいないし大した感慨もない、とのこと。それでもまぁ、こんなこともあった…と、いくつかの大きな仕事を成し遂げたエピソードがつづられる。
政治に関しては、私はちょうど先日映画「Fukushima50」を観てレビューに原発のことを書いたのだが、石原さんは震災の被害の甚大さを都知事として実際に目の当たりにしてもなお、原発をなくそうなんていうのはナンセンスと考えているのが驚きだった。人間が核を手放すなんて、猿に戻るのと同じこと、とまぁ簡単に言えばそのような持論で。そんな理屈あるかいな。
でも、自分の考えをもち、正しいと思うことを強烈なリーダーシップで推し進める、比類なきこのような人物が、これからも都政なり国政なりには必要なんだろう。
それにしても、4人の息子以外に存在する隠し子(っていうか)について、「弁護士からも面倒な女にひっかかりましたねと同情された相手との間に庶子までもうけてしまった」で済ませてしまっているのが衝撃すぎる。
この本ではあくまで、自分の人生をつづっていて、4人の息子についても特に記述はしていないから、この隠し子について詳しく書いてなくてもおかしくはないけど、こんな簡単に済ませられてしまう隠し子の存在…。
色々衝撃で読みごたえはありました。
でも令和だとダメすぎることが多かったな。
プラントの建設で中国やら日本全国を飛び回っていたうちの80歳の父が、「わしが若い頃は~」って武勇伝みたいに話すことも、「お父さん、それ自慢しちゃだめ(パワハラやし、違法やし)」って思うことが多々あるけど、レベルは違うけどそれと一緒だな。
やっと読み終わったけど、普段読んでいるジャンルの本とギャップがあって疲れた笑。
Posted by ブクログ
やはりというか納得いうか、できる男はモテるし、そしてそれを昇華できるパワーもある、もー慎太郎さんスケベw
個人的に崇拝しておりますジェームス三木氏には到底及びませんが、自身の女性関係をも赤裸々に告白し、いや、これはどうしても自慢したかったのだろう、まあ漢ってそういうもんだろと尊敬と憧れとウラヤマ感を持ちつつ興味深く読ませていただきました。スケベでええやないですか。
弟さんのあのデカいブランデーグラスをもった『ゆうたろう』ではなく、裕次郎さんとの逸話、そして政治家時代、特に中川一郎氏の自死の謎が興味深く、一気読みでしたねこれは。
最後は『死』への想い。恐怖でもなく興味、彼の人生そのものが壮大な小説であり、一つの文学作品として完結できたと言えるのではないでしょうか。三島由紀夫の『豊饒の海』がふと過る・・・あゝ素晴らしい。
そして私は今宵、馬鹿でかいブランデーグラスを揺らしながらしこたま酔いましょうかね。