大河原遁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
スジ子、タラ子、カズ子のお酒のつまみ的三羽烏が登場する5巻である。
その中でもスジ子は文壇バーから紳士服のフィッター店にヘッドハンディングされたキャラで(※上述三名は元同僚の関係)、フィッターである松任谷次郎と共に新キャラとして物語に新たな色を加えている。
テーマ的には小物の扱いというか、生地(フランネル等)やワンポイント的小物(スワールトゥの靴や思い出の野球バットを再利用したボタンなど)でエピソードが取り揃えられた巻である。
ただ、それ以上に大きいのが
「本来は邪道なはずの特急仕事を正面から邪道だと言ってくれるキャラの登場」
だろう。
そんな彼、フィッター&コーディネーター -
Posted by ブクログ
仕立て屋物のシリーズ四期四巻は、サマースーツ系のネタを中心に描かれている。
正規の仕立てが難しい立場のキャラも含まれた一連の仕立ては、全体的にバラエティに富んだ内容に思える。そんな巻である。
七分袖やベルトレス、あるいは今時風のラインでのオーバーサイズのチノパンやシーチング生地(シーツに用いられるコットン生地)の上着など、フォーマルからはやや邪道な仕立てが目立っている。
それだけに、(仕立ての物語にこう言っては何だが)何が何でもスーツに押し込んでしまう物語的な窮屈さからは免れている部分もあるだろう。
依頼人もガーデニングプランナー、中年ユーチューバー、リサイクルショップの買い付け担 -
購入済み
丸くなったなあ
初期の1話からずっと読んでいるが、絵も登場人物も、最初に比べてずいぶんと丸くなった感じですね。悪い意味ではなく、良い意味で。
この作品で、スーツの奥深さを少し勉強出来ました。スーツは無理でも、シャツだけでも一度仕立ててみたいと思った作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイタリアから日本に居を移しての仕立て屋物語も三巻目。順調に刊行を重ねている印象である。
今回は掛け値なしに面白かった。先に述べておくが、文句なしに星五つで評価している。
物語構成は本領に立ち返ったというか、「急場しのぎのお客に覚悟を問い、覚悟を決めたお客が特急料金をかき集めて天王山に挑む」という物語が基本となっている。
これまでもそうした物語で無かったわけではないので、こうした評価の分かれがどこに由来しているのかは読み手側で分析すべきなのだが、その辺はちょっと判然としない。
おそらくは、お台場仕立てを扱った「#15 お台場の大砲」のような、互いに敬意を払うような内容と、織部自身が不 -
Posted by ブクログ
ネタバレ早々に第3部フィオリ・ディ・ジラソーレを終了し、始まった第4部下町テーラー編は日本を舞台にした物語である。
折り返しのコメントに「十五年も勿体ぶった、本格的な日本編」とあるように、いよいよ日本人に焦点を当てた仕立て物語が描かれていくようであり、これまでとは異なる視点で物語を見ていくことができるシリーズとなりそうだ。
今回、前巻で設えられた物語的経緯に一つ区切りを付けて日本編を本格的に始めようとしているが、この一巻からしてすでに日本編を描く気風のようなものが見えている。
これからの物語にも期待しつつ、まずは星五つで評価したい。
物語構造は変化していないのだが、なんと言っても身近さがま -
Posted by ブクログ
ジラソーレの総務アンナの支店長就任か、にまつわる形で展開された「ハートウォーミング・チェック」編。依頼のほとんどはスコットランドでの発掘事業にかかわった形のもので、あちらの各種チェック柄をクラシックでどう活かすかが問われている。
今回で一つの区切り、テコ入れのために次なるシリーズへと移行する本作は、ここではジラソーレ社と因縁のある大学時代の先輩ゾーエ・シャッカルーガとの対決の緒戦を描いたところでクローズされている。次なるシリーズはジラソーレにスポットを当てるようなので、この因縁がメインになってくるのだろう。
今回はシリーズ全体への評価も加味して星五つで評価している。楽しくまとめ読みさせ -
Posted by ブクログ
雑貨商の井ノ原からの依頼を突端にした、夏のリゾート地での着こなしを紹介する「愛しのカプリ島」編である。
フォーマルなスタイルの範囲ではあるが、やや気軽なパーティでのスタイルを紹介する内容は興味深いところだ。それが役に立つ日が来るかというと、すこぶる微妙ではあるが……。
井ノ原氏のような、正味貧相と言っていいだろう日本人のおじさん顔を使ってこうして色々とコーディネイトしているのも興味深い。正直、服が勝っている部分もなくもないが、こうしたスタイルを試していく余裕もまた、ビジネスマンとしてはあって然るべきだろう。
今回は星五つで評価している。 -
Posted by ブクログ
ツッパリ系ルポライターのチェレスティーノ・バルツァーギをキーキャラとした「モノトーンの彩り」編である。
彼の曾祖父、北部財界に影響を与える財閥総帥に彼のスタイルが忌み嫌われている人間関係をベースに、その関係をほぐす過程で出会ったフリーアナウンサーのサブリナ嬢との恋愛なども挟み、しかもその背景にはファシスト党という歴史的な存在も絡んでいるという、結構詰め込んである一巻だ。
内容的にはしっかりとしていて、なおかつキーキャラである彼も好感の持てるキャラ像をしている。読みやすく、読後感も良い一冊であった。
星五つで評価している。この第二部で一、二を争うだろう質の物語であった。
-
Posted by ブクログ
今回は再びのジョナタ。油虫と忌み嫌われる織部の兄弟子リッカルドと対決しながら彼がモードの奥深い世界を垣間見る「仕立て学校 モード×クラシック」編である。
修行に嫌気の差したジョナタがモードへの転向を狙うも、リッカルドとの対決を通じて己の土台の脆さを実感していく改心の物語となっているが、非常にスマートな展開だろう。
妙な理由でジョナタが勝利することのないリアリティなどは、両者の特徴と状況を上手く整理しているがゆえのことに思える。この辺はさすがの腕前であろう。
今回は星五つで評価している。しかし、ジョナタのような扱いづらいキャラを使い捨てにしないあたりはさすがと言うべきか。 -
Posted by ブクログ
アメリカでステーキチェーンを展開するジョー・ローリングがイタリア進出を狙い、ジラソーレからの紹介で織部の店を訪れる「魅惑のシャツ」編である。
今回は連作短編。少しずつ理解を進めるような形で、様々なシチュエーションで使えるスーツとシャツの組み合わせを紹介している。イタリアにおける白シャツのフォーマル感などは参考になる情報だろう。
物語も、彼の大学時代の恋人との顛末が描かれ、そこには色濃く薫るような過去の恋愛の残滓があった。顛末は予想されるところであったが(この作品でそこまで艶っぽい物語は展開されないだろう)、彼による復讐劇にはだいぶ笑わせていただいた。
今回は星五つ。
元カノへのこう -
Posted by ブクログ
仕立て屋協会の抗争が丸く収まる第三巻である。グランドジャンプPREMIUMでの連載が終わった、一応ひと段落した巻でもあるだろう。
内訌が外圧によって解消されるというのは間々あることであるが、ここでも中国からの人材引き抜きによって後継者問題に改めてスポットが当たり、両派が協力して次世代を育てる服飾学校を設立する流れへと繋がっていった。
ここで衝撃のジョジョパロキャラ登場である。どんな経緯でこのキャラが採用されたのか興味深いところだが、原作五部の各キャラほどには濃くない(しかもギャングではなく単なるチンピラ)ので、きちんと物語の中に納まっている。
今回は星五つ。やはりジョナタのインパクト -
Posted by ブクログ
雑誌の大幅再編成によりシリーズをクローズさせることを余儀なくされた完結巻である。ここではやや足早に物語は展開しているが、次のシリーズが楽しみとなる伏線が敷かれているのはさすがだろう。
今回は夏のエスコート編をテーマに仕立てが為されていて、少し珍しいのはラウラ個人で引き受け最後まで織部の助けを借りなかったorder197「お茶漬けの味」だろうか。途中で織部の見解を挟むようなこともなく最後まで描いたのだから、彼女もまた成長著しいのかもしれない。
失敗に終わったペッツォーリ氏とユーリアの会談など、ペッツォーリ社のナポリ進出も含めてこれからの展開に期待できる内容となっていた。
シリーズ全体の評 -
Posted by ブクログ
29巻からは欧州の紳士服界に騒乱をもたらす腕時計編が始まっている。
スイスの独立時計職人の嫁取りに端を発したジラソーレ社の腕時計を含めたトータルコーディネイトプランに各社が素早く反応、それぞれが温めていた企画を即座に立ち上げていく流れは、新雪に塗れた坂から転がり落ちる雪玉のように、徐々に事態を大きくしていっている。
構成の巧みさがいかんなく発揮された、非常に楽しい一冊となっていた。イギリス編でのサヴィル・ロウの一件は、やや肩透かしの形で終結していたが、今回はどうなるのか注目したいところだ。
この巻の評価は星五つとしている。物語が膨らんでいく展開はさすがの一言であるし、紳士服に比べると -
Posted by ブクログ
28巻は織部の過去を描いた「シチリア・マフィア編」が収録されている。シチリアのファミリーでの跡目争いに巻き込まれた織部が、少壮にあっても今と変わらず動じぬ姿で注文のツイードジャケットを仕立てる姿が描かれている。
とはいえ、ここではツイードという生地そのものが重要な役割を果たしており、「先代と同じ仕立てのはずなのに、そこにオーラが伴わない」という問題には織部も頭を悩まされている。その解決がなされたのは物語終盤。
全体を通した展開もダイナミズムがあり、一冊の巻としての構成がよく計算された相変わらずの見事な手並みであった。
長期連載ゆえの構成の妙であろう。これもまたシリーズの旨味だと判じ、こ -
Posted by ブクログ
今回は記事を主題にした物語が展開されている。物語の横糸としては、ロンドン支店長のクラリッサがナポリ本店のヘルプで戻ってきており、彼女の成長がそれに当たるだろう。
全体を通してみても、ラウラやリヴァルのお坊ちゃんが親から与えられた課題をクリアしたり、織部の元に入り浸りとなっているクラリッサの様子を聞いて駆け付けたエレナが、二人で角を突き合わせながら依頼をこなしたりと、織部の周辺にスポットを当てた形で物語が展開されており、この辺は構成の妙だろう。
相変わらずお遊びもふんだんに施されていて、クラリッサが織部の内弟子になると宣言された次の話の冒頭はだいぶ笑わせてもらった。どこぞの土佐の英雄の逸話