あらすじ
紳士服の聖地と呼ばれるナポリに自らの店を開店した織部悠。彼は伝説の名仕立て職人マリオ・サントリヨが唯一認めた弟子であり、“究めし職人”と称される男。ある日、アメリカでステーキチェーンを展開するジョー・ローリングが来店する。悠の仕立てで商談が成功して以来、店に通うようになったジョー。しかし、この御仁、ビジネス以外にも何やら目的があるようで…!? シャツ一枚で、見る景色が一変──。そんな奥深きシャツの世界を悠と共に巡る新シリーズ「魅惑のシャツ」編、始動──!!
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Posted by ブクログ
アメリカでステーキチェーンを展開するジョー・ローリングがイタリア進出を狙い、ジラソーレからの紹介で織部の店を訪れる「魅惑のシャツ」編である。
今回は連作短編。少しずつ理解を進めるような形で、様々なシチュエーションで使えるスーツとシャツの組み合わせを紹介している。イタリアにおける白シャツのフォーマル感などは参考になる情報だろう。
物語も、彼の大学時代の恋人との顛末が描かれ、そこには色濃く薫るような過去の恋愛の残滓があった。顛末は予想されるところであったが(この作品でそこまで艶っぽい物語は展開されないだろう)、彼による復讐劇にはだいぶ笑わせていただいた。
今回は星五つ。
元カノへのこうした思い入れと、そうして生まれるある種の風情は男性特有のノスタルジーだろう。堪能させていただいた。