片田珠美のレビュー一覧
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ネタバレ自分がまさに積極的に成熟を拒否したいと思う人間なので手に取った。大変示唆に富む内容で、自省を促される指摘も多々ある。また、大人=理想的人間とはどうあるべきか思惟を喚起してくれる。
ただ、冒頭で筆者自身も「成熟における『対象喪失』という側面に着目して、~一つの切り口を提示してみたいと考えている」と言っているため、分かった上であえてそうしているのだとは思うが、いくらなんでも全てを「対象喪失論」と結びつけすぎではないだろうか。こじつけと思える部分もいくらかある。
例えば、幼児的万能感の喪失に耐えられない大人がモンスタークレーマー化するとの主張だが、そもそもその万能感を持っている当の幼児はモンスタークレーマーだろうか。むしろ知らない相手に対しては萎縮するのではないか。子どもは車に轢かれても「轢かれ逃げ」する。電車内でトラブルを起こすのも幼児でも未成年でもなく、決まって成人だ。そういった意味で、幼児は確かにある種の万能感を持ってはいるが、モンスタークレーマーと言われる大人の持つ万能感とは少々質の異なるものなのではないだろうか。
薬物依存についても、対象喪失に耐えられないためというケースも多々あるのだろうが、単純にカッコイイからとか、フィジカルな快感を求めてとかといったケースもあるのではないだろうか。
「対象喪失論」の流れに全てを収束させようとするあまり、どうも安易なこじつけに見えてしまう箇所が少なからずあり、論理的に突っかかってスムーズに頭に入ってこないところが残念だった。テーマ自体は大変興味深いので、このあたりが改善されたらより面白い内容になったと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもを精神的、身体的に攻撃してしまう親について、心理学、精神医学、筆者の臨床(カウンセリング?)を基に分析まとめている。また、子どもに与える影響、そのような親への対処法についても論じている。対処法については、親を無理に許さなくてもいい、と支配されていた子どもが大人になってからのもの。
支配欲求の根底に潜む三つの要因…利得、自己愛、攻撃者との同一視。
所有意識、特権意識、想像力の欠如、嫉妬と羨望、
怒りの置き換え(他で起きたことの怒りを弱者であり、自分の所有物である子どもにぶつけてしまう) 外面は良いことが多い。
自傷行為と家庭内暴力は親への怒り。
家庭内で暴君と化している子どもたちは、生育過程において、親からの攻撃や抑圧、束縛を受けてきている。過干渉だか、そこに心の触れ合いは無く、強い孤独を感じている。 -
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わかる、と思った。でも他人の不幸を願う人への処方箋が一般的でイマイチ説得力がない。
・近くの人(同級生、同僚、同性)に羨望を抱きやすい
→たしかに遠くの人(芸能人や全く交流がなかった同級生)の幸せなどどうでもいいし何も感じないが、仲のいい友人や見下していた同性の幸せ報告の方が胸をざわつかせる、特に自分が上手くいってない時。あの人より努力してるのに的な。
・羨望の最大の要因は自己愛。自己愛が強い人をほど自分自身を過大評価しがちなので自分が劣っている、負けたということを受け入れられない。
・羨望は他人が持っているのに自分は持っていないという欠乏感から生み出される。自分がそれを失った、奪われたと感じる。
☆他人の不幸を願う人の特徴
・とにかく不公平を嘆く
←不公平に抗議してもどうにもならない。結局はそういうものだとあきらめて受け入れるしかない。自分の努力が足りないのに全部不公平のせいにしない。
・ネガティブ思考で物事をとらえる
←羨望が強いと悲観的になりやすい。
・口を開けば批判ばかり
・同情という仮面を付けて
・過剰すぎるほどの好奇心
うらやましい相手について根掘り葉掘り聞かずにはいられない
・不幸の種を見つけて安堵する
・羨望の対象の前ではそっけない態度
☆他人の不幸を願う欲望が強くなった理由
・一億総比較社会(ネットの普及)
・画一的な価値観にとらわれる(特に学歴と収入)
・「讃嘆のこもった羨望」「抑うつ的羨望」「敵意のこもった羨望」の中で「敵意のこもった羨望」が強くなってきている
・格差固定で不公平感がますますつのる
・肥大した自己愛と自己評価(少子化)
学校でも「やればできる」「だれでも無限の可能性がある」という幻想を吹き込んでいる。「なりたい自分」の自己愛的イメージだけが際限なくふくらんでいき、消費社会の「あきらめない」「夢はかなう」といったコピーのせいもあって「あきらめ・断念」を受け入れられない人が増える。
特にこうありたいという自己愛的イメージの人ほど「自分はこんなものじゃない」と自分を過大評価しがちなのであきらめきれない。当然「己に対する過大評価から生じる」怒りも抱きやすくなる。
→似たようなこと、内田樹も言ってたな。
・自己責任の重圧(結婚など)
☆処方箋
・羨望のマイナス面を知る
・隣の芝生はそんなに青くない、何事もマイナス面がある
自分に自信がなく何らかのコンプレックスを抱いている人ほど付随する価値を高めることによって自分の付加価値を高めようとする。夫の勤務先、年収、子どもの通う学校、ブランド物のバッグなど。
「夫はイケメンでもないし平社員で給料も高くない、ローンはあるし子供を私立に通わせられない。海外旅行にも行けない」という専業主婦。じゃあお前が働けよ、と言いたくなる。
・あなたがうらやんでいるあの人は、あなたから何かを取ったわけではない
・羨望している暇はない
☆フレネミー
Friend とEnemy。表面上ではいかにも友達のようにふるまいながら、裏では敵のように行動する。
「セックス・アンド・ザ・シティ」シーズン③エピソード16
映画「ミーン・ガールズ」
向田邦子「胡桃の部屋」『隣の女』所収 -
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ネタバレ「忖度」という観点から、森友学園のこと、首相夫人のこと、官僚、裁判官、東芝、医療業界、メディアのことなどを分析・解説されていて、いかに普通に「忖度」が行われているのかがわかり、とても興味深い内容だった。この本を読んでからニュースを見ると、「これも忖度なんだろうな」という視点で見てしまう。会社でのことだけでなく、学校や家庭でも行われていて、自分でも無意識のうちに「忖度」をしていたのではないかと思い当たることがあった。
この本にも書いてあるように、「空気」をある程度読むことは必要だけど、何となくおかしいと感じるセンサーの感度が低下しないように気をつけて、おかしいと感じたら、あえて忖度しない勇気を持つように心がけていたい。やはり客観的なものの見方は大切だと改めて思う。 -
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子供は自分の物という所有意識が強い親による身体的、精神的虐待のメカニズムを事例を紹介しながら分析。
また、子供を攻撃する親にどう対処すればいいのかについて考察、さらに子供に対する親の究極の攻撃ともいうべき子殺しについて、2019年6月、東京都練馬区で起きた元事務次官による長男殺害の事件を取り上げ分析。
読みやすくて先が気になり過ぎて一気に読みました。
こういう類の本を読みたくなるのは、軽度ではあるだろうけれど自分の親がいわゆる毒親であると思っていて、今まで自分が受けてきた事に名前をつけてカテゴライズしたいという気持ちと、自分が親になったことで、同じような苦しみを子供に与えないためには、やはり知っていかないといけないという気持ちがあるからです。
本書の内容は親からの過干渉、過保護からくる攻撃が主で、私の場合はネグレクト寄りなのでアプローチは全く違うけれど、その根本にある子供は親の所有物であるという考えは同じだなと感じました。
子供を攻撃する親に対する対処については、この本よりもスーザン・フォワードの『毒になる親ー一生苦しむ子供』を読む方が適切だと思います。引用もしているくらいなのでより詳しく知りたいのであれば。
子殺しの章については、つい最近の事件を取り上げていて興味深かったです。メディアで見る限りでは殺された長男の残虐性ばかり取り上げられていて、どこか元事務次官に同情的に思わせようとしているように見えてならなかったですが、ここで新たな情報を得ることができました。見る角度を変えると見え方もまた変わるのだなということがよくわかる章でした。 -
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組織を恐怖や空気によって支配する存在をヒトラー。その支配者に付き従い無批判に命令を実行する存在をアイヒマンとしてそれぞれの特徴を考察していた。特に、際立って優秀というわけでもないアイヒマン的存在が、ヒトラー的支配者に盲従することで、その地位を上げて、やがて自らがヒトラー的支配者に成り代わるという構造は面白いと思った。日本社会の教育や会社組織の構造がアイヒマンを醸成する土壌になっているというのは、これまでの歴史を見ても明らかだと思う。近年の働き方改革や、IT革命、教育の見直しはこのような土壌を根本から再構成するための良い機会であると感じた。自分の周りにいるであろうアイヒマン予備軍に気をつけるとともに、自分自身がそのようにならないために、常に思考を止めずに、想像力を働かせていくことがこれからの社会の中で生きるために必要な生き方になるだろう。
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本文中にキーワードが繰り返されるので分かりやすい。
事例は若干オーバーラップしているような気がする。
・経験によって強化された全能感
・対象リビドーの満足
にゆがみがあったり不足している人間は
・幼児期のナルシシズムの残滓
に頼り自尊心を支えている
このような心理構造を説明している。
そして幼児的な万能感は
親自身の「蘇生した」ナルシシズムの投影でもある、
という説明が身に染みた。
芥川龍之介の言う「(子供に対する)利己心のない愛は必ずしも子どもの養育に最も適したものではない。この愛の子供に与える影響は 少なくとも影響の大半は暴君にするか弱者にするかである」
はまさに今の時代を言い当てているものだなと思った。
最後のページに筆者からの処方箋がある。
いつでも心に留めておきたいシンプルな処方箋。 -
Posted by ブクログ
精神科医である著者自身も親に振り回されて、苦労したのだろうなと文面から推測できます。
「支配は、他人を平気で振り回す人がしばしば用いる手段。相手を支配するために振り回すのだといえるのかもしれない。」p16 → 「他人を平気で支配する迷惑な人たち」と題名を差し替えて読んでもいいのかもしれない。
■支配するための手口(ダブルバインドで混乱させる、罪悪感を与える、聞く耳を持たない、相手の価値を否定し優位性を誇示する・・・)
■振り回されているサイン(尊重されていないように感じる、その人にされたこと言われたことが頭から離れずくよくよ考える・・・)
■ターゲットにされやすい人の特徴(愛情欲求や承認欲求が強い、低い自己評価、警告サインの無視、いい人・・・)
■振り回されないための考え方・処方箋(部分交渉する、どんどんスルーする・・・)など参考になりました。
「言い返すべき時に言い返さず、戦うべき時に戦わないと後から大きなツケが回ってくる」本当にそうだなぁと思います。