あらすじ
先日「幸せそうだから」という理由だけで家族を車で轢き、暴行を加えた男が逮捕された。人の不幸は蜜の味。しかし今では他人の不幸「だけ」を求める人があふれかえる。芸能人や権威者がトラブルを起こせば、その不幸を醜悪なまでに追及。犯罪があれば加害者だけでなく被害者まで晒す。不幸が「蜜」ではなく「主食」になったのはなぜ? 不幸を求める欲望の向かう先で何が起きるのか? 『他人を攻撃せずにはいられない人』の著者、精神科医の片田氏が迫る!
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Posted by ブクログ
わかる、と思った。でも他人の不幸を願う人への処方箋が一般的でイマイチ説得力がない。
・近くの人(同級生、同僚、同性)に羨望を抱きやすい
→たしかに遠くの人(芸能人や全く交流がなかった同級生)の幸せなどどうでもいいし何も感じないが、仲のいい友人や見下していた同性の幸せ報告の方が胸をざわつかせる、特に自分が上手くいってない時。あの人より努力してるのに的な。
・羨望の最大の要因は自己愛。自己愛が強い人をほど自分自身を過大評価しがちなので自分が劣っている、負けたということを受け入れられない。
・羨望は他人が持っているのに自分は持っていないという欠乏感から生み出される。自分がそれを失った、奪われたと感じる。
☆他人の不幸を願う人の特徴
・とにかく不公平を嘆く
←不公平に抗議してもどうにもならない。結局はそういうものだとあきらめて受け入れるしかない。自分の努力が足りないのに全部不公平のせいにしない。
・ネガティブ思考で物事をとらえる
←羨望が強いと悲観的になりやすい。
・口を開けば批判ばかり
・同情という仮面を付けて
・過剰すぎるほどの好奇心
うらやましい相手について根掘り葉掘り聞かずにはいられない
・不幸の種を見つけて安堵する
・羨望の対象の前ではそっけない態度
☆他人の不幸を願う欲望が強くなった理由
・一億総比較社会(ネットの普及)
・画一的な価値観にとらわれる(特に学歴と収入)
・「讃嘆のこもった羨望」「抑うつ的羨望」「敵意のこもった羨望」の中で「敵意のこもった羨望」が強くなってきている
・格差固定で不公平感がますますつのる
・肥大した自己愛と自己評価(少子化)
学校でも「やればできる」「だれでも無限の可能性がある」という幻想を吹き込んでいる。「なりたい自分」の自己愛的イメージだけが際限なくふくらんでいき、消費社会の「あきらめない」「夢はかなう」といったコピーのせいもあって「あきらめ・断念」を受け入れられない人が増える。
特にこうありたいという自己愛的イメージの人ほど「自分はこんなものじゃない」と自分を過大評価しがちなのであきらめきれない。当然「己に対する過大評価から生じる」怒りも抱きやすくなる。
→似たようなこと、内田樹も言ってたな。
・自己責任の重圧(結婚など)
☆処方箋
・羨望のマイナス面を知る
・隣の芝生はそんなに青くない、何事もマイナス面がある
自分に自信がなく何らかのコンプレックスを抱いている人ほど付随する価値を高めることによって自分の付加価値を高めようとする。夫の勤務先、年収、子どもの通う学校、ブランド物のバッグなど。
「夫はイケメンでもないし平社員で給料も高くない、ローンはあるし子供を私立に通わせられない。海外旅行にも行けない」という専業主婦。じゃあお前が働けよ、と言いたくなる。
・あなたがうらやんでいるあの人は、あなたから何かを取ったわけではない
・羨望している暇はない
☆フレネミー
Friend とEnemy。表面上ではいかにも友達のようにふるまいながら、裏では敵のように行動する。
「セックス・アンド・ザ・シティ」シーズン③エピソード16
映画「ミーン・ガールズ」
向田邦子「胡桃の部屋」『隣の女』所収