大竹文雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私は行動経済学に基づくナッジ理論を用いて人々の行動変容によって健康状態を改善させるスタートアップ企業で働いているので、もとより行動経済学には触れているものの、一通りの書籍には目を通すようにしている。そうした日本語で書かれた書籍の中で、もっとも分かりやすさ・実践性に富む示唆を与えてくれるのがこの著者、大竹氏であると感じている。
本作は新書という極めてコンパクトな中に、行動経済学を実務で応用するためのエッセンスが詰まっている良書である。良い点として、
・行動経済学はなかなか理論的な全体像/ユニバースを把握するのが難しい中で、そのベースにある人間心理のバグを4つに整理して示している(1.プロスペク -
Posted by ブクログ
医学、公衆衛生学、心理学、行動経済学などの分野の研究者が集まり、行動経済学の医療への応用について研究を進めてきたその集大成といえる本。
第1部で行動経済学の枠組みから入り、医療行動経済学的研究を紹介する。第2部では、主に患者と家族の意思決定のバイアスについて議論する。がん治療における適切な意思決定支援、がん検診受診率を上げるために行動変容を起こさせるナッジ、高齢患者への意思決定支援、デフォルトによる臓器提供意思表示の変容などについて論じている。
また、第3部では医療者側にも様々な意思決定におけるバイアスがあることを紹介する。生命維持治療の「差し控え」と「中止」の倫理的違い、ガイドラインの行動経 -
Posted by ブクログ
2017年のノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーなど、経済学の中でも近年注目を集める行動経済学。行動経済学の良さの一つは、経済的インセンティブだけで動くのではないという人間の非合理性を明らかにすることで、特定の人々を動かすための有意味なアプローチを我々に与えてくれる点にある。
こうした行動経済学が実際に活用され、効果が出始めており、更なる実践が期待される領域、それが医療である。本書は医療現場における行動経済学の実践例などをまとめた一冊であるが、その対象は患者もしくは患者予備軍(”病気にならないように健康に配慮した生活”を送らせる)だけではなく、医者に最適な行動を取らせるにはどうすべ -
Posted by ブクログ
人間の様々な意志決定には、伝統的な経済学からずれるというバイアスがあり、それを前提とした行動経済学が1980年代から発展してきた。
本書では、行動経済学的な特性を使い、人の意志決定をより合理的なものに近づけるため、主にナッジと呼ばれる知恵と工夫、その具体的な活用について解説する。
損失回避、現在バイアス、サンク(埋没)コスト、ヒューリスティックス(直感)、アンカリング(係留)効果、ピア(同僚)効果、デフォルト(初期値設定)そしてナッジといった専門用語がこれでもかと出てくるが、いずれも具体例が示され、分かりやすく説明されている。
公私両面で時々の判断や相手との折衝の場面で応用できればと思いながら -
-
Posted by ブクログ
行動経済学では、ヒトは合理的な存在ではなく、思考に一定のバイアスが存在すると考える。この本では、実臨床で遭遇する具体的な問題について、行動経済学的なアプローチから問題の原因をデータで証明しながら考察し、解決案を提示している。また、患者だけではなく、医師も思考のバイアスがあるとし、それにより生じる問題に対する解決案も提示している。行動経済学のそのような考え方は参考にすべきであり、臨床の場でも応用すべく行動経済学を一度しっかりと学びたいと感じた。
本書では行動経済学についての説明は十分ではないため、行動経済学を一度触れてから本書を読んだ方がさらに理解は深まると予想される。
本書は臨床の場に立 -
Posted by ブクログ
とても学術的。理解するのに頭を使う。以前、行動経済学の本である「ヘンテコノミクス」を読んでいたので、何とか理解できた。文字数が多いので当たり前だが、ヘンテコノミクスより例が多い。
初めて知ったものとしては、締め切りを細かく設定することで、現在バイアスから発生する先延ばしを防ぐ効果。
例えば、学生にタイプミスを訂正する課題を与え、
①3週間後に3枚すべてを提出
②1週間ごとに1枚ずつ提出
③締め切りを自分で設定
という3グループに分けた。
最もミスが少なく、締め切りからの遅れもなかったのは、②のグループ。次に良かったのは③。成績が最も悪かったのは①。 -
-