大竹文雄のレビュー一覧
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日本人がなぜ資本主義なのに市場競争に拒否反応が強いのか。
たしかに市場経済の授業ってまともに受けたことなかったなあと。
慣れのない中で「負ける苦痛」もそうですが「勝ち続ける苦痛」も耐え続けるのがしんどいんやろなあと思います。
本書を読むと「生産性の低い人」は辛いことになるんやろなあと思います。
例えば残業規制が緩かった時は長時間労働で帳尻合わせてたのが時間内で結果を出さざるを得ないようになると仕事が追いつかなくなるんですよね。
仕事の持ち帰り規制があって長時間労働規制があって有給取得義務化につながるとますます「生産性」が仕事できる人になれるか否かに直結するようになるんやろなあと思います。
大竹先生の本もかなり読み進めることができました。 -
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「お金がない人を助けるにはどうしたら良いですか?」
運や努力や能力によって様々な格差や不平等が生じます。
小学5年生の質問が大人に深く刺さります。
僕は福祉の世界からこの問題を見ていますが経済学からの視点を示唆してくれる本です。
マリッジプレミアム
「マトモな男は絶対結婚している」
のではなく
「結婚によって男は仕事ができるようになる」
良い男は結婚しているのではなく結婚して良い男になると神学論争に決着がついたように思います(笑)
著者の調査によると
日本人の7割を超える人が
「十分な格差がないと人々は努力しない」
過半数が
「所得は各人の選択や努力によって決まる」
と考えるとのこと
日本人の支持を得るためには
「努力しているにもかかわらず運が悪い人を広く救う制度に変える」
ことが必要とのこと。
低所得者への再分配だけでは支持は得られないとのことです。
確かに生活保護制度への風当たりの強さはその裏返しなのかもしれません。
ただ運が悪かった人を見つけるのは大変なんですよねσ^_^; -
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「エビデンスかエピソードか」
今の社会の動きはまさにエピソード重視になっています。
僕自身仕事をしていく中でエピソードの方が説明しやすいのでやってしまいがちですが本当はエビデンスに裏付けされた説明にならないといけないと反省してます。
「社会還元の1つの方法が本を書くこと」
本を書くという大それたことではなく仕事の中で言語化されていない部分を言語化していくだけでも価値があるのかなと思います。
それを次代に繋ぐことができたら僕の目的の1つは達成されます。
「給付型奨学金の是非」
竹中先生は給付型に否定的で大竹先生は全て給付型にするのではないものの給付型のメリットを書かれていました。
前提として高等教育(大学等)は投資効率が良いということになっています。
ただ個人的には投資効率にはバラツキが大きいと思います。
国公立といわゆる全入で入れる大学では投資効率が全然違うのに同じ土俵で語ってるように思います。
そういう意味では貸す側がAIでどの大学に行くかで投資効率を見極めることができるようになるのかなと思います。
本書は竹中先生と大竹先生の共著です。
読み応えがある本ですがオススメの一冊です。 -
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この本はドライかもしれませんが今の医療のあり方と社会保障のあり方の中で1つの処方箋を示すものになると思います。
もちろん治すための医療は必要ですが身体に負担をかけてまで高度医療を続けるのか。
社会保障の観点からも議論が必要です。
サンクコストバイアス(返ってこないコストにこだわる)
現状維持バイアス(明日も同じことが起こると思う)
現在バイアス(先送り)
利用可能性ヒューリスティック(身近で目立つ情報を優先)
人の意思決定はいろいろバイアスがかかっており経済的に合理性のある決断をするわけではないということです。
そういう意味で医療の適正化という目的に向けて有効な手段を取るにあたって人間の意思決定のクセを利用する必要があると思います。
そのためには行動経済学を知る必要があります。
仕事に活用するのにちょっと真剣に勉強しなあかん分野やなと思います。 -
Posted by ブクログ
「競争社会」と聞くと、現在の格差社会を生み出している諸悪の根源のように
言われますが、この本を読むと考え方を改めることになります。
例えば運動会で徒競走の順位づけがされなかった教育を受けて育つと「利他性」
が低くなり、他人を思いやる心がなく、やられたらやり返すという価値観を持つ
傾向が高くなるそうです。
競争の中でもしっかりとした「ルール」があり、そのルールの中で競えば健全な
社会になるということを学べる本です。
中でも印象的なのは、マイケルジョーダンはメジャーリーグの「競争」で敗れた
がゆえに改めてバスケットボールという自分の居場所を見つけることができた
というくだりです。
これをを聞くと、競争が自分の長所を知る手段とも言えると理解できます。 -
Posted by ブクログ
経済学者が、競争の重要性を説いた本。比較経済学を中心に現在の国内外の研究論文、データを基に、競争が経済力向上のみならず、社会性の向上、人格形成上においても重要であることを説明している。引用が多彩で、説得力ある面白い本であった。
「競争は勝者と敗者を生み、厳しく辛い面もあるが、競争が繰り返された結果、自分が真に活躍できる場を見つけられる確率が高まる。誰にでも得意不得意がある。不得意な分野で消耗戦を続けるのは、本人にとっても社会全体にとっても不利益でしかない」v
「(経済学者が批判する)非効率=無駄」p11
「(他店対抗「他店より価格が高ければ対抗します」)経済学者は、この広告を出している家電量販店は、競合店に対して価格競争をやめるよう呼びかけていると解釈している。「暗黙の共謀」とも呼ばれる」p21
「(オークションでの勝者の呪い)オークションで落札できる人は、その品物の価値を過大に評価した人だから、必ず損をする。(転売する気がなければ、勝者の呪いは発生しない)」p38
「幸福度が高まると生産性が高まる」p65
「(怒り)怒ってしまうと、私たちは、不確実なことでも確実に生じるように感じ、周囲のことを統制できるように感じるという。未知の危険や恐ろしい危険をあまり感じなくなり、その結果、リスクあるものでも受け入れるようになるのだ。また、問題の責任が他人にあるように感じる傾向があるともいう」p68
「(恐怖)対照的なのは、恐怖の感情であり、不確実性を大きく感じ、自分で統制している感覚が減少する。そのため、リスクに対して回避的な行動をとりやすくなる。直観的な意思決定よりも論理的意思決定を用いる傾向が強くなる」p68
「(悲しみ)悲しみを感じると、自分で統制できる感覚を減らすうえ、利益志向的になり短期的視野をもつようになる」p68
「清潔な暮らしをしている状態だと少しでも汚れがあるととても目立つが、不衛生な暮らしの中で少々汚れても平気でいられるというのが人間の特徴だ」p86
「寄付した人の幸福度は上がり、寄付する人は幸福度が高いということが研究で明らかにされている」p100
「(ピケティの世界)今のところ日本では、アメリカやイギリスで生じているような、トップ所得層による所得の集中は起こっていない」p107
「コロンビア大学の伊藤隆敏は、財政破綻は日本の家計貯蓄で日本国債を吸収できなくなる時と定義している」p108
「同じ提案であっても損失が目立つ提案の仕方をすると、反対されやすくなる」p122
「(経済学部は文系)経済学が数字を扱うことを考えると、不思議な現象だ」p125
「(数あてゲーム)「0~100までの好きな数字を書いてください。皆さんが書いた数字の平均値に0.7を掛けた数字を書いた人を当選者とします」この実験の当選者となるのは、どの数字を書いた人だろうか。最初に予想される答えは35だ。なぜかといえば、実験参加者全員がランダムに数字を書いたとすれば、平均が50になるはずで、そこに0.7を掛けたら35になるからだ。多くの人はここで思考をストップさせる。しかし、もう一歩先を考えてみるとどうだろう。答えを35だとあなたが予想したとすれば、他の人も同じことを考えているはずではないだろうか。あなただけが賢いわけではない。もし、他の人たちも一歩先を読むと平均が35になるはずだ。そう予想したら、あなたは35に0.7を掛けたものを選ぶべきだ。それと同じことを他の人が考えたとしたら、あなたは。」p126
「(最低賃金の引き上げ)多くの人は最低賃金が引き上げられると、自分の賃金も上がると考える。でも、よく考えてみれば、雇う側は生産性より高い賃金を払いたくはないから、最低賃金が高くなればそれに見合わない生産性の低い人たちは雇わなくなり、雇う数を減らす。運が悪ければ解雇されてしまうかもしれない。最低賃金ギリギリの人は最低賃金引き上げを喜んでいる場合ではないのだ」p127
「(反競争的教育(手をつないでゴール))反競争主義的で協力する心をもたらそうと考えた教育が、能力が同じという思想となって子供たちに伝わると、能力が同じなのだから、所得が低い人は怠けているといった発想を植え付ける。→ 努力主義、能力が同じなら助け合う必要もない、所得配分反対→ 競争激化」p143
「選挙で瀬戸際に立たされた政治家が、合理的無知につけ込む大衆迎合的な戦略をとるのは、残念ながら世界共通のようだ」p175
「(ねんきん定期便)年金給付額のうちいくらが(自分の払い込んだ額の)移転額なのかを明記したり、他の世代であればいくらの保険料を支払われないとその受給額がもらえないかを明記すれば、年金を受給する高齢者の意識も変わるかもしれない」p198
「(日本人の所得(2012年))上位10%は年収580万円以上、上位5%が年収750万円以上、上位1%が年収1270万円以上になる。日本のトップ1%はもっともらっていると思っている人が多いと思う」p202
「(医師には旧士族、旧華族の名字が多い)流動性が高く、平等社会であると思われてきた日本は、以外にも明治時代の格差をいまだに残している(子孫との所得と教育の相関:どの国でもかなり高い相関)」p208 -
Posted by ブクログ
経済をインセンティブと因果関係の視点から考えるきっかけになる良書。「イイ男は結婚しているのか?」や「成果主義によって生産性は向上したか?」といった身近な話題を例にその経済学的な意味を解き明かしていく。
特に後半の格差問題や年金制度に関する議論が興味深い。「こんな制度になったらいいな」という主観に終始せず、「人間はその制度のもとでどんなふうに行動するのか?」を豊富な統計データや研究結果に基づいて考えている。
まもなく衆院選、東京都知事選である。「こうなったらいいな」だけでなく、「そうなったらいったい何が起こるのか?」まで深く考えるきっかけにぜひ読んでいただきたい。 -
Posted by ブクログ
日本人はなぜ競争が嫌いなのかを経済学的観点から説明しています。身近な話題を取り上げて解説してくれるので読みやすいです。
雇用問題で非正規社員が増加し、その結果、富裕層と貧困層の格差が大きくなったと言われています。世論では、格差が大きくなるのはよろしくない、格差を是正しろと声高々に論じられています。一方、経済学の視点から考えると、一番の目的は、市場で効率良く成果を上げて利益を最大化することです。
経済学の視点から言えば、格差が生まれるのは至極当然のことであり、格差を問題と考えること自体おかしいとの考えです。本書では、経済学の観点で、日本中に蔓延している全員平等で公平の考えに一石を投じています。
世の中は経済で成り立っています。一方で、経済学はお金儲けの手段だというネガティブな考えもどこかに潜んでいます。本書で指摘しているように、経済学は何もお金のことだけを考える学問ではありません。お金を通して、世の中が豊かになるのが最終目的です。世の中が豊かになるという目的は全員が共通認識のはずです。お金という側面を考えているかどうかの違いだけだと思います。
世の中が豊かになり、自分が幸せになるためには、お金を味方に付けておくのは絶対条件です。そのためには、経済学をもっと勉強する必要があります。経済や金融の知識は誰もが持っておく必要があります。お金を人生の目的でなく手段のひとつであると捉えて、お金についてもっと勉強することで、世の中の流れが分かるはずです。 -
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ネタバレ優れた経済学についての一般の入門書は、次の点を踏まえたものであると私は考える。
1、金稼ぎを研究する学問=経済学というよくある誤解を解消する
2、数式を使わない
3、扱われているトピックが身近なものである
4、これから主体的に経済学的思考で物事を捉えることを手助けする
このように考えるならば、この本はすべての点をバランスよく取り入れている優れた入門書である。事実、著者の阪大教授である大竹文雄氏は実証的な研究のみならず様々な賞を頂くほど、一般書の執筆でも評判が高い。
本書の内容については、20ページほどにまとめられたコラムを集めたもので、人々の関心事ともいえる「美男美女は本当に得か」についてや、3.11のケースにも関係している「自然災害に備えるためには」、自虐的テーマともいえる「大学教授を働かせるためには」、バブル後から話題となっている「日本的雇用慣行は崩壊したのか」、近年の小泉改革後に焦点となった平等に関する「見かけの不平等と真の不平等」などといったテーマについてデータと経済理論とともに経済学者がどのような枠組みで考え、考察しているのかを分かりやすく説明している。例えば、「見かけの不平等と真の不平等」いおいては、著者は未来に成功する可能性がある中での所得格差と成功する可能性がない中での所得格差を区別し、後者を問題として捉える。
特に本書は、計量経済学(経済データを扱う統計学)の基本的な考え方を数式を使わず、言葉によって直観的に説明し、また行動経済学の成果を導入するだけでなく、その研究成果の政策的意義を明らかにし、あるいは個人的知見を深めることにも配慮している。結婚の有無によって、賃金の格差が発生するのかを分析するために、結婚している方と結婚していない方を含む双子の賃金を使っていることは、計量経済学の一つの重要な考え方を示唆している。
もちろん、新書という形をとっているために、複雑な現実を単純化するために、正確に事実を捉えていない記述や結論が出ていない箇所も見受けられる。例えば、「人は節税のために生きるのか」においては、人は相続税を節約するために、死亡時期を意図的に遅らせているという研究を示しているが、それが例えば日本人に対して、どこまで当て早まるのかや実際の制度設計にどこまで役立つかに関してまでは、これからの課題としつつも、明確に言及していない。しかし、この点に関しては、どの学問にも当てはまる点であり、また様々な嗜好を持った個人の行動をミクロの視点で考察するミクロ経済学や現実に存在する経済データのみしか扱えない計量経済学の限界ともいえ、積極的に受け止めなければならない必要があり、むしろ経済学では捉えきれない点を明確に述べるという著者の謙虚な姿勢を評価したい。
この本を読むことによって、著者が述べるよう、「経済学的思考のセンス」が身に付き、「経済学中毒」になっているかもしれない。