大竹文雄のレビュー一覧
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この本はドライかもしれませんが今の医療のあり方と社会保障のあり方の中で1つの処方箋を示すものになると思います。
もちろん治すための医療は必要ですが身体に負担をかけてまで高度医療を続けるのか。
社会保障の観点からも議論が必要です。
サンクコストバイアス(返ってこないコストにこだわる)
現状維持バイアス(明日も同じことが起こると思う)
現在バイアス(先送り)
利用可能性ヒューリスティック(身近で目立つ情報を優先)
人の意思決定はいろいろバイアスがかかっており経済的に合理性のある決断をするわけではないということです。
そういう意味で医療の適正化という目的に向けて有効な手段を取るにあたって人間の意 -
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「競争社会」と聞くと、現在の格差社会を生み出している諸悪の根源のように
言われますが、この本を読むと考え方を改めることになります。
例えば運動会で徒競走の順位づけがされなかった教育を受けて育つと「利他性」
が低くなり、他人を思いやる心がなく、やられたらやり返すという価値観を持つ
傾向が高くなるそうです。
競争の中でもしっかりとした「ルール」があり、そのルールの中で競えば健全な
社会になるということを学べる本です。
中でも印象的なのは、マイケルジョーダンはメジャーリーグの「競争」で敗れた
がゆえに改めてバスケットボールという自分の居場所を見つけることができた
というくだりです。
これをを聞 -
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経済学者が、競争の重要性を説いた本。比較経済学を中心に現在の国内外の研究論文、データを基に、競争が経済力向上のみならず、社会性の向上、人格形成上においても重要であることを説明している。引用が多彩で、説得力ある面白い本であった。
「競争は勝者と敗者を生み、厳しく辛い面もあるが、競争が繰り返された結果、自分が真に活躍できる場を見つけられる確率が高まる。誰にでも得意不得意がある。不得意な分野で消耗戦を続けるのは、本人にとっても社会全体にとっても不利益でしかない」v
「(経済学者が批判する)非効率=無駄」p11
「(他店対抗「他店より価格が高ければ対抗します」)経済学者は、この広告を出している家電量 -
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経済をインセンティブと因果関係の視点から考えるきっかけになる良書。「イイ男は結婚しているのか?」や「成果主義によって生産性は向上したか?」といった身近な話題を例にその経済学的な意味を解き明かしていく。
特に後半の格差問題や年金制度に関する議論が興味深い。「こんな制度になったらいいな」という主観に終始せず、「人間はその制度のもとでどんなふうに行動するのか?」を豊富な統計データや研究結果に基づいて考えている。
まもなく衆院選、東京都知事選である。「こうなったらいいな」だけでなく、「そうなったらいったい何が起こるのか?」まで深く考えるきっかけにぜひ読んでいただきたい。 -
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日本人はなぜ競争が嫌いなのかを経済学的観点から説明しています。身近な話題を取り上げて解説してくれるので読みやすいです。
雇用問題で非正規社員が増加し、その結果、富裕層と貧困層の格差が大きくなったと言われています。世論では、格差が大きくなるのはよろしくない、格差を是正しろと声高々に論じられています。一方、経済学の視点から考えると、一番の目的は、市場で効率良く成果を上げて利益を最大化することです。
経済学の視点から言えば、格差が生まれるのは至極当然のことであり、格差を問題と考えること自体おかしいとの考えです。本書では、経済学の観点で、日本中に蔓延している全員平等で公平の考えに一石を投じて -
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ネタバレ優れた経済学についての一般の入門書は、次の点を踏まえたものであると私は考える。
1、金稼ぎを研究する学問=経済学というよくある誤解を解消する
2、数式を使わない
3、扱われているトピックが身近なものである
4、これから主体的に経済学的思考で物事を捉えることを手助けする
このように考えるならば、この本はすべての点をバランスよく取り入れている優れた入門書である。事実、著者の阪大教授である大竹文雄氏は実証的な研究のみならず様々な賞を頂くほど、一般書の執筆でも評判が高い。
本書の内容については、20ページほどにまとめられたコラムを集めたもので、人々の関心事ともいえる「美男美女は本当に得か」につい -
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日本で市場経済が不人気な理由を行動経済学の視点で分析していて興味深いです。行動経済学が好きな人には超お勧めです。
【以下、興味深かった記述を抜粋】※「?付きの文章」は自分の感想
・【定年層の育った社会環境】好況→失業率の低下(努力すれば職に就ける)→勤勉である事が重要→(市場)競争に積極的。
【若年層の育った社会環境】不況→失業率の上昇(努力しても職に就けない)→運やコネが重要→(市場)競争に消極的→規制強化に賛成。
→好況だと市場競争に賛成な人が増え、不況だと市場競争に反対(規制強化に賛成)な人が増える。最近の草食系ブームの原因は景気なのか?
・規制により、規制の枠内での格 -
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新型コロナウイルス感染症対策分科会に参加していた経済学者の方のご著書。文化人類学者の磯野真穂さんの「コロナ禍と出会い直す」にて紹介されており、興味を持って手に取った。内容は一般的な行動経済学の入門書といったもので、一部コロナ対策についても言及がある。コロナ禍における政府の対応および私たち市民の反応についての反省や振り返りにもう少し重きを置いていたほうが、より読み応えがあった様に思う。
人々は自由にさせておけば放っておいても合理的な選択をするであろうと考える伝統的経済学と異なり、人々は様々なバイアスや計算能力の限界により非合理的な選択をしうると考える行動経済学は、合理的な行動をするためのアドバ -
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誰しも自分が思っているより合理的でない行動することがわかる。それにもかかわらず、適切な対応をしないことが多い。それは我々の行動が合理的に行われていると心のどこかで信じているのではないかと思った。
はじめにの部分で
つまり、人間の意思決定は合理的なものから予測可能な形でずれる。逆に言えば、行動経済学的な特性を使って、私たちの意思決定をより合理的なものに近づけることができるかもしれない。ⅳ
とある。
確実なものと不確実なものでは、確実なものを強く好む傾向がある特性。利得よりも損失を大きく嫌う特性。これら二つの特性から同じ内容でも表現方法が異なるだけで、意思決定が異なってくる。このような特性を知