あおぞらツアーズ。小さな旅行会社だ。最近は収益が上がらず経営悪化か続いている。そんな現状を打破するため、天草龍太郎がちょっと変わった旅行ツアーを企画した。その名も「失恋バスツアー」。
最近失恋したことで思いついた企画で、失恋した参加者に、ツアーを通じて心ゆくまで落ち込んでもらい、そのあと徐々に気持ちが上がっていけるような行程だと、龍太郎は自負している。
集まった参加者はいかにも曰くありげな9名。金髪のハーフ美女から謎の中国人まで、多士済々だ。さあ龍太郎の起死回生ツアーは吉と出るのかそれとも凶と出るのか ⁉
物語は基本的に龍太郎の視点で進むが、時折りカウンセラーの小泉小雪とツアー客の北原桃香の視点が挿まれる。
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「失恋バスツアー」という発想がなかなかおもしろい。
失恋の痛手から立ち直ろうとしている人たちしか参加しないと思われるので、湿っぽく鬱陶しいツアーにはならないだろう。きっと実際にある婚活ツアーの雰囲気よりも健全に違いない。
そう思ってこの作品を手に取りました。
設定もよく考えられています。
龍太郎が勤める会社が資金繰りに窮していたり、今回のツアー客全員ひと癖ありそうだったり、龍太郎自身が失恋したばかりだったり、その失恋相手が同乗するカウンセラーの小雪だったりと、作者の仕掛けが盛り沢山。
どうやって収拾をつけるのか、楽しみにしながら読むことができました。
また、ツアーの参加者も多士済々で、なかなか興味深い。あの「るいるい」さんまで登場していたのもうれしかった。 ( もう少し活躍の場を与えてほしかった気がします。)
ラストは期待通りのハッピーエンド。すべて丸く収まりすぎともいえるけれど、エンタメの定石なのでよしとしたい。
ただ、前半の伏線部分が冗長で退屈してしまうのが残念だったので、☆3つです。