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Posted by ブクログ
時代を超えて人の想いが繋がる、恋と家族の物語です。
青森県弘前市にあるとある食堂は、今年開業百年目。三代目の子である陽一は、弘前を離れ東京で一人暮らしていた。元々は実家の食堂を継ぐために外で修行をしていたが、修行先でのトラブルから、現在は特技のバルーンアートを活かしたピエロとして細々と仕事をしている。ある日、訪れたスタジオで出会った女性とひょんなことから意気投合し、お互いが弘前出身で、しかも同じ高校に通っていた先輩後輩だと知る。彼女は弘前のりんご農家の一人娘。少しずつ日々を積み重ねていくうちに、お互いの将来のことを考えていくようになるのだが。
食堂の初代である曽祖父世代の恋の物語と、曾孫の陽一たちの物語が時々交錯するようにリンクしていくのが面白く、キャラクターも魅力的な恋の物語でした。久しぶりに恋愛物を読んだので、ときめきとかもどかしさとか、恋する二人のドキドキやもどかしさをどこか新鮮に味わうことができました。心に沁みる心理描写で、青森の美しい桜と心象風景が重なるのが素敵です。
終章近くの、初代の開店祝いのシーン、とても素敵でした。よっちゃんの言葉にじんわりとして、涙腺が緩みました。こんな粋な贈り物、できるのも、もらえるのも素晴らしいことです。これからは次期四代目にも頑張ってもらわないと、ですね。
大部分とても楽しかったのですが、どうしても気になってしまったのは、救急車を呼んだ時のコール対応と救急隊員さんの対応の場面でしょうか。あまりにも…いえ、もしかしたら作者の方は何かそういう嫌な思いをしたことがあるのかもしれませんね…。
行ったことがなく、見たことがない弘前の景色ですが、とても鮮やかで美しい描写でした。いつか行ってみたい場所が増えてしまいました。
近頃はなかなか春が短く、桜の開花も予想がつきにくいこの頃ですが、いつか春の弘前公園に行ってみたいものです。
人と人の心のつながりと家族とのつながりを感じさせてくれる一冊でした。
Posted by ブクログ
青森に100年続く津軽蕎麦のお店。
3代目哲夫は妻の明子とともに店を切り盛りしている。
その息子、陽一を主人公として登場人物それぞれの時代、それぞれ目線で物語が展開していく。
初代店主、賢治の
「物事の終わりは必ず感謝で締めろ」という言葉が心に刺さった。
賢治の友人が4代目のために作った螺鈿の引き出しは近い将来陽一が4代目として引き継いでくれるんだろうな。
不器用な男どもと、勘が鋭い女性たちのやりとりがなんとも小気味良かった。
時代を超えて引き継がれる味、手間暇かけて作られる味。
焼き干しで出汁を取った津軽蕎麦を味わってみたい。青森の百年食堂の温もりを感じてみたい。
Posted by ブクログ
『津軽百年食堂』
森沢明夫さん津軽3部作の一作目
ただ、私は『青森ドロップキッカーズ』を先に読んでしまったので順番が逆転してしまったが…
未読の方は、先ずはこの作品から読み始めるのがオススメ
さてさて、物語の舞台は津軽・弘前
百年続く食堂を守り続ける父と、東京で孤独な社会に生きる息子の物語
内容はとてもシンプルだか、そこに登場する人物一人一人が実に温かく優しくて、時に粋で…
田舎を出て都会の荒波に揉まれながら強く逞しく生き抜こうとする若者の熱量と、それと表裏一体で待ち合わせる将来への不安や葛藤の描き方が美しかった。
親と子、それぞれが個としての相手の人生を考える思いやりに満ちていて、特に祭りで設営したテント内で、賢治と陽一が心を通わせたくだりには涙が溢れた。
また、エピローグにて七海が明子にこっそり伝えた素敵な台詞…なんてチャーミングな女性なんでしょう。つい嬉しくてにやけてしまった。
シーン毎に目線を移して物語を進行するという構成のため、其々の人物に感情移入しやすく、物語が立体的で時代を超えているのに読みやすかった。
後半からは健くん親子から広がった"粋"な演出のバトンタッチが繰り広げられ、物語が一気にリズム感をもち面白味を増した。
森沢明夫さんの作品に出るキャラクター達は、みな人間味に溢れていて心が温かい。私もそういう人間になりたくて…それは無理でも近づきたくて笑、すっかりファンになっている。
この読後の心地よい余韻がさめる前に3部作の完結となる『ライアの祈り』を読もう!
Posted by ブクログ
いいお話でした。
相変わらずぐいぐい引き込まれます。
「虹の岬の喫茶店」
「津軽百年食堂」
共通点として、アイテム(芸術品)が出てきます。
陶芸作品(カップ)、絵画、津軽塗の引き出し(貝細工あり)、こぎん刺。
実にいい味を出しています。粋です。
japanと小文字で始めれば、これは漆塗り。
日本の伝統工芸ですな~
私は職人になりたかった。
こんなに日本が疲弊し、苦しい30年を送ることになるとは思わなかった。
そこで伝統工芸がきらり、と光るのです。
(どうして銀行員をやめてフォトグラファーになったのか。人のためになっているかどうかは、金額で判断できるものではない、というようなことが書いてありました。たしか。共感します~。いくらお金もらっても、人を苦しめるのはどうかと、そう思ったということでした)
出会いがあり、別れがあり、そんな出会いを後押しする友人たち。ひとつの決断、勇気が未来をつないでいます。勇気を出してよかったです。
↑支離滅裂なこと書いてるとおもうでしょ?
両方読んでみてください~。
Posted by ブクログ
青森の弘前市に三代続き、百周年を迎える、津軽蕎麦のお店の四代目を巡るお話です。
百年前の初代の賢治が蕎麦屋を開こうとして、お嫁さんのトヨを迎える感動的場面もありますが、主人公は三代目店主の息子の陽一です。
陽一は本当は店を継ごうと思っていたのに、父の反対があり、東京の制作会社を辞めてフリーターになってしまい、バルーンアートを教えるピエロの仕事をしています。
そんな時陽一が同じ弘前の高校の三つ後輩だったフォトグラファーを目指す七海と出逢い、同郷の二人は当たり前のように惹かれ合います。
東京でフォトグラファーとして独り立ちしたい七海と実家の大森食堂を継ぎたい陽一。
二人の未来は果たしてどうなるのかというお話です。
私も青森には住んでいたことがあり、懐かしく読みました。東京で同郷の人と出会ったら盛り上がってしまうのはよくわかります。
大森食堂は津軽蕎麦の店ですが、青森はお鮨が美味しかったのはよく覚えていますが、お蕎麦は知りませんでした。食べ損ねてしまいましたね(笑)。
結びの文章が「だってそれが女将の粋ってものだから」という陽一の母の明子の言葉で終わっていますが、全体を通してポンポンと出てくる女性たちの軽口がちょっと控えめな男性陣より粋に思える物語でした。
そしてとても温かいものがこみあげてくる物語でした。
Posted by ブクログ
『津軽百年食堂』 森沢明夫さん著
弘前で百年、津軽蕎麦を提供しつづけてきた「大森食堂」の初代店主・賢治と、三代目の息子・陽一の視点を中心に、それぞれの青春の思い出や、地元弘前に対する思いが述べられたお話。
・陽一くんと七海ちゃんが「東京の人」について愚痴り合うシーン
・弘前への帰路で、陽一が自由だった高校時代と自分専用の枠の中に居続ける今とを比較するシーン
この2つのシーンでは、自分の思いを伝えたい、変わりたいけど現状から離れられずにいる、現代人あるあるのもやもやが伝わってきて、共感してちょっと苦しくなりました。自分に素直になるって、難しいんですね。。。
終盤、陽一くんとお父さんとのやり取りに目頭が熱くなって、涙がぽたり。。。
人との絆、職への思い……百年を超えてつながっていくものに、胸(と目頭)が熱くなりました。
青森が舞台のお話は初読みだったんですけど、いいお話でした〜お蕎麦の出汁みたいにあったかかった〜。森沢さんの本はどこが舞台でも良き。
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