乾ルカのレビュー一覧

  • メグル

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    ネタバレ

    読んでいるうちに、著者が匂わせてくるこの先のストーリーが頭の中でうっすら形作られていくのだが、分かっていても先に待っている答えが見たくて、読み進めるスピードがどんどん早くなるような本だった。その感覚は5つのストーリーすべてに共通していたが、その原動力は話によって様々。ある話では怖いもの見たさでもあったし、ある話ではハッピーエンドを疑わず逸る気持ちでもあった。
    生きることや死ぬことについて考えずにはいられない。
    物語のキーパーソンである悠木さん目線の話が無いのにも関わらず、彼女が学生に斡旋するアルバイトを通じて、彼女の人物像が見えてくる。きっとどの学生よりもドラマティックな経験をしていると思うが

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    2017年07月20日
  • 願いながら、祈りながら

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    北の大地の片隅に、ぽつんとたたずむ中学分校。生徒は五人。そこに赴任してきたのは、やる気のない若い教師。
    廃校までの一年間。それぞれの物語。
    青春小説。

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    2016年12月07日
  • てふてふ荘へようこそ

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    最初はあまりに突飛な設定だったので馴染めなかったが、読み進むうちにじんわりしてきた。
    5号室のお兄さんの部屋に来た妹の話に泣かされました。
    大家さんの話はもう一つかな?
    でもいいお話し。

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    2016年05月04日
  • てふてふ荘へようこそ

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    ネタバレ

    てふてふ荘に住む各部屋の住人と、
    その部屋に憑いている幽霊たちのエピソード。
    ホラーではなくて、のんびり穏やかな雰囲気。
    でもどの話にも"別れ"があって、切ない。
    ひとつずつ増えていくビリヤードの球。
    大家さんの秘密。

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    2016年04月10日
  • メグル

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    H大学学生部では、学生へアルバイトや家庭教師を斡旋する求人の仕事もしている。
    その中には、ちょっと奇妙な仕事も混ざっていて・・・
    「ヒカレル」「モドル」「アタエル」「タベル」「メグル」の5つの短編集ですが、全てに共通して登場するのが奨学係唯一の女性職員である悠木さん。

    ちょっぴりホラーで、ふんわり心温まるのは乾さんの作風なんですね。
    最初の「ヒカレル」はいい話ながら結構怖くて、ドキドキしながら読みました。
    亡くなった後に、生きている人をあの世に引っ張っていってしまうという「引く手」。それを阻止するために、一晩死者の手を握って添い寝をしてください。
    そんなアルバイト、想像するだけで怖すぎてもう

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    2016年02月21日
  • てふてふ荘へようこそ

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    ネタバレ

    のんびりふんわりした話が読みたいな、と思って買ったのですが、初めの話から予想外の切なさでした。二号室と四号室が好きでした。二号室はなんというか、はじめての恋に舞い上がってしまう美月の痛さがつらくて、でもそれを包んでくれる遠藤さんがいい。四号室は、薫が海を見ていて、平原も病室から海を見ていて、だから苦しみながらも立ち向かえた、っていうのがすごくいいな、と思えて。どちらの話もふたりの気持ちが本当に通じ合っている瞬間が感じられて、それがすごくよかったです。

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    2015年11月14日
  • モノクローム

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    自分を分かってもらうことに抵抗を感じる慶吾の性格が母譲りならば母が何も語らず言葉少なめなのもうなずける

    という事で香田君 ъ(゚Д゚)グッジョブ!!

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    2015年04月14日
  • モノクローム

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    意味もなく置かれた石などない…。
    与えられたものだけで人生はつくられない…。

    意志と行動で変わる。変えていける。
    本当にそうできたらいいなと思います。

    とても静かでせつない話でしたが、香田君に救われました。

    私もよくモフモフのお腹に顔をうずめてなぐさめてもらったっけ。。。

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    2016年02月10日
  • ばくりや

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    自分のとある「能力」を他人のとある能力と交換するお店を舞台?とした連作短編集。心温まる話あれば、ブルーな話もあり。

    最後の話のラストが秀逸。長編としても面白い。

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    2015年01月04日
  • ばくりや

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    あなたの「能力」を、あなたにはない誰かの「能力」と交換いたしますー「ばくりや」という不思議な店を訪れた人々の悲喜劇を描いた連作短篇集。
    ハッピーエンドあり、悲劇あり、ほのぼの系もあればどんでん返しありで、連作短篇にありがちな単調なストーリーではない。他人より秀でた能力を持つことの哀愁と苦悩、そして人間が常に抱く「生まれ変わりたい」という欲望への風刺がピリリと効いている。
    カバーイラストが藤子不二雄Aなのは、もしかしてあの漫画を意識したのかも?

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    2014年11月13日
  • ばくりや

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    誰かのいらない能力を他人の能力と交換したら、という話。
    新しい能力を生かす人、悲惨な目にあう人、結果は人それぞれ。「狙いどおりは」の結末は爆笑、かつ爽快。

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    2014年10月14日
  • メグル

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    ちょっと不思議な空気が漂う落ち着いた作品。
    かなり好みです。
    シリーズ化されてないのかな?
    初めて読む作家だったので、別の作品にもチャレンジしてみよう。

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    2014年09月11日
  • モノクローム

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    5歳の時に母親に捨てられた沖田慶吾。ゆいいつの友達、香田と、なぜ母は自分を捨てたのか真相を調べ始める。
    囲碁と友達を通して、だんだん人間らしくなっていく。
    一気読みでした。
    2014年9月8日

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    2014年09月08日
  • 四龍海城

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    ネタバレ

    おもしろかった。
    乾さん、初読み。

    ボーイミーツボーイ。
    いやあ、いいなあ友情っすね。
    「友達になりたい」
    ちょっと気恥ずかしいほどに純粋な想い。
    神隠し。
    日常の側にある不可思議な城に閉じ込められてしまった少年。
    そこから出るためには出城料を払わなければならない。
    その道をみつけるか、または城人となるか。
    関という青年が登場してから話の流れが一気に早くなった気がする。あのへんの仲のいい兄弟なノリは好きだった。
    城の仕組み、出城料の謎。
    少年たちの抱える気持ち。
    まあ、出城料については、殆ど最初から見当はついていたので、そんなとこだろうとは思っていたが、
    いや~そーゆーラストか~。
    うーん、

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    2014年08月30日
  • モノクローム

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    囲碁には知的でクールな印象を持っていたが、それに加え、碁石の冷たい手触りや碁盤に打たれたときのコツという音にモノクロームの色彩などなど、囲碁にまつわるイメージが孤独な主人公の心象をうまく象徴していて、カチンとしたものが心に残る。施設の園長先生や好意を抱いてくれる職場の女性との関係では、素直になれない頑なな主人公だが、一歳年下の友人の存在が心を開いてくれる。一番主人公の心に引っかかっているお母さんが幼い主人公を捨てた経緯については、おそらく書きだした時点での作者の意図通りにはいかなかったように思え、少し残念。

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    2014年08月22日
  • モノクローム

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    お母さんに捨てられた子供が成長するストーリー。でも、なぜお母さんが捨てるに至ったかを考えると、ちょっと凄い。このお母さん視点での話しも読みたくなる。

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    2014年08月11日
  • モノクローム

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    母に捨てられた過去を持つ少年が、自分の生きる意味を模索する物語。囲碁がテーマになっているけれど、囲碁に関する知識がまったくなくともそれなりには読めます。でも知っていたらもっと味わえたのかな、という気も。棋譜を見てもどっちが勝ったのかすら分からなかったので私。
    何一つ苦しみを持たない人生などありえないのだけれど。自分の責任ではない不幸は、邪魔なハンデにしか思えないだろうことも確か。それでもすべてのことに意味があるのだと考えることは、前向きに生きることに繋がるのでしょうね。苦しみにも意味がある、と、思えるようになることが成長なのかも。

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    2014年07月27日
  • モノクローム

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    囲碁は全然わからないので、棋譜の話になるとサッパリ。
    それでも雰囲気は味わえた(と思う)。
    親に捨てられたと思っていたから、そこが慶吾の弱点でもあり他人を判断する際に利用しようとする。
    臆病になっているけど、そこは他人に悟られたくはない。
    香田くんはそこも含めて慶吾についてまわるところが可愛いというかいい奴というか。
    香田くんのお陰でずっと気になっていたことを知ろうと思えたんだから、友人に恵まれたんだなぁ。

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    2014年06月30日
  • プロメテウスの涙

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    解説にもあったけれど、メールのやり取りがもどかしいのなんのって。

    だって、緊急という件名のメールに対して、返すのはまた明日でいいかって、そりゃないでしょう。しかも次の日にしたところで別になにもおこらないのね。あのくだりいるのかしら。
    そういう、伏線かと思いきやまったく意味のない描写が多くて、焦らされる焦らされる。
    真相が気になって読んでいるだけに、そこで焦らされるのは結構辛かった。
    だけどこの作品の面白さはそこにあるのかも。解説の方曰く、その“焦らし”はどうもわざとなようですし。

    でもわたしが気になるのはさ、涼子ってほとんどなんにもしてなくない?

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    2016年02月23日
  • 六月の輝き

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    美耶と美奈子はお互いひとりっこ、誕生日も同じで家も隣家の大親友
    ふたりの友情は途切れることなく永遠に続いて行くものと思われた
    だがある日美耶がフシギな力を発揮したことをきっかけに友情にも陰りが見え始め・・・

    全7章から成り、2章目から6章目までは主人公を変えて短編綴りになっているこの小説、1章目から切なくてぼろぼろ泣いたので頁を捲るのが怖かったのですが・・・

    全章でこんなに全力で泣かされるとは思いませんでした

    フシギな力を軸にしたプロットはやや陳腐ともいうべき内容なのに(昔パタリロで同じプロットありましたし)、掘り下げと丁寧な描写が秀逸

    悲哀と感動が織り交ぜになって心にずしり、と響く作

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    2014年03月23日