乾ルカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいるうちに、著者が匂わせてくるこの先のストーリーが頭の中でうっすら形作られていくのだが、分かっていても先に待っている答えが見たくて、読み進めるスピードがどんどん早くなるような本だった。その感覚は5つのストーリーすべてに共通していたが、その原動力は話によって様々。ある話では怖いもの見たさでもあったし、ある話ではハッピーエンドを疑わず逸る気持ちでもあった。
生きることや死ぬことについて考えずにはいられない。
物語のキーパーソンである悠木さん目線の話が無いのにも関わらず、彼女が学生に斡旋するアルバイトを通じて、彼女の人物像が見えてくる。きっとどの学生よりもドラマティックな経験をしていると思うが -
Posted by ブクログ
H大学学生部では、学生へアルバイトや家庭教師を斡旋する求人の仕事もしている。
その中には、ちょっと奇妙な仕事も混ざっていて・・・
「ヒカレル」「モドル」「アタエル」「タベル」「メグル」の5つの短編集ですが、全てに共通して登場するのが奨学係唯一の女性職員である悠木さん。
ちょっぴりホラーで、ふんわり心温まるのは乾さんの作風なんですね。
最初の「ヒカレル」はいい話ながら結構怖くて、ドキドキしながら読みました。
亡くなった後に、生きている人をあの世に引っ張っていってしまうという「引く手」。それを阻止するために、一晩死者の手を握って添い寝をしてください。
そんなアルバイト、想像するだけで怖すぎてもう -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった。
乾さん、初読み。
ボーイミーツボーイ。
いやあ、いいなあ友情っすね。
「友達になりたい」
ちょっと気恥ずかしいほどに純粋な想い。
神隠し。
日常の側にある不可思議な城に閉じ込められてしまった少年。
そこから出るためには出城料を払わなければならない。
その道をみつけるか、または城人となるか。
関という青年が登場してから話の流れが一気に早くなった気がする。あのへんの仲のいい兄弟なノリは好きだった。
城の仕組み、出城料の謎。
少年たちの抱える気持ち。
まあ、出城料については、殆ど最初から見当はついていたので、そんなとこだろうとは思っていたが、
いや~そーゆーラストか~。
うーん、 -
Posted by ブクログ
解説にもあったけれど、メールのやり取りがもどかしいのなんのって。
だって、緊急という件名のメールに対して、返すのはまた明日でいいかって、そりゃないでしょう。しかも次の日にしたところで別になにもおこらないのね。あのくだりいるのかしら。
そういう、伏線かと思いきやまったく意味のない描写が多くて、焦らされる焦らされる。
真相が気になって読んでいるだけに、そこで焦らされるのは結構辛かった。
だけどこの作品の面白さはそこにあるのかも。解説の方曰く、その“焦らし”はどうもわざとなようですし。
でもわたしが気になるのはさ、涼子ってほとんどなんにもしてなくない? -
Posted by ブクログ
美耶と美奈子はお互いひとりっこ、誕生日も同じで家も隣家の大親友
ふたりの友情は途切れることなく永遠に続いて行くものと思われた
だがある日美耶がフシギな力を発揮したことをきっかけに友情にも陰りが見え始め・・・
全7章から成り、2章目から6章目までは主人公を変えて短編綴りになっているこの小説、1章目から切なくてぼろぼろ泣いたので頁を捲るのが怖かったのですが・・・
全章でこんなに全力で泣かされるとは思いませんでした
フシギな力を軸にしたプロットはやや陳腐ともいうべき内容なのに(昔パタリロで同じプロットありましたし)、掘り下げと丁寧な描写が秀逸
悲哀と感動が織り交ぜになって心にずしり、と響く作