乾ルカのレビュー一覧

  • コイコワレ
    【収録作品】コイコワレ/九月、急行はつかり車内にて-書き下ろし特別収録短篇-

    競作企画「螺旋プロジェクト」の昭和前期編。書き下ろし短篇が読みたくて再読。清子のその後と、リツとの後日譚。
  • 水底のスピカ
    舞台は北海道立白麗高校。

    東京から転校して来た頭脳明晰な美少女・汐谷美令、クラスカースト上位の城之内更紗、クラスで孤高を演じる松島和奈、三人の女子高生を中心に物語は展開する。

    多感な時期特有の自意識や承認欲求などに囚われる姿がリアル。

    美令と更紗に至っては誰にも話せない大きな秘密を抱えている様...続きを読む
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクト7作目。
    乾ルカの作品は初めてだったが、とにかく文体や表現方法が綺麗、と言うより最早“美しい”といった印象。ストーリーも然る事ながら、まず描写力に感銘を受けた。特に重要な人物の台詞は訛りが激つよの言い回しだが、何故だか読み易くスッと入ってくるのは、著者が言葉の響きや一文字一文字にかな...続きを読む
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクト 7作品目
    乾ルカさん初作品

    山育ちのリツと東京から疎開してきた清子。
    2人の対立関係が明確でありながら、お互い嫌いあっている?など共通点もあり、読みやすくスイスイ読めました。
    嫌いな相手にこそ、より丁寧に接する という私達の普段の生活でも大切な事を改めて教えてもらった感じです。
    ...続きを読む
  • 明日の僕に風が吹く
     中高生におすすめの一冊、発見です!

     川嶋有人。中2で心に傷を負い不登校に。医師である叔父の勧めで、東京から北海道の離島の高校へ。

     そこは、全校生徒5人、朝刊は昼届き、コンビニなし、Wi-Fiなし、まるで流刑地・奈落の底(?)のように思えるのでした。
     けれども島の人たちは、まるごと家族みた...続きを読む
  • 紙魚の手帖Vol.04
    【ほんタメ】で、あかりんが紹介していたので気になって読んでみました。
    対談も面白く読めたけど、他の方々の掌編小説も色々読めて面白かった。
  • 水底のスピカ
    それぞれに秘密を抱えた3人が支え合いながら友情を育む物語。恋愛要素を極力排したのがむしろ良い。石狩の風景が目に浮かぶ綺麗な描写も秀逸。表紙絵の場面が出た時はスカッとした。
  • コイコワレ
    『蒼色の大地』(螺旋プロジェクトで、この作品よりも前の時代の話)よりも個人との関係に特化した話だと思った。
    私は(読者)から見てみると、種族が違うという理由で交われない二人がもどかしくも悲しい。
    最後、リツが誰と結婚したのか、どんな人生を送ったのか、大人になっても山を歩いているのかとか気になりすぎた...続きを読む
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクト最後に作品。

    この作品のテーマが丁寧に描かれていて、全作品の中でも1、2を争う良作。
  • コイコワレ
    面白そうな企画だなと思い8作品を時代順に読みました。
    細かくメモしながら読み進めましたが、思ったより伏線や回収などは無く企画としては微妙でしたね。
    8作品の中で「コイコワレ」が1番良かったです。
  • 水底のスピカ
    何者にもなれる世代 - 乾ルカ「水底のスピカ」★★★★☆

    素晴らしい結末だった。ドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のような心をえぐってくるようだった。
    他人をうらやむことは悪いことじゃない。あなたにはあなたの魅力がある。その魅力を伸ばすのも抑え込んでしまうのも自分自身だ。それは可能性も同...続きを読む
  • コイコワレ
    文庫が出た順番の関係もあり、螺旋シリーズの最後がこの本になりました。時代順に読んで、「天使も怪物も眠る夜」で終わるのも良い選択だと思いますが、この本で終わるのも私は良かったと思います。良い作家に出会えて幸せです。
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクト8冊目。昭和前半編(戦時中)。
    海族と山族の対立する人物は小学校高学年のふたりの少女。都会と田舎、利発と直情、勉強好きと運動好き、と対照的な設定。そして、出会いが二人を変えていく。

    小学校高学年は背伸びをしだす年頃だったように思う。よく分からないまま洋楽を聴いたり、ゲームセンターに...続きを読む
  • コイコワレ
    螺旋プロジェクトの自分の中での最後の一冊。

    子供が主人公だからか、他の作品よりも憎しみが強烈で、抑えきれない様も凄かった。
    清子は強いなぁ

    見守り役が他の作品よりも、ちゃんと見守り役だった気がする。

    第二弾始動、楽しみ
  • あの日にかえりたい
    北海道南西沖地震が題材の「翔る少年」、同じ部活の女子高生5人グループの「へび玉」が面白かった。

    誰にでもあるだろう過去の「あの日」=人生の分岐点に戻れたら…という短編集。
    今生きているこの瞬間も、実は「あの日」の前日で、戻りたいと思うような一日なのかも?と思ったりする。事故や天災みたいに逃れられな...続きを読む
  • 水底のスピカ
    思春期の劣等感、自分には何もないという焦り、優れた人への憧れと妬み。自分は平凡だと思いながらも、何かあるはずと諦められない和奈は、美しく成績トップの美令と、クラスカーストの上位グループにいる華やかな更紗と友達になるが、自分は水の底から水面にいるキラキラした二人を眺めているようだと思う。それでも、悩み...続きを読む
  • 水底のスピカ
    美令や和奈、更紗其々が抱える苦しみや痛みに共感した。感受性豊かな年齢で痛みを分けあい共有できる親友に出逢えたことは宝物。互いが独自進化をするので生涯の友は不可能という道理に妙に納得。
  • 明日の僕に風が吹く
    『水底のスピカ』もそうだったけれど、これも友達との距離感をテーマにしたストーリー。近しい人が苦しんでいる時に、リスクを負ってどこまで相手のプライベートな領域に踏み込んでいくかが描かれている。物語としては『銀の匙』のように、都会の学校での生活で失敗を経験した子が、田舎の学校で新しい自分を見つけていくと...続きを読む
  • 水底のスピカ
    私は思いっきり和奈タイプだな…自分はみんなとは違う、特別なんだ、って思いたくて…でも実際は何もかも中途半端で普通の子以下だった。でも認めたくない…今考えると子供っぽくて恥ずかしくなりますね。和奈は美令や更紗みたいな友達ができて良かった。ところどころ涙しながら読みました。ラストは少し物足りなかったので...続きを読む
  • 水底のスピカ
    才色兼備の転校生・美令。クラスカースト上位の更紗。孤高を気取る和奈。ふとしたことから親しい友人になった三人の少女を描いた青春小説。微笑ましく、楽しそうで、爽やかで、ちょっと苦い物語です。
    自分が平凡であることに劣等感を覚え、そしてそれに気づかないふりをしている和奈の気持ちがなかなかに痛くてつらいです...続きを読む