乾ルカのレビュー一覧

  • コイコワレ

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    「みんなで一斉に書きませんか?」
    伊坂幸太郎さんのひと言から始まった螺旋プロジェクトの第五弾。

    螺旋プロジェクトとは
    ◇「山族」と「海族」の対立を描く
    ◇共通のキャラクターを登場させる
    ◇共通シーンや象徴モチーフを出す
    という、共通ルールを決めて8人の作家さんにより書かれた原始から未来までの物語。

    山族、海族という独特で何だか難しいテーマを、それぞれの作家さんがどういう風に物語に落とし込んでいくのかが見どころ。こういうの楽しい〜♬

    螺旋プロジェクトの作品を読むのはこれで3作目だけど、読んだ3作の中では1番このテーマが自然に馴染んで描かれていた気がした。


    戦争により疎開してき

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    2023年04月25日
  • コイコワレ

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    ネタバレ

    【収録作品】コイコワレ/九月、急行はつかり車内にて-書き下ろし特別収録短篇-

    競作企画「螺旋プロジェクト」の昭和前期編。書き下ろし短篇が読みたくて再読。清子のその後と、リツとの後日譚。

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    2023年04月24日
  • 明日の僕に風が吹く

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     中高生におすすめの一冊、発見です!

     川嶋有人。中2で心に傷を負い不登校に。医師である叔父の勧めで、東京から北海道の離島の高校へ。

     そこは、全校生徒5人、朝刊は昼届き、コンビニなし、Wi-Fiなし、まるで流刑地・奈落の底(?)のように思えるのでした。
     けれども島の人たちは、まるごと家族みたいで、叔父の診療所はTVドラマ『Dr.コトー診療所』の一場面を観ているような気になります。
     有人は、誰彼なく話しかけられ、島内の情報伝達力の速さに逃げ場のなさを感じますが、それでも、島の人や自然と関わる中で、認められる経験を通して緊張感がほぐれ、心の中に熱が宿り、少しずつ変容していき、ここは自分の

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    2023年03月24日
  • あの日にかえりたい

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    北海道南西沖地震が題材の「翔る少年」、同じ部活の女子高生5人グループの「へび玉」が面白かった。

    誰にでもあるだろう過去の「あの日」=人生の分岐点に戻れたら…という短編集。
    今生きているこの瞬間も、実は「あの日」の前日で、戻りたいと思うような一日なのかも?と思ったりする。事故や天災みたいに逃れられない事態もあるけど(遭遇したくない!)、できるだけ後悔なく生きていきたい。

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    2023年01月05日
  • 明日の僕に風が吹く

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    『水底のスピカ』もそうだったけれど、これも友達との距離感をテーマにしたストーリー。近しい人が苦しんでいる時に、リスクを負ってどこまで相手のプライベートな領域に踏み込んでいくかが描かれている。物語としては『銀の匙』のように、都会の学校での生活で失敗を経験した子が、田舎の学校で新しい自分を見つけていくというような話になっている。だけれど、『銀の匙』において主人公が入っていく農業高校は濃密な生き物や自然との関りだけれど、ここでは人口の密集した都会での人々の距離感と、過疎の島での濃密な人と人との関りという対比がより重視されている。
    ラストの叔父との葛藤と乗り越えは、例によって物語をしめるための、ドラマ

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    2022年12月05日
  • あの日にかえりたい

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    ネタバレ

    こちらも職場の方から借りた本。

    短編6作が収録されている。
    どの作品も「死」があたりに漂い、時空を超えた過去・現在・未来が交差する、せつない物語。

    「真夜中の動物園」
    →心にしみるいい話だな~と思いながら読んでいると、ラストでこれからが予想できて悲しいことこの上なし。

    「翔ける少年」
    →もうこれは、涙なしには読めない。実際に起こった災害が示唆されていて、せつない、悲しい。でも温かい。

    「あの日にかえりたい」
    →私個人的には、あまりピンとこなかったお話。でも、表題。ささる人にはささるだろうな~。

    「へび玉」
    →何が起こったのか気になって気になって、先へ先へと気が急いでしまうお話。こんな

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    2022年08月17日
  • てふてふ荘へようこそ

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    ネタバレ

    美月さんのお話、一緒に大泣きしてしまいました…

    最後、取り壊されると思っていなかったので、少し残念でしたけど、みんなが新しい人生に向かえてよかったです。

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    2022年07月31日
  • 願いながら、祈りながら

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    めっちゃ面白かったけど、話の構成がしっかりしてないがする。そういうのを気にしない人は絶対好きだとおもう。

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    2022年07月25日
  • 森に願いを

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    短編集で、各話で主人公が違っているが、醜い部分を持っていてかつ今を生きたいと思っていない主人公が、森に惹かれやってくる。森に通ううち、自分の考えを見つめ直し、再び生きようと歩き出す物語。
    主人公の悩みは、人間誰しも多かれ少なかれもっているものばかり。自分も森に通っている感覚で、自分の醜さを考えさせられた。

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    2022年05月23日
  • 妖し

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    ネタバレ

    「喪中の客」終始いやな予感にドキドキさせられ、身構えていたのにやはり最後にゾクリ。やられた。

    「細川相模守清氏討死ノ事」時代物は苦手だが我慢して読み続けただけの価値はあった。読後爽快!ニンマリ

    「フクライ駅から」なーんだネット系の都市伝説かぁ…期待せず読み進めたら意外な展開になり引き込まれた。フェスタのその後を知りたくなる。

    「真珠星スピカ」なんて素敵な家族。泣けた。

    「わたしキャベンディッシュ」バナナに対する認識が変わった。シゲルの味が気になって仕方ない。

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    2022年05月19日
  • てふてふ荘へようこそ

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    てふてふ荘…という名前に魅かれて手に取りました。
    全6室ある家賃1万3000円の古いアパート。このアパートの各部屋に住み始めた翌朝、そこにもう一人の住人が現れます…。

    先に住み着いている住人とあとからの入居者との交流が温かく、かつ大家さんの人柄にもほっこり。。。

    第1~7章が1号室~6号室、そしてみんなが集まる集会室になっていて、各部屋の住人たちの短編のようになっていて、段々、話がつながっていきます。

    こういった、はじめは別々の話なのに、そのうち段々つながりが出てきて最後には…という話、好きです。

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    2022年05月08日
  • 願いながら、祈りながら

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    北海道の過疎の村にある生田羽中学校生田羽分校に、社会科教諭として着任した林武史。
    生田羽村は都会からの誘致の甲斐もなく、村民の増える兆しもない。
    分校の生徒数はたったの5人で、一年後には本校に統合されるという。
    失恋の痛手を引きずりながらこの土地にやってきて、前時代的な風情の分校を目にして今すぐにでも辞めたいと思う、やる気のない林のことを、子どもたちはすべて見抜いていた。

    学年でひとりきりで過ごしてきた三年の弥生。
    あとの4人はすべて一年で、村長の孫の憲太、『神童』と呼ばれている学、自称霊感少女のみなみ、噓をつく癖のある亮介。

    乾ルカさんの作品は、決して温かい言葉だけで埋め尽くされているわ

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    2022年04月30日
  • 龍神の子どもたち

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    誰かを思いやる気持ちを大人になったらつい忘れがちになる。個々の尊重も大切だか忘れずにいたいと思った。

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    2022年02月20日
  • てふてふ荘へようこそ

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    心温まる秀作。各部屋ごとのストーリーが「てふてふ荘」につながっていて、大きなストーリーになるところも良かった。

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    2022年02月14日
  • 森に願いを

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    街中に存在する不思議な森。
    引きこもり、不治の病、リストラ、落ちこぼれなど、人生につまづき、もがき苦しんでいる人たちが迷い込んでくるその森には、一人の青年がいた。
    能天気で間の抜けたテノールで話す森番の青年は、いったい何者なのだろう。

    苦しみの中にいても、ねじ曲がらなかったものもちゃんとある。
    弱者に寄り添うような温かさ。
    森の中に足を踏み入れると、生命力の強さのようなものを感じる。

    物語の終盤には、森番の青年の秘密が明かされ、感動がこみ上げてきます。
    森の中に入って瞑想したくなるような、癒しの物語です。

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    2022年01月14日
  • メグル

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     5編からなる連作短編集。ホラー要素の強いファンタジー作品。
     各編の主人公は何らかの問題を抱えているH大学の学生で、奨学係の女性職員・悠木に斡旋されたアルバイトによって人生に光明が差すというストーリー。

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     物語を動かすのはキーパーソンとなる悠木の眼力(能力?)。それは主に2種類あります。
     1つは奨学係を訪れる学生のプロフィールや心に宿る陰を見抜く眼。
     もう1つはその陰を取り除く仕事を選定できる眼です。これこそ悠木の魅力だけれど、それだけでなく、その風貌から言動まですばらしく魅力的なのです。ナイス設定だと言えます。

     彼女の秘密が各話で小出しになってい

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    2022年01月03日
  • 森に願いを

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    街の中に残った一角の森。そしてそれを守る森番の青年。
    そこには救いを求めていろいろな人がやってくる。不思議な雰囲気漂う、けれどホラーではない現実がみえるエピソードが描かれている。気持ちの描写がとても上手だと感じた。

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    2021年12月02日
  • てふてふ荘へようこそ

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    ネタバレ

    おんぼろアパートに住む住人たちと大家、それぞれの部屋をめぐる話。3号室の話が印象に残るけど、どれも読みやすくて入りやすい話ばかりだった。またこの作者の話を読んでみたい。

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    2021年11月18日
  • てふてふ荘へようこそ

    購入済み

    すてきなファンタジー

    泣き笑いにあふれた、読後感の良いファンタジー。少し読み飛ばしたくなるような無駄な描写がなく、読みやすい。

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    2021年11月12日
  • てふてふ荘へようこそ

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    家賃:月一万三千円  間取り:2K  敷金・礼金:なし  管理費:なしの木造建築おんぼろアパート「てふてふ荘」

    「このアパートには各室にそれぞれ地縛霊がいるんです」とさらりと言ってのける大家。

    明らかに常軌を逸した環境と住人たちだが、幽霊たちと関わっていくうちに、重く閉ざされた心を解きほぐしてくれるような、切なくてほっこりするような物語だった。
    ここの住人たち(幽霊を含めて)がみんな人情味溢れていて、後味も決して悪くない。
    成仏されない幽霊たちが、もしかして私の後ろにもいるのだろうか。
    不思議な世界を堪能できたし、それと同時に、人と触れ合うことの大切さにも気づかされた。
    「てふてふ荘」と大

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    2021年11月08日