佐藤健太郎(サイエンスライター)のレビュー一覧
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前に読んだ佐藤氏の著書が面白かったこともあり、手に取ってみました。
想定していた以上に面白い内容でした。
「素材」に着目したことが、この本の秀逸な点であり、佐藤氏の経歴や知識を存分に発揮できる内容につながったと思います。
金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコンの12種類の素材が取り上げられています。
「12種」がそもそも絶妙だと思いますし、素材ごとのドラマも面白いですし、関連する物質(素材)や人(発見者や開発者)に関する説明も勘所を押さえていて、内容的には文句のつけどころがない本だと -
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佐藤 健太郎
一九七〇年、兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。医薬品メーカーの研究職、東京大学大学院理学系研究科広報担当特任助教等を経て、現在はサイエンスライター。二〇一〇年、『医薬品クライシス』(新潮新書)で科学ジャーナリスト賞。二〇一一年、化学コミュニケーション賞。著書に『炭素文明論』(新潮選書)『医薬品クライシス』(新潮新書)『「ゼロリスク社会」の罠』(光文社)ほか多数。四七都道府県三二万kmを走破した国道マニアとしてしても知られ、『ふしぎな国道』(講談社現代新書)の著作もある。
ペニシリン・・・「20世紀最大の発見」とも言われる「ペニシリン -
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筆者の本職はサイエンスライター。本書は筆者の趣味を一冊の本にしてしまった。鉄道マニアは数多くあれど、国道マニアというのは珍しい。同じマニア達の協力も得ながら書かれたタモリ倶楽部的な本。
国道は高速道路と違い、道路法で定義が定められていながらもキッチリした規定はなく、そのため欠番があったり、標識の規格がいろいろだったり、「階段国道」や民家の間の人ひとりがようやく通れるような幅の国道、車が通れない山道など、マニアが「酷道」と呼んで親しんでいる変わった物が多数存在する。逆にフェリーの海上航路も「国道」認定されていたりと、距離も環境も様々。県道に至ってはその距離わずか7メートルというにわかに信じがた -
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文句なく面白かった。内容はタイトルどおり、世界の歴史に影響を与えるほどのインパクトのある薬物についてである。「世界史」と「薬」という微妙に遠い二つのものの間をつなぐ物語を紡ぐには、それぞれについての正確で豊富な知識が必要であり、読む人にこじつけと誤解させないための明瞭な語り口も駆使しなければならない。筆者にはこれらが備わっており、平易な文章で次々と繰り出される話題に、読んでいて贅沢な気持ちになってくるほどである。
新書は本当に玉石混交で、手持ちのトピックが少ないために読んでいて苦痛なほど内容を薄めて回り道させられることが(残念なことに)よくあるのだが、本書はその真逆である。全11章のうち最初の -
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簡単過ぎず、難し過ぎず。
前著『炭素文明論』は「世界史×科学」の分野があることを指し示してくれた。日常に潜むSTEMに嫌気がさした時、自分が『炭素文明論』を読んだという事実を思い出すと幾分か心が落ち着く。
本書も例外ではなく、大当たり!
世界史上に見られる新素材12種を順番に追い、解説にも簡単と難解の落差が見られない。(つまり全編通して分かりやすい) メモ代わりにしたいところだが、ここに全12種は収まりきらんのでいつもながら数点ピックアップ…
金:貨幣から今やスマホにまで搭載されており、その輝きは「太陽の色に似ている」とは…思わず溜息が漏れた。
相対的に白金(プラチナ)が歴史上持て囃されな -
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電話番号、マイナンバーカード、自動車の
ナンバープレートなど、世の中には番号が
溢れています。
唯一無二である証でもあるし、地下鉄のア
ルファベットと番号の組み合わせにより、
外国人も理解することができます。
また高校野球の背番号は主に守備位置と連
動しており、番号に「意味」を持たせてい
ます。
特に自動車免許証の免許番号には大きな
意味が隠されているのはご存知でしょうか。
最初の2桁は免許証を発行した都道府県を
表しています。東京で免許を取った人は
「30」大阪なら「62」。そして3、4桁
目は免許を取得した西暦年の下2桁。最後
の桁は紛失や盗難によって再発行された回
数なのです。
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ネタバレ今などは、
新型コロナウイルスが生活上のリスクでもっとも目立つものですが、
ちょっと前までは原発事故による放射線のリスクについていろいろな意見や記事が
生みだされたのは記憶に新しいところです。
本書はそんないろいろなリスクに対して、
どういった姿勢をとって生きていくのがベターなのかを、
様々な例を解きほぐして説明しながら、
示してくれる内容になっています。
まず、
こないだ読んだ『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』につづいて
認知バイアスがでてきました。
本書は2012年、『ソクラテス』は2013年に出版されています。
認知バイアスは、この時期、
気にかけられるべきとされたトピックの