佐藤健太郎(サイエンスライター)のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ薬とは人智を遥かに超えて複雑な生体に副作用なく必要な部分にのみ作用する奇跡の産物。しかも経口の手軽さだ。誰しも頭痛、腹痛、風邪になれば必ずお世話になっている。ところが、このお薬、世に出るまでは様々な艱難辛苦を乗り越えなければならない。動物実験、臨床試験、副作用、役所の承認などなど。今や製薬は人類のあらゆる事業のうち最も困難なものの一つとなっている。入社以来、数十年毎日実験を繰り返しながらも、新薬を一つも生み出すことなく研究の現場を去る者がほとんどというのが、この医薬の世界。まったくのギャンブル。「薬九層倍」なる言辞が如何に一面的偏向的な誤謬に満ちたものであるかがよく分かる。2010年問題を境に
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Posted by ブクログ
前半はちょっと薄いが、後半の現状分析と今後について、諦めと希望の入り混じったような態度には共感できる。病態が解明されているような分野は既にやりつくされており、ゼロリスク症候群とでもいうべき安全基準の厳格化やモデル動物の不在などもあいまって、新薬は年々少なくなってきている。開発費の負担は重く、巨大メーカーにならないと「化合物を医薬へと進化させる」ことも難しい。ハイスループットスクリーニング(オートメーション化により数万件の化合物をスクリーニングできるようになった)、コンビケム(複数の側鎖を順列組み合わせで変更してゆく?)などの技術革新、抗体医療(大きい分子なので臨床試験で予想外の副作用が出にくい