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Posted by ブクログ
医薬品業界という産業は新薬を創りにくいものの、一つ一つの医薬が膨大な利益を生む観点から考えれば、非常に高収益でかつ不安定な業界特性だ。
膨大なR&Dを経て次々に登場する新薬から巨大な利益をあげ、世の景気に関わりなく右肩上がりの急成長を続けて来た医薬品業界が、本当にここに来て初めてつまずきを見せているのならば、この不可解な現象がなぜ起きたのか。医薬の進歩は本当に限界を迎えたのか。そしてこれから一体何が起こるのか、という論点を考えることは多分色んな面で今後役に立つと思う。
~“経営コンサルタント、証券会社のアナリストといった人々は、「クリティカルマス」「スケールメリット」などの言葉を持ち出し、「日本の製薬企業の資本効率は低く、さらに再編を進めるべきだ」と説く。しかし、どのくらいのサイズがクリティカルであり、スケールメリットがそれほど重要ならファイザーや武田の苦境は一体何であるのか、彼らからは何の説明もない。
今後また大型合併をしてくれれば、確かに彼らの仕事は増えて万々歳だろう。しかしすでに製薬企業の首脳は、手間ばかりかかって実りのない大型合併に懲りている。スケールだけを追求した大型合併の時代は、もう終わったといっていい。
(中略)
医薬品産業は、痛み・苦しみから患者を救うという最も崇高な使命と、目も眩むほどの膨大な資金が飛び交う、この世で最も不思議な産業だ。”~
Posted by ブクログ
本書は2010年科学ジャーナリスト賞を受賞した著書であり、著者自身が、医薬品メーカーの研究職の経歴があるため、業界裏事情を本音で書いた巧著である。
全世界で78兆円の市場の医薬品業界。
1位がアメリカで42兆円、二位が日本で7兆円。
凄い金額が動いている業界である。
日本とアメリカの違いにビックリするのは、日本の薬価は公定価格として、国が決めて税金や健康保険から支払いする仕組みで、基本は公金から得ているので、安定しているかと思うが、そうではなくて、二年ごとに平均5~7%ほど下げられる。一方、アメリカは薬価は自由に決められる。いい薬ほど高くて貧乏人は払えなくて、亡くなってしまうという。
医薬品メーカーは安定している業界と一般のひとは考えがちだが、本書で初めて知ることは、なんて安定しないギャンブル性の高い業界かということ。
新薬を開発するには、10年以上の期間と100億円超え費用を研究に費やしても、何もできない時もある。
やっと特許をとっても、20年で特許が切れて、安価な薬品(ジェネリック)になり、収益が落ちてしまう。
その他、この本には、医薬品業界の合併再編、訴訟問題、副作用問題と薬の不安定性と業界の問題を思い知れされた内容になっている。
本書で薬に対する考え方が変わることで、健康への配慮が一層進むことを願うばかりである。
Posted by ブクログ
研究者としての経験も交えた創薬のお話。基本的なことから要領よくまとまっていて有益。4年ほど前の本で,来るべき2010年問題について詳しいけど,そういえばあの危機の顛末ってどうなったんだろ?
20世紀に比べて新薬開発が厳しくなってきてるのは確かなよう。昔から製薬会社では,ほとんどの研究者は一つも新薬を作り出すことなく終わるということだったが,作れる薬は既に作られていることや,既存薬を超える優位性が必要になってきたこと,副作用への警戒などからさらにハードルは上がっているらしい。三つの新薬を世に送り出した伝説の研究者による講演が,時代遅れもいいところの期待外れだったというエピソードが印象的だった。
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