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2015年、大村智氏らが受賞したノーベル生理学・医学賞は、実に27年ぶりに医薬品開発に対して贈られたものだった。
その間、エイズやC型肝炎などさまざまな病気の治療薬も開発されてきたが、いずれもノーベル賞受賞には至っていない。かつては「かぜ、水虫、がんを治す薬をつくればノーベル賞」ともいわれたが、医薬品開発でノーベル賞をとるのはそれほど単純ではないようなのだ。
では、どのような医薬品を開発すればノーベル賞がとれるのだろうか? がん治療薬をつくればとれるのだろうか? そもそも医薬品開発の難しさとはどこにあるのだろうか?
本書は、こうしたノーベル賞級の医薬品開発に焦点を当てる。過去から現在、そして未来に向けて、人類を救う医薬品開発の現場を見つめていく。
たとえば、すでに一部のがんに対しては、驚くほどの効果を示す治療薬が登場している。抗がん剤においては、人体にダメージを与えずに、病巣にだけダメージを与えることが難しい。しかし、新しいアイデアの登場により、これが可能になってきたのだ。そのアイデアとはいかなるものか? 細胞レベルでの戦いをわかりやすく説いていく。
また、近年一部の医薬品について、薬価高騰が大きな問題になりつつある。これが、ノーベル賞の選考にも微妙に影響を与えている可能性もある。この点についても合わせて考察を加えていく。
医薬品とノーベル賞――。27年の壁を崩した大村氏らの受賞には、実は単純ならざる意義があった。十数年にわたって医薬品研究の現場に身を置いてきた著者が、医薬の現在とあるべき未来を読み解く。
Posted by ブクログ 2022年11月20日
医薬品研究者であった著者による、医薬品研究の歴史と手法等を私のような素人でも十分理解できる表現で紹介頂いた良書です。薬効やその安全性評価の手法について、その培われた歴史の中で得られた社会的価値について説明されています。薬剤単体でノーベル賞に至らない理由や、一方でその開発手法に対しての評価による受賞な...続きを読む
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