佐藤健太郎(サイエンスライター)のレビュー一覧
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副題、世界は六角形でできている。
要するに炭素、炭素化合物の中でも有機化合物についての本。炭素をブロックに例え、自由自在、いろいろな物質を作ることができ、その凄さをこれでもかと主張する。
確かに凄いのだけれど、残念ながら高校の化学、と言っても遥か40年以上もの昔の知識など覚えているはずもなく、分子式とか書かれてもあまりピンとこない。
が、随所に不思議な魅力を感じるところがある。例えば、炭素の二重結合のうちの1つであるπ結合。π結合を作るπ電子。このπ電子が多種、多様な有機化合物を作り出している重要な要素になっている。この不思議なπ電子に、「お前、一体何者?」と問いかけたくなってしまう。
せめてこのπ電子という言葉だけでも覚えておこう。
おそらく内容の数割程度しか理解していないと思うが、とても面白く読むことができた。
化学系の本ってあまり人気ないかもしれないけど、分子の世界、元素の世界って不思議な魅力を感じてしまう。 -
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郵便番号や電話番号、スポーツ選手の背番号などあらゆる番号についての謎やその成り立ちなどを徹底した調査のもと書かれた1冊。
電話番号やナンバープレートなど身近に溢れるものからプロ野球選手やプロストライカーの背番号、バーコードや原子番号に至るまでさまざまな番号について起源から豆知識まで紹介されており面白い一冊でした。
初めは3桁程度で始まった電話番号が今の桁数に至ることや国道や電話番号など明治時代からでき、ここまでに至る変遷を知ることを本書でできました。
電話番号やナンバープレートの数字に関する企業のこだわりや銀行や学校などの第○とつくところの成り立ちなども知ることができました。
4や9などの数字の扱いもものによってまったく異なることや欠番にまつわる話など免許証やマイナンバーなどの数列の法則についても知ることができました。
そんな本書の中でも永久欠番の考え方がスポーツによって違うことやテレビチャンネルの地域差や割り振りのルールなどは興味のある分野で印象に残りました。
本書を読んで番号にまつわる様々なこだわりをもって出来た変遷を知ることができ、そのエピソードを調べた著者の苦労は大変なものであるとも感じました。
私たちの生活と共存し、世の中に溢れる番号について知識を得ることができ、今後触れた番号について成り立ちなどに興味が湧くきっかけになる一冊でした。 -
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<目次>
はじめに 「新素材」が歴史を動かす
第1章 人類史を駆動した黄金の輝き~金
第2章 一万年を生きた材料~陶磁器
第3章 動物が生み出した最高傑作~コラーゲン
第4章 文明を作った材料の王~鉄
第5章 文化を伝播するメディアの王者~紙(セルロース)
第6章 多彩な顔を持つ千両役者~炭酸カルシウム
第7章 帝国を紡ぎだした材料~絹(フィブロイン)
第8章 世界を縮めた物質~ゴム(ポリイソプレン)
第9章 イノベーションを加速させる材料~磁石
第10章 「軽い金属」の奇跡~アルミニウム
第11章 変幻自在の万能材料~プラスチック
第12章 無機世界の旗頭~シリコン
終章 AIが左右する「材料科学」競争のゆくえ
<内容>
佐藤健一郎の科学史のシリーズ。これは「材料化学」の世界。「素材」をクローズアップしたもの。周期律表の秘密(縦系列は性質が似ている)とか、地球には鉄よりもアルミのほうが多く存在している(それも倍近く)とか、雑学的な話も面白い。こうした物質が世界史を動かしていたことは、とても興味深いものだ。
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薬品開発の歴史は、医学の歴史であることはもちろんだが、化学の歴史でもあるんだなあ。
マラリアの薬キニーネも、鎮痛剤アスピリンも、もとは自然界に存在する(キニーネはキナノキ、アスピリンはヤナギの樹皮に含まれる)ものだが、それを化学的に合成できて初めて、大量に生産できるようになるのだ。
この本は最初が滅法面白くて、ちゃんとした薬の歴史は浅く、ハーブ(薬草)なんかかなりマシな方で、(水銀を薬として使ったり、瀉血などの無意味どころか害になる治療をしたりというのは知っていたが)動物の血や糞尿、腐った肉なんてものを薬として使っていたと書いてあり、ゾッとする。病気は体に悪魔が入ることだから、追い出すために、悪魔が嫌がる汚物を体にいれたんだと。
一番驚いたのは、「統計」という概念がなかったので、効いたかどうかをきちんと把握していなかったってとこ。
壊血病とビタミンC、モルヒネの鎮痛効果と依存性、麻酔薬、消毒など今では一般人でも当たり前に知っていることも昔は知られておらず、古人が身をもって実験台になってくれてようやくわかったんだなあ、と感慨深い。
ビタミンCを過剰に評価した天才化学者ポーリングのエピソードは、ノーベル物理学賞を受賞しながら心霊研究に没頭したジョセフソン、錬金術に25年も費やしたニュートンらのエピソードと合わせて「ノーベル賞科学者だから、教授や博士だからといって、無条件にその言葉をありがたがるべきではないことは、我々も肝に銘じておくべきだろう」(P40)って、ホントそうね。よく広告に○○博士推奨みたいなのあるけど、ニュートンクラスの超天才でさえおかしなことにこだわりだして変なことを言い出すんだから、その辺の先生なんかは推して知るべし。(もちろん金目もあり。明晰な頭脳持ち主コナン・ドイルが晩年妖精や降霊術にハマったことも思い出す。)
エイズ治療薬を熊本大学の満家裕明博士が4つも開発したことなんか、日本人なのに全く知らなかった。もっと知られていいと思う。
薬の歴史は化学の歴史でもあるが、人間の愚かさと賢さと努力の歴史でもあった。 -
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ネタバレ有名な薬が誕生した経緯を時代背景とともに紹介した本。「歴史のifを筆者と一緒に愉しんでいただきたい」と書かれているが、とくに「ifの物語り」は書かれていない。筆者が正確な記述に徹していることが感じられる点が大変気に入った。感染治療薬と鎮痛剤にフォーカスされている。
心に残ったフレーズ:
1.汚物薬の時代。病気は悪魔が体内に侵入したためにおこると考えらえていたため、悪魔が嫌う悪臭を放つ汚物が有効と考えられていた。
2.不老不死の薬。移ろいゆく動植物でなく、永遠に変わらない姿を保つ鉱物の力を取り入れる、と考えられていた。
3.薬効の判定の難しさ。医薬の効能の有無の議論は統計学が進展してからのこと。
4.大航海時代の壊血病とビタミンC。
5.マラリアとキニーネ。
6.人類がもっとも古くから使用してきた薬は鎮痛剤、アヘン、10%のモルヒネ、アセチル基付加でヘロイン。
7.麻酔薬の作用機序はいまだ不明。
8.感染症治療薬のサルファ剤。
9.抗生物質ペニシリンの発見、アレクサンダー・フレミング。
10.鎮痛剤・アスピリン。ヤナギの木からサリシンが分離、鎮痛剤として使われるが、激しい胃痛を引き起こした。アセチル基を付加したアセチルサリチル酸、アスピリンが誕生。 -
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現代社会が番号で溢れかえっていることに気づいた著者が、無味乾燥な番号にもドラマが秘められていると、その謎に迫る。
先ずは電話番号から解き明かす。
現在では天気予報で使われている177番は、最初は大隈重信の電話番号だったそうだ。
携帯電話の090-1234-5678番は、5500万円で取引されているとか、蘊蓄が次々と。
今では行き渡っている郵便番号。
その導入のためには、宣伝活動その他で当時の金額で約12億円も投じられたことには、驚き!
無人島にも郵便番号は付与されていて、尖閣諸島は907-0004だそうだ。
ナンバースクール=第一から第八までの旧制高校がスタートした時のこと。
第九を巡っては、新潟県と長野県で九高争奪戦がヒートアップして、お互いを罵り合うまでになったため、八校で打ち止めになったとか。
その他、自動車のナンバープレート、野球・サッカーの背番号、バーコード、図書分類や、果てはテレビチャンネルやマイナンバーまで、「番号という切り口を通して、人類の営みに光を当てるものにしたい」という、著者の思いが詰まった一冊。 -
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ネタバレ<目次>
まえがき
第1章 一〇桁は田舎者の象徴?~電話番号
第2章 不思議な順序にはわけがある~郵便番号
第3章 混沌と抗争のナンバー史~自動車のナンバープレート
第4章 魔境を照らす一筋の光~鉄道にまつわる番号
第5章 国道100号線が存在しないわけ⁈~道路にまつわる番号
第6章 番号界の絶滅危惧種~ナンバー銀行
第7章 プライドと序列意識の間で~ナンバースクール
第8章 「四戸」はどこへ消えた?~地名と番地
第9章 選手が背負うもう一つの顔~野球の背番号
第10章 神様は10番が好き~サッカーの背番号
第11章 サーキットに散った伝説の27番~F1レース
第12章 腱鞘炎と防いだ縞模様~バーコード
第13章 情報のいたちごっこは続く~図書分類
第14章 数字に現れた出版業界の勢力図~ISBN
第15章 無限に挑んだ男たち~天体の番号
第16章 空き番号に潜むドラマ~欠番
第17章 目に見えない神の数字~原子番号
第18章 交響曲マイナス1番を書いたのは?~音楽
第19章 視聴率はチャンネル番号で決まる?~テレビチャンネル
第20章 ウインドウズ8は6.2~バージョン番号
第21章 文化と見栄とプライドと~型番
第22章 「究極の番号」は問題山積~マイナンバー
<内容>
番号にまつわるあれやこれやをまとめたもの。「新潮45」に連載した記事を加筆訂正、書下ろしを含むもの。まあ、よく探したな!が感想。もちろん、もっと深めることもできるが、このレベルを22個も並べたことにブラボーと言いたい。最後がマイナンバーなのは、痛烈な皮肉か? -
Posted by ブクログ
タイトルにすごい分子とあるから、無機有機問わず広く紹介しているのかと思ったら、芳香族化合物にフィーチャーしてて、少し騙された感が無きにしも非ず。副題をちゃんと読めっていう話ですね笑
閑話休題。僕の有機化学の知識は高校化学レベル止まりので、その世界の広がりは予想以上だった。本書に書いてあるように、有機化合物で無機化合物の性質(例えば導電性とか)を再現できるのなら、人が生産する無機化合物で今後残るのは何だろう、と考えた。有機化合物には柔軟性などの特長があるわけだから、身の回りの製品は殆ど置き換わってしまうかもしれない。残るのは建物の骨組みとか構造物ぐらいしかない気がする。