佐藤健太郎(サイエンスライター)のレビュー一覧
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本書は2010年科学ジャーナリスト賞を受賞した著書であり、著者自身が、医薬品メーカーの研究職の経歴があるため、業界裏事情を本音で書いた巧著である。
全世界で78兆円の市場の医薬品業界。
1位がアメリカで42兆円、二位が日本で7兆円。
凄い金額が動いている業界である。
日本とアメリカの違いにビックリするのは、日本の薬価は公定価格として、国が決めて税金や健康保険から支払いする仕組みで、基本は公金から得ているので、安定しているかと思うが、そうではなくて、二年ごとに平均5~7%ほど下げられる。一方、アメリカは薬価は自由に決められる。いい薬ほど高くて貧乏人は払えなくて、亡くなってしまうという。
医薬品メ -
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<目次>
第1章 国道の名所を行く
第2章 酷道趣味
第3章 国道の歴史
第4章 国道完走
第5章 レコード・ホルダーの国道たち
第6章 国道標識に魅せられて
第7章 都道府県道の謎
第8章 旧道を行く
第9章 深遠なるマニアの世界
<内容>
著者はサイエンスライターの第一人者らしい。が、この本はそことは似ても似つかぬ「コアなマニア」の本。そして、過去にあまり新書では出されていないテーマのためか分厚い!たぶん著者は国道に関することは(走りとしては)描き尽くしたのではないか?これ以上は、マニア同士でツィッターなどで語ってほしい。
とは言うものの、大変面白かった。「酷道」は知っ -
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化学物質が歴史に果たした役割について、生命、心、エネルギーの分野でまとめている。
炭化水素は油のような性質になるが、酸素や窒素が加わると分子内の電荷の偏りによって水になじみやすくなる。炭素と酸素や窒素との結合は離れやすいため、反応性が高い。
香辛料の多くは、フェニルアラニンが変換されてつくられており、ベンゼン環に3炭素程度の側鎖が付いた構造をしている。
江戸時代の薩摩藩は、奄美や琉球で生産された砂糖を大坂で販売し、その資金で蝦夷地の昆布を買い付けて大陸に売り込むことによって、巨額の利益を稼いだ。
ニコチンは、神経伝達物質のアセチルコリンと同様の作用を演じるため、神経の働きを活性化させる -
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傑作である「スパイス、爆薬、医薬品」にひけを取らない良書。海外経験のない日本人研究者がこれほど読みやすい文章を書け、俯瞰的視点が持てるとは驚き。
・イギリスは阿片の自国流通は厳しく規制
・狩猟時代の1日の労働時間は3時間程度
・人体が甘味を感じる仕組みは謎。各種甘味料の構造式に共通点無し
・将棋の「桂」はシナモン「香」はナツメグ、クローブ
・タバコ擁護論者は他では論理的だが、好きなものに対するバイアスが多大にかかっていて、ニコチンに操られているかのよう
・400リットルのウィスキーには樽由来成分が2kg近い
・チンパンジーに貨幣経済を教えると売春、強盗が発生する
・石油の由来について、無機起源 -
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食べ物にしても、着るものにしても、住むところにしても、そして僕らの体も、あらゆるところに炭素化合物がある。炭素なくして文明は発生しなかったし成立もしない。本書は、炭素からなるいくつかの物質が、それぞれどのように人類史に関わってきたかを説く。この手の話は好きなのだ。人類最大の友・エタノールだとか、世界を制した合法ドラッグニコチンとか。僕は喫煙習慣がないが、これを読んだらタバコを吸ったほうがいいかもな、などと思った(本書は断じて喫煙を勧めてはいないが)。しかし、章ごとが物質で区切られていて、文明を築いていく俯瞰という風にはなっていないのが残念。とはいえ、物質毎の人類へのコミットぶりは愉快でもあり悲
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研究者としての経験も交えた創薬のお話。基本的なことから要領よくまとまっていて有益。4年ほど前の本で,来るべき2010年問題について詳しいけど,そういえばあの危機の顛末ってどうなったんだろ?
20世紀に比べて新薬開発が厳しくなってきてるのは確かなよう。昔から製薬会社では,ほとんどの研究者は一つも新薬を作り出すことなく終わるということだったが,作れる薬は既に作られていることや,既存薬を超える優位性が必要になってきたこと,副作用への警戒などからさらにハードルは上がっているらしい。三つの新薬を世に送り出した伝説の研究者による講演が,時代遅れもいいところの期待外れだったというエピソードが印象的だった。 -
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今や何するのもリスク、リスク、リスク。対策、対策、対策と。
世の中息苦しい。
そしてリスクは、誰かが口に出した途端、抗し難い強制力を持つ。しかし、それが定量化されてない以上しょうがない側面もある。
本著ではリスクはまず、「あるのかないのか」(定性)、「ある場合はどの程度のものか)(定量)を判断し、そして「ある場合」においても、その確率と影響度合いについての見極めが必要というお話を展開する。
もう確かに仰る通り。
(でもその定量化が難しいんだけどね)
そして我々がどのようにリスクを見誤る傾向があるかについて、本著で触れている。これは是非必読レベルなんでオススメしたい。きっと時間とか金とか、そ -
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確証バイアスについて知りたかったので、ネットで検索したところ本書がヒットした。内容的には少しずれるような気がしたが面白そうだったので読んでみた。
人はなぜリスクを読み間違えるのかというテーマのところで、確証バイアスが出てくる。
確証バイアスとは、本書でも引用されているユリウス・カエサルの言葉「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ようとしないものだ」に集約されていると思う。
また、孔子の「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し」という論語の一節を引用している。
つまり、「正しい知識を身につけた上で、考えろ」ということだが、
この正